ゲゲゲの鬼太郎 もう一人の末裔   作:朝ノ陽

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こんにちは、ねこ姉さんが復活し、真名との再会を無事に果たせたことににホッとしている夜ノ鬱です。
最新話をどうぞ。


次なる災厄

ここは飛騨山中にある妖怪刑務所。

鬼太郎は黒鴉の後に続きながらある妖怪に会うために暗い洞窟の中へと入って行った。

数十歩歩いた辺りで目的の牢獄へとたどり着く。

牢獄には妖力を封じる札が何枚も貼られており、ここにいる罪人の危険度が高いという事がうかがえる。

牢の中で誰かがやって来たに気づいたのか、その妖怪は閉じていた目をゆっくりと開いた。

 

「ほう………これはこれは懐かしい顔だな………」

 

その声の主に鬼太郎は厳しい表情になる。

幾度と無く鬼太郎達の前に立ちはだかり、彼らを苦しめ続けてきた元日本悪党妖怪の総大将……………

 

「ぬらりひょん……………………」

「久しぶりだな、鬼太郎………。それにしても急にどうした?……俺の顔でも見たくなったのかな…?」

「おしゃべりはそれくらいにして頂こうか。今日はお前に聞きたい事があって来た。」

 

おどけた様に口を開くぬらりひょんに黒鴉は早速本題に切り込んで来た。

ここへ来たのは他でもない。鬼太郎がゆっくりと口を開いた。

 

「仮面の王について、知っていることを全て話せ…!」

 

ここ最近の妖怪事件の黒幕として浮上しており、妖怪の闇社会に通じていたぬらりひょんから彼に関する情報を手に入れるためにここへ訪れたのだった。

その名を耳にしたぬらりひょんは先ほどよりも興味深そうに目を更に見開いた。

 

「なるほど、貴様がその名を口にするという事は、とうとう奴も動き出したか………」

 

ぬらりひょんはさも面白そうに、だがそれと同時にどこか悔しそうにとも取れる複雑な反応をした。

そしてそのまま何か言おうとしてふと鬼太郎の体を見渡した。

そして一通り見終えた後、これまた興味深げに呟いた。

 

「…随分と苦戦したみたいだな…鬼太郎………」

 

そう、余程の激戦だったのか、鬼太郎の体にはあちこちに大きな傷を負っていたのだった。

一体鬼太郎の身に何があったのか。

事の始まりは数カ月前に遡る……………

 

 

 

 

 

 

最初の事件は牛鬼軍団の襲撃から三日後の事だった。

鬼太郎はゲゲゲハウスで目玉おやじの茶碗風呂にお湯を注ぎながらも、ずっと考え込んでいた。

事件は一応終結したものの、万事解決とはいかなかった。

被害の数は甚大であり、あの利明という青年も己の罪を一生後悔しながら、牛鬼と共に封じられる、という結果になった。

そして何よりも彼が懸念しているのは仮面の王がまた何か事件を引き起こしてくる可能性があるという事、そして蒼坊主が彼の事を調べ上げるため、旅に出てしまった事もまた心配の種であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

事件直後、妖怪横丁に戻る途中の事だった。

先程から何か考え事をしていた蒼坊主がふと口を開いた。

 

「仮面の王……まさかな………」

「蒼兄さん…?」

 

隣で歩いていた鬼太郎が彼の方へと顔を向ける。

鬼太郎自身、仮面の王の事を考えていたのである。

 

「あ、いや…直接奴に関する事じゃあねぇんだが……」

 

蒼坊主は少し申し訳なさそうに呟いてから話し始める。

 

「実はここ数年、この牛鬼の件と似たような事件が発生していたんだ」

 

蒼坊主は元々人々に危害を加える妖怪を封印する為に全国を旅している。

現在、ぬらりひょん達の戦いに決着をつけたとはいえ、人間に悪さをする妖怪がいなくなったわけでは無く、また視聴稼ぎや開発などを理由に妖怪の地を荒らす人間達も増えた事でせっかく封印した妖怪の復活を許してしまうこともある。

そのため蒼坊主は引き続き全国を回って妖怪の監視及び再封印をしていたりしている。

 

「封印した妖怪が人間達によって再び解放しちまった時、その地に長く暮らしていた者がすぐに情報を出してくれる事もあってな。急いで駆けつけてみたんだが……」

 

蒼坊主の話によるとここ数年の事件では確かに封印が解かれた跡がしっかりと残っているのだが、復活した妖怪が人間に危害を加えたという情報が一つも無く、また何日か滞在して周辺を隈なく探索しても本当に何も無いのである。

結局何か起きたらまたすぐに伝える事、この地を必要以上に立ち入らない事をその地の皆に忠告するしかなかった。

そんな事例が何件も、しかも連続して発生しているのである。

蒼坊主はそれがとても不可解でならない。

だが何故こんな事が起こるのか、当時の彼には皆目見当もつかないのだった。

 

 

 

 

 

「…!確かに今回の事件ときっかけと似ている……だとすると……」

「ああ、断定は出来ねぇが、もし牛鬼の件と同じく、これまでの件に仮面の王(やつ)が関わっているとしたら…………」

 

蒼坊主の仮説が正しければその解放された妖怪達の中の誰かが次の事件を引き起こして来る可能性が高い。

仮面の王についてはまずその辺りを調べてみるのが妥当だろう。

 

「一応黒鴉達にも俺がこれまで封印してきた妖怪の情報を渡しておいてある。後は…………」

「蒼兄さん………僕も一緒に行くよ」

 

蒼坊主が言い終わらないうちに鬼太郎はそう告げた。

長年兄として彼を慕っている分、これから何をしようとしているのか察しがつく。

恐らく蒼坊主は蒼坊主で仮面の王について調査をし、尻尾を掴めれば本拠地へと乗り込んで行くつもりなのだろう。

彼もまた仲間の為なら己の身を顧みず立ち向かって行く性分だ。

だが今回の敵は全貌がまるで知れない未知の敵。

彼の実力が確かであるとはいえ、どんな能力を兼ね備えているかも分からない分、これまでの敵と比較してもだいぶ得体の知れない相手だ。

もし万が一のことがあったら、と思うと心配になる。

 

「いや、行くのは俺一人でいい。お前は人間達から依頼が来たら、それを解決しながら情報を集めてくれ」

「でも…………」

「心配するなって、今回は相手が相手だ。無茶はしねぇよ。」

 

蒼坊主はそう言って引き下がろうとしない鬼太郎を宥めるように言う。

相手の素性が知れない以上、闇雲に敵陣に乗り込むことがいかに危険な事かは彼とて十分に理解している。

だがその一方、もしまた復活した妖怪が周りに危害を加えた時、被害にあった者達にとって頼れる存在となり得るのが鬼太郎なのである。

ましては今はあくまで調査のためであって戦う為ではない。

様々な方法で情報も集まりやすくなる事を踏まえると鬼太郎ははいつものやり方で情報を集めてもらうのが良いと考えた。

取り敢えず目玉おやじの勧めもあって蒼坊主はそのまま横丁に滞在し、皆と楽しいひと時を過ごした。

そして一夜明けた直後、蒼坊主は朝早くに妖怪横丁を後にしてしまった…………。

 

 

 

 

 

 

 

蒼坊主が旅立った後、鬼太郎達の方も天狗ポリスが捜査をし始め、日本全国の四十七士の妖怪を中心に何か事が起こらないかを見張っている。

しかし黒鴉の話によるとあの仮面の者の行方は分からないままで囚人達に聞いても仮面の王を知る者はいないという事で、何か妖怪が事を起こしたという事も聞かない。

この為緊張に満ちながらもただ時間だけが過ぎていくといった日々が、実際にはほんの数日ほどのだが彼等には非常に長い日々のように感じた。

そして丁度今日、その沈黙は遂に打ち破られる事になる。

いつもの様に妖怪ポストの中を確認する為に鬼太郎は外に出てみる。

と、そこにそんな彼を待ち構えていた者がいた。

 

「よう、鬼太郎ちゃん。随分としみったれた顔してんじゃないの」

 

声のする方へ向いてみると鬱金色のローブに身を包んだ男がどこか胡散臭さを漂わせながら近づいてきた。

 

「ねずみ男…どうしたんだい、また急に?」

 

鬼太郎はねずみ男の方へ向きながらたずねる。

まあ、また何か金儲けの話でも持って来て自分を利用しようと近づいたのだろう。

内心溜息を吐きながらも話に応じる。

 

「鬼太郎…実は………こいつをお前に渡してくれって頼まれてよ………」

 

珍しく深刻そうな顔をしながらねずみ男は懐に忍ばせていた封筒を取り出し、それを鬼太郎に渡した。

その瞬間、鬼太郎の顔つきも真剣なものへと切り替わる。

封筒を開け、手紙を読み、それを手に握ったまま鬼太郎は鴉達を集めるとそのまま差出人のいるところへ向かっていった。

 

「やれやれ相変わらず手際が良いもんだよ…」

 

鬼太郎のあまりにも迅速な行動にいつものことだとわかっていてもねずみ男はしばし唖然と立ち尽くし、彼を見送った。

そして直ぐに自分が置いていかれた事にに気付いて慌てて走って追いかけた。

 

「オォォォイ!ちょっと待てよ!鬼太郎‼︎情報教えてやったのは俺なんだからよ!俺を置いていくんじゃねぇ!おい、聞ぃてんのかぁぁぁ‼︎」

 

彼の訴えは鬼太郎には軽くスルーされてしまった。

尚、その後ねずみ男は鬼太郎が空にいるのに気づいた猫娘と鉢合わせしてしまい、監視も兼ねて彼女と同行される羽目になるのであった…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鬼太郎達が家を飛び出し、ねずみ男がそれを追いかけていった事でゲゲゲハウスの辺りには誰もいない状況になる。

そしてそれをずっと待ち続けていた者がいた。

ゲゲゲハウスの入り口辺りに霧がかかったと思うと黒いマントに黒いフード、仮面を見にまとった者がすうっ、と姿を現した。

だが今回、仮面の者が模していた表情のは笑いだった。

仮面だけ見てみると、とても無邪気で見る者が思わずニッコリとしてしまいそうなほどの純真無垢な笑いだ。

だが身にまとっている物と発せられる無機質な雰囲気がその表情を逆に不気味なものへと変えている。

彼はそのままゆっくりと辺りを見回した後、ある所へと向かっていった……………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある山岳地帯にある村があり、そこでは今も人が住んでいる。

周りは自然に囲まれて、村人は山に入って狩りをしたり、畑を耕しながら生活していた。

しかしふもとの街まではそれなりに距離があり、特に病院がこの村にない事もあってか、時代が経つにつれてが多くの人々が都会へと出ていってしまい、今ではすっかり寂れてしまっている。

そんな中、近くの山を切り崩してトンネルや道路を作る大規模な工事が始まろうとしていた。

たくさんのダンプカーやショベルカーなどがぞろぞろと山の中へと踏み込んでいく。

目的の場にたどり着いた作業員達はそれぞれ割り当てられた場にグループを作って集まった。

そして、さあ工事開始だ、と言わんばかりに各々が作業に取り掛かろうとしたその時だった。

先程まで聞こえてきた鳥や虫の声が不意にピタリと止んだ。

少しばかり違和感を覚えながらも作業を始めようとした彼らに今度は急に強い風が吹き荒れ、森のざわめきが激しくなる。

その風力に誰もが腕で顔を庇ってしまう。

するとその風に乗って微かに声が聞こえてきた。

 

 

 

……デテイケ………

 

 

 

 

「おい……今声がしなかったか……?」

 

作業員の一人が空耳だと思いつつも周りの同僚にたずねる。

だが自分一人だけでは無く、ここにいる作業員全員が今の声を確かに聞き取っていた。

だがこんな事に時間を割いている場合ではない。

そのまま作業を開始しようとするとまたしても声が聞こえた。

 

……デテイケ……!

 

今度は先程よりも明確に聞こえる。

皆が声のする方へと顔を向けるとそこにはただ森が鬱蒼とたたずんでいるだけで声の主の姿は見えない。

森が互いの葉を揺らしザワザワと音を奏でる。

姿の見えない、得体の知れない何かに皆誰もが恐怖を覚え、その場から後ずさる。

そしてそれに追い打ちをかけるかのごとく、またしても正体不明の声が響いた。

 

 

デテイケ………‼︎

 

 

辺り一面に、ゾッとさせるような声がこだました。

一向に姿を見せず、まるで山そのものが自分たちに警告しているようなような、そんな気味の悪い状況に作業員は皆パニックに陥りそうになる。

しかしこの状況下でも現場監督は毅然とした態度を取り続けていた。

内心では多少は慄いていたものの周りに喝を入れるためにも腹に力を入れ、声を張り上げた。

 

「馬鹿野郎‼︎何怖じけ付いてんだ!!!」

 

力強い怒声が現場一帯に響き、作業員達は足を止める。

 

「工事進めなきゃ損害を被るのはおれらだぞ!それにこの工事はこの辺りの住民達の願いでもある!何としても完遂せねばあかん‼︎」

 

そう言うと自ら作業車に乗り込んでエンジンを掛け、工事を開始しようとする。

その言葉に影響を受けたのか、はたまた少しは安全な所に逃げ込むためか、作業員達は一斉に駆け出し、ある者は監督と同じく作業車に駆け込み、またある者は作業機器を手に持った。

作業車のエンジンがかかり、崖を切り崩し、森を斬り倒そうと向かって行った時だった。

それまで薄暗かったとはいえ、誰かがいたようには見えなかったのだが、たった今森の木々から人影の様なものががこちらをじっと見つめ、ゆっくりとこちらに向かってきている。

 

「な・なんだよ…あれ…………」

 

作業員達は訝しげに前方に目を向ける。

森の中から人の姿をした何かが一人、また一人と四方から次々と姿を現した。

その数およそ20、ゆらゆらとおぼつかない足取りでその場をぐるぐると回っていたかと思うとそのまま工事現場に向かって前進し始めた。

 

「くっ…!構うな!A班とB班、C班は俺と一緒に奴らを止めるぞ‼︎それ以外は工事に専念しろ…!」

 

監督は今目の前で信じられない光景が広がっているのを目の当たりにしながらも自らの責務を思い出し、周りを引っ張りながら工事の継続を図ろうとする。

しかし、こちらに近づいて来ることを察したのか、突如得体の知れない者がこちらに向かって何かを伸ばして来た。

それは作業車のガラスを突き破りそのまま中にいる人を次々と襲っていく。

ここに来て振り絞り続けて来た作業員達の勇気は遂に潰えてしまった。

 

「「「うああああああああっ!!!!」」」

 

作業員は持っていた道具を放り投げると慌てて作業車の中へと我先へと飛び込み、そのまま逃げようとする。

だが得体の知れない者はその触手のようなもので容赦無く車をパンクさせ、中にいる人々を捕らえていく。

 

「放せっ…!放せこのっ……!!!」

「だれかぁぁぁぁぁぁっ‼︎」

「助けてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ…!!!」

 

彼等は必死の思いで助けを求めるもここには山林の奥地、自分達以外は誰もいない。

その後現場にいた人達の殆どがそのまま山林の奥深くへと連れて行かれたのであった。




最近文章力への悩みが更に増してします。
感想・アドバイス大募集中です。
よろしくお願いします。
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