そして一週間が過ぎた頃。
俺達は木登りの修行を何の問題もなく成功出来るようになっていた。チャクラの操作を改善した事で影分身の術も出来るようになったし、影分身を使えばラーメンの作業を並行して出来るから最高やで。
朝食は昨日のラーメンのスープで作った雑炊だ。腹にも優しいし、あっさりした味だから三杯いけた。
木登りの修行も終わったのでタズナさんの護衛をする許可も貰えた。けど俺普通に護衛のサイクルに入れられてた気がするんだけど……まぁ気にする程の事でもないか。
今日も朝からタズナさんの護衛で橋にやって来た、ナルトは今日は休みらしい。サイクルを入れて仕事をするのは大事だね。そしてタズナさんに着いて行き橋に着くと
「な……なんだこれは!」
そこには職人たちが倒れ臥す姿があった。その光景を見たタズナさんは驚きの声を上げている。しかしまだ息があるようだ。
「どうした!何があったんじゃ!」
「ば……化け物……」
それと並行して周囲にチャクラの反応が……
俺は魔力によってチャクラを認識したことによって"
「………霧隠れの術か」
「来るぞ!」ボンッ
そして俺たちの周りに現れた再不斬の水分身十数体程。
一体相手をするのにも手間取った相手がこんなにも……
「やれ、サスケ」
しかし今のサスケ君なら相手をするのも造作も無い。
奴の水分身は一瞬のうちにサスケによって排除された。強く成ったな、これならもう少し俺のペースを上げても良さげだな。
ていうか、一つ気になったのだが……
「変態ファッションじゃ……ない、だと!?」
「おい白。あのガキは俺が殺す」
例の暗部の仮面をつけた少年を伴って現れた比較的まともな格好をした再不斬。どうやら俺の発言が至極気に入らないらしい。でもあの半裸は無いと思うんですけどねぇ
「再不斬さん、だから言いましたよね。あれは無いって」
ていうか再不斬の仲間の方も思ってたのか。まぁ不審者確定のファッションだし、街中でやったら警備隊が飛んでくるよね。
「チッ………」
「カカシ先生。向こうもやる気ですし、再不斬は俺に任せてください。そっちのちっこいのは………」
「アイツは俺がやる。」
うん。サスケがやってくれるらしい。タズナさんを経験豊富なカカシ先生が守ってるし、割と妥当だと思う。
「わかった。だが危なかったら手を出すぞ」
「了解です。」
辺りに霧が立ち込める中、対峙する大きな刀を持った男、再不斬と
ヤマメは再不斬を見失った事により男を捕捉する為、耳にチャクラを集め聴力を強化する。しかしこれだけでは"無音殺人術"を極めた再不斬を察知する事は出来ない。
ズガン!
そこでヤマメは金属製の橋に足を叩き落とす事によって大きな音を出した。音が周囲に鳴り響くが特に何かが変わった様な事はない。
再不斬は少し警戒しながらもヤマメの死角に現れ自らの武器"断頭首切り包丁"を振り下ろす。
確実に首を狙った無音の絶技。ヤマメはそれを予め察知していた。
再不斬が音を出さないなら、自らが出した音の反響によって相手を捕捉する事を考えた。異世界には魔法によって音を消す敵もいた。
その場合反響しない場所を探し出して相手を捕捉していたのだが……その経験から強化した聴力によっての探知技能を習得しているのだ。異世界の戦闘のセオリーとして探知妨害が基本の為、ヤマメからすれば探知技能を複数持つのが普通らしい。
ヤマメは再不斬の一撃を回避するだけに留まらない。得物を振り切った再不斬にさらに接近し、攻撃を放つ。しかし再不斬も予測していたかの様に武器から手を離しクナイを構えていた。
"賢者直伝 鉄山靠"
「くッ!」
再不斬がクナイをヤマメに届かせるよりも早くヤマメの体が衝突した。ただの体当たりではあるが、使っている人間が
「…………肋を数本程度か、内臓潰すつもりだったんだけど……やっぱりNINJAはこええなあ」
「クソガキがッ…………だがわかったぜ。テメェも俺と同じ……」
「人殺し……ですか?」
ヤマメはその会話を"
「クククッよく分かってるじゃねーか。なら尚更そんな平和ボケた所にいて満足してんのか?テメェの目はまだ殺したりねぇって思ってる様だぜ?」
「殺し足りない……そうかも知れませんね。いえ、他でもない人殺しがそう言うならそうなんでしょう。」
「あぁ?」
再不斬はその発言を肯定された事に驚いた。確かに彼の主観からすれば殺し足りないと言う目をしている事は事実なのだが、指摘されたほとんどの人間はそんな事を肯定したりはしない。
「だけど殺しには理由が必要です。理由もなく殺しをするなら星の数程いる人間がいつかは居なくなってしまいますからね」
勇者である事を疑いたくなる様な発言がヤマメの口から溢れた。無論本心である様だ。
「例えば貴方がタズナさんを殺そうとするのは仕事だから。貴方が俺を殺そうとするのはそのクソダサいファッションセンスを馬鹿にされたから……」
真面目に話している途中でも相手を煽る事を辞めない。再不斬は額に青筋を浮かべているが話を聞き続ける様だ。
「まぁ、俺は殺し合いと同じぐらい人と接する事を面白く思ってますから。大抵の場合殺しても俺には損しかありませんね。」
「……………」
「…………けどアンタを殺すのは仕事だから。全力で殺してやるよ」
ゾクッ
再不斬はヤマメの凶悪な殺気を感じその場から離れた。そして即座に印を組んでヤマメに攻撃を仕掛ける。
"水遁 水龍弾の術"
橋の下から龍を象った三本の水流がヤマメに向けて襲いかかる。ヤマメは避けようともせず、その術を正面に見据え狙いを定め自らが出来る全力でチャクラを練り上げる。
"握撃"
この技は通常、相手を握り潰す技だ。当然向かってくる多数の水流を止める事は出来ない。ヤマメは練りこんだチャクラを右手に集め腕力を強化する。
握り潰すのは再不斬でも、水龍でもない。
勇者としての圧倒的な力をさらに強化する事によって、空間すら握る潰す事を可能にした技。もしも人間が対象となっていれば即死するであろう威力。
空間が壊れた事によって、その帳尻合わせが起こる。潰された場所を中心に衝撃波が発生し再不斬による、龍を象った水流が粉々になった。
"影分身の術"
ヤマメは追撃の為、影分身の術を使う。
一週間の修行によって可能になった忍術だ。自らと全く同じ存在が傍に現れる。無論幻術でなく実体を持っている。まず分身の様に弱体化する事は無く、技量までコピーされている。
ヤマメはこの術を作った奴は(いい意味で)頭がおかしいと思っている。更に分身を解除するとその分の記憶まで累積される。有用過ぎる。
"水分身の術"
再不斬もそれを見て数十体程の水分身を出した。そして
更にヤマメが再不斬に肉薄しようとした、その時。
「ッ…………何だこれは」
ヤマメは強力なチャクラを霧の中で捉えた。目の前の再不斬からでもない。感じたことの無い様な強力なチャクラだ。ヤマメは様子を見るために一旦再不斬から離れた。
「…………あれか。」
ヤマメはその強力なチャクラの持ち主に当たりが付いた。
無論ナルトである。九尾の力を解放したか、暴走したかは分からないがそんな所だろうと当たりを付けた。
「早めに切り上げた方がいいかな?霧が濃くて助かるよ。」
「どう言うことだ。」
ナルトが暴走しているとすれば先程のチャクラを見る限りかなりの被害をもたらすだろう。
「……………聖印"
言葉と共にヤマメの右手の甲が薄く輝き出す。
常識的殺人鬼系主人公
殺す理由があれば殺すが、逆に言えば殺す理由が無ければ殺さない。
召喚前は普通だったが、三年間も殺し合いの世界の中心にいた事によりサイコになった。
普段は普通に見えるが同類が見ると唯のサイコ野郎に見えるらしい。
主人公「霧が濃いから本気出せるぜ」