時のターコイズ   作:遠藤さん

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Q 週刊投稿はできましたか…?
A 1月に二冊本をだすとできないことがわかりました


山岸由花子は恋をする

「髪型変えたのね」

 

承太郎がコウの身の内をほんのすこし感じ取ったその次の週。

なんだかんだ女同士で仲が良くなった葵と由花子は、昼休みを共にしていた。二人とも友人がいないわけではないが、由花子が改まって「相談がある」というので、葵がクラスメイトよりも由花子を優先しただけである。

ただ、この時の葵にとっては都合がとてもよかった。

 

少し前までは仗助と昼休みを過ごしていたのだが、葵が1週間休んだ明けの日から、仗助と顔を合わせるのがなんとなく嫌だったのだ。由花子に変なくぎを刺されたときからそれは明確になった。思えば、葵は元来ああいった光の中でさらに光を発するような人はなかなか好きになれない。なぜいままで一緒に過ごしてきたのだろうか。家が近いからと言って深く関わる理由にはならないはずなのに。

そう自覚してから、仗助が挨拶をしてくれることも、登下校を共にしていたことも、想像するだけで、なんだかもやもやとして背筋をかきむしりたくなるような錯覚に陥った。

おかしいとは思う。少し前まであんなに好意的に感じていたのに、どうして突然こんな気持ちになってしまったのだろう。高校へ入学してからしばらく経つが、はじめはこんなこと考えもしなかったのだ。もっと明るくて、光の中にいる彼にも劣らないくらい笑っていたのに。今ではすっかり自分の影が浮き彫りになっている。

学校をずる休みしてコウと一日を過ごした次の日から、葵はさらに仗助に顔向けができなくなった。無視してしまった彼に一言くらい言えばよかったのだろうか。変わらず昼休みを誘ってくれる仗助の文句をどう断ろうかと頭を悩ませていた。だからこそ、由花子の誘いはとてもありがたかった。

 

「え?ああ、うん…ちょっと気分転換で」

 

「そう。なんだか、おろしていたほうがしっくりくるわね」

 

「あはは、ありがと。私もこっちのほうが落ち着く」

 

葵は改造制服とポニーテールをやめた。なんだかすごく恥ずかしいことをしている気分になったのだ。学校指定の制服に身を包み、ヘアアレンジは軽くリボンをつけるだけにした。このくらいのオシャレなら、不良の多いこの高校なら許されるだろうと思った。それに、由花子の言う通り、すべて結い上げてしまうよりおろしていたほうが、しっくりくるし落ち着くのだ。理由はないが安心感がある。今朝、突然イメージチェンジした娘を見たコウも、驚きこそすれど、「そっちのほうがいいね」と肯定してくれた。

そういえば、仗助はどんな表情をしていただろうか。あまり気にならないので、自分にとってたいしたことではなくなったのかもしれない。

 

「それで、相談って?」

 

葵が話を切り出した。

 

「ああ…そう。わたし…康一くんに告白しようと思うの」

 

「………………お、おお……」

 

葵は素直に感心した。

 

「なに、その反応…以外かしら」

 

「いや、すごいなあと思って…」

 

由花子の拗ねるような視線を受けながら、葵は改めて由花子の女の子らしさを知った。

自分が好きな人ができたらまず告白できるできないなんて考えないが、由花子は自分の思いを伝える決心をしたのだ。友人?として、女性として、その勇気は素直に尊敬する。

 

「私が好きな人ができても釣り合わないな~とか考えちゃうし…すごいなあって…」

 

「あなたつくづく自分に自信がないのね…ねえ、断られたらどうしたらいいと思う?」

 

「由花子さん美人だから大丈夫だと思うけど、そーだな。友達でいてくださいって言う?」

 

「やっぱり、そうよね。」

 

それはどっちの「そうよね」なんだ。

葵は疑問に思ったが口に出さないことにして、冷えて少し固まった白米を咀嚼した。まあ、実際由花子は美人だし、友達でいてくれともいえるだろうけど。

彼女の心の強さを葵はよく知っている。

 

「いつ告白するの?」

 

「今日の放課後よ。ドゥ・マゴに呼び出したの…来てくれるかしら」

 

「あ、すでに決行済みなんだね!?来るでしょ。彼優しいし。」

 

「知ってるわ、康一くんがやさしいことなんて。でもそれでも心配になるじゃない。」

 

「うーん、そうか。そうだよね」

 

由花子は目を伏せ、心配そうに眉を下げた。まさに恋する乙女そのものの顔をしている。実に絵になるもので、まるで少女漫画から切り取ってきたかのようだ。

美人だなあ、と改めて、自分の髪をいじりながら葵は思った。

 

この青い髪は生まれつきだ。つい先日まで黒く染めていたがやめにした。意味がないと思ったからだ。

ここまで伸びてしまったのも、切ってしまおうかとも考えた時に、唯一生まれた時からずっと一緒にいるのだから、と手を付けなかっただけのこと。

そもそも、染めていたのを落としたこともだれも気付かないようだった。

釈明する手間が省けたので全く構わないのだが、ちょっと寂しかった。

 

…仗助は気づいたのかな。

 

「いや、東方君は関係ないじゃん…?」

 

思考に踏み入ってくる仗助の顔に呆れるように、額に手を当てた。

今考えるべきなのは由花子の恋の応援方法。自分の悩みなどそのへんに置いておくのだ。というか彼についてはあんまり考えたくないから遠くへ投げ捨てたい。

というか、こうやって何度も考えてしまう意味がわからない!迷惑だ、だれのせいなんだコレは!というか今までよくもまあ一緒に育ってこれたなあ!若気の至りなのか!?

 

「…ねえ、あなたもついてきてくれない?」

 

「え?うん…」

 

アレ、なんだ。考えないようにと思えば思うほど陥ってしまうじゃないか…

葵はブンブンと頭を振って無理やり思考を止め―――

 

うん?

 

「うん?」

 

「本当!?実はとっても心細かったの!あなたに康一くんに近づかないでなんて言った手前、もっと強く心をもたなきゃって思ってたんだけど、あなたと話しているうちになんだか心配になってきちゃって…でもやっぱりこうやって相談してよかったわ!ありがとう、葵!一緒にドゥ・マゴまで行きましょうね!」

 

「え、へぇっ……?はぁ…はい…」

 

葵は頼まれると断れないタイプである。

今度はちゃんと話を聞こうと思った。




原作の存在を忘れたことにより、「ジョジョの世界でただの琴葉葵として生きた場合」の人格になっちゃった葵ちゃん。
はたしてこの後どうなってしまうのか…
いやあ別に、「これぜったい葵ちゃんがどうなってんのかわかってもらえてないよな」って思って蛇足してるわけじゃあないです ほんとだよ

全然わからない 俺たちはフィーリングで小説を書いている

次回もまあ遅くなるかもしれませんが本業?が絵なので…あと動画もちょこっとやってるので…いろいろ手を出してるので…すいません 気長に待っててください
書きたい気持ちはいっぱいですから

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