時のターコイズ   作:遠藤さん

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序章ってやつです。主人公が養子だってことがわかれば大丈夫。
閑話の類は短めにしております。次はそこそこ長いから覚悟して、どうぞ


4部
(乙女)の秘密①


「此処に1~6部までのそれぞれ第一巻が置いてある」

 

「はい」

「この中から一つ選んでおくんなまし」

 

 

私のマスターは、いわゆる「変人」の部類に入る人だ。いや、人かどうかはわからないけども。

マウスカーソルの矢印が立体的になったような姿かたちで、大きさはサッカーボールくらい。どこから声が出てるのか、どうやって生きてるのかもわからないし、名前だって「マスターとよんでおくれよン!」と言われたからそう呼んでいるだけ。

素性が知れない人だけど、唯一漫画やアニメなんかの趣味はピッタシハマるんだ。

だからこそ、今の私は困惑している。

 

「なぜ6部までなんですか?」

「私がそこまでしか持ってないから。というか六部はまだ読んでない」

「私だって四部の途中までしか読んでないです」

 

目の前に置かれた六冊のコミック本。目をつむるでも、無造作にでも、好きにでもいいから一つ選べ、と私は推された。なぜなのか、質問してもいいからいいからとなだめられてしまう。

仕方なしと私は一冊だけ選んだ。

 

「へー、やっぱそうだよね」

「なんか一番に頭にシーンが浮かぶんですよね。はまったきっかけっていうのもあるんでしょうけど……」

「OK,好みは把握した。楽しみにしといてよね」

「いったい何が始まるっていうの」

「第三次大戦だ」

 

コミックをどうやってか抱えたマスターさんは、どうやってかけらけら笑いながら部屋を出て行った。日暮れのことだった。

夕食をとり、風呂に入り、すこし絵を描いたら眠くなったので、そのまま眠った。

熱気でじんわりと苦しい中、やけにスムーズに眠気が襲ってきた気がした。

 

 

 

 

あおいちゃんのかみのけってきれいね。でもへんだよ。みんなとちがうね。

 

「うん……かくせいいでん、っていうんだって」

「へー。えきまえにね、うちがわだけ、あおいちゃんみたいなかみの人がいたの。

そのひともそうかなぁ?」

「わかんないなあ」

「そっかあ」

 

 

ヘンだよってね。みんな言うの。

おかあさんはね、とってもほめてくれた。宝石みたいできれいよって。それがすっごくうれしくて、夏場にあつくても、うっとおしくても、きれいに保って伸ばしてた。

あたまをなでてくれるのがうれしかった。梳いてくれるのがうれしかった。

今じゃあ、フトモモまで届くくらいなの。

父親はそうじゃなかった。気味悪がって、私を産んだお母さんもつっぱねた。

離婚した。お母さんは私を責めなかったけど、心のどこかで私を恨んでいたでしょうね。だってお母さんはあの男が大好きだったもの。いつだって恋する乙女の顔だった。

最終的には、盲目的にあの男を欲してしまって、私は都心から遠い場所で暮らすことになったの。

文句はないよ。だって、そうなるべきだったって確信が、「納得」が心の内側にあるもの。

だから謝らないで母さん。わたし、あなたの子どもで幸せよ。

 

 

 

胸の内側からはりさけそうなくらい熱くて苦しかったの。しんじゃうんじゃあないかって先生にすがったけど、

「あいつがしでかすだけだから問題ない。眠ってなさい」

って冷えた手で頭を撫でてくれるだけだった。いつかのかあさんの手のひらみたいにやわからかくて、安心できそのまますぐに眠ったの。ずっと兄さんが手を握っててくれたから、さみしくもならなかったの。

 

それでもあるとき、本当に心細くて、つらくて、だれにも気づかれたくなくて、隠れて泣いてたの。そしたらね、そのこがまほうをかけてくれたの。

道路の真ん中で泣いててもだれも私を気にしなくなって、思う存分私は泣きわめけたの。私にとってもよく似ていて、ずっと頭をなでてくれた。

 

先生が迎えに来てくれて、兄さんがだっこしてくれて一緒に帰るまで、そのこが一緒にいてくれたの。そのこはいつまでも私の隣にいてくれた。

家族のような存在。

私は、その子のことが、本当に、

 

 

 

*

 

 




琴葉葵 AOI KOTONOHA  牡牛座 B型
誕生日:4月25日 
趣味:漫画を読んだり絵を描いたり小説を読んだりすること
性格:温厚で涙もろい、面倒くさがり気味。
あまりにもショッキングなことがあると自分を見失う。
変だとか普通じゃないことが怖い。
家族:義父・義兄
好きな映画:パコと魔法の絵本(主題歌を聞くだけでボロ泣きする)
略歴:不明
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