評価してくださった方々、ありがとうございます
お陰でモチベが上がります
ありゃ〜………やばいな
今の状況は非常によろしくない。カカシ先生にナルトとサスケが果敢に挑んだが二人とも捕まってしまっている。サクラも悲鳴が聞こえたのでカカシ先生に沈められてしまったのだろう。
そもそもこの試験………普通に無理ゲーじゃね?俺を基準にして考えてたけど、そもそも俺は勇者として戦争をしていた経験がある。しかし当然ながら他のアカデミー卒業生はそんな経験なんて持ってない訳で………多少の訓練をした程度の子供が果たして上忍からあの鈴を取れるのだろうか?
思うにこの試験には別の意図があるのだと思う。戦闘能力を測る為?いやそれなら模擬戦をすれば良いだけの話だ…………忍者らしい目的?他の奴を蹴落としてでも鈴を取ろうとする事か?………三代目はそんな事しないな。あのムッツリジジイが言うには里の人間は家族らしいし………ッ!
チームワークかッ!
あれ?ナルト(撃沈)………サクラ(撃沈)………サスケ(撃沈)もしかして、詰んでる?
sideカカシ
ふぅ………流石は、うちは一族。下忍にしてはなかなかやる、基礎ができていない段階であれなら成長したらどれだけの忍びになるんだ?
他の奴らは………まぁまぁかな。磨けば光るんだろうが、今のところ目立ったところは無しっと
しかし問題はコイツだ。一楽 ヤマメ………ラーメン屋の息子だったか、あのラーメンはたまに食いに行くが………、まぁそれは関係ない。火影様が言うにはコイツには不可解な点があるらしい。
なんでも、ある時から異常な警戒心を持ってアカデミーを過ごしているとか。それにヤマメのアカデミーでの成績は平均値、しかしそれにしては隠れ方が様になっている。アカデミーで学ぶ様な隠れ方じゃないな………我流か?お陰で見つけるのに時間が掛かったぞ
持っているものもおかしい………忍具以外も許可はしたが………鉄パイプ?何故そんな物を持ってきたんだ?
後ろから出てきて少し脅かしてみるか………
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ヤマメは自分の至った考えが非常に正しいと言う事を理解した。同時にこの試験はもう既に詰んでいるという事も………カカシが背後に迫っている事にも気づかない程落ち込んでいた。
カカシはこれを好機と見て後ろから幻術を掛けようとヤマメの後ろに立って印を組もうとしていた。
カカシが次の瞬間に見たのは自分の首が落ちている光景だった。
「ッ!?」
カカシがそれを避けることが出来たのは奇跡と言っても過言ではない。それほどまでにヤマメの一撃は洗練されていた。
勇者殺法二式『威殺居合』
ヤマメがいきなり背後に忍び寄られた事によって反射的にやってしまった技である。名前についてはこの技を使った時期が14歳頃に掛かる例の病気が原因である。
勇者をやっていた時に作られたその技はほぼ回避不可能と言っても良い。集中的に研ぎ澄まされた殺意によって相手に死に際を幻視させて動きが止まった瞬間に勇者としての超人的な膂力によって放たれる予備動作無しの居合。
カカシがそれを回避出来たのは、ヤマメが異世界から帰還してから常に加護の力を制限していた事。得物が鉄パイプだった事。伏せて隠れていて技の出が遅くなった事。先程カカシがサスケの相手をしてイチャイチャパラダイスをしまっていた事、など様々な要因が重なった結果だった。それでもカカシ程の実力者でなければ避けられない様な一撃である。
『ヤベェ、今の下手したら(殺してた)死んでた』
ヤマメが思わず技を出してしまったのは、背後に忍び寄られた事によって例の変態による尻の危機への異常なまでの警戒によるものだ。直前に見た千年殺しも原因の一つ。そもそも尻を警戒していたからこそ三代目火影に目をつけられるに至ったのだが………
そしてヤマメに次の難問が迫っていた。
そもそもヤマメはカカシに通用する様な忍術を知らない、ナルトに影分身を教わってはいるのだが……非常に精密なチャクラコントロールを必要とする術である為、習得できなかった。ナルトは膨大なチャクラによって無理矢理成功するに至っているがヤマメのチャクラ量はそれほど多くはないのである。
自分の主戦力である魔法を使う事は論外、もう使ってしまっているが勇者殺法と言う独自の技を使う事も実力を隠す意味であまりよろしくない。
ヤマメはとりあえずカカシから離れる事を選択した様だ。
カカシから跳びのき先程サスケやナルトが戦っていた広い場所に逃げ込んだ。カカシもそれを追う様に開けた場所に出た。
「びっくりしましたよ。カカシ先生、後ろからいきなり出てくるから………」
「………こっちも十分驚いたけどね………死ぬかと思ったよ。お前には手加減が必要無いらしい」
「た、たまたまですよ。あれです、あれ。火事場の馬鹿力的なやつです(尻の危機を感じてついやってしまうとは…………流石に誤魔化せなくね?)」
「…………それで通ると思ってる?」
「ははは、………ですよねぇ〜………(魔法は論外、忍具も通用しなさそう………)仕方ないか………」
ヤマメは隠す事を諦めた。どうせ何かあると思われてるなら異常に体術や剣術が優れてるって評価に落とし込むしかない。派手な忍術なんて使っていたら他国のスパイの疑惑がかかりそうである。
(勇者殺法三式『砂放拳』)
ヤマメはカカシに向かってその強力な脚力を存分に発揮して、一歩を地面に踏み込んだ、………いや側から見れば叩き込んだ様にも見える。地面はひび割れヤマメの足は地面を貫通するに至っている。足が刺さった地面から前方に大量の砂が飛んで行きカカシの目を潰さんと襲いかかる。
カカシは思わず目を瞑りながらも離脱しようと離れるが、
「ぐっ!」
ヤマメは地面に向かって踏み出した勢いそのままに直進、カカシが後退した事を予測していたかの様な強力な拳が直撃した。
ボフッ!
「…………影分身か」
「そうだ。………さっきあんなの見せられたのに迂闊に近づく訳ないだろ?」
「……………降参していいですか?」
「ん、なんでだ?お前なら鈴ぐらい昼までには取れるだろ?」
「多分ですけど………鈴を取っても合格にはならないんじゃないですか?恥ずかしながら他のものを見る試験だとさっき気づいたので………」
「ほぉ〜う。まぁそろそろ昼だし休憩を入れるか」
sideヤマメ
何事も諦めが肝心。うん、だって気づいた時にはもう終わってたし、仕方ないよね。
そして弁当を取りに来たらナルトが既に弁当を食べようとしていた。
当然説教コースでナルトだけ丸太に括り付けられ昼飯抜き、そして昼食後もう一度試験をするらしい
「うぅ〜、お腹減ったんだってばよ」
「自業自得だろうに………」
『………お前ら、最後にもう一度だけチャンスをやる。ただし昼からはもっと過酷な鈴取り合戦だ。挑戦したい奴だけ弁当を食え、ただしナルトには食わせるな』
『え?』
『ルールを破って一人飯食おうとした罰だ。もし食わせたりしたらそいつをその時点で試験失格にする。ここでは俺がルールだ、………わかったな?』
先程そう言いながらカカシ先生は去って行った。まあナルトは試験後の弁当を一人で食おうとしてたので自業自得だけど
「あれ?ヤマメは結局カカシ先生と戦ったのか?」
「ああ。ボコボコにされた、手も足も出なかったよ」
無論口から出まかせだ。どうやらここにいるメンツは俺の戦闘を見ていないらしいので、もう隠したままでいいかな?と。
ぐぅぅぅぅ!
「………ホラよ」
「ちょ、ちょっと!サスケ君さっき先生が!」
驚く事にサスケがナルトに自分の弁当を差し出した。ツンデレか?こういう態度がホモに狙われる要因になってしまうのだろうか……全く恐ろしいッ、と戦慄していると。
「大丈夫だ。今はアイツの気配はない、昼からは4人で鈴を取りに行くぞ。………足手まといになられちゃ、こっちが困るからな」
「…………私もあげる」
「サクラちゃん…………」
「ふむ………少し待ってくれ」
「どうしたんだってばよ?」
俺のカバンの中にはあれが入ってるからな、それをナルトにやろう。
「先生はナルトに弁当を食うな、っと言ったんだ………つまり弁当以外を食えばいい話だろう?」
俺はそう言いながらカバンの中に入っている『一楽インスタントラーメン』を取り出した。そしてお湯が入った水筒も
「や、ヤマメ。みんな…………ありがとう」
ちなみにインスタントラーメンは自作である。粉末スープで店の味を再現するのに時間が掛かったがかなりの自信作だ
ズドンッ!
「お前らあぁぁぁあ!」
「ごーかっく!」
俺たちの目の前にいきなりカカシ先生が出てきた。まぁ隠れていたのは知っていたが………何故合格?文句を言われたら屁理屈でなんとかする気満々だったんだが
「……………なんで?」
「忍者は裏の裏を読むべし。忍者の世界でルールや掟を破る奴はクズ呼ばわりされる。」
厳しい世界だな。俺がいた異世界もそんなもんだった気もするけど。まぁ俺自体はかなりVIPな対応されてたけどね
「けれど!仲間を大切にしない奴はそれ以上のクズだ」
成る程。チームワークだけでなく人道的な面での試験だったのか、これで試験に落ちるの66%って少なくない?
「これにて演習終わり。全員合格!よぉーし!第七班は明日より任務開始だ!」
「よおっしゃーあぁぁぁ!」
ナルトが歓喜の雄叫びをあげる中、カカシ先生がこちらに近づいて来た
「ところでヤマメ…………そのカップラーメン、演習には不要な物だよな?」
「あー…………ラーメンが無いと俺………生きていけないッ」
「お前はこれから説教だ」
んな殺生な、無礼講という事でなんとか……なりませんよねー
主人公「大蛇丸に尻を狙われる((((;゚Д゚)))))))」
三代目「なんかあいつ変わったな?監視するか」
ダンゾウ「………敵かな?」