あまり長くはありませんので、あしからず。
「キース教官〜、呼ばれた通り来ましたよ〜」
先日、エルヴィンからの伝言でキース教官に訪ねるよう言われたソラは翌日トロスト区近郊の南方訓練地へと訪れた。
「ノーレンス……、少しは訓練兵のことを気遣え!!」
来てそうそう、ソラは教官に怒鳴られていた。
教官の目の前には数十人の新兵がおり、これから通過儀礼をするところだった。
ソラのせいで、訓練兵たちは強ばった表情を維持するハメになっていた。
「あっ……。ごめんなさい。私は下がってますので、どうぞお続け下さい」
ソラは頭を下げ、一旦他の教官方の元へと下がった。
「いや〜、ごめんなさい。迷惑かけたようで」
「いえ、ノーレンス殿に来ていただけるとは我々としても光栄です!!」
ソラが教官の方と話をしていると、通過儀礼が終わったようでソラはキース教官に呼ばれた。
「なんでしょう?」
「貴様から何か言ってやってくれ。私では、厳しくはできるが希望というものは与えられんからな」
(この鬼……いやキース教官は、根はとても優しい人なんだけどなぁ。本当に不器用というか、なんというか。まぁ、新兵を無駄死にさせたくないのは分かるけどもう少し愛想良くすればいいのに……)
ソラは渋々と言った感じで、一歩前へ出ると話し始めた。
「えー、私は調査兵団兵士長補佐のソラ=ノーレンスです。皆さんは、巨人というものを見たことがあるでしょうか?皆さんの顔を見る限り1,2割ってところでしょうか。私は皆さんのように訓練兵から上がったわけじゃないので、これといってアドバイスや指針を示せるわけじゃないのですが一言だけ言わせてもらいます。憲兵になるにしろ、駐屯兵になるにしろ、まして調査兵団になる方は特にですが……………実践と訓練は全くの別物。その意識だけは忘れないで下さいね。」
ソラはそう締めくくり、キース教官の所まで下がる。
「流石は、前線で戦っている者だ。言葉の重みが違う」
「そうですかね?私よりもリヴァイの方がこういうのは適任だと思うんですけどね」
実際、調査兵団でもソラは甘やかし過ぎているとよく怒られる方だ。
その割には、エルヴィンなどからこの様な仕事を頼まれることも多い。
「貴様だからこそ、出来ることもあるという事だ」
不可解なことを言い、キース教官は訓練兵の元へと歩いていった。
(……はてはて。)
ソラの謎は深まるばかりである。
「へぇー、てことはエレンとミカサはずっと一緒に居るんだね」
訓練兵たちも、初日は殆どやることも無くたった一人を除いて既にみんな自由時間。
結果、それまで小屋の上で日向ぼっこをしていたソラの元へ訓練兵が集まるのは当たり前のことである。
「ソ、ソラさんって、今までどれぐらいの巨人をぶっ殺したんですか!?」
この元気がいい青年がエレン。
コミュニケーション能力の高さには、最初ソラですら驚いたほど。
「うーん、リヴァイよりは少ないと思うよ。」
実際、ソラよりも早く調査兵団に居るリヴァイに討伐数で勝てるはずもない。
(けど、もし私が先に入ってたら兵士長の座は私に……。そしたら、リヴァイのことこき使えたのに……。)
人生とは思惑通り進まないものだと、改めてソラは実感した。
「すっげぇ。」
エレンは、新品のおもちゃを貰った子供のような目で私を見つめている。
「あ、あの俺ジャン=キルシュタインって言います。なんでノーレンスさんは調査兵団に?」
エレンに少しだけ顔立ちの似ているこの子はジャンと言うらしい。
「うーん、私の場合は調査兵団にしか選択肢がなかったからかな。ほら、言ったでしょ?さっき、「訓練兵上がりじゃない」って。まぁでも、訓練兵だったとしても調査兵団を選んだかなぁ。」
「そ、そうですか……。」
ソラの言葉に、ジャンは残念そうに下がっていった。
(…ありゃりゃ不味ったかな?)
この年頃というのはとても難しいと改めて、キース教官の凄さを感じるソラである。
「さて、そろそろ兵舎に帰らないと。また来るね、それまでの成長楽しみにしてるからね」
私は皆に見送られながら、兵舎へと戻った。
「……遅かったじゃねぇか」
兵舎に辿り着くと、すっかり夜も深くなっており兵舎前にはリヴァイがスタンバイしていた。
「いやぁ、訓練兵の子たちと話し込んじゃってさ。リヴァイも一度行ってみたら?」
「………さっさと寝ろ」
そう言うとリヴァイは、不貞腐れたように下を向いて自室の方へと戻って行った。
(………リヴァイがあの子たちに囲まれたら面白そうなのになぁ)
そんなソラの淡い期待は、どう足掻いても叶うことはない。
まず印象的にも、リヴァイが行くとあまりよろしくないからエルヴィンが行かせないだろう。
(さて、寝ますかね)
ソラもリヴァイに続くようにして、自室へと戻りそのまま眠りについた。
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それでは!