イケメン、文武両道と天に二物を与えられた様な人間が婚約者颯爽登場!
ロクデナシ二人はイケメンに勝てるのか!?(違)
本来宿無しだったリィエルが、公園の隅や様々な場所でホームレス暮らしをしているのを見かねて、システィーナとルミアがティンベル家に住むことを提案した。システィーナのご両親共にYESロリコンNOタッチなので二つ返事で受け入れてくれる。勿論経済的な余裕と懐の深さがあって成り立つものだが、本人達は同居人が増える事に大いに歓迎している。
「ああ! この家に三人目の天使が舞い降りたようだ! 素晴らしいな、母さん!」
テンションがはち切れんばかりのシスティーナの父親は、夕食の場でリィエルを大歓迎する。少々そのテンションについて行けないルミアとシスティーナだが、母親も満更では無い様子だ。
「ええ、本当に気兼ねなくこの家にいてくれていいのよ。私達は帝都への出張があるからあまり顔を合わせられないかもしれないけれど、遠慮しないでね」
そういった母親の表情は本当に家族が増えたような慈悲深い笑みと可愛い娘と会うことの出来ない現状の悲しみに複雑に彩られていた。
「あ、ははは。ありがとうお父さん、お母さん」
システィーナが複雑な表情をしつつも、両親の懐の深さに感謝する。一方リィエルは我関せずという様子で必死に夕食にかじりついている。
「……おっと、何かシスティーナに伝えなければならないことがあったような。思い出せん」
父親が首を傾げると、母親が口を挟む。
「忘れてしまうのなら、その程度の事ですよ。また思い出したときで良いでは無いですか」
それもそうだ、と父親は返答し楽しい夕食が続いていく。リィエル自信は気付いていないかもしれないが、優しく、暖かい家庭というものを味わうのは、これが初めてだった。
リィエルを迎え入れて翌日、いつものように噴水の前で待つグレンにルミアが声を掛けると眠たそうに返事をする。いつもと違うのは、それなりの勢いで馬車が突っ込んで来たことぐらいだろうか。完全に気が抜けているグレンを吹き飛ばし兼ねない勢いの馬車から呪文の詠唱が囁かれた。
「おぅあ!?」
宙に浮き間一髪のところで馬車との接触を避ける。馬車は急停車し、中から整った顔立ちの金髪の好青年が降りてくる。
「失礼、少々急いでいたもので怪我はありませんか?」
そうして呪文を解くとグレンは元の居場所に再び立つ。ルミアとリィエルは珍しいこともある物だ、位にしかとらえていなかったが、システィーナ一人だけが明らかに要すがおかしい。
「レオン!? どうしてここに!?」
レオンと呼ばれた好青年は人を魅了するような笑みで返答する。
「学院の臨時講師として呼ばれました。システィのお父様には予めお伝えしていたのですが、どうやら入れ違いになってしまったようですね」
目まぐるしく変化していくシスティーナの表情に言葉を詰まらせていたが、グレンが割って入る。
「ぐ、グレン先生!?」
「おいゴラァ、免許持ってんのかぁ!」
あまりにも場違いないちゃもんの付け方にシスティーナが言葉を失うが、レオンは一切取り乱すこと無く対応する。
「申し訳ありません、急いでいたもので。ただ、グレン教諭であれば、何事もないと思っていましたが」
グレンが自分の名前が知られていることに警戒する。そうしている間にも時間は過ぎ、予鈴までの時間は近づいている。
「こんなところで立ち話もなんですし、目的地は同じです。とりあえず学院に行きましょうか」
不穏な空気を感じながらも、一同は学院に足を向ける。
レオンと呼ばれた好青年は、魔術適正が高く階層も深い。専攻は軍用魔術、適正も高く実力も高い。若くして実績を積み上げ、他の魔術師からもかなり評価されている。彼は臨時教師として生徒達に魔術を教えている。その魔術行使としての姿は様になっており、生徒達は物珍しさと端正な笑顔に公私関わらず囲まれて動けずにいるようだ。
「……意外と真面目に講義してんなぁ」
「そうですね。魔術を活用するという視点では、かなり素晴らしいですね」
何故かグレンとラケルはレオンの講義を聴いていました。二人は終わった後で感想を言い合っている。
「まぁ、俺は『理解出来ない』奴達の事は分かるが、『素養がある奴』の理解は出来ないからな。その辺も分かるからアイツの方が教師には向いてるよな」
それに頷き、ラケルもしゃべり出す。
「僕は前提として、『理解している』状態なので先生の言う『理解していない』状態を分からないので、その状態へ導くことが出来ません」
そう言って、二人ともレオンの教師としての資質は確かだとたたえる。
「……自分たちの欠点は理解してるのに、直す気はないのね」
システィーナが溜息を吐くと、グレンが応える。
「どうやって直すのか分からないからなぁ」
悪びれもせずグレンは動かない。ラケルも同様に、むしろ何故直す必要があるのか、と聞かんばかりだ。
「システィ、講義を聴いてくれていたんですね。どうでしたか?」
質疑が終わったのか、レオンがシスティーナ達のところまで来ていた。黙って見に来ていたことに罪悪感があったのか、少し困惑して返事をする。
「え、ええ。とても分かりやすい講義だったと思うわ」
旧い友人に対してどう対応したら良いのか分からない、そういった様子のシスティーナに追い打ちを掛けるようにレオンが言葉を続ける。
「良かった。未来の夫としては及第点、といったところでしょうか」
その言葉に、システィーナが頬を赤く染める。
「な、なにを言ってるのレオン!?」
慌てふためくシスティーナにグレンが言葉を挟む。
「止めとけ止めとけ。確かに顔と料理については上々だろうが、子供体型と贔屓とプライドを混合わせた様な女だぜ?」
呆れたようなグレンにレオンは少し苛立ちの様子を見せた。
「グレン先生、例え担任の教師とはいえ、システィへの失言は見過ごせませんよ」
まるで恋敵を見るかのような、強い瞳でグレンを睨みつける。不穏な空気に焦りを覚えたシスティーナは場を和ませようとする。
「ま、まあまあ。グレン先生はいつもこんな感じで、悪気はないの……多分。それより、講義の事で聞きたいことが私もあるんだけど」
あまり納得した、という雰囲気ではなかったが、システィーナの顔を立てたのか大人しく引き下がるレオン。
「そう、ですね。それだけ親しみのある教師ということにしておきましょう。それよりシスティ、質問も含めてよければランチをご一緒しませんか?」
にこやかに提案するレオンに、システィーナは何も反論出来なかった。
読了ありがとうございました。
アニメだとあくまでイケメンとして描かれているだけで、掘り下げがあんまりなかった気がします。
けどやっぱり、こういうのを書くのも楽しいのかなと思いました(愉悦