地雷短編集 作:駄文製造機
異世界転生 1話
?「すまん! ワシのミスじゃ‼」
「え? 何この幼女。土下座なんてしちゃって」
?「ワシは神じゃ! 突然だが、お主は死んでしまったのじゃ」
「死んだの⁉ というかここはどこ⁉」
神「ここは審判の部屋。本来ならば魂の行き先をここで決めるのじゃ」
「本来なら?」
神「うむ。お主まだ死ぬはずではなかったのでな。転生して貰うことになる」
「ああ、神様転生ってやつか」
神「話が早くて助かる。本当に申し訳ないことをした」
「じゃあ、転生特典は俺が選んでもいいよね?」
神「仕方がない。特別じゃぞ?」
「なら特典は『
神「強すぎないか……?」
「誰のせいで死んだと思ってんだ」
神「うっ……」
「あーあ、これからバラ色の人生を味わえたはずなのになー」
神「……わかった。その能力を授けよう。そこの渦に飛び込んでくれれば転生は完了じゃ」
「この青いやつに飛び込めばいいのか?」
神「そうじゃ。そうすれば新たな人生の始まりじゃ」
「じゃあ、もう行くぜ」
神「うむ。良い来世を」
※
「ここは……草原か? あそこにあるのは馬車だな。……いや、でかいトカゲが引いてるからトカゲ車か? それにしても凄いトカゲだな……あんな重そうなオッサンが載っているのに車まで引くなんて」
怪しげな男「待ちな! そこの車‼」
オッサン「なんだね? キミは。この私を大商人マルッコイと判っていて、そんな生意気な口を利いているのか?」
怪しげな男「へっへっへ……お前がマルッコイだってことは、よーく判っているさ。そして、状況が理解出来てないのはお前の方だ。野郎ども、出てこい!」
部下×8「「「「ヒャッハー!」」」」
マルッコイ「なっ……穴を掘って隠れていたのか‼ 気づけなかった! ……貴様ら、最近辺りを騒がせている盗賊団だな!」
盗賊ボス「今更気が付いてももう遅い! 金目の物と……貴様の命を貰おうか‼」
マルッコイ「ひぃっ! 荷物は渡す! だから命だけはお助けを‼」
盗賊ボス「駄目だね。俺の顔を見たからには生かしちゃ置けねぇ。……野郎ども、やっちまいな!」
盗賊部下×8「「「「ヒャッハー!」」」」
マルッコイ「だ、誰か助けてくれ!」
「そこまでにしときな、盗賊ども。どうしても戦いたいなら俺が相手になろう」
盗賊ボス「なんだ、お前は。どこから来やがった!」
「最初からここに居たさ。ただ、透明になっていただけでね」
盗賊部下「そんなはずはない! 人間が透明になるなんて、おとぎ話の世界だけだ!」
「そうなのか? だが、そういったアイテムがあるのさ……神話の世界にはな!」
盗賊ボス「ええい、何を訳の分からないことを言ってやがる! お前が何者であろうとも、俺たちはS級の賞金首だ‼ たった一人で何ができるってんだ! さっさと片付けさせて貰うぞ‼」
「ちょうどいい。
※
「口ほどにもないな。
盗賊ボス「くっ……お前の顔は覚えたぞ! 今は見逃してやるが、このお礼はいつか必ず返す‼ 野郎ども、撤退だ!」
マルッコイ「……逃げましたな。しかし、奴らを無傷で蹴散らすとは、とんでもないお方だ。名前をお伺いしてもよろしいでしょうか。」
「そうだな……ヘルトとでも呼んでくれ」
マルッコイ「ふむ、聞いたことのない名ですね……。あなたのような方ならば、大陸全土に名が轟いていてもおかしくないのですが」
ヘルト「ああ、つい先ほど転移魔法で飛ばされきたのさ」
マルッコイ「そこで襲われている私を見つけた、と」
ヘルト「あまりに遠いところから飛ばされてきたからね。ここの常識は全く持ってないんだ。良かったら教えてくれないか?」
マルッコイ「あなたは命の恩人ですからね。喜んで……と、言いたいところなのですが、何分私も忙しい身でしてね。代わりと言っては何ですが、ギルドへの紹介状を書きましょう」
ヘルト「ギルドっていうのは何だ?」
マルッコイ「何でも屋の集まりです。あなたほどの実力があれば、すぐにでも一目置かれるでしょう」
ヘルト「ああ、それは助かる。ギルドまではどうやって行けば?」
マルッコイ「この道をまっすぐ行けば、街が見えてくるはずです。私は反対方向へ用が有るのでご一緒できませんが、門番に紹介状を見せればギルドまで案内してくれるでしょう」
ヘルト「それは助かる」
マルッコイ「では、一筆したためますので、少々お待ちください」