ハゲのおっさんの名前あったんやな(適当)
システィーナが意気揚々とリゾート地に降り立つと、その後に続いてクラスメイトが目的地へと向かう。そして最後にふらついているグレンの姿があった。
「どうして船酔いしやすいのに、この場所にしたんですか、先生?」
呆れたように呟いた言葉に、息も絶え絶えにグレンが答える。
「男には、意地を張らなきゃ行けないときが……うぷっ、あるんだよ」
「ほら先生、無理しないで」
ルミアが背中をさする。システィーナが溜息を吐くが、それでもなお、グレンの隣を歩き、彼を支えた。
「よーしお前ら、これから夕方まで、自由時間だ!」
グレンの声に、クラスメイト達が歓喜の声が上がる。
青い空、青い海、そして輝く少女の水着姿。
「やっほーい!」
「おまえら、俺の言う通りだったろ!」
そうして、生徒達は各々遊び始める。あるものは海を泳ぎ、あるものは砂山を作る。その中に一人、制服のまま本を読んでいる生徒がいた。
「ギイブル、お前は遊ばないのか?」
グレンの問いにギイブルはさめた口調で答える。
「僕たちは学びに来たのであって、遊びに来たわけではないんです」
堅いなぁ、とグレンが呟くと思い出したようにギイブルに問う。
「そういえば、ラケルは見てないか?」
ふと周りを見渡すと、ラケルの姿は見当たらない。
「知りませんよ。どうして僕に聞くんですか?」
お前なら知ってるかなぁと思って、とグレンが答えると、ギイブルが溜息を吐いて答える。
「今頃生態系の調査でもしてるんじゃないですか? もしくは、錬金術の実験か……どちらにしても僕の知るところではないですね」
そう答えると、再び読書に戻るギイブル。その返答に納得したのか、考えることを放棄するかのように木に背を預け、まぶたを閉じる。だが、その安らぎは、柔らかな球体によって妨害される。
「あっ、せんせー。ごめんなさーい」
そう言ってかけよってくるのは、水着姿のルミア達だった。どうやらビーチバレーをしていて、流れ弾がぶつかったらしい。
「そうだ! 先生もバレーしませんか?」
「あのなぁ、俺がそんな遊びに参加するはずが……」
そういった数秒後には全力でビーチバレーをするグレンの姿が浜辺にあった。
一方そのころ、ラケルは他の生徒とは別に白金研究所へと足を踏み入れていた。
「ようこそ、白金術研究所へ」
エレノアが恭しくお辞儀をすると、その中には二人立っていた。一人はこの白金研究所の所長のバークス=ブラウモン、もう一人は妖艶な美女だが、素性は分からない。
「……なぜ、このような子どもを此処に招いたのですか、エレノア殿」
不満げな様子を隠そうとせず、バークスは溜息を吐く。
「そんなことも分からないのなら、三流もいいところだけどね」
けらけらと妖艶な美女は笑う。その言葉に対して、怒りを顕わにするが、それを煽るように言葉を付け加える。
「なんなら、ご自慢の白金術で試してみると良い。あいつとあんたの違いってやつをね」
その言葉についに抑えきれなくなったのか、不意撃つように腕を巨大させ、ラケルになぐりかかる。部屋全体を振るわせるような衝撃音と共に、ラケルとバークスが拳を打ち合い、均衡が保っている状態になる。
「なん……だと?」
バークスは本気を出してはいなかったが、それでも少年の細腕で受け止められる様な威力ではなかったはずだ。
「同じエネルギーをぶつければ相殺され、釣り合いが取れる。当然じゃないか」
その言葉に、バークスは驚きを隠せない。
「そんなこと……ありえない」
バークスのその言葉にラケルが苛立った声で応える。
「可能性を探究する僕たちに、あり得ないという言葉は正しくないと思いますが」
その言葉に妖艶の美女が応える。
「あはは、だから三流、いや四流かな?」
そう言われた瞬間、妖艶の美女の方向にバークスが振り返ると、途端に膝を突き、立ち上がることすら出来なくなる。
「移動の魔術を十七回したんですね。確かに、避けなければ脳震盪が起こりますね」
何故避けなかったのかは分かりませんが、ラケルが告げる。それに対し、反感を持ったものの何も出来ずにバークスはただ地に伏せている。
「さぁ、不細工なキメラ共しかいないけれど、紛う事なき錬金術だ。一所にとどまって話すのも性に合わないし、少しあるかないか?」
妖艶の美女の提案を了承し、二人が通路の向こうに消えていくのを、所長は見守ることしか出来なかった。
「エレノア殿、あの二人は一体……」
バークスの言葉に、いつものように優雅に、冷静に答える。
「アリストテレス様の、忘れ形見ですわ」
読了ありがとうございました。
アリストテレス、ホーエンハイムそしてラケル、錬金術師が求めるモノとは一体……?
という感じにしたいけど、特に深い内容はないよう(斬首)