1950年8月31日。
王立ロンドン魔法学園(通称『風見鶏』)に、幼馴染の葛木清隆と葛木姫乃と一緒に入学することとなった『
すぐ近くにで、憂鬱そうな顔をしながら幼馴染の葛木清隆は、俺と同じように大海原を眺めている。
そうやって
「兄さん……。それに
これまた幼馴染で妹のような存在の葛木姫乃が近づいてきた。
「なに二人とも、憂鬱だ~って顔して、遠くなんか眺めちゃってるの?」
「いや、だって……。実際、憂鬱だし」
「確かに憂鬱だ。これからの事を考えると、特に憂鬱になる。俺なんか会社を
と、そんな事を言いつつ、二人の方を見ると……
「ずっと手を握っててやっただろ?」
「……………………」
清隆の言葉に、姫乃が顔を赤くしながらお礼を言っていた。
……でた。でましたよ。もう何回目だろうか、この義兄妹は二人だけの世界なるものをつくり、俺の話や意見が無視されたのって……。
でもまあ、今のは独り言みたいな所もあったから、別に腹を立てるほどでもないけどな。
そう思い、二人の会話を少し聞きつつ、俺は再び海の方に顔を向け、二人の
俺は子供の頃から、よく用事があり足を運んでいた葛木家に呼ばれ、親父さんのいる部屋に入ると清隆と一緒に俺の事を待っていた。
この葛木家とは縁があり、よく俺が働いている会社を利用してくれている。
その為、俺は歳が同じくらいの姫乃たちとよく遊んでいた。
でも清隆と姫乃が義兄妹で、清隆が自分の歳について、姫乃に内緒で信頼して俺に話してくれたのは今から2年前くらいだった。
なんと、ほんの数歳だが清隆は見た目通りの年齢じゃなかったらしい。
俺も少しは魔法については知っているが、清隆が言うに『無意識で年齢を止めていた』らしいのだが、それはかなり魔力……または魔法力とでもいえるものが高くなければ出来るものではない……と思う。……多分。
――でも、そんな小さい時から高い魔力がある清隆と、名家である葛木家の親父さんが真剣な顔で部屋で待っていたら、俺も真剣に聞かなきゃ流石にマズイと思い。
「……今日はどうしたんですか?」
と、真面目に聞きながら畳に座る。
すると親父さんが口を開き、
「修くんに……少し頼みたいことがあってな。実は――」
俺を家に呼んだ理由について話してくれた。
すると親父さんから聞かされたお願いとは、清隆の手伝い。
しかも俺の会社にまで連絡を入れて、了解まで取ってあった。
「えーと……なんで俺なんですか?」
他に適任者はいないのか、もしくは清隆だけではダメなのかと聞いてみる。
そりゃ清隆たちが外国に行けば寂しいし、姫乃の事も聞かされた後だから、手伝いたい気持ちもあるが……そこでなぜ手伝いに俺が呼ばれたのだろう。
俺は確かに少し魔法を使えるがそこまで魔力も高くないし、知識も少ない。そんな俺が呼ばれる理由なんてないはずだ。
「修。お前こないだ魔法使いのカテゴリー試験を受けなかったか?」
俺の疑問に親父さんではなく、清隆が答えた。
「そりゃあ受けたけどさ……なんでそのこと知ってるんだ? それに正式な試験じゃないぞ。道具が必要でロクにできてない物もあったしな」
ちなみにカテゴリーというのは、魔法使いのランクのようなものだ。
カテゴリー試験は、その名の通り協会に申請してもらうための試験。この成績によってカテゴリーが決まる。
確か他にも、清隆と一緒に行こうとしている魔法学校を卒業すると、カテゴリー2をもらえるはずだ。
それ以外の魔法使いはみんなカテゴリー1に分類される。
俺はその試験を会社に来た魔法教会の人が忘れていった、カテゴリー試験の内容が書かれていた本を見て、カテゴリー試験の内容を軽い気持ちで同僚数人と一緒にやったものだ。
当然、申請もしていないので俺のカテゴリーは1のはずだ。
「でも少しは受けたんだろ。その時の様子を見ていた人がいて、それが葛木家と縁がある人でな」
「へぇ、それで?」
「その試験をやっていたのが修だって分かったらしくて、うちに来た時に『今度、彼に正式に試験を受けさせてはどうでしょう?』って言われたんだ」
なるほど。確かに葛木家に縁のあるものなら魔法の事を知っていてもおかしくないし、葛木家の親戚が集まってる時に、姫乃たちと普通に遊んでいたこともあるから、俺の事も知っていて不思議はないが……
「まさか、そんなまだよく分かりもしないカテゴリーが理由で選んだ……とか言わないよな?」
「それこそ、まさか――だよ。俺たちもそんな事じゃお願いしないって。ただ単に今回は俺たちの判断だ。俺の知っている中で、一番助けになってくれそうなのはお前だからな」
「いや……でも俺の魔力はぜんぜん強くないし、魔法に関する知識もそんなにないぞ?」
そう俺が言うと、再び親父さんが、
「とりあえず……修くんの会社としても、もっと魔法の知識を付けて来いと言っていたし――それに姫乃も君がいてくれた方が嬉しいだろう」
「うっ……」
トドメの一言を言ってきた。
流石にここまで言われたら、断るわけにはいかない。
「……分かりました。行かせてもらいます……」
そう親父さんに答え――あとは費用の事や試験の事なんかを色々と話したり、やったりしていたら、なんだかんだで学校へ向かう日となった。
――と、しばらく考え事をしていたら、
「うわぁ……」
「こりゃ、想像以上だな」
姫乃と清隆の声で我に返る。
「ん?」
気が付けば、辺りは白い霧に包まれていた。
それに少し肌寒い。
「すごいすごい。さすが霧の都ロンドンだね……」
「……着いたのか?」
「あ、修兄。やっと気が付いたんだ。さっきから何回も声かけてたんだよ?」
「……悪かったな」
まさか、姫乃にこんな事を言われるとは……我ながら思い出に浸りすぎてたな。今度からはそんなことはしないように心がけよう。
船を降り、しばらく歩いていると、清隆がふと脚を止めた。
「あれ……?」
そして何かを考え始める。
「どうかした?」
「姫乃、お前は何も感じなかったのか?」
「何が?」
「ん~、うまく言葉にはできないんだけど……なんか違和感があったって言うか……」
「どーゆーこと?」
清隆の言葉に首を
……やっぱり、さっきから感じているこの感じは気のせいじゃなかったのか。
「兄さんの気のせいじゃないない? 何かしらの変化を感じる感覚だったら、わたしの方が敏感なはずだし」
「そうかな? ……修はどうだった?」
「何かしらは感じるな。……まるで、魔力か何かで区切られて、異世界に来たみたいな……」
「そう。そういう感じだ」
俺の意見に大きく賛成する清隆。
そして俺の言葉を聞き姫乃は、
「修兄も何か感じたの? ……ってことは本当に何かあるってこと?」
「おい姫乃。なんで俺の言葉は信じないで、修の言うことは信じるんだ……」
「だって、修兄。ついこないだのカテゴリー試験で『魔法的な感覚・感知能力と分析力だけはカテゴリー4級です』って言われたんでしょ? なら兄さんよりも信用できるよ。悪いけど」
姫乃が言うように、俺はこのロンドンに来る前に、ちゃんとしたカテゴリー試験を受けた。
すると結果は――カテゴリー4。
協会が言うには『あなたは、魔法の感覚・感知能力。そして分析。さらに創作能力がズバ抜けています。自身の少ない魔法力を補う為に、新しい魔法を作り出すことが出来たのが何よりの証拠です』……と、色々はしょったので、少しおかしい所もあるが大体こんな感じの事を言われた。
あと『魔法力が高くて、もう少し知識があればカテゴリー5になれたんですけどね……』とも言われた。
その事を姫乃には、さっき姫乃が言ったように少し誤魔化して伝えた。
試験を見に来ていた清隆と親父さん、そして数名の協会の人にしか知られないように、親父さんのツテで頼んだが……試験のせいで少し出るのが遅れてしまったので、姫乃には誤魔化してだがちゃんと結果を伝えたのだ。
誤魔化してる時点で『ちゃんと』は教えてないかもしれないけどな……。カテゴリーも1だったて伝えたし。
「それで修兄。わたしたちは学校に行って大丈夫なの?」
姫乃は俺と清隆がこんなこと言うから学校に行くのが心配になってきたらしい。
「まあ、大丈夫じゃないか。今のところ、害になるような感覚でもないし」
「そっか……」
「
「用心ならいつもしてるよ。初めての土地に来た時には特に、ね」
「それもそうだな……」
初めての場所に来たら、少なからずとも人は確実に用心はするよな。
そして俺との会話を終え、姫乃は清隆の方に再び向き。
「さて、兄さん。修兄も大丈夫だって言ってますし、これからどうします?」
「……どうって?」
「いや、せっかくロンドンに来たんだからさ、観光地でも見て回ろうかな~なんて思って」
「「は?」」
俺と清隆の声が重なってしまった。
「ロンドン塔とか、見てみたいな、なんて思っているんだけど……」
……用心してる、と行ったそばからすぐこれか。
そんな案はすぐに却下となり、俺達は学校へ向かい始めた。
多少、設定やキャラの性格が違いがあるかもしれません。そこに関してはノーコメントでお願いします。
分からないことや質問があったらいつでも聞いてください。
あと、更新速度は遅いです。