ロクデナシっ^2   作:3148

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学園襲撃、皆大好きズドンさんと死霊術師さんとの対決です。

システィーナがヘタレ可愛いになった瞬間なので、結構好きです(小並感
なお、ここでは(ry




ロクデナシ教師と錬金術師 第三話

 「遅刻だー! 遅刻遅刻遅刻!」

寝坊して学園まで一直線に走るグレン、すでに一限目が始まる時間は過ぎているのだが、なんとか学園に辿り着く、と足を止める。

「……そこにいるんだろ? 出てこいよ」

「人避けの魔術を使用していたのですが、思ったよりも出来るみたいですね」

フードを被った怪しげな魔術師が現れる。普段であれば、警備が不審者を止めるはずだが、入り口に警備が立っていなかったということは、既に倒されているのだろう。

 

 「ズドン!」

軍用魔術がシスティーナの髪を掠る。その瞬間クラスルームの皆が理解した、敵勢力に責められていることを。

「ねぇ、ルミアちゃんはどこにいんの? 答えなかった奴からぶっ殺してくから」

そう脅すと、ルミアが席を立った。

「私が、ルミアです。他の人は関係ありません」

その言葉に帽子をかぶった男がゲラゲラと笑う。

「うん、知ってた。ルミアちゃんが名乗り出るまでぶっ殺してくゲームだったんだよね」

そう言うと、仲間であろうもう一人の男が口を出す。

「もう良いだろう、さっさとそいつを連れて行くぞ」

そうして教室を後にしようとした瞬間、ラケルが立ち上がった。

「あ!? なんだお前?」

「酷いですよ、僕が手引きしたのを忘れたんですか?」

その発言に、クラスメイトは驚愕する。

「その割には、教師とやらがいないようだが」

「教師の遅刻までは把握出来ませんでした

申し訳ないです」

帽子の男がゲラゲラと笑う。

「お前らも災難だったなぁ。こんな極悪非道な奴がクラスメイトなんてよぉ!」

 

元々休講日だったため、どこの教室も人気はなかったが、他の教室と比べ狭い、準備室なような場所に軍用魔術を操る男はシスティーナを連れ込んだ。

「へっへっへ、俺はあっちの芯の強そうな女より、お前みたいな強がってるやつの方が好みなんだよなぁ」

そう言うと、縛りあげた手を壁に押し付ける。

システィーナは小さく悲鳴を上げ、それでも男をにらみつける。

「いい加減にしなさい! こんなことをしてただで済むと思っているの!?」

気丈に振る舞うのも虚しく、指先は震えている。

「まさか、こんな状況で助けが来るなんて思ってる訳じゃないだろう? 先公も今頃入り口にいる仲間にやられてる頃だしなぁ!」

怯えを隠すために強がるシスティーナは、同じ教室にいるラケルに言葉を向ける。

「ラケル、あなた何を考えているの!? こんなことをしていいと思ってるの?」

「校則では、他者を学園に招いてはいけない規則はありませんので」

淡々と答えるラケルに、普段であれば呆れていたシスティーナも、おいつめられたこの環境では、恐怖に変わる。

「……冗談でしょ?」

普段から冗談など言わない変人だ。顔色一つ変えないラケルの言葉に、僅な希望が打ち砕かれる。

「はっはっは、もしかしたら俺よりもクズかもな!」

取り繕った仮面が剥がれ、少女はただ許しを請う。

「ゆ……許して」

消え入る様な少女の言葉に気分を良くしたのか、男は興奮する。

「なんだよ! 随分と落ちるのがはえぇじゃねぇか!」

その時、扉が開く音がする。

「……」

グレンが顔を覗かせると、低いテンションで一言だけ喋りドアを閉める。

「間違えましたー」

「いや! 助けなさいよ!」

 

 「少し、見てきます」

出て行ったグレンに直ぐに反応したのはラケルだった。扉を開けて追いかける様に教室を出ると、静けさがあたりを包む。

「一体なんなんだ?」

男もシスティーナも呆気にとられていると、再び扉が開いた。

「……どうだった、ってお前かよ!?」

戻ってきたのはグレンだった。ラケルの姿はなく、男は混乱している。

「まぁまぁ、そうあせんなって。あいつならその内戻ってくるだろ」

そう言って、警戒する様子も無く教室内に入ってくる。それに対し、システィーナが警告する。

「気をつけて下さい先生! この男軍用魔術を―――」

「遅ぇよ! ズドン」

一歩一歩近づいてきているグレンに、軍用魔術の省略詠唱を唱える。

「……え?」

システィーナが一瞬目を閉じた、だが何も変わらずグレンは近づいてくる。魔術が発動した様子はない。

「ズドン! ズドン! くそっ、なんで発動しねぇ!?」

グレンがポケットから一枚のカードを取り出す。そこには『愚者』と書かれていた。

「種明かしをしとくとな。これが俺の固有魔術、ザ・フールだ。効果は一定範囲内の魔術のは発動を停止する……残念ながら、俺の魔術も使えなくなっちまうんだが」

話している最中に駆け出す。予想外の事態に対応が遅れている男に、急接近する。

「まじかる☆ぱーんち」

振り上げられた右足が男のあごを強襲し、一撃で気絶させた。

「って、キックじゃないですか」

グレンがシスティーナに振り返りながら、答えた。

「その辺が、『まじかる』だ」

 

 グレンがシスティーナを縛っていた縄をほどき、教室の外に声を掛ける。

「そろそろいいぜ」

その言葉に応えるようにラケルが現れる。

「あっ、ラケル! 今更、何をしに来たのよ?」

現れたラケルに警戒するシスティーナだが、グレンは慣れた手つきで男の身動きが取れない様に縛り上げていく。

「さて、今何が起こってるのか、教えてくれるんだろ?」

驚くシスティーナを余所にラケルが答える。

「現在、この学校に天の知恵研究会の一派が侵攻しています。目的はルミア・ティンジェルですね。人数は三人と少数ですが、内部工作もあり、問題なく準備が整っていっています。グレン教諭が現れたこと以外は」

淡々と説明するラケルに、グレンは呟く。

「ルミアが目的、天の知恵研究会……どっちにしても碌でもない事は間違いなさそうだな」

そう言って立ち上がるグレンに意識を取り戻した男が声を上げる。

「くそっ、なんだよてめぇ、ここになって怖じ気づいたのか? 講師一人だっていうのに」

どうやらそれは、ラケルに向けられた言葉だったようだ。

「僕はグレン教諭とは相性が最悪ですので、敵対するのは得策ではないかと」

ラケルの返答に唾をはく男、不機嫌そうに呟く。

「そこの腰抜けと入り口の雑魚と同じと思わない方が良いぜ、あいつは比較にも……っと早速来たみたいだぜ」

どす黒い魔方陣から、幾つもの骸骨が現れる。

「死霊術士かよ、まじで碌でもないな」

 

 グレンの拳が骸骨の頭部を捉える、だがダメージは見られず逆にグレンが悲鳴を上げる。

「いってぇ! カルシウム取り過ぎだろう!?」

その姿を見て、システィーナが補助の魔術を行使する。

「ナイス、白猫っ」

「もう、ちゃんとして下さい!」

風の保護により、威力があがった拳は次々と現れる骸骨を砕いていく。だが、現れる数が多すぎる、処理しきれず段々と苦しくなっていく。

「あんたも何かしなさいよ!」

システィーナが隣に立つラケルに声を掛けるとラケルがグレンに声をかけ、骸骨が持っていた剣を奪う。

「お二人は先にどうぞ、引き留めますので」

的確に間接を打ち払い、動きを抑えていくラケル。時間が経てば復活するだろうが、崩れた骸骨は次々現れる死霊の邪魔になっている。

「……それじゃ、頼んだ!」

「ええっ!?」

グレンはシスティーナを抱え、教室を飛び出す。

「……ああ、貴方もこのままにしておくのは問題ですね」

縛られていた男に剣を振り下ろす。何事もなかったかのように、骸骨の相手を繰り返す。

 

「だ、大丈夫なんですか!?」

「知らんっ、だがなんか策はあるんだろ!」

少なくとも、自己犠牲とかそういうのには見えなかったからな、とグレンは逃げながら叫ぶ。二人で先ほどの部屋から逃げていくと、再び後ろから骸骨が現れる。

「ちっ、やっぱり追いつかれちまうか」

数が多いことと疲労がない以上追いつかれるのは予測が出来た。

「おい、白猫。あいつらを止める事は出来るか?」

実戦経験など一度も無いシスティーナは無茶だと言う。だが、出来なければ現状は変わらない、そのことも理解はしている。

「……やってみます」

覚悟をきめて、システィーナが足を止める。教科書通りの魔術では、威力も範囲も足りない。校舎の廊下という狭くて風が通る遮蔽物が無い環境でも、不特定多数を抑えることは簡単では無い。

「大いなる風よ……違う。つむじ風よ……範囲が狭すぎる」

詠唱を考えるシスティーナ。言葉はそのまま魔術に影響する。彼女が持つ経験、知識を総動員して、魔術改変を行う。

「荒れ狂う風よ 猛々しく駆けよ 『ゲイル・ブロウ』」

システィーナの放った風魔術は、暴風とも見間違う程、骸骨達を襲い、体勢を崩す。だが、決して相性が良くないのか、徐々に進み出そうとする。後ろから団子状態になって更に近づこうとする骸骨達。

「先生! やっぱり私じゃ……」

「十分だ、やるじゃないか白猫」

グレンがポケットから取り出したのは赤く輝く宝石。魔力の込められたそれは魔術の発動の補佐を行う。意識を深く集中させたグレンは、最上級魔術の詠唱を唱える。

「吹き飛べ、有象無象!」

グレンの正面に5層に渡る魔方陣が展開する。幾重に張り巡らされたそれに、魔力が注ぎ込まれ、過剰とも思えるほどに稼働する。

「『イクステンション・レイ』!」

目を覆いたくなるほどの閃光が放たれ、迫る骸骨達を呑み込み、光が収まった時には破壊の跡が残るだけだった。

 

 イクステンション・レイを放ったグレンは顔色が土気色に変わり、明らかな疲労の色が見えた。

「先生! 大丈夫ですか!?」

システィーナがグレンの元に走り寄る。二人共に明らかな疲労の色が見えた。そこに六本の剣を宙に浮かせ近づいてくる男の姿があった。

「まさか、イクステンション・レイまで使えるとはな。だが、もうマナも残っていないだろう……ん?」

グレンに意識を向けていると別方向から声が聞こえてきた。

「熱せ、叩け、冷やせ、叩け……」

幾度も幾度も繰り返されるその呪文と共に、刀身のみを携えたラケルが現れた。

「ラケル、大丈夫だったのか」

「なんだ貴様か、今更何をしに来た」

できあがった刀身に、白木の柄を取り付け、留め金をし、最後に簡素な鍔を取り付けるとラケルが答える。

「手こずっているようですので、様子を見にきました……状況は見たままのようですね」

そう言うと、日本刀を鞘に収める。

「まぁ、この状態になっちゃ……俺も流石に止められないな」

グレンがラケルを睨みつける。だが、マナ不足の状態では、満足に動けるわけでは無い。

「そうですね、万全であれば天敵ですが、今のグレン教諭の状態では邪魔されずに行動できそうです」

システィーナは驚きで言葉も出ないようだ。

「喋りすぎだ、それを油断というのだ」

男がラケルを諫めると、再び意識をグレンに戻す。それに対し、グレンが言葉を返す。

「てめぇらをぶっ飛ばして、ルミアを助けに行く! それが俺の今の仕事だ!」

そう叫ぶと、男があざ笑う。

「愚かな……」

そうして、刀が振り抜かれる。

「なっ……裏切るのか!?」

「校則第八条の二 生徒は先生の指示に従うこと、但し、その指示に不備がある場合はその限りではない。先ほどの指示に不備があるとは感じませんでしたので」

ラケルがそう言うと、二本の剣を真っ二つにした日本刀を、抜刀したまま翻す。

「僕が交わした契約は、日時、場所の誘導と転送方陣書き換えの協力とそちらの技術提供のみです。元より学生としてこの学園に所属する契約をしていますので」

すると再び、日本刀で二本の剣を真っ二つにする。だが、その衝撃で日本刀が折れてしまった。

「ふむ、課程を省略すると性能が落ちますね。備えておくべきでしたか」

そういうと、折れた日本刀を捨てる。魔術師が残った二つの剣で襲いかかる。

「な、なめるなぁ!」

舞うように剣を交わし、柄を掴みとる。

「な、なぜ私の剣が動かない!?」

何度も繰り返し、剣を操る魔術発動させるが、ラケルの手から剣が離れることは無く、無防備な両腕を切り落とされる。

「あなたが剣に掛けるエネルギーよりも、僕の握力の方が勝っているだけですよ」

そういうと、両腕の血管をふさぎ、出血死しないように魔術をかける。

「ラケル……味方、なのか?」

「僕はこの学園の生徒です。アルフォネア教授と契約しました。ですので、基本的には先生の指示に従いますよ」

それに対し、グレンが呆れる。

「敵を学園に招いておいて、よく言うぜ」

「規則に敵勢力については定められていませんでしたので。それに、僕が協力した段階だともう止められる状態じゃありませんでしたから」

「物は言い様だな……まぁいいや、とりあえず、今は信用するぞ、ラケル」

「ええ、まともな指示の範囲内なら従います」

ラケルは笑顔で返事をしながら、魔術師の足を踏みつけ折る。

「う、うぐぅあぁあ!!?」

痛みと恐怖で魔術師がうめき声を上げる。

「んで、そこまで痛めつける必要あんの?」

男の悲鳴を聞いて喜ぶ趣味は無いとグレンが呟く。もう一本の足を折って、魔術師が気絶したのを確認し、ラケルが答える。

「ええ、そろそろアレがきそうなタイミングですので、三対二だとちょっと厳しいかな、と」

嫌な予感がグレンを襲う。

「おい、それって……」

「あっ、来たみたいですよ」

グレンが開けた穴から毒と酸の雨が降り注いできた。

 

 




読了ありがとうございました。

ネクロマンサーさんなんか復活するらしいっすね(原作知らない
アニメ二期来ないかなぁ
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