ゲゲゲの鬼太郎 もう一人の末裔   作:朝ノ陽

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お待たせいたしました、夜ノ鬱です。
最新話をどうぞ


裏側

鬼太郎は今山の中で絶体絶命の危機にさらされていた。

強敵の針女を相手に激しい戦いを繰り広げ、やっとの思いで勝利を掴めそうになったと思ったちょうどその時、何故か身体が言うことを聞かなくなってしまった。隙を見せてしまった事で影を押さえつけられてしまい、一気に戦況は悪化してしまった。

そんな彼等の前に現れたのは予想だにしない人物だった。

 

「一体…どういう事なんですか……?」

 

鬼太郎は何とか身体を起こそうとするも針女がその度に針を影に強く打ち込むので結局うずくまってしまう。お婆さんは静かに見下ろしながら淡々と話し始めた。

 

「そのままの意味じゃよ……今回は私とこの針女の考えに従ってもらうと…………」

 

そういいながらお婆さんは針女の方へと振り返る。

 

「針女よ……確かあんたの髪の毛には人間をあの糸人形に変えることができるみたいだね………」.

「それがどうした……?いや、そもそも人間如きがこの私を助けたつもりか……余計な真似を………」

「私が細工してなきゃ今頃あんたは鬼太郎さんの攻撃でやられちまっていただろうよ……そうでなくとも既に満身創痍、もうあまり無茶できるような状態でも無い。違うのかい?」

 

妖怪相手に恐れることもなく淡々と述べるお婆さん……その姿勢に針女は苛立ちを覚えるが今果たすべき事を考えると確かにお婆さんの言うことは筋が通っている。こみ上げる怒りを抑えながら針女は糸人形達に鬼太郎を任せ、自身は山を下ろうとした。だがそんな彼女をまたしてもお婆さんが呼び止めた。

 

「あなたが行くまでもありませんよ……」

「何………⁉︎」

「もう……既に準備は整っています……後は()()()()()のを待つだけです……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……で、黒影村の工事はちっとも進んでいないわけか………」

「は・はあ……」

 

今回の工事を請け負った工事会社の社長である真柴は嫌味ったらしく呟いた。専務は雰囲気に押され、萎縮しながらもか細い声で応じた。

そんな彼に真柴はさらに畳み掛けた。

 

「いやさ…わかっているよね……この工事にこぎつけるまで……どれだけの苦労があったか……」

「はい…存じ上げております………」

 

平身低頭で専務は返答するものの内心ではこの社長に忌々しげに舌打ちの一つや二つくらいしたい気持ちでいっぱいだった。

実際、県の役人や代議士、反対運動を行う村人達の槍玉にあげられていたのはほとんど自分、そのときの煮え切らない態度や罵詈雑言には本当にストレスが溜まった。社長も出たには出たがそれでもある程度話が進んでからだ。その段階に至るまでもどれだけ苦労したか、しかも会談が終われば労いよりも愚痴や文句が飛んでくることの方が方が多い。今まさに、さも自分が苦労したんだと言わんばかりの態度に憤りを感じながらもそれを相手に悟られてはならないと必死に押し殺しながら用件を伝えた。

 

「…ですが、現に作業員は全員行方知れず、機械も全て壊されているとのことで………」

「機械は新しく入れ替えればいい。作業員なら今工事が終わって手が空いているグループがあるはず、そいつら今すぐに連絡して空いた仕事に取りかからせろ……」

「……ですが…!」

「その分給料は弾むっていい。彼らも生活があることだし、文句はないはずだろ……」

 

そこまで言って立ち上がると真柴社長はその化けの皮を剥がして本性を露わにした。低い声で、憎々しげに専務を睨みつける。

 

「いいか…この開発にどれだけの金をつぎ込んだと思ってんだ?道路整備だけじゃない、住宅地の件だってある。工事を進めなきゃ損害を被るのはこっちなんだぞ……!そうなったら誰が責任を取るつもりだ……?」

 

静かながらも先程とは打って変わって凄みを効かせる社長を前にして専務は震え上がった。

社長はそこで専務の肩に手を回しながらさらに畳み掛ける。

 

「そういえば君には子供が二人いたね…上の方は大学生、下の方も来年には高校生か……」

 

そこまで聞いて専務の緊張感がさらに高まった。動揺したのを感じ取ったか真柴社長は不気味な程にニッコリと笑いながら肩を叩いた。

 

「まっ、そういう事だからよろしく頼むよ」

 

そう告げると真柴社長は自分の席へと戻っていった。専務は「かしこまりました…」と言いながら深々とお辞儀をした後、社長室を後にした。誰もいなくなった部屋の中で真柴社長はため息をついた。軽く舌打ちをした後、煙草を一本取り出した。

 

「全くどいつもこいつも……この開発がどれだけの大博打になるのかわかってんのか…あの忌々しい糞爺の件を片付けてようやくこれからって時に……」

 

煙と共に腹の中に溜めていた何かを吐き出していた時のことだ。

急に入り口の戸を叩く音が響いた。さっきの専務がまた何か言いに来たのかと先程よりも大きなため息をついた。「入れ」と口にする前にその者は部屋の中へと入って来た。こっちの了承も無く勝手に入って来た事に苛立ちを覚えるがそれよりも意外な人物が入って来た事でそれが一旦引っ込んでしまった。

 

「…君は確か…黒影山の工事担当責任者…か…今までどこほっつき歩いていたんだ……?」

 

その人物とは黒影山の工事を任されており、先程までに鬼太郎達と対談していた現場監督だった。

 

「君程の男が仕事を途中で投げ出すとはね………ちょっと残念だよ………」

 

真柴はさも悲しそうな雰囲気で現場監督に語りかけた。だが腹の中ではこうすれば彼を上手く揺さぶりをかけることができるという事を見込んでいた。

真柴は社員の中でもこの男は特に使いやすい奴だと見なしていた。工事の意義や恩恵、日本を切り開いているだのと少々大袈裟に力説しただけでいともあっさり自身の考えに馴染み、責任さえ向こうで勝手に請け負ってくれるほどの忠誠を誓わせることに成功した。実際この会社では彼以外の社員も強い責任と仕事への誇りなどで自身の仕事や待遇に疑いを持つことがなくなっている者も多い。もし自分のやり方に疑いを持つ奴が現れたところで孤立無援に追い込み、追い出すことも可能だ。真柴は心の中で下衆な笑みを浮かべながらも今回も同様に表面ではさも相手に寄り添っているように装った。

だが社長がどれだけ問いただそうとしても監督は常に無表情で何も口にせずただただ黙って何度も頷いているだけだった。いつもなら決してしないその振る舞いに、ただでさえイライラしているところに、大事な開発事業に遅れをとりながらなんだその態度は!と真柴社長は怒りが一気に込み上げ、乱暴に机をバンと叩いて立ち上がった。

 

「お前……俺を舐めてんのか……お前らのせいで工事が遅れてんだぞ‼︎どういうことがわかってんのかぁ!!!」

 

日頃の慇懃無礼さを完全にかなぐり捨てて怒りの形相でこちらを睨みつける。だが監督は未だ微動だにせず、彼を静かに見据えている。いよいよ我慢ならなくなった真柴社長だったが唐突に監督が口を開いたのだ。

 

「社長…実は貴方に至急お会いしたいという方がおりまして……」

「あぁ?何だよ、急に……そいつは今どこにいるんだ?」

「はい、訳あってここには来れず、こちらから出向いてもらうとのこと……」

「おい…お前、これ以上ふざけるのは………」

 

そこまで言ってから真柴社長は一気に青ざめた。

現場監督は耳まで口を避けながら不自然にニッコリと笑顔を見せている。だがその目は背筋が震える程に冷たい。そして彼の顔に何層もの線が現れ始めた。

 

「ご心配無く、私直々に貴方をお連れしますので…どうか………」

 

そういうや否や現場監督の顔が無数の糸になって解け、一斉に真柴にめがけて襲いかかった。

 

「うわああああああッ!」

 

真柴社長は逃げる事もままならず、大声をあげて自分の身の危険を周りに伝えようとするも瞬時に糸に体の自由を奪われ、口も塞がれた。

 

「むー!むー‼︎むー!!!」

 

声にならない声を出しながら真柴は必死にもがく。現場監督はそのまま身体を糸に変えると真柴社長を包み込み始めた。

 

「私が責任を持ってそちらにご案内します。社長はそれまでゆっくり腰を落ち着けてください……………」

 

現場監督の嘲笑に満ちた声が真柴社長の頭の中に響いた後、辺りが真っ暗になった。真柴社長を完全に包み込んだ糸はそのまま再び現場監督の姿に戻るといつのまにか部屋に入っていたある者の手引きでそのまま静かに部屋を後にした…………。

 

 

 

 

 

 

別の所では猫娘達が妖音の引き連れた妖怪と大激闘を繰り広げていた。長い尾を振り回して近づく者を全て弾きとばし、角の先から電撃を放つ為、迂闊には近づけない。それでも横丁の皆は力を合わせて応戦する。一進一退の攻防を繰り広げる様を妖音は木の上から見下ろしていたがふと何かを思い出したかのように立ち上がった。

 

「そうだ……そろそろ頃合いよね……こいつらはあの子に片付けさせて、私は鬼太郎を……♡」

 

その後何を想像したのか、手を頰に当て、顔をほんのり赤らめたかと思うとすぐさま素早い身のこなしで木から木へと飛び移っていった。

しばらくすると巨大妖怪からだいぶ離れたところに差し掛かり、頭の髪の毛で妖力を探りながら前進していたときのことだった。

 

「待ちなさい!」

 

後ろから声がしたかと思うといきなり前から彼女の行く先を阻む者が姿を現し、妖音はその足を止める。

 

「へえ……あのキマイラ相手によく振り切ってこれたわね……猫娘…」

 

妖音が冷めた様な口ぶりで呟いた。猫娘は肩で息しながらもこちらを強く睨みつけている。そんな彼女を妖音は大して取り合おうともせず言い放った。

 

「悪いんだけど…そこどいてくれないかしら…」

「あんた……鬼太郎をどうするつもりなの…?」

 

猫娘の質問に妖音は何も答えない。猫娘の警戒心が一気に高まった。先程妖音が呟いたのを耳にした猫娘は鬼太郎に迫る危険にいてもたってもいられなくなり、巨大妖怪を仲間に任せ、自身はそれを引き連れていた彼女を止めに向かったのだ。

 

「ここから先は一歩も行かせない……!鬼太郎に手出しはさせないわ……‼︎」

 

爪を伸ばしながら猫娘は戦闘態勢を取る。一方妖音はそんな彼女を冷めた目で見続けていた。

 

「そう…そうやって鬼太郎をたぶらかして………ずーっと側に居続けてきたのね……」

 

静かな口調だったがそこにはドロドロとした負の感情が強く込められている。猫娘はそれを肌でしっかりと感じていた。

 

「やっぱ、あんた邪魔……消えて……!」

 

異常なまでの殺気を感じた直後、妖音はもう目の前まで距離を詰めていた。 咄嗟に防御の姿勢をとった猫娘はそのまま掴みあって地面に落下した。互いに素早く距離を取り、相手の出方を伺う。

そのまましばしにらみ合っていたがやがてほぼ同時に動き出した。

先制攻撃を仕掛けたのは妖音だった。猫娘と同等、いやそれ以上に鋭く長い爪を猫娘の顔めがけて振り下ろした。

猫娘はその攻撃を素早く受け流し、一気に敵の懐へと潜り込んかもうとする。だが妖音の方もそれを読んでいたのかもう片方の手で相手の動きを封じようとする。ナイフの様に鋭い爪が顔を抉ろうとするが猫娘の方もそれを素早くいなす。妖音は今度は蹴りをお見舞いしようとするも猫娘も瞬時に対応し、同じく蹴りを加えて相手の攻撃を相殺……できなかった。力負けした猫娘はそのまま吹っ飛ばされてしまう。だが素早く態勢を立て直し、追撃してきた妖音の攻撃をうまく受け流した。

 

「へえ……思っていたよりはマシみたいね………」

 

一旦距離を取りながら妖音は髪をかきあげて呟いた。猫娘は目の前の敵から決して目を離さずに出方をうかがい続ける。

今のところ相手の攻撃には難なく対応できている。だが妖音の攻撃は一発一発が速く、そして重い。少しでも気を抜いたらあっという間にやられてしまう。強敵を前に猫娘の緊張感が更に増す中、妖音がポツリと呟いた。

 

「……でもやっぱり力不足よね…………」

 

そういうや否や先程よりも更に早い動きで猫娘との距離を詰め、その鋭い爪で彼女の喉元を抉りにかかった。咄嗟にその手を払った次の瞬間、腹部に強い衝撃が走ったかと思うと猫娘の身体はそのまま後ろに勢いよく吹っ飛ばされた。妖音はそのまま間髪入れずに駆け出すと異常な速さで先回りし、猫娘を思いっきり蹴り上げた。 そして空高く飛び上がり、猫娘の腹部にその鋭い爪を突き立てた。だがその前に意識を取り戻した猫娘が咄嗟に腕で庇う。爪は深く腕に食い込み、妖音は全体重を乗せて猫娘を地面に叩きつけた。

 

「かはっ………」

 

背中に強い衝撃を受け、思わず苦悶の声を上げる。妖音に刺された腕からは血がドクドクと流れ出ており、その痛みに猫娘は思わず苦悶の声を漏らす。そんな彼女を妖音は静かに見据えていた。

 

「ほんのちょっと本気出しただけでもうそのザマ……それで良く私を止めるなんて大口たたけたものよね………」

 

妖音は猫娘を嘲笑するとその爪を引き抜いた。その瞬間に血が更に勢いよく流れ始め、猫娘は更なる激痛に思わず声を上げ、その場でうずくまってしまった。

 

「時間の無駄だったみたいね……じゃ、今度こそ改めて……♡」

 

そんな彼女を心底見下したように言い放つと一転してウキウキとした調子で妖音はその場を後にしようとする。

 

「……待ちなさい………まだ勝負はついていないわよ…‼︎」

 

後ろから呼び止める声が聞こえ、妖音は白けるように溜息をつきながらも振り返る。彼女の視界に入ったのは己の身体に鞭を打ちながら立ち上がる猫娘の姿だった。妖音に貫かれた右手は未だ大量の血がドクドクと流れ出ており、血が足りなくなってきているのか頭がクラクラする。それでも大切な彼に迫る危険を見過ごす事は出来ない。決死の思いで猫娘は再度妖音の前に立ち塞がった。

 

「たいした根性……って言いたいけどそんな身体で私をどうしろと?」

 

妖音はせせら笑いながら言い放った。それでも猫娘は全くひるむことも動じることもなく力強くこちらを睨み返して来る。その態度が妖音の神経を逆撫でした。

 

「あっそう…………尻尾巻いて逃げればそれで済ましてあげようと思ってたんだけど…………」

 

低い声でそう言う妖音の右腕に赤黒い線が蟲が這うように枝分かれしながら広がり始めた。

 

「……あんたがその気なら………望み通りにしてやるわ‼︎」

 

ぞっとするような表情を向けながら妖音はそう言うや否や先程よりも更に早い速度で猫娘に襲いかかる。

 

ーーやられる………!

 

猫娘が思わず死を覚悟した直後、不意に寒気を感じたかと思うと2人の間に大きな氷柱が飛んできた。妖音は慌てて跳びのき、何とか回避する。

 

「遅くなってごめん……大丈夫?猫娘……」

「葵…ちゃん………」

 

猫娘の前に降り立ったのは雪女の葵だった。いや、駆けつけたのは葵だけではなかった。

 

「猫娘……大丈夫か……!」

「砂かけ婆………」

 

砂かけ婆が猫娘に駆け寄った。深手を負っていることに気づいた砂かけ婆は妖音を葵に任せ、急いで猫娘を戦線から離脱させると持ってきておいた医薬品で応急処置を施した。

一方葵はそんな彼女らを逃すまいと追撃しようとするも葵の前に阻まれる。

 

「邪魔しないでくれる…?私はこれからあの人の元に行かなきゃならないのに……」

 

妖音は苛立ちを露わにしながら葵に攻撃を加えるが葵の方も氷の盾を作って防いだり、口から吐く相手を凍てつかせる息で距離をうまく取りながら彼女の猛襲にうまく対応していた。

 

「悪いけど、ここから先は一歩も通さないわよ…鬼太郎の追っかけさん………」

「……っ!」

 

葵の軽い挑発に妖音は一瞬ピクリと眉を動かす。だがそれでも葵の動きに冷静に対処し、今の所は互いに一歩も譲らない戦いを繰り広げている。

 

「……流石は妖怪四十七士とかいう奴の一人……さっきのはとんだ肩透かしで全く手応えが無い…足手纏いにしかならなそうなあの女と違ってあんたなら楽しめそうね………」

「……………」

 

葵は言葉にこそ表さなかったが妖音の明らかに猫娘を侮蔑した今の一言に強い憤りを覚えた。

敵勢力との大きな戦いが終わった後でも欠かさず修行を積み、自分が鬼太郎にしてあげられることは他にはないかを時々自分に打ち明けたりもしていた彼女の姿が頭の中をよぎった。

葵は氷の息吹を先程よりも強い妖力を込めて吹き出した。

妖音は身軽な動きで難なく交わしたのだが突如無数の霰が彼女の周りを一斉に取り囲んだ。

 

「これって………」

 

逃げ道を失った妖音に葵は鋭く言い放った。

 

「さっきから何度も見たはずよ……私は一度作り出した氷は自在に操れる…………」

 

そう、葵は自らが作り出した氷を分解させたり、形状を変化させたりと自在に操ることができる。妖音が躱した際に出来た氷を敵に気づかれないように少しづつ分解し、その時を待っていたのである。

空気中の水分も取り込んで一つ一つがそれなりに大きい霰達が標的を逃すまいと狙いをつけた。

 

「これだけは言っておく……何も知らないあんたが…猫娘の事を偉そうに語らないで……!」

 

そう言った直後、無数の霰が妖音めがけて一斉に襲いかかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あああっ…………」

 

鬼太郎の腕に強い衝撃が走る。捕らえられてしまった鬼太郎は針女の寝床に連れてかれてしまい、そこで影を通した拷問を受けているところだった。怒りのままに針を刺し続ける鬼太郎に対してお婆さんの方は淡々と二人を見続けている。

 

「おばあさん…………どうして貴方がこんな事を……」

「もう少々、お待ちください鬼太郎さん……あの人が戻ってきたら全てをお話しいたします…………」

 

激痛に必死に耐えながらも問いかける鬼太郎にお婆さんは丁寧に応じた。だが家で対談した時と違いの言葉には感情や思いやりといったものはあまり感じられず、逆に冷たい印象を抱いてしまうほどだ。

とそこへ入口のあたりで人影が見える。お婆さんの視線に合わせてそこを見てみるとあの現場監督が虚ろな目をしながらこちらに歩いて来たのだ。

 

「ちゃんと連れてきたようだね………」

 

お婆さんがそう呟くと現場監督は無言でうなづき、その身体を糸に変えていった。するとその中から手足を完全に縛られ、口も塞がれた真柴社長が姿を現した。

 

「お久しぶりだねぇ、社長さん……あたしの事、覚えてなんかいないだろうけどね………」

 

口調こそは静かだが明らかな怒りがこもっている。真柴はお婆さんの方へと目をやると何やら訴えている

そんな彼を他所にお婆さんは呆気に取られる鬼太郎の方へと顔を向けた。

 

「鬼太郎さん……今からお話し致します……この男がどれ程の事をしたのかを………」

 

そう言うお婆さんは力強く拳を握りしめ、目には激しい怒りと、悲しみが浮かんでいた………




6期鬼太郎とうとうぬらりひょんが登場すると知って楽しみで仕方ありません。
見たところ、名無しの時と同じがそれ以上に妖怪と人間の間での抗争が起こりそうで不安で仕方ありません……。
感想・アドバイス募集中です。
よろしくお願いします。
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