好きな子と混合ダブルス組むために全国トップを要求された 作:小賢しいバドミントン
自動で投稿してくれるのを良いことに結構放置していたりするので、感想が遅れることもあります。
「…ねぇ、1ゲーム取られてるじゃん」
「攻撃が激しいんだよね」
「その割には余裕そうなのは策でもあるわけ?」
バドミントンバッグを持って応援に駆け付けた綾乃は、”偶然”インターバルに入ったパイプ椅子に座る弦羽早を冷たい眼差しで見下ろす。
スポーツドリンクをゆっくりと飲むその姿は、少なくとも息を乱しながら忙しなくドリンクを飲む対戦相手に比べると優雅なものだ。とても1ゲーム取られているとは思えない。
「これというのは無いね。強いていうならスタミナを削るだけ削った事かな?」
「弦羽早ってそこまでスタミナあったっけ? あの試合、1ゲームでボロボロだったじゃん…」
あの試合と言うのは
「あれは疲れるに決まってるでしょ。あんなに集中したの初めてだし」
「全国の決勝よりも?」
「うん。まあ、あれから常々思うのが1ゲームで良かったよね。セットだったらと思うとゾっとするよ」
肯定の後の弦羽早の言葉は上手く耳に入らなかった。
全国大会の大一番よりもあの時の試合の方が集中して入ってくれた。その事実が綾乃の頬の筋肉を緩ませ、瞳に光を宿らせる。
綾乃の心境の変化に弦羽早が気付けないのは、綾乃を朴念仁だと見ているからか、あるいは彼にとっては当たり前の事であるが故に気恥ずかしい台詞を言ってると自覚が無いのか。
『残り一分です!』
「…雑談ばっかりしてたけど大丈夫?」
「どうだろ。やっぱり準決勝だけあってかなり強いよ。特に配球の組み立て方は学ばせて貰ってる」
笑みを浮かべる弦羽早に綾乃は一瞬苛立ちを覚えた。それは以前までの理由の分からない苛立ちではない。
本来インターバルで選手のメンタルに揺さぶりをかけることはNGだが、綾乃にそこまでの気遣いは出来なかった。
「一緒に優勝するって言ったのに、負けてるのにどうしてそんなヘラヘラしてるの? もっと緊張感持ったら?」
「…クッ…フフッ!」
「なに笑ってんの…」
「い、いや、だって藤沢に言われて喧嘩したこと綾乃が言うから」
あ~?と綾乃はガラの悪い声を上げながら思ったままに出た言葉を思い返す。確かに緊張感を持てと、言われた事を今度は自分が口にしている。
妙な気恥ずかしさを感じて、綾乃の頬が羞恥から僅かに赤く染まる。
「…別に今はエレナのことはいいでしょ。それよりちゃんと汗拭く」
スポーツタオルを弦羽早の顔に投げつけて綾乃は小さく息を吐く。
綾乃はシングルスに関して弦羽早より先輩であるので分かるが、彼は自分以上に攻めの手が弱い。手数が多いがこれというエースショットが存在せず、また安定性を重視していることからギリギリを狙う癖も無い。その為彼のシャトルコントロールの高さならもっと狙える角度も彼は好んで打たない。
とにかく安定志向というのがシングルスでの弦羽早のプレイスタイルなのだ。
「大丈夫、俺は必ず勝つよ。勝って綾乃と一緒にシングルスとダブルス、どっちもインターハイに行く」
「…だからその自信はどっから来るの」
「応援団が駆け付けてくれたからね」
綾乃は変化の無い会場を見渡してから数秒の間を置いたのち、自分を指さした。
「もしかして私?」
「100人の応援団より綾乃のやる気のない応援の方が気合入るよ」
「いや、やる気が無い訳じゃ…」
咄嗟に否定したが、図星だったので曖昧な返事となった。
「ごめんごめん、冗談。またいつもの応援頼むね」
ポンポンと綾乃の頭に置いた手を優しく上下させ、弦羽早は勢いよく立ち上がると背筋を伸ばしながらコートへと足を運ばせた。
その逞しい背中を見つめながら綾乃は思う。
自己満足だと思っていた応援が役に立っていたのならそれは素直に嬉しかった。自分一人の応援で気の持ちようが変わるのなら喜んでやろう。
ただ100人の応援団より気合が入るとは少々大げさな気がした。それも満足感が無いと言えば嘘になるが。
「(…弦羽早ってちょっと変わってるよね)」
弦羽早も彼女にだけは言われたくないだろうが、しかし綾乃が絡むと単純になり色々残念になるのはまごう事なき事実であるので、その考えは正しかった。
綾乃のさしてやる気のない声援の有無は大きかった。横浜翔栄の大きな声援の中、コーチ席から届いてくる静かな声援は少なくとも弦羽早の中にあったアウェー感を完全に消し去ってくれた。
流石に地区大会程爆発的な変化は見せないが、その僅かな違いでもラリーが終わる毎に余裕ができたのは気の持ちようが変わる。
何より綾乃がインターハイに勝ち上がった事で、負けられない意志がより強固なものとなった。
だが意志が強くなろうともプレイスタイルに大きな変化はない。やはり基本のスタイルは守って相手のスタミナを奪いつつ、クロスファイアやドロップ、カウンタードライブを交えて警戒する球種を増やさせる。そして時折一気にラリーの速度を意図的に急上昇させ、相手のペースを乱し、相手をじわじわと確実に追い詰めていく。
『アウト! ポイント、
息を乱す大井は数回の瞬きをした後に目を擦る。
先程まで弦羽早の立つコートには自分がおり広さは変わらない筈なのに、弦羽早が立つコートは狭く感じてしまう。ギリギリを打とうとしてもミスを恐れて自然と角度が付きにくくなり、ならより奥へと狙おうとするとアウトになってしまう。
弦羽早は決して強くない。優勝候補の相模原のような高身長もパワーも角度も無い。フェイントだってほとんどしないからコースも読みやすい。
勝てる相手のはずだ。その筈なのにじわじわと点差が広がっていく。
最初の11点のインターバルも弦羽早が取った。
監督の
因みに本人たちは至極真面目に試合内容について語り合っており、そうして見えるのはメンタル的に余裕がないのと、実際リストバンドを合わせたりハイタッチしたりとスキンシップを取っているのの半々だろう。
そして弦羽早がリードを続けて18‐12でようやく大井は気づくことができた。
弦羽早はとにかくやりにくいのだ。
まず大前提に守備の高さがその根底にある。どれだけ打っても返ってくるシャトルに対してこちらが取る方法としては、より鋭い球を打つ、スタミナ温存の為に緩い攻め球に切り替える、こちらも上げて緩い展開に持って行く。
だが鋭い球を打てばその分スタミナの消耗が激しくなり、温存の為に緩やかな球を打てばカウンターが起こりやすく、緩い球を打っても弦羽早の方から無理やり攻めては来ない。
そしてこれといって苦手なコースが無い。バックもフォアーも正面も前後左右どれをとっても綺麗なフォームで安定感がある。
何より準決勝に来て解禁された二刀流。バックハンド側に緩いロブ球を上げると突然持ち手を変え、そこにゲームスピードの緩急を合わせるともはや別の選手と戦っている様にしか思えない。
大井は膝に手を当てて呼吸を整えながら弦羽早の肩を確認する。その肩は未だ上下に揺れていない。
疲れていない訳が無い。彼はまだ15と成長期の真っただ中で、完全に仕上がった体ではない。学年が一つ上という差は時間というアドバンテージが存在し得る。
だが疲労を体の中に押し留め、肩を揺らさず顔を顰めたりしない。
「(速攻だ。1ゲーム目同様速攻で点を重ねる)」
攻めの姿勢を崩さない為のスマッシュ。だが疲れが見えてドライブ気味になってしまった浮いたスマッシュは速いカウンターで返される。足を大きく踏み出してそのカウンターも何とか拾うが、ミドルコートまでしか飛ばず、ジャンピングスマッシュを打ち込まれた。
『ゲーム!セカンドゲームワンバイ秦野!
コートの外へと出ると、荷物を持って互いのコートを入れ替える。選手二人はパイプ椅子に座って少しでも体力を整えながら、コーチングしてくれる各々の話を聞く。
「相手の守備は絶対じゃない。きちんと組み立てをすれば必ず点は取れる。それは出来ているのだから、あとは一回一回の配球を集中するんだ。最短で決めるのではなく、長引いても確実に決める一打に繋げ」
「うっす」
そうだ。実際守備を突破して点は確実に取れている。だが流れを掴むのが得意な筈が、連続してその展開に持って行くのが難しい。
スポーツドリンクを流し込んで熱を帯びた体を冷やしながら、体力回復に専念する。
「…ちょっと崩され方がワンパターンになってる。ラリー毎の極端な緩急の付け方に相手も慣れてきてるから、ラリーの最中に意識して変えていくべき。そして相手はネット前の勝負を逃げないから、どこかで読んで叩く」
「オッケー。ならネット前はなるべく序盤で仕掛けるよ。プレッシャーは速い内に与えておきたい」
「…序盤に点差を開けたら後は自滅してくれる。最初が重要だから。さっさと勝ってきて」
「はいはい、仰せのままに」
もう少し柔らかい物言いでも良さそうだがと弦羽早は苦笑しながらも綾乃の頭をまた優しく撫でる。冷たい空気は変わらないままだが、嫌そうにせず素直に受け入れるのは、仏頂面のぬいぐるみを撫でているようでちょっと面白い。
ただあまりやり過ぎるとビンタの一つくらい飛んできてもおかしく無さそうなので数回に抑えて置く。
『ファイナルゲーム! ラブオルプレイ!』
「(さて、綾乃は序盤に差をつけるべきって言ってた。ラリーの最中に緩急をつけろとも)」
とは言え弦羽早には、咄嗟に相手が嫌がるタイミングで緩急を付けられる直感は持ち合わせていない。無論適当なタイミングで緩急を切り分けることぐらいは容易にできるが、せっかく新しく手に入れた武器だ、もっと上手く使いたい。
「(なら)」
弦羽早はシャトルを構えると共に、ラケットを下に構える。それまでのバックハンドサーブとは違い、女子に主流のフォアハンドサーブの構えだった。
突然のサーブの構えの切り替えに大井は少しばかり動揺を覚えながらも、ただの揺さぶりだと深く考えないようにする。そして放たれたのはショートではなく、高いロングサーブ。
「(素直にロング!? 本格的に守りに入ってスタミナを削るつもりか?)」
弦羽早の意図は読めないもののわざわざチャンス球をくれたのだから、それに乗らない手はない。だがスマッシュは当然警戒されているので、ここはスマッシュの体勢からカットドロップを繰り出す。
返って来たヘアピンに対し大井も逃げずにヘアピンを送るが、その直後目の前に飛び出してきた弦羽早のラケットにはたかれる。
パシンと音を鳴らしたシャトルは大井の顔の隣を素通りし、コート内に落ちる。
「(ッ、読まれてたか…)」
どうせロブが来るだろうと深く弦羽早の挙動を確認しなかったのも失点の原因だったが、既に疲労が溜まっている頭ではそこまで思考が回らなかった。
続く弦羽早のサーブに大井は目を見開き、動揺から微かにラケットが震える。今度もまたフォアハンドのロングサーブだが、弦羽早のラケットを持つ手は右に切り替わっている。
サーブと利き腕の変化に大井だけでなく、この試合を見ている観客からもざわめきが起こる。
「(なるほど…。常に大井のストレートをフォアハンドにすることで、ストレートに圧を掛ける。互いに手の内を見せて来た中、最終局面でなおスタイルを切り替えて混乱を誘うか)」
コーチ席に大きな腰を下ろす横浜翔栄の監督、木叢はその余りに常識外れなプレイスタイルを冷静に分析する。
弦羽早のラケットのグリップは見る限り左巻きと右手では持ちにくいはずだが、あそこまでコロコロ切り替えるのだから逆巻きのグリップでも打ち慣れている筈だ。
「(大井は決してメンタルが弱い選手ではない。むしろ冷静な方だ。それでも走り続け、追いつかれた状況でこの変化は気味が悪いだろう。だが持ち手が変わったところでそこまで悩む必要はない。ラケットを二本持ってる訳ではないのだから、右利きの選手を相手にしていると頭を切り替えていけばいい。そこに大井自身がいち早く気付けるか)」
弦羽早が放ったサーブは今度はショート。それが男子シングルスにおいてセオリーながらも、直前のロングサーブが頭に離れなかった大井は出が遅れてしまう。そして警戒するのはやはり、現在フォアハンド側となっているストレートのロブ。しかしラウンドに送っても左手に持ち替えられる可能性がある。
――ならここは!
選んだ球種はストレートのヘアピン。だがそれは”綾乃”に読まれている。
勢いよく蹴りだした左足、この一打で決めると大きく跳んだ弦羽早の一歩は大きく、緩い軌道のシャトルは白帯を越えた後直後に叩かれる。
「(…これで前に送りにくくなった。でもクリアーで長いラリーをするのは避けたい。そうなると自然増えるのはスマッシュ。あとは弦羽早の得意なカウンターを数回決めれば完全に崩れる)」
綾乃の読み通り、再び左手に持ち替えた弦羽早の初手はロングサーブ。そこから放たれたのはスマッシュだがコースが甘く、カウンターレシーブを許してしまい一点が加わる。
そのパターンが数回続くと弦羽早はまたゲームの展開を少し緩やかなものにしてミスを数回誘い、またテンポアップを繰り返して連続得点。この辺りでまた左手オンリーにしてクロスファイアを主軸に点数を取得。
それまでの拮抗したスコアが嘘のように21‐7と大きく差をつけて弦羽早のインターハイ出場が決まった。
「…ありがとうございました。完敗だ」
「いえ、もう一回戦うとなれば結果は違うと思います。特にあそこまで崩してくる配球は勉強になりました」
握手を交わす二人を見てまたも綾乃は微かなモヤモヤを抱く。つい先程の準決勝、名前も覚えていない相手は試合が終わるとすぐに、逃げるようにコートを去った。当然握手など交わしていない。
だが次の弦羽早の言葉でその靄が消えるのは、綾乃にとって良いか悪いか。
「ありがとね。綾乃の応援とアドバイスのおかげで上手く崩せたよ」
「…ん、なら良かった」
1ゲーム目を捨てて綾乃が応援に来てくれるまで時間稼ぎをするというふざけた戦略は、思いの他合理的であった。というのも綾乃には指導者としての才能はないが、しかし相手を崩すことに長けている故コーチングの才は多少なりとも持っていた。
単純なメンタルを抜きにしても、綾乃のコーチングは相手を揺さぶりたい弦羽早のプレイスタイルとマッチしていた。
丁度同じタイミングで第三ゲームまで続いていたなぎさの試合も終わったようだ。既に学の試合も終わっており、やはり相模原が去年優勝者としての実力を見せつける結果となった。
学本人以上に悔しがっているのは行輝と妹の空で、涙を流す二人を学が励ます光景が遠目から見られた。
『男子シングルス決勝戦は20分後の二時から行います。繰り返します、男子決勝戦は20分後の二時から行います』
「20分…弦羽早、大丈夫?」
3ゲームを終えたばかりの選手の休憩時間としてはそれはあまりに短いものだ。
「…ゆっくり休んでおくよ」
アリーナにいる選手もほとんどいないので、アリーナの角に座って体を休める。
スタミナに自信があると言っても、今日は既に四戦目でゲーム数は9。確実に疲労は弦羽早の中に溜まっている。その一方対戦相手の相模原は第一シードであることから一戦少なく、試合も弦羽早より早く終えた事からその分休憩時間も長い。
そう考えると気弱なため息が出てしまう。これまでの対戦相手とは違い、相手は明確な格上となる。またシングルスでインターハイ出場経験がある事から、当然弦羽早に似た守備重視のプレイヤーとの対戦経験もあるだろう。
インターハイ出場を決めたのは素直に嬉しかった。それを目標に入学してそれまで苦手だったシングルスの練習に励んできたのだ。ここで喜ばないというのは、ここを目指して負けたプレイヤー達に失礼だ。
だが綾乃と約束した同時優勝となるとやはり少し気が重い。綾乃を抜きにしてもメンタル面では優れた方ではあるが、蓄積された疲労が精神に与える影響は大きかった。
「…弦羽早、肩使っていいよ」
「ありがと…助かる…」
そこに気恥ずかしさや喜びは無かった。無慈悲に時間の流れを刻み続ける大きな秒針に気が滅入っていた弦羽早は、瞼をそっと閉じると隣に座っている綾乃の肩に頭を預けた。
小さい肩は頭を乗せるにはいささか面積が少ないか。ただ冷たい空気とは異なる、綾乃の確かな温かみを感じられざわついた心が落ち着く。
「弦羽早なら勝てるから、自信持って」
「…うん」
「もう十分強いシングルスプレイヤーだから」
「…ありがと。やっぱり、綾乃の言葉が一番嬉しいな…」
少し甘えるような柔らかい口調に綾乃は数回目をぱちくりさせた後、フッと軽く笑って肩に乗せられた頭を空いている手でポンポンと軽く撫でてやる。
チラリと時計を確認しようとすると、こちらをジッと見つめているお団子ヘアに大きな簪を挿した少女と目が合う。なぎさと準決勝を戦っていた相手で、綾乃はその名前を憶えていない。
彼女は頬を真っ赤にしてこちらを挙動不審な様子で見ており、綾乃は鬱陶しいと睨みつける。途端彼女は面白いくらいにビクッと肩を震わせると、そそくさとなぎさの元へと逃げていった。
「(あの人も負けたのになぎさちゃんと普通に接してる…。別に負けた相手がどうなろうと知った事じゃないけど、なんでこう違うんだろ…)」
地区大会から県大会決勝まで10回程試合を行ってきたが、その中で負けた相手が話しかけてきたのは薫子ぐらいで、後はコートの外でも自分を見るやお化けでも見るかのように露骨に逃げ出す。
「(弦羽早とダブルスを組めば分かるかもって思ったけどやっぱり分からない。残す試合はあと一戦だけか…)」
これまでの混合ダブルスを含めた10数戦、心が高ぶる試合は一つたりともなかった。手を抜いた試合を除けば、これまでの試合綾乃の1ゲームの失点は10点いかない。
綾乃は決勝で当たる同じアリーナにいるなぎさへと視線を向ける。丁度クールダウンしている彼女と目が合い、不敵な笑みを向けられたので睨み返しておく。
「(なぎさちゃんも強くなったみたいだけどねぇ…)」
彼女の得意技であるジャンピングスマッシュも今の綾乃はさして脅威だと思っていない。何しろ男子世界トップのスマッシュを味わった今、男子選手並みのスマッシュを打たれたところで怖くは無い。
だからこの一週間、弦羽早がなぎさのスマッシュの練習を手伝うのにも何も思わなかった。
「(…まあ弦羽早と一緒に優勝すれば少しは達成感も得られるか)」
肩に乗せられた頭をチラリと横目で見る。
一週間前のダブルスを境に綾乃の中での彼の存在は大事なものとなった。
こうやって彼の支えになれることに喜びを感じられる。自分の存在が他人の役に立てているのだと充実感と達成感を抱ける。
でも他人は他人だ。弦羽早が何を考え、周囲をどう見ているのか綾乃には分からない。
1日5セットとか嫌がらせですかね?
綾乃がトーナメント向きじゃないって言われてますし書きましたが、一般人から見たらそもそもそんだけ体力ある方がおかしいですわ。
プロでも翌日に響くレベルじゃないかなと。
勿論プロは実力差が学生よりも少ないですし一試合毎の激しさが違うので、負担も桁違いでしょうが。
まあ素人目線なのでよー分かりません(適当)