ロクデナシっ^2   作:3148

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レオン参上、最終回です。

アニメストーリーはここまで?ですがもうちょっとだけ続くのです(´・ω・`)

システィーナのオリジナル衣装です。
書くの難し過ぎて断念した案件

【挿絵表示】



レオン参上 第九話

 ジャティスとグレンの戦闘は均衡していた。どちらとも攻めの一手が撃てない中、現れたのはシスティーナだった。

「誰かと思えば、甘ちゃんじゃないか。全く、闘う覚悟も無い子供は、邪魔だよ」

そう言って、躊躇いも無く術を放った。だがそれは、システィーナには届かなかった。風の魔術に対して相性が悪いのもある。

「……白猫、大丈夫か?」

グレンはシスティーナの表情を見ずに尋ねる。彼女の目には、涙の後があったが、けして絶望はしてなかった。

「誰に言ってるんですか、先生」

ジャティスは舌打ちをする、確かに一般生徒程度普段であれば一蹴出来る。だが、この状態で尚且つ、錬金術と相性の悪い風属性の魔術師となると、分が良いとは言えない。

「レオンと約束しましたから」

その言葉にジャティスが反応する。恐らく好機と見たのだろう。

「どうした? 独りじゃ何も出来ない馬鹿者に、敵を討ってくれ、とでも言われたのか?」

激昂して考え無しに突っ込んでくれば、対処のしようはあった、だがシスティーナはそれをしなかった。飛びかかる錬金術を冷静に捌きながら、徐々に髪飾りが輝きをます。

「……憎しみも、悲しみも、レオンのものだって。私には必要ないって」

更に輝きは増していき、システィーナの身体を包み込み、纏っていたウェディングドレスが形を変える。白く純白のドレスのまま、まばゆく輝く白い翼、動きやすいスカートに形状を変える。肩から脇までが露出しており、ところどころ魔術を扱うのに適度な露出を保っている。

「だから、私がレオンと約束したの。貴方をぶっとばす!」

目尻には涙が溢れ、悲しみを隠しきることは出来なかった。だが、彼女の強い意志は立ちふさがる壁を全て打ち砕き、前へと進む。

「く、くそがぁ!?」

「いっけぇえええええ!」

システィーナのゲイルブロウはジャティスの魔術の全てを呑み込み、吹き飛ばしていく。

 

 システィーナが肩で息をして、吹き飛んだジャティスの方向を睨みつけている。確かに吹き飛ばした後も一向に気を緩める様子がなかったので、グレンが肩に手を置いて話しかける。

「よく頑張ったな、白猫」

「……先生」

漸く張り詰めていた糸が緩んだのか、少し落ち着いた様子で肩の力を抜く。

「当然です、レオンが、力を貸してくれたから」

背中から伸びる四枚の羽と、動きやすいデザインのドレスは、魔力感知の低いグレンにも分かるほど、魔術的に優れていた。

「自分を触媒として魔術を発動させるサクリファイス、あいつは自分自身を触媒とすることでそのぶっ飛んだ衣装を作り上げた。マナの制御が出来ないなら、魔方陣を刻み込んで、体内に押さえ込むようにすることで、一定時間の間マナ欠乏症にならないようにすることも……自分で考えやがったんだよ。出来ねぇよ、そんなこと。例え惚れた相手だったとしてもな」

何の比喩でも無く、命を懸けてシスティーナを守ることを選んだのだ。せめて自分の命を、死ぬことに価値を持たせたいと考えたとしても、出来る事では無い。例え無価値になったとしても、相手のために死ぬ覚悟が出来る人間なんて数えるほどしかいないだろう。

「レオンは、凄かったんですね。本当に。どうして……こんな事になってしまったの?」

まだ20も生きていない、少女と言ってもいい年齢の子供に人の命を背負うなど、重すぎる。重圧に潰れて動けなくなりそうなものだが、システィーナはそれでも前に進もうとしている。彼女を支えるものをグレンは本当に理解出来ているとは言い難いが、支えなければならない。それが先生としての役割なのだ、と感じながら。

「それじゃ白猫、とっととアイツを捕まえて帰ろうか。流石に、疲れたろ」

そう言って手を貸すグレン。最初は恥ずかしがってその手を掴もうとしなかったが、己の疲労が想像以上だったのか、膝が崩れかけたのを支えられてからは素直に手をとり歩き始めた。

「さ~て、そろそろ年貢の納め時だな、ジャティス……な!?」

瓦礫に埋もれて身動きが取れないジャティスの前にラケルの姿があった。

「ラケル、何で此処に?」

入れ違いの格好でここに来たシスティーナは訳も分からず、普段通り話しかけようとする。その状況が異常だと気付いたのはグレンだった。

「まて白猫……お前はラケルなんだよな?」

システィーナの腕を引き、ラケルと距離をとる。

「……てめぇ、遅いだろうが」

沈黙を破ったのはジャティスだった。ラケルに対して、怒りを顕わにしている。

「手助けは必要ない。脱出の際に協力する、という契約だったと覚えていますが。ジャティス殿が手を引くタイミングまで待っていましたが、あまり良さそうでは無かったみたいですね」

ラケルは興味なさそうに呟く。腰にはいつも差している脇差しともう一本短めの脇差しを差して。

「答えろ、ラケル!」

グレンが吠えると、ゆっくりとラケルが振り返る。

「ああ、すみません。この身体にまだ慣れていないもので。遅くなりました、私はホーエンハイムと申します。一度、おめにかかったとは思いますが、理解しにくい部分もあると思いますので」

「なん……だと?」

「どうしたのラケル、様子が……変よ?」

システィーナも異変を感じ取ってはいるが、状況が飲み込めていない。だがそんなことはお構いなしに、ホーエンハイムは行動を起こしていく。

「ああ、ウェンディ殿がまだ500メルトル先の屋上にいるはずなので保護をお願いします。彼女も、状況を理解出来ていないでしょうから」

ホーエンハイムが転送魔術を発動させる。制止しようとグレンが手を伸ばすが、それは間に合わなかった。

「……くそっ、他の奴らは無事か!?」

 

 時は少し遡り―――

 

 「順調に当てて……動きが無くなりましたわね。どうしま……す?」

そうウェンディがラケルの方を見ようとした瞬間、突き飛ばされて屋上の隅に尻餅をつく。

「いったぁ、なにすんの……よ?」

痛みに一瞬気を取られてラケルのことを糾弾しようとすると、目の前に広がる光景に舌をまく。現れた刃渡り60センチメトルほどの刀を振るう男の刃をラケルも刀で受け止める。はじき返すと少し距離を取り、今度はラケルが切り返す。受け止められるが、少し押し込み体勢が崩れる、そのまま袈裟斬りに一太刀を入れ、襲ってきた男が倒れる。

「ははは、流石に易々とやられてはくれないな」

ラケルが刀を振るい、ついた血を払う。

「まぁ、そちらも一体目で終わるとは思ってないでしょう。念のためではありますが、彼女には手を出さないようお願い致します」

ラケルは喋りながらも、腰を低くして抜刀の構えをとる。

「それじゃ、次は俺が行くぜぇ!」

外壁を駆け上り、大上段からの振り下ろしでラケルを狙う。腰を落とした状態から滑るように横に避け、返しの一太刀をいれようとするが、黒塗りの鞘に阻まれる。

「ったく、戦場に女連れ込んで手を出すななんてなぁ……ホントにこいつが相手なのか、よっと!」

鞘で弾くと、打刀としては随分と分厚い造りの刀を振るい、ラケルはそれを避ける。

「まぁ、強けりゃそれ……で?」

腹部に違和感を感じた瞬間、赤く染まる鎧に防ぎ切れていない事を察した。気を取られたのは一瞬だったが、ラケルにとってはそれで充分だった。高速の突進からの突きは刃を避け、鞘を真っ二つにして腹部を過たずに貫く。

「……ひっ」

崩れ落ちる音だけを残し、物言わぬ人型となったそれに目もくれることも無い。人を殺しているにも関わらず、一切の興味がないように見える。

「手を出すつもりはないが……場所を移して貰った方が良いように見えるが?」

太刀を腰に掃き、悠然と佇むその姿に、何故か美しささえ感じそうな男が、ウェンディに目を向ける。

「な、なんですの……負けているからって、私を狙おうとしても」

そこで、ウェンディが言葉を止める。男の背後から、気配が幾つも現れたからだ。

「いやなに、我々の狙いもラケルではあるが、これから起こる事は少女にとっては少々酷かもしれん、と思ってな。まぁ、子供とは言え戦場に出ているのだ、侮るのは失礼という者だな、忘れてくれ」

そう言って、また次の刀を構える。

「さぁ、殺し合いはまだまだ続くぞ」

 

 「ウェンディ、大丈夫か!?」

グレンが近寄り、ウェンディに声を掛ける。ビルの屋上で放心状態だったウェンディは漸く我に返ったらしい。

「グレン先生、ラケルが……ラケルが!?」

酷く怯えているのか、両手を掴んで、訴えかける。それをテレサが宥め、普通通りに話が出来るようになるまで、少し時間がかかった。

「……ラケルは、どうなりましたの?」

それに対して、グレンが答える。

「ホーエンハイムってやつの魔術で、乗っ取られてる」

「乗っ取られてる? 何を言ってますの? そんな魔術なんて聞いたことがありませんわ!」

ウェンディが見た光景は、そういった言葉とは違う何かをみていたらしい。

「ウェンディ、お前は何をみたんだ?」

「あれは……」

 

 最初の男が、太刀を抜き構える。

「さて、そろそろ頃合いかな」

対してラケルは満身創痍だ。左腕はろくに動かず、それでもなお動きが衰える事はない。

「まだ、そちらは残っているようですが」

闘う意思は全くおとろえていない。そして、身体は傷ついているが。

「はっはっは、今の貴方と互角に戦えるのはこのタイミングになるからなぁ。さぁ、やろうか」

ウェンディが隅で座っていると、ラケルが刀を構える。

「そうですね……いざ、勝負」

振りかぶって大上段に振り下ろす男の剣戟を紙一重で躱して返しの刃で切りつける。攻撃はかすり、血が流れるが、決定打ではない。

「はっはっは、そろそろ俺も本気をだすか!」

そう男がいうと、構えが変わる。今までの雰囲気と打って変わって確実に殺すという意識が感じられる。ラケルもまた傷を負いながらも集中力は切れてはいない。互いの刃が四肢を削り、鎬を削り合う。実力は互角、互いに闘いの中で成長しているのだ。

「う……そ」

ラケルの大上段からの切り下ろし、男の突きが交差し、互いの身体を貫く。どうみてもどちらとも致命傷に至っている。吐血し、互いが互いの血で染まっていく。

「……これで、良いんだな」

「良きかな……よき、かな」

二人がそう呟いたあと、血によって魔方陣が紡がれていく。二人を中心として一つになるように。

「どうなった……ですの?」

魔術の光が収まるとラケルが中から現れた。雰囲気が違うのは衣装が替わっていたからか、それとも際程までの傷だらけだった身体が無傷になっていたからか。

「ああ……これで漸く、目標にちかづきましたね」

あるいは、胸に怪しく光る赤い石が、彼の全てを変えてしまったかのように見えたからか。ラケルはウェンディの事を振り返ることも無く去って行く。他の男達は、ラケルが居なくなったからか、それぞれ散り散りに去って行った。残されたのはウェンディ独り。

 




読了ありがとうございました。

ラケルがホーエンハイムになりました(錯乱)
な、何をいっているのか(略

ホーエンハイムは賢者の石を通して、記憶、知識、思考を共有しています。
つまり、別に乗っ取りとか支配とかそんなものが有るわけではないのです。
但し、人の一生分を簡単に越える記憶量と知識を持った人間が人格を保てるかと聞かれるとそうではないと思います。

元々の意識や記憶をそのままに、自分自身をホーエンハイムと認識している状態ですね(適当)
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