片づけを終わらしたので、メアリーたちもご飯に行くところだったらしく、俺も一緒に食べようということになった。
どうやらB組も親睦会的なものはやったらしいが、二人はそこまで食べてなかったのと、時間がたったからとのことで食堂に食べに行くらしい。
俺は二人に了解を取り、一緒について行くこととなった。
あと、なぜメアリーが男子寮にいたのかだが……たぶん俺の想像だけど、エドワードの部屋が俺の荷物を置いてある部屋の近く、もしくは奥にあって、用事か何かの為に伺ったんじゃないかと思う。
……まあ、詳しくはご飯を一緒に食べるときにでも聞こう。
男子生徒は奇跡的におらず、二人は男子寮の廊下から出ることが出来た。
そしてエドワードに先ほど歩きながら思いついたことの為に、廊下を出たラウンジ辺りでエドワードに確認することにした。
「なあ、エドワード。ちょっと聞きたいことあるんだけどいいか?」
「ん? なに、修くん?」
「エドワードのその服装……自分の趣味なのか?」
「え……それってどういう……」
エドワードが、少し驚いた表情でこちらに見ながら足を止める。
「その女装は自分の趣味なのか? ――って意味で聞いたんだ。……答えたくないなら、無理には聞かないけど……」
「いや、そんなんじゃないけど……でも――」
「あ、あんた! なんでエドワードの性別を知ってるの!? もしかして、エドワードのストーカーか何か!?」
「違うっ!」
「もしくはあたしたちの情報を、どこかで入手してるか……それとも全一年生の名前やプロフィールなんかを管理できる人なんじゃ……」
「それも違う! つか、まだ三種の神器すら渡されてない俺に、そんな管理なんてできるわけないだろ!」
エドワードの言葉に割り込んで、ヘンな事を言ってくるメアリー。
なぜエドワードの性別を判断しただけで、ここまで言われなきゃならないんだ。――と一瞬思ったのだが、エドワードの姿を見て納得する。
それと同時に、エドワードが入学式に服装について巴さんに言っていた『趣味みたいなものです』と言っていたのを思い出す。
あの言葉どうりなのだとしたら、エドワードのことを見分けられた人は――
「あはは、ごめんね修くん。でも僕が男だって何も言わないで分かったのって、修くんが初めてだったんだよね。……よかったら、なんで分かったのか教えてくれないかな?」
――いないらしい。
まあ俺も魔力を感じることが出来なかったら、男だなんてわからなかったと思う。
実際、一緒に片づけをしているときに魔力を何度か確認し直したけど、かなり怪しいけど何度確認しても男の波長で……それでも今もまだ信じられないんだが……エドワードやメアリーのセリフで、エドワードが男ということが確定した。
「えっとな……俺は人の魔力を生まれつき感じ取れるんだ。それで――」
エドワードの『どうして分かったのか』という質問に、俺の体質のことで姫乃に教えているより少し少ない程度の情報でエドワードたちに理由を教える。
これからエドワードにお願いすることもあったので、ストーカーなんかと間違えていられたら、確実にお願いを聞いてもらえない可能性があるからだ。
「――というわけだ。わかってくれたか?」
「ええ、シュウがとても変人だってことがね」
「なんでそうなる!」
「まあとりあえず、シュウがなんでエドワードの事が分かったのかも理解できたし、さっさと食堂に行きましょ」
「……あの、俺の話し聞いてます?」
そうつぶやくも、メアリーは食堂へ向けて歩き始める。……どうして変人になってしまったのかを聞きたかったのだけど……もういいか、変わっていることは確かだしな。
聞きたきゃ食堂で聞けばいいか、と考え、メアリーの後ろについて行く為に歩き出した。それと同時に歩き出したエドワードが俺に近づき小声で言ってきた。
「ごめんね修くん。メアリーも悪気かあるわけじゃないんだよ」
「大丈夫、わかってるよ」
これは
なので俺はメアリーのことはあまり気にしていなかった。
それよりもエドワードが自分から近づいてきてくれたので、この際だし聞いておくのもいいだろう。
「なあ、エドワード。ちょっとお願いしたいことがあるんだけどいいか?」
「僕にできることならいいよ。メアリーが迷惑かけて申し訳なかったしね」
「いや、別に迷惑はかけられてないが……でも、エドワードが手伝ってくれるなら凄く助かる」
内容によるかもしれないが、お願いを聞いてくれるというエドワードに感謝しつつ、俺はお願いの内容をエドワードに話した。
お願いの内容――それはエドワードに今日本から送られてきているいろんな種類の和服を着てもらうことだ。
エドワードならもともと男性寮に住んでるんだし、遅くなっても問題はないし、外見的にも問題はないはずだ。
そのお願いの内容を聞いたエドワードは、
「いいよ」
と言ってくれた。
俺はエドワードに学食を奢り(ついでにメアリーにも奢った)、その後食堂で一緒にメアリーと別れ、エドワードとさっき片づけた俺の荷物の置いてある部屋で、何時間か恵子さんから送られてきた仕事に取り掛かった。
「ただいまー」
エドワードが手伝ってくれたおかげで予想よりはるかに早く仕事も終わり、エドワードにお礼を言った後、俺は清隆の部屋に帰ってきた。
それでも少し遅くなってしまったので、少し小さめに声を出したんだが、
「お帰り」
「おー、マジで清隆の部屋に住んでたんだな。修って」
返事がちゃんと帰ってきた。……そして、なぜか耕助が部屋にいた。
清隆には昨日俺が遅くなっても、
時間くらい確認しておけばよかった。今度から気を付けよう……って、そのころには俺も部屋を持ってるはず……だよな?
「んじゃ、俺、修も帰ってきたことだし戻るわ。これからよろしくな。修も、んじゃな」
といい耕助がそう言い俺と入れ違いで部屋を出て行く。……何しに来てたんだ、あいつ?
「……なんで耕助が部屋に来てたんだ?」
「なんか、うちの女子の見てくれのレベルが高いから、その思いを伝えたくて俺の部屋に来たんだと」
「……なるほど」
今日一日で出来た耕助のイメージが、耕助ならそんな理由で部屋に来てもおかしくないだろうと思わせる。
「仕事終わったのか?」
「ああ。……といっても、あと一つ残ってるけどな。まあこっちは急いでるわけじゃないし、
「大変だな、お前」
「清隆ほどじゃないけどな。よく似合ってるぞ、その首飾り」
「うっ!」
清隆の首にある首飾りを指しながら言うと、清隆が嫌なことを思い出したという風に眉を曲げる。
「なにがあったんだよ」
「……俺がカテゴリー4なのをリッカさん知っててな。それで『何が目的でこの学院に来たの?』とか色々と聞かれて、葛木家のお役目の事まで聞かれたから、『姫乃を守るため』とずっと言い続けたら、『念のため……』とか言われて、監視用に付けられた」
「そりゃ、大変だったな」
俺もカテゴリー4なのだけど、多分正式に決まってから一か月たってないし、さすがのリッカさんでもわからなかったのだろう。
「けど……なんで首飾りが付けられたって気づいたんだ? 姫乃ですら気づかなかったし」
「そりゃあ最初の数秒は気づけなかったけど、清隆の魔力とは明らかに違うものがあれば、さすがに気づくって」
「なるほど。……なあ、魔法解析に特化したカテゴリー4の修だったらこの首飾り外すこと出来るんじゃないか?」
「……確かに、何日かかければ外せるかもしれないな」
実際、魔法の解除は、魔力の感じることのできる俺にはそんなに難しいことじゃない。波長を調べたりなどの時間はかかるけどな。
カテゴリー5のリッカさんの魔法も、詳しく波長を調べて、魔法を分解するイメージで解除していけば、いずれは外れるだろう。
けれど……
「いやだ」
「な、なんでだよ?」
「その首飾りを外したら、俺までリッカさんに目をつけられないだろ? ……まあ、この会話ですでにばれている可能性もあるけど」
「……そうだよな。……悪い、こんなこと言って」
俺の言葉に肩を落とす清隆。
「良いって、監視されてるなんて嫌だもんな。さすがに外すことは出来ないけど、少しの間魔法の効力を無くすことは出来るかもしれないからさ。そしたら、その隙に調べ物でもしろよ」
カテゴリー5であるリッカさんの魔法で、ばれないようにそんなこと出来るか分からないけど、常に監視という清隆にちょっと悪いことをしたと思い、俺はそう言った。
「けど、あくまで『出来るかもしれない』だからな。『出来る』とは言ってないぞ」
一応、清隆なら分かったとは思うが釘を刺しておいた。
「分かってるって。……ありがとう。少しは気持ちが
「そうか……。なら今日はもう寝るか。いろいろあって疲れたし」
「そうだな」
「お休みな、清隆」
「ああ、お休み」
俺は布団、清隆はベットへと足を運び。それぞれ眠りについた。
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