今回で魔術競技祭は終わりです。
書いてないけど、二組は優勝しました(書けよ)
魔術競技祭が終わりエレノア・スカーレットが市街地の狭路で立ち止まる。
「帝国の魔術師団も無能ばかりではなかったのですね」
前方と後方でアルベルトとリィエルが挟み撃ちを掛ける形になる。だが、その状態でも、エレノアは余裕の笑みを崩さなかった。
「それでも、一足遅かったようですわ……!?」
一瞬で跳び上がり、屋根の上に立つ。元に立っていた場所には魔方陣毎切り裂かれていた。
「居合『鎌鼬』」
漆塗りの鞘に、赤い留め金の刀を腰撓めに構え、ラケルが正面に立っていた。
「……貴方は」
「エレノア殿が持っているのは……『賢者の石』か?」
ラケルのその声に反応すると、服の内側から小瓶を取り出す。
「あら、これが目的だったのかしら?」
小瓶の中身が妖艶にきらめく。
「いや、それには興味はない」
エレノアはきょとんと間の抜けた表情をし、その隙にリィエルの剣戟が襲う。大きく屋根をえぐるそれを、軽々と躱し、屋根を飛び移る。
「市街地に仕掛けられたいくつもの魔法陣。全てがダミーであり、本物でもある。その『賢者の石』を触媒にすれば」
ラケルが口を開くと、正解だとエレノア返答する。
「それで、貴方が求めているものは何かしら?」
エレノアの首筋に、寒気が走る。本来であればあの時点で離脱していたはずなのに、転送魔方陣の発動よりも早く攻撃出来るラケルの存在は危険でしかない。
「制作者は、ホーエンハイムか?」
その一言で、エレノアは察する。そうして、提案する。
「日時は改めてですが、お目にかかる機会を作りましょう。その代わり、そこの二人の足止めをお願いできますか?」
その言葉にラケルは即答する。
「了解した。ここから最短距離の魔方陣の位置まで五百メトル、起動時間を含めて六百秒の足止めをする」
エレノアがにやりと笑うと、反対側へと飛び去っていく。それを追おうとするリィエルに剣戟が襲う。
「貴様、奴らに協力するつもりか?」
アルベルトの冷淡な瞳がラケルを貫く。それを意にも止めず、返事をする。
「互いに都合が良いから利用しているだけだ。対等な条件で契約をしている」
問答無用、と言わんばかりにリィエルは大剣を背後に構え、地に水平にし横薙の動作をする。
「居合、『鎌鼬』」
ラケルが刀を抜いた瞬間は見えなかった。だが、リィエルの大剣は刃の根元から断たれ、刀身が落ちる。それに気づき改めて錬金術を行おうとした瞬間、目の前にラケルが居た。
「―――っ!?」
移動した場所と、リィエルの手前に大きな窪みが残る。超スピードで移動していたということ、そして数百メトル先までリィエルが吹き飛ばされていた。それを見た瞬間にアルベルトが軍用魔術の構えを取るが、照準を合わせた次の瞬間には視界から消え、腹部に刀が突き立っている事に気付く。
「内蔵や血管は外していますが、動けば重傷になりかねませんよ」
刀は僅かに血を帯び、ゆっくりと伝い一滴だけ地面をぬらした。
「なぜ……殺さない」
「契約は足止めですので、必要であればそうしますが」
殺さずとも足止めできるから殺さない、ということだ。それは圧倒的な実力差の証明でもある。
「宮廷魔導師団を、敵に回してもか?」
その言葉に対し、躊躇いもなく答える。
「真理へと辿り着く為であれば」
アルベルトが、ため息をつく。それと同時にリィエルが戻ってきている。服こそボロボロだが、目立った外傷はない。
「なら、私たちがエレノアを追わないと言えば攻撃はされない、ということでいいか?」
アルベルトが両手を挙げて、降伏の意思を示す。
「ええ、追う素振りをあと三百二十秒しなければ攻撃する理由は消失します」
そういうと、他の部分を傷つけないように、刀を引き抜き、和紙を取り出し丁寧に血を拭き取ると鞘に刀を収める。
「それと、我々との交渉も可能か?」
アルベルトがラケルを睨みつける。
読了ありがとうございました。
エレノアしゃんが好きです(隙自語)
ただ、ラケル君がトラブルメーカー過ぎてエレノアさんも振り回されるという事態に(笑)
さぁ、外道魔術師はどっちだ(笑)?