今回は、クラスで参加する面子を決める話です。
ルミアの微妙に伝わってない感じが好きです(小並感)
後付けみたいな理由でラケルは参加出来ません、チートダメ絶対
「困ったなぁ……」
クラスの中心としてシスティーナがクラスメイトに声をかけ続けるが、皆それを眺めるだけで反応する気配はない。
「魔術競技祭の競技に出ようと思う人、居ませんか?」
空席はないはずのクラスルームを叩く声に響く者はいない。黒板に書き上げられた種目欄が一つも埋まることはない。そうやって十数分、システィーナが肩を落としたその瞬間、教室の扉が開いた。
「おう、困ってるみたいだな!」
無言のまま、面倒な奴が来た、という顔をするシスティーナ。威風堂々とグレンが話を始める。
「魔術競技祭の出場者が決まらない? だったら、俺が決めてやるよ」
その言葉にギイブルが反応する。
「女王陛下が来られる競技祭で恥をかくような真似は誰もしたくないと思いますが」
魔術学院としては魔術競技祭と言えば一大イベントとして知られている。クラスごとに競われる魔術の腕は一般の人間を含め、魔術集団として知られる大手の教団がスカウトを含めて見に来る事も多い。なおかつ、毎回ゲストとして著名人を呼ぶようになったのだが、今回は女王陛下直々に来るとなると、盛り上がりは過去最大クラスになるのは間違いないだろう。
「まぁな、だから俺がお前らを一位にしてやるよ」
時を遡ること一時間前。
「お願いします、お金が足りないんです! 給料の前借りをさせて下さい!」
汚物を見るような目で見下すセリカと困惑する学園長の前で綺麗に土下座をするグレン。
「しかしだねぇ、給料の前借りは出来ないんだよ」
学園長は基本的には優しい人間ではあるが、規則を覆してまで人を助けるには抵抗がある。むしろ自業自得のグレンの言葉に耳を傾けているだけでも、人の良さが見て取れる。
「自業自得だろう! 博打で金に困る人間に貸す馬鹿がどこにいるんだ!?」
セリカがグレンに対して諫める。それでもなお、グレンはその場を動かない。
「お願いします。ここ一週間水と草しか食べていないんです。ひもじすぎて命に関わる状態なんです!」
グレンにはグレンなりの理由、というより文字通り命に関わる問題だから必死にもなる。痺れを切らしたのか、学園長が口を開く。
「給料の前借りは出来ないが、特別賞与なら魔術競技祭に優勝したクラスの担当に与えることが出来る」
「学園長!」
セリカはその意見に否定的ではあったが、グレンはその言葉に瞳を輝かす。
「本当ですか!?」
「……ただし、ラケルは参加させるなよ」
セリカが渋々と言った様子で告げる。
「えっ、マジで?」
グレンが驚きを顕わにする。それに対し、学園長が答える。
「もう数十年前になるんだけどね。学年の優秀者を一クラスに集めた担当が居てね、勝負にすらならない年があったんだよ」
生徒もそのクラスに所属しているだけで評価され、担当も正規の手続きで編入した為に正当とは言えないまでも、評価された。しかし、それ以外のクラスについては外部から風当たりが厳しく、内部ではそのクラスに対しての風評が収まることは無かった。
「担当を責める事も出来なかったし、人事について能力が長けていることは正しかったが、次の年でも行われては魔術競技祭自体の存在意義に関わる、ということで半年以内に編入した生徒を参加させることは出来ないという制度を作ったんだ」
いわゆる妥協案だ、と学園長が呟く。今ではそういったことが行われなくなり、形骸化している制度だが、無効にはなっていない。
「ならいいじゃないですか、あいつがそういった目的で編入したわけじゃないでしょう」
グレンが抵抗するが、セリカが否定する。
「ダメだ。あいつを対外的に公にする事自体が進められることではない」
それに、こう言う時のための制度だ、と付け加える。グレンは納得がいかないという表情ではあったが、妥協案をだす。
「参加できない、なら競技祭に協力する事は問題ない訳だな?」
「……まぁ、そこまで否定する制度ではないな」
セリカにも、イベントに全く関われないというのは、抵抗があるのかもしれない。競技者として出ないのであれば良とした。
「と言うわけで、この面子で魔術競技祭に参加するぞ!」
クラス全員を適材適所に割り振ったグレンの采配は、的を得ていた。但し、一点を除いて。
「本当にクラス全員で参加する気ですか? 他のクラスは成績上位者で固めるのが上席なのに」
ギイブルが苦言を呈す。それに続けてテレサも口を開く。
「私も、あんまり目立つのは好きでは無いので……」
その言葉に対し、システィーナが答える。
「グレン先生がクラス全員で一位をとろうって言ってるのよ! そうじゃないと意味が無いじゃ無い!」
グレンが微妙に困惑した表情をしているが、何も言葉に出来ないまま、クラスメイトのボルテージが上がる。
「何か、噛み合ってない気がする」
先生と生徒の温度差に感づくルミアだったが、その熱狂には言葉が届かないようだ。しかし、そこに一人水を差した。
「全員って、ラケルが入ってませんわよ?」
ウェンディのその言葉にシスティーナが固まる。薄々は気付いていたが、あえて気付かないふりをしていたようだった。
「規則に半年以内の編入者は参加できない決まりになっているので、僕は参加できません」
システィーナがその言葉に対し、グレンに確認をとると頷き肯定する。
「ラケルが直接参加する事は出来ない。しかし、大事な役割を持って貰う!」
グレンのその言葉に、クラスが静まり耳を傾ける。
「ギイブル、ウェンディ、テレサ。この三人にはラケルに直接指導を受けて貰う。大事な大事な得点源だ、絶対一位をもぎ取って貰うぜ!」
読了ありがとうございました。
こういう時、オリジナルキャラは参加した方が面白いのかな?
裏で動かしたかったのと、あまりアニメと違う展開を考え付かなかったので、こうなりましたが……参加したら無双する展開しか思い付かないorz