ほぼ思い付き
一話
オッス、おいら一楽 ヤマメ皆んなからはヤマメって呼ばれてる………そのまんまだな。
産まれも育ちも火の国木の葉隠れの里。ラーメン屋一楽の第二子、忍びアカデミーに通う普通の男の子だったんだ……………ついこの間までは。
簡潔に説明すると……………勇者になったのである。
これは何かの比喩表現ではない。俺は実際に異世界で勇者になってしまったのである。向こうの世界で過ごした時間はおよそ三年。
日本と言う国から来た賢者や戦士、魔法使い、現地の治癒士と共に魔王を討つために激しい魔族との戦いを繰り広げた…………筈。
筈、と言うのは三年間戦って体などが成長していたのだが……帰って来た時には時間もそのままだし、体も元に戻ってるし。
本当に何事もなかったかのように日常に引き戻されたのである。あの出来事をなかった日と割り切るつもりは無いけど………傷などを無くされると感傷に浸りにくいし、向こうの人間が言うには傷は勲章とも言うから。
しかし何も残らなかった訳ではない。ちゃんと激しい戦いの記憶もあるし、仲間達との楽しい思い出も残っている。
それに…………忌々しい事にこれも……
掌を空へ向け、自らの手の甲を見ると
「おい!ヤマメ、ぼーっとしてねぇでさっさと仕込み手伝え」
「ん、わかった」
親父に呼ばれたので素直に仕込みに参加するとしよう。
親父がやっているラーメン屋、一楽は木の葉隠れの里、一番のラーメン屋である。少なくとも俺はそう思っている。このラーメン屋を継ぐのは俺の姉貴で俺はやる事も見つからないので忍びアカデミーに通って忍者を目指していた。
いた、と言うのは今は目指していない、と取ってもらって構わない。三年間戦争の主力として参加していたし、日本人の賢者や魔法使い、戦士が俺のいる世界を物語として知っていた。
最初は疑心暗鬼で聞いていたさ、………けどなんか話を聞いていると歴史もだいたい合っていたり、俺の周囲の人間を知っていたりと、かなり信憑性が高い事に気付いた。
特にヤベェ…、と思ったのは大蛇丸と言う伝説の三忍の皮を被った変態である。性別不詳、ほぼ不死身、美男子の首筋にヨダレを塗りたくり、蛇のようになったり、人体実験をしまくるオカマ。
先程の紋章を見られたら…………色々オワル
後は親父の店によく来るナルトが英雄になるらしい。里の人間に嫌われている理由も教えてもらったが………まあ納得出来る。
俺は嫌うつもりはないけど、うちの常連だし。イタズラは多いけど悪いやつじゃない。
………今はそれより、アカデミーの合格試験についてだ。俺の体感三年前までの俺はアカデミーでも中間層の成績を取っていた。
流石にこれぐらいの成績なら最低でも下忍に成らなくてはならない。成績ドベのナルトが忍者になれるのだから当たり前とも言えるが、三年前の自分をぶん殴りたい。下忍になるのを辞退する事もできるらしいが………ラーメン屋を継ぐつもりもないし、プー太郎だと親父に何言われるかわからないし……うちはお袋が早死にしてしまった為、親父一人が息子と娘を育てている。流石にこの家でニートをするのはダメ。
逃げ道がない
忍者に成らなければいけないならば対策をしなくては………
まず変態の標的、うちは サスケに近づかない。必要以上に実力を見せない。魔法を無闇に使わない。後は………なんだ?口頭で伝えられただけだし、あまり覚えていない所もある。………流石に隕石を落とす術を使うラスボスの話をされたら冗談の類だと思うだろ?だからそれほど覚えている訳ではないのである。
「っと、豚骨あがり。次は醤油?」
「おう、頼む」
もう忍者になって、平穏な日常を望みながら家計の足しになる様に働くしかないのかなぁ……
卒業試験当日
もはや何も言うまい…………合格してしまった。
なんで"分身の術"なんだ?………ある程度の奴なら合格出来るからか?
ナルトは主人公なのに何故か試験に落ちてしまっていた。あれ?もしかして賢者とか魔法使いの話はデマ?
いや、でも留年したって事は…………でも変態の標的のサスケェはいるんだよなぁ…………もうこれわかんねぇな………
「いらっしゃい」
今は親父の店の手伝いをしている、早速客が来たようだ。
「おっちゃん!ラーメン!」
「………ハァ」
いや、別に驚く様な事ではないか………ナルトはたまにイルカ先生にうちのラーメン奢らせてたし。
「こんばんは。イルカ先生」
「おー!ヤマメ。今日も手伝いか?」
「そうですよ?ナルトもオッース」
「オッース、だってばよ……」
ナルトは元気があまり無いな………やはり試験に落ちたからか。
まぁ今年であろうが来年であろうがナルトはかなり凄いやつになる気がする。勇者としての勘がそう言ってるからな。
「コラッ!知り合いでもちゃんと接客しろ。水を持って来てくれ」
「うーい。」
お冷を運ぶか………ぬるいな。魔法で冷やしとこう。
"
手に持った二つのお冷の温度が下がり、カップの表面が結露によって水滴が付いた。因みに魔力はチャクラとは別種の力なので忍者に気づかれた事はない。
「あいよ」
「ありがとうな」
「…………ヤマメは試験に受かったんだってばよ?」
「そうだよ?」
「俺ってば………やっぱりダメな奴なのかなぁ」
「それを俺を見て言ったらなら一言物申したい所だが………ナルトらしく無いな。…………俺から見ればナルトは努力家でこんな事で諦める様な奴じゃねぇ、それにお前は凄え奴になれる、俺が保証する。外れたらラーメン奢ってやるよ」
「………そうだってばよ!俺は火影になる男だ!こんな所で諦めるのはありえない!今日は調子が悪かっただけだ!」
「おお!その意気だぜナルト!よっ!未来の火影!」
「へっ!こうしゃいられねえ!早くこれ食って行動だってばよ!」
ズルズルズル!ガラガラガラ!
ナルトはとてつもない速さでラーメンを食し、イルカ先生にラーメンの会計を託して店から出て行った。
「おいっ!ナルト!…………ハァ」
「元気ですねぇ………」
「お前が煽った様に見えたんだが………。まあいい、お前はナルトと特に仲がいいからな」
「うちの常連ですし。結構昔から知ってますからね」
その他諸々も多少知ってるけど。でも未来の火影になってたり、九尾という化け物の依り代になっているって事ぐらいか?あと4代目の息子だったな。
「仲がいい俺からの助言なんですけど…………早速イタズラやらかしますね」
ズルズルズル!ダンッ!
「ナルトォオオオ!」
イルカ先生はラーメンを完食してカウンターに代金を叩きつけナルトの元へ颯爽と去って行った。
ほんと、イルカ先生は苦労人だなぁ…………"祝福"でもやっておくか?
「まいどありー!…………聞こえてないか」
「……………ヤマメ」
「あ、やらかした」
ナルトならあと二杯はいけたな。………今日は説教だ。
いい朝だな………うちの親父は魔王より怖い(確信)
まあ魔王はハメ技で殺したから全く恐怖とか感じなかったけどね。奴は下準備の大切さを教えてくれたよ………フヘヘヘヘヘ
「ヤマメェー!おはよーだってばよ!」
なにやら窓の方から聞き覚えのある声が聞こえた。心なしか嬉しそうに聞こえる。
「おう。近所迷惑だから少し黙ろうか」
「す、すまねぇだってばよ。それより!俺ってば試験に合格できたんだってばよ!」
「…………ファッ!?マジ?………良かったじゃん。それより、なんだそれ?」
俺の部屋の位置は二階だ。当然どうにかしてナルトは登って来たのかと思ったのだが………そこにはナルトを担ぐナルトを担ぐナルトを担ぐナルト…………何これ?
「これは俺の新しい術。多重影分身の術だってばよ!」
「ほーう、実体を持った分身か………面白そうな術だな」
応用力も高そうだな………相当出来た人間が作った術、その割には他の先生が使っているのを見たことがない………高度な忍術なのか?
「それ、俺にも教えてくれない?」
「いいぜ!その前に、この術を使って更なる超忍術を作ったんだってばよ!見てくれよ!」
「おお!凄そうだな。いっちょ見せてくれや」
ナルトは俺の部屋に入ってきて影分身によってその数を増やした
「"ハーレムの術"!」
そこに広がっていたのは金髪のグラマラスな裸の女性の集団。何よりすごいのは一人一人の体型が違っていることによって必ずしも自らのストライクゾーンの女性を見ることが出来る事だろうか………
あまりの感動に俺は鼻から真っ赤な涙を流した
「…………いい術だ。百点をやろう」
「あれ?………火影のじいちゃんは倒れたのに?」
そりゃ俺、非童貞ですし………火影もか。あの爺さんはムッツリなのかな?
非童貞の12歳児とは?
異世界では15歳だった。
やっぱり中世の倫理観はすげぇや
感想評価があるとやる気が出ます(震え)