グレンはシスティーナを手込め(適当)にするために、クラスはシスティーナの不当な対応に対処するために、闘う力を身につけていく……
「え~、と言うわけで、俺の逆玉の為に戦闘訓練の講義を始めます」
グレンの一声から始まった講義は大ブーイングを巻き起こした。翌日にはレオンから連絡が来て、魔術連帯戦で勝利を手にした方がシスティーナと結婚する、そう綴られていた。
「気に入りませんわ!」
机を叩き大声を出した主は、ウェンディだった。
「う、ウェンディ?」
その行動が意外だったのか、ルミアが困惑のことばを零す。
「システィーナ、貴女はどうしたいんですの?」
睨みつけるような瞳と、優柔不断な態度を許さない言動にシスティーナはびくりと怯える。
「えっ、その……レオンは悪い人ではない、と思うけど。話が早すぎるというか」
クラスの面子には先日のやりとりがあったとしても、好青年のイメージが拭いきれない。そもそも、魔導考古学を目指すことと軍用魔術を専攻するのであれば、主流は後者だ。魔術研究における条件や待遇は天と地ほどあると思ってもいい。レオンの言葉はシスティーナを傷つけたものの、決して間違いではない。
「それでは……あまり聞きたくありませんが、グレン先生はどうですの?」
「なんで聞きたくないんだよ」
システィーナよりも早くグレンが突っ込みを入れる。
「あら、騒動の流れとは言え、一生徒をむりやり手込めにしようとする教師に対して聞く耳はないですよ」
文句の言いたげなグレンをテレサが納める。ややうがった言い方ではあるが、間違いでは無い。多分に悪意が含まれているだけだ。
「そ、そんなの、その場の流れでそうなったに決まってるじゃ無い! じゃなきゃこんなロクデナシ教師となんか……」
尻すぼみに声が小さくなっていくが、システィーナは望んでいないと発言する。表情や仕草に複雑な心境は現れてはいるが、今の状況が不本意なのは間違いないだろう。
「なら、悩む必要はない」
ギイブルが眼鏡を光らせ、口を開いた。
「レオンという臨時教師の発言も気に入らないが、へらへらと他人を利用しようとするロクデナシの行動はもっと気に入らない。だったら、二人ともの主張を潰すだけだ」
ギイブルのその言葉に、ルミアが問いかける。
「潰すって、どうやって?」
「魔術連帯戦で勝利することで勝者が決まるのであれば、引き分けにしてしまえば、この勝負は無効になりますわ!」
ウェンディが代わりに返事をする。クラスの面子もウェンディやギイブルの意見に賛同しているようだ。
「んじゃ、魔術連帯戦の講義をはじめっぞ」
そういうと普段と同じように、グレンが講義を始めようとする。
「え、先生。今の流れで講義が始まるんですか!?」
ルミアの疑問にグレンは、逆にわからないと言った表情で応える。
「クラスで方針がすでに決まったんだ。あとは俺がやることは教えることだけ。作戦考えるのも、質疑応答もするさ。例え目的が違っても、一応教師だからな」
そういうと、システィーナが少し明るい表情になる。
「グレン、悪いこと考えている時の顔してる」
リィエルが何気なく放った言葉で、グレンの後頭部に教科書が飛来する。
「さいってい!」
ハーレイ先生の監督の下、魔術連帯戦が始まる。互いの生徒達が配置につき、始まりの合図が響き渡る。
「しかし、魔術連帯戦であればレオン先生が圧倒的有利。攻撃、防御、回復のスリーマンセルをこの短期間で行えるようにしたレオン先生の手腕には驚きを禁じ得ない……な!?」
戦況が見渡せる遠隔魔術でハーレイ先生がグレン先生サイドの陣形を見た瞬間、驚愕する。
少し小高い岡ノ上でグレンが呟く。
「うわ、マジでスリーマンセルを教え込んで来やがった。やっぱりすげーな、アイツ」
のんびりと構えるグレンの横には護衛としてルミアとシスティーナがいる。
「そんなのんびり構えてる場合ですか! 凄い速度で進軍してきますよ!?」
想像以上のスピードに、システィーナが慌てふためいているのを見るが、そんなこと関係無しにグレンの様子は変わらない。
「すげーよな。最新の戦術をぶつけて来やがったんだ、この短期間でな。だったら仕方ないよな、こっちは古くさい戦法で闘うしか無いよな」
グレンのその言葉に、ルミアが疑問を呈する。
「投石兵って……ホントにいいのかなぁ」
読了ありがとうございました。
魔導考古学と軍用魔術は、後者の方が現状有用とされており、他者から優遇されるのは軍用魔術である。
だが、それは軍用魔術が必要される世の中であり、その先に子供達が望む未来があるのか……
だが、既に先に踏み込んだレオンは何を見たのか……特に回収されない伏線は本編に必要ないね!