好きな子と混合ダブルス組むために全国トップを要求された   作:小賢しいバドミントン

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お久しぶりです。えたってた訳ではないですよん。
一応前回の投稿から10話近くはカキカキできてるんですけど、それまでの執筆速度と比べたら落ちていてですね。
一応週一話くらいは書けてるんで決して遅くはない……多分。

まあただモチベが落ちてるのは確かですね~。色々と書くのが難しい。あと年末年始のあれこれだったり、手に入れたゲームやったりと。

ただ次巻で早ければコニーと路の試合も終わるかもしれないので、綾乃とコニー戦が始まる前に終わらせておきたい。正確には有千夏さんが動きだす前にこの作品を終わらせておきたい。





ダブルスについて教えて欲しいの

なぎさが団体戦を離脱する事となった。

膝蓋腱炎。膝の使い過ぎにより炎症を起こすもの。ごくわずかな断裂の為今すぐに影響がある訳では無いが休養が必要となった。

普段からジャンピングスマッシュを多用し地区予選から激しい試合を繰り返してくれば、やはりどれだけ気を使っていても限界があった。

 

なぎさが離脱。それだけでも北小町の女子団体戦には大きな打撃だが、それでは済まない。団体戦の規定ギリギリの五人しかいない中での一人離脱は、それが誰であろうと致命的であった。

 

経験者を探すなぎさと理子だったが、今のこの次期、それも試合に出てくれとなると頷いてくれる者はいない。そんな中で試合に出ると言ってくれたのがエレナだった。

 

綾乃となぎさ、弦羽早の三人が決勝に進出した。そう連絡を貰うと、何とか用事を終わらせて綾乃となぎさの試合を観戦することができた。

そこで持てる体力と精神力、それまでの努力を全て使い切って戦う二人の姿に影響を受けたようだ。

 

エレナはすぐに健太郎の指導の下練習を始めた。そんな彼女の姿に本格的に綾乃を除く他メンバーに緊張が走る。

 

それはそうだ。

 

元々(ダブルス)1で神奈川県最強の二人のペアで一勝、続くD2で落としても、(シングルス)2とS3では神奈川最強の二人がシングルス(本職)で戦う。二敗する可能性はあれど三勝できるだけの強さがなぎさの離脱と共に一気に崩壊した。

 

その切羽詰まった北小町女子三人をチラリと横目で眺める弦羽早は、すぐにエレナの方へと視線を向けて、打撲をしていない右手で顔を仰ぐ。そのどこか他人事のような態度が、”ドライなところ”なのだろう。

勿論何も感じない冷血漢ではないが、弦羽早にとって大事なのは女子の団体戦よりも、エレナがバドミントンを楽しめるかの有無であった。

 

個人競技、それもシングルスに出るとなると当然その実力差は明白となる。もし仮に綾乃が関わる二勝+一勝を続けて決勝まで上がるとして、果たしてその中でエレナが楽しいと思える試合はどれくらいあるだろうか。

おそらく良くて最初の一戦か二戦。悪ければ一戦も無い。

せっかくできた新しいバドミントン仲間。そんな彼女には短時間で強くなってもらうよりも、純粋に楽しんでもらいたい気持ちの方が強い。言うなれば、なぎさが入れない以上団体戦の結果は二の次だった。

 

「あの、弦羽早君!」

 

「はいー?」

 

どこか気の抜けた返事の後輩に理子を含めた、悠と空の三人は少し意外そうに目を開く。昨日の男子シングルスで優勝した少年は、見学中というのもあってか完全に体育館の隅でリラックスしていた。

有千夏に言われた療養中を守っている弦羽早だったが、その症状は有千夏の言った通り本当に大したことはなかった。正直今から試合をしろと言われたら右手でできるし、そうでなくてもノックの練習の手伝いくらいはできる。足だって普通に歩ける。

 

しかしこれまでバドミントンの指導において、王道とは違ったものでも彼女の指導が自分の強さの基盤になっていることは弦羽早も気づいている。そんな彼女から療養と、休むことを学べと言われたらそれに従うのが最終的な近道であると分かっていた。

 

「私達にダブルスについて教えて欲しいの」

 

「これまで、あんまりバッサーとあやのんの邪魔しちゃ駄目って思って聞けなかったけど…」

 

「私も、綾乃ちゃんと組む以上二人のセオリーとかを」

 

空、悠、理子の順に話しかけられ、おおうと思わずたじろぐ弦羽早。両手に花等と浮かれる感情は彼の中には存在せず、少しばかり考える素振りを浮かべる。

 

「…教えるのは構いませんが、俺はことダブルスにおいてはハッキリ言いますよ? 特に泉先輩は、綾乃と組むとなるとより言うかもしれません」

 

優勝して尚完全にシングルスに自信を持てない弦羽早だが(流石に苦手意識は無くなった)、ダブルスにおいてのその口調は自信に満ち溢れていた。

三人ともコクンと頷いくと、弦羽早は軽く笑うとゆっくりと立ち上がり背伸びをする。

 

「それじゃあ改めて実力、見させてもらいます」

 

 

 

クールダウンの時間を除き、改めて三人のプレイをマジマジと見ることはほとんどなかった。理子に関してはシングルスに出ていたのでそこでの動きは知っていたが、ダブルスになると精々最初の綾乃とのノック練習を見たくらいか。

 

結果から言うとなると良くて県レベル。それも県のベスト8はかなり厳しいくらいか。そもそも年々増えつつあるバドミントン人口で、県のベスト8自体かなりハイレベルな部類になる。何しろ彼等も地区大会では優勝候補なのだ。

地区の優勝候補が県では一回戦で負け、県の優勝者も全国では一回戦で負ける。上の大会に上がる毎にまさに基準の格が変わる。

 

「まず見た感じ、伊勢原先輩はストレートのレシーブが多すぎる。海老名先輩はシンプルにネットミスが多い。泉先輩は極端にハイバックの下手さが目立ちますね。あとロブがミドルコートまでしか飛んでないことが多い。ただそれ以外のミスは少ないと思います」

 

「(あれ、弦羽早君ってこんなに淡々としてたっけ?)」

 

「(綾乃んいない時のバッサーって容赦ないなぁ…)」

 

露骨な態度の変化という訳でもないし、本職のダブルスの指導というのが関係あるだろうが、普段とは異なる淡々とした態度に微かに口が開く三人。

 

「まず伊勢原先輩のクロスのレシーブの少なさですけど、そもそも意識すればできます?」

 

「えっと、フォアならなんとか」

 

「じゃあバックハンドか。丁度泉先輩のハイバックとも話が被るんでちょっとラケット貸して下さい」

 

理子から渡された予備のラケットを癖で怪我をした左に持つ弦羽早だが、三人のラケットを持つ手をチラッと見た後、無言で右手に持ち替える。どちらの手の選手に対してもセオリー通り教えることができる点では存外両利きというのは馬鹿にできないのかもしれない。

 

「クロスに打つ手っ取り早い方法は、変に手首をスナップさせなくていいんです。むしろ逆で、手首を立てたまま固定してください」

 

「えっと、こう?」

 

各々弦羽早の手を参考に手首を手前側に立てる。手首が左右に動かず窮屈な感じに三人とも違和感を覚える。

 

「そのまま自分の体の前でラケットを振れば」

 

自分の手前に投げたシャトルを右手を軽く振って当てる。するとシャトルは適当に打った為ネットは越えないものの、確かにクロスへと飛んで行った。

 

「え!?そんな簡単にクロスに打てるの!?」

 

「難しい事は考えなくていいんです。打つ瞬間にラケットの面がクロスを向いていれば、当然そっちに飛んでいく。問題は普通通り手首を立てずに打つと、バックハンドの球を打つ時ラケットは自然と横に向きますよね?」

 

その言葉に三人は何回かいつも通りの構えでラケットを振る。確かに意識していないとラケットは横を向いている。

 

「で、手首を固定するとラケットが斜めの状態でシャトルを迎え入れる。この状態で自分の体の手前でスイングすると、打つ瞬間にラケットの面が斜めに向きやすいんです」

 

「へー!じゃあバッサーもクロスを狙ってる時はこう持ってるんだ?」

 

「いえ? 俺はリストとスイングでクロスに持って行けるんで」

 

「そ、そっか!」

 

仮にも全中優勝者にする質問ではなかったなと悠は苦笑しながらも、一先ずこの場は自分が悪い事にしておく。

口調は丁寧、纏う雰囲気も穏やかで優しい、表情も豊かだ。しかし何か明確に綾乃に対する態度とは恋心を抜きにしても違う。

 

「それで泉先輩のハイバックについてなんですけど、まずダブルスで戦う以上は無理して飛ばそうとしなくていいです。そもそもダブルスで戦う以上、そこまでハイバックで上げる展開がありませんから」

 

ダブルスとは極端に言えばコートを二人で分割して守ることとなる。その為右ネット前から左後ろに打たれ、ギリギリハイバックで打つと言う状況はまず起こりえない。故にハイバックより体力を消耗するものの、威力が出やすいラウンドで打つのが基本だ。

それでもハイバックで打つ状況は、ラウンドを打つには低く、かと言ってドライブを打つにも高い微妙なハーフ球。

 

「そしてハイバックが難しい理由に打つ瞬間と足の踏ん張りが同時でないと力が籠められないって言うのがあって、泉先輩もそれが上手くできてないから飛んでない感じです。でもドロップの場合は足のタイミングはそこまで重要でもないし、予め手首を立てて腕を振った場合、スナップのブレがなくなるんである程度打つ場所の感覚を掴んでおけば、それなりに良い角度で入ってくれます」

 

また適当に上げた球を手首を固定した状態でハイバックで打つ。そのシャトルの軌道は白帯の上数センチを通り、シングルスのサイドラインより僅かに外側に落ちる。

 

「…これまで綾乃ちゃんのインパクトが強かったけど…」

 

「弦羽早君って、ほんとダブルス上手なんだね」

 

「ダブルスはコーチより教え方上手いかも」

 

ひそひそと小声で話し合う三人の後ろへ大きな影が現れ、一番最後に呟いた悠の頭を大きな手の平ががっつりと掴む。

 

「誰が誰より上手だって?」

 

「コ、コーチ!? い、いやいや、なんでもないですよ!」

 

”ちょっと様子を見に来たら”と健太郎は軽く息を吐きながら掴んでいた悠の頭を解放する。力を込めてヘッドロックをしていた訳でもないので笑い話で済んだが、もしあの巨大な手が本気で自分の小さな頭を掴んでいたらと思うと、悠の背筋がゾッとする。

 

「弦羽早~さっきから何やってるの?」

 

その健太郎の背中に隠れていた綾乃がひょこっと顔を出す。

昨日の綾乃の部屋での出来事を思い出して僅かに顔を赤らめながらも、見学とはいえ部活の最中だと顔つきは変わらなかった。

 

「ダブルスについて教えてって言われてね。今は手首を立ててクロスに打つって話」

 

「ふ~ん…? それってわざわざ教えるようなことなの?」

 

辛辣な綾乃の一言は先輩達に苦笑いを浮かべさせるには十分なものであったが、北小町のメンバーの心は広い。

 

「教えるようなことです。綾乃が来たなら丁度いいや、ちょっと泉先輩と一緒にコートに入ってくれる? 泉先輩もお願いします」

 

「了解」

 

「おっけ~」

 

「ポジショニングに関してですけど、コーチも確認してもらっていいですか?」

 

健太郎はエレナの方をチラリと見ると、ちゃんとなぎさが付いて丁寧に教えてくれていた。説明下手ななぎさだが、ちゃんと指導できているようでエレナも困惑した様子も無く素直に頷いていた。

 

「おう」

 

「まず前提としてトップアンドバックでの理想の状態は、やっぱり綾乃が前衛になります。逆に綾乃が後衛、泉先輩が前衛の場合は、ストレート勝ちできるセカンドゲームでもない限り弱い。綾乃にはクロスファイアがあるけれど、当然サイドバイサイドの相手にはシングルス程のエースショットはなりにくい。それでも綾乃なら配球で点は取れるけど、S2とディフェンスの労力を考えると控えた方がいいかな。

それに泉先輩も相手の苦手な配球が得意。となるとわざわざ綾乃が後ろに出るメリットが少ない」

 

ここまでの話、健太郎も特に首を横に振るポイントは無かった。超前衛向きの綾乃がダブルスに入るとすればそこに当てるのは当然と言える。また理子の配球の上手さもよく知っている。

 

「で、このトップアンドバックの状態で一番警戒すべきが泉先輩へのバックのハーフ球。まず綾乃には相手が露骨に泉先輩のバックを狙って来たらハーフ球を狩るように」

 

「はいは~い」

 

「ロブに関してはラウンドである程度打てるとして、ただ綾乃がサーバーの時のレシーブでバックに来た場合、流石の綾乃も距離的に届かないだろうから、その時さっき教えてクロスのドロップを打って下さい。で、よほど浮いてキルショットにならなければ後は泉先輩はこことここだけ守ってれば大丈夫です」

 

理子がハイバックを打ったと仮定してコートの左後ろにいる弦羽早は、その目の前の左のコート中央(ミドルコート)、中央のコート奥(リアコート)にラケットを向ける。

 

「え、そこだけでいいの?」

 

本来この状況になると、相手の前衛とこちらの前衛の位置によりけりだが、場合によっては反対のリアコートか、直線のネット前を担当しなければならない。この”状況によって”というのがダブルスの面白さであり、難しいところだ。

 

「はい。あとは全部綾乃がなんとかします」

 

「え~、投げやり…。まあできるけど」

 

「できるんだ…」

 

驚きから悠が呟く。

 

「そしてもしミドルコート付近の微妙な球を上げてしまった時、この時はもう無理してサイドバイサイドにならなくていいです。間違いなく泉先輩が狙われますので。

案としてはトップアンドバックの状態を維持し、綾乃がコート中央に立って、泉先輩が相手のストレート寄りのリアコートに。これで後ろのクリア系や奥へと伸びるスマッシュは泉先輩が、それ以外の普通のスマッシュ含めた球は綾乃が担当で」

 

「…私に厳しくない? まあできるけど」

 

「やっぱりできるんだ…」

 

またも悠がポツリと呟く。

 

「なるほど。ダイアゴナル・ディフェンスか。確かに甘いロブを上げた場合は下手なサイドバイサイドより奇襲性も高いか」

 

ダイアゴナル・ディフェンス。ディフェンダーの一人がミドルコート、もう一人がリアコートに構えるトップアンドバックを維持した防御の態勢だ。

そして弦羽早が、相手のストレート寄りに理子がいるようにと言ったのは、その状況で守備の要となる綾乃にとって一番嫌なのが、奥へと伸びるストレートのスマッシュだからだ。特にダブルスのサイドラインギリギリとなると流石の綾乃でも取れない。

またクリア全てを綾乃がパスできるため、低い球に集中しやすい点もメリットとしてあげられる。当然綾乃という倉石にバグ扱いさえる選手がいて成り立つ戦略であるが。

 

「そしてこの状況でドライブ戦となった場合、基本綾乃のタッチの速さなら相手の返球をある程度ストレートに限定できます。ただ当然強い相手となるとそうもいかないので、そこは綾乃の立ち位置によって合わせてみてください。泉先輩はその辺り間違いなく得意だと思うので、そこの動きは自信持って下さい」

 

「私もいい加減弦羽早にシングルスに自信持って欲しいなぁ」

 

「あ~、流石に苦手とはもう言わないよ。自信もついたからあんまり掘り起こさないでくれる? 結構恥ずかしいんだけど」

 

「え~? どうしよっかな~?」

 

僅か数秒で蚊帳の外に放り出された三人だが、すぐさま入り込める頼りになる大人が一人。

 

「お前ら、仲がいいのは構わんが後にしておけ。で、他に特殊な動きやフォーメーションの案はあるか?」

 

「あとはサイドバイサイドの状態で泉先輩が集中的に狙われた場合ですけど、そこに関してはまだ何とも。レシーブの練習に徹底するか、あるいはまた特殊な動きにするかですね。ただ泉先輩にはS3があるので、下手にダブルスレシーブの癖がつくと今度シングルスのスマッシュで足が出にくくなりますから…」

 

ダブルスのスマッシュレシーブは基本構えた状態から足を動かすことは少なく、あっても横に一歩動くくらいだ。対してシングルスのスマッシュレシーブは時に跳び付く状況があるくらいだ。

サイドラインが広くなろうとも、一人か二人かの違いはそれだけ大きく違う。

 

「流石、経験者が言うと重みが違うな」

 

「コーチまでからかわないで下さい…。まあ一先ず俺が今考えてる二人の動きはこんな感じです」

 

「ああ、了解した。秦野がダブルスの動きに関与してくれるのなら、報告してくれるのなら基本一任する。ただ泉の練習はシングルス中心で行こうと思っている。そこは考えておいてくれ」

 

「分かりました」

 

 

ーーーー

 

 

休養中でもバド部に顔を出すことが決まった弦羽早だが、元より一週間後には男女各々のダブルス、二週間後には混合ダブルスが控えていた為、綾乃とどこかに遊びにいくのは勿論、クラスの友人たちと遊ぶ気もなかったのでむしろ丁度いい機会だと改めてダブルスの知識を見直す。

なぎさは膝の影響がない範囲でエレナにマンツーマンの指導を行い、健太郎はノック練習をしつつも他校のこれまでの成績を洗いつつ団体戦メンバーの情報収集。当然一週間後のダブルスのことも忘れておらず、団体戦で戦う可能性がある選手たちをマーキングしておく。

 

それからはコーチが二人に増えたようだと、悠と空は悲鳴を上げていた。弦羽早はノックも控えていたので妹に頼まれ学がノックを繰り出し、そこに弦羽早が逐一口を出すのがこの一週間での主な部活内容となっていた。

 

一方綾乃はシングルスを中心に理子と一緒に練習することが多くなり、コミュニケーションを深めるために時折一緒に登下校したりと会う時間を増やしていた。

 

そしてあっという間に時間は流れ女子ダブルスと男子ダブルスが行われる休日が終わった。

 

結果から言うと運が悪かった。

薫子とミキの組と同じブロックになっており、想像より遥かに強かったそのペアに悠と空は地区決勝で惨敗した。薫子はシングルスプレイヤーかとも思っていたが、その頭の回転の速さから後衛からの組み立てが上手く、後衛の薫子が崩し前衛のミキが決めると言う見ていて見ていて気持ちの良い組み立て方をしていた。

 

学と行輝のペアも、行輝が徹底して狙われる展開が多く、そこを突かれてやはり地区大会止まりとなってしまった。

元々学も行輝もダブルスには力を入れていなかった為ある種当然の結果と言えるが、これで学は引退となった。

 

とはいえまだ彼女達の練習は終わらない。個人ダブルスが駄目だったのならせめて団体戦ではと気合を入れ直す。

 

そして弦羽早も休養期間を無事終え、打撲も完治したのでラケットを持ってコートの中に立つようになった。

 

「ねえ二人とも。明日ミックスの県大会なのに、一緒に練習しなくて大丈夫なわけ?」

 

軽いクールダウンの間、仲良く隣同士で水分補給をする二人へとエレナは話しかけた。

ラケットを持つ姿も初めてラケットを持った二週間前に比べるとだいぶ様になるようになってきている。

 

この二週間、正確には弦羽早が練習に復帰してから一週間だが、二人はそれまで程ミックスの練習を中心にしていなかった。弦羽早は悠と空の練習に付き合い、綾乃も理子との練習時間はほとんど変わらない。

団体戦も遠くないとはいえ、試合前日にもなって同じコートに立たないのは初心者のエレナでも良くない事は分かる。

 

「へーき。軽いノックはしてるし、ね?」

 

「うん。一週間も休んだおかげでコンディションも整ってるし」

 

「いくら世界ランク一位倒したからって調子に乗ってると痛い目見るかもよ?」

 

「痛い目、ねぇ…。まあそうなる試合ができるのならむしろ楽しみかな」

 

フッと嘲笑うように目から口へかけて不貞腐れた笑みを浮かべる綾乃に、眉間にピキッと青筋を立てるエレナ。

最近の綾乃は暗く冷たい目はせず、落ち着いた雰囲気を纏うようになった。口の悪さは依然変わってはいないが、前よりも人間関係に対して前向きになったようにエレナは感じ取っていた。

 

「(明日の試合でまた綾乃の性根が変わる試合があるといいんだけど――)」

 

 

翌日

 

 

『ゲーム!マッチワンバイ羽咲・秦野! 21(トゥエンティワン)  ‐  2(ツー)

21(トゥエンティワン)  ‐  1(ワン)!』

 

「な、なんかあの二人前よりも強くなってない?」

 

「レベルが違い過ぎてよく分からないです…」

 

 

 

 




スポーツもの見てると感覚狂いますけど県8位って滅茶苦茶上手いですね。
ほんとに日本のバドミントンのレベルは高いと思いまする。

クロスについての小話は果たして私の文章力で伝えきれたのかが疑問です。プロの試合では簡単そうにクロスに打ってますけれど、実際は上級のテクニックですし、クロスにもメリットデメリットがあったり。まあその辺りの話語りだすと長いので。
ただパターンはあれど絶対が無いって言うのがスポーツの面白いところですね。まあミントン以外のスポーツは全く知りませんが。

ただクロスに打つにしても打ち方って色々あるので間違ってはないですけれど、違う打ち方の人も全然います。
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