暁新伝《BORUTO編完結》   作:モリッチ

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人生で最も印象的な出会い

 少し色のくすんだ白い壁が見えた。

 

「ん?」

 

 ぼやける視界を擦る。おかしい、いつもの天井となんか違う。もっとこういつもは辛気臭い天井だったけど、この天井は好々爺みたいな天井だ。というか、何故僕はベッドじゃなくて椅子に座っているんだ?それとなく周囲に視線をやると、半端ない量の書類が山積みになった机に、どこかの里が一望できる大窓。壁にはご先祖か歴代代々の写真が飾られていた。

 

「気づいたみたいだね」

 

 机を挟んで、銀髪にマスクの忍びが目の前に座っていた。服は一般的な木ノ葉の忍装束を着ているけど、滲み出る強者のオーラはスケアさんに似たものがあるな。軽く周囲を熱スキャンしてみる。

 

 これによれば天井裏に二人、門の外側に二人。気配の隠し方的に上二人は暗部だな。外のうち一人は一応隠してるみたいな感じか。最後の一人はもはや隠す気無いな。これが一番警戒すべきか。

 

「随分、落ち着いているね」

「ええ、命を取る気なら僕が気絶している間に取ればいいですし、なによりこの状況じゃどうしようもないですしね」

 

 そう。腕は拘束されている状況で、この人数の忍を相手取るのは少し厳しい。あの化け物イカを消し飛ばした時みたいに、謎のチャクラが利用できればいいけど二度と出来る気がしない。一番痛いのは、何らかの封印術でチャクラコントロールが著しく悪化していることか。

 

「なら、話は早い。一つ君に提案があってね」

 

 自分に施された傀儡仕掛けだけじゃ、流石に突破できないな。

 

「何でしょうか?」

「実って組織と、君の所属組織について教えてくれないかな」

 

 しょうがない、諦めて投獄されて折を見て脱走するか。

 

「有り得ませんね、僕になんの得が有るんですか」

 

 カカシはにっこり微笑んだ。

「選択の余地が君に残されていると思う?」

 

 笑顔で威圧してくる男に僕もにっこり微笑み返した。

 

「黙秘、脱走、自害、色々あると思いますけど?」

「はぁ~。まあ、あえてメリットを述べるとするなら君の老中暗殺並びに土の国の忍殺害の嫌疑を払拭してあげよう。我々としては一刻も早く黒幕を突き止めたくてね」

 

 ・・・何を言っているんだ。そんなの信じられる訳ないだろう。第一、その程度の事で僕が仲間を売ると思われているなら、舐められたものだ。

 

「何の話ですか?あれは、過激派組織のテロと聞きましたけど。・・・仮に僕がやったとしても忍としての任務を成しただけです。木の葉だって、暗殺任務なんて星の数ほどこなしてきたでしょう。その度に法律違反だとか気にしました?」

 

 カカシは黙り込んだ。長い時間黙した後、言い聞かせる様に話し始めた。

 

「確かに昔はやられた方が悪い、そういう時代だった。忍びや権力者は平気で他人の命を取り、代わりに常に自身の死も覚悟していた。だが、今は違う。世界は平和に向けて着実に歩みを進めている」

 

 そうかもしれない。でも僕はシンゲン様のいう世界やドントさんの思いも聞いてきた。

 

「詭弁ですね。それは仮初めの平和です。大国の犠牲に遭っている国、民族もいますし、それに漬け込む裏組織も蔓延している。忍びの本質同様、世界の本質は変わらない」

「それは違うってばよ」

 

 聞く人すべてを鼓舞し、納得させ、安心させるような力強い声が聞こえた。僕はバッと振り返る。

 

 ドアが開き入ってきたのは、一度見たら脳裏に焼き付いて離れない金髪にオレンジ色の服の忍。でも、なにより見過ごせないのは、火と書かれた菱形の帽子と七代目火影と刺繍された白い外套。この人が現火影か。彼は今まであったどの忍びより巨大に見えた。

 

「そんな世界は必ず俺が変えて見せる」

「ナルト。合図を出すまで隠れていろって、言っただろう」

 

 銀髪マスクの忍が火影を諌める。どうやら、このマスクの男が僕を一人で説得する心積もりだったみたいだ。まあ確かに、敵の忍との交渉中に乱入するなんて何を言い出す気だ?

 

「すまねえ、カカシ先生。けど話を聞いていたら、黙って聞いてるなんてどうしても出来なくなった」

 

 この忍び、隙だらけに見えて全く隙が無い。いや違う、余裕があるんだ。慢心からじゃなく本当の強者としての。でも、

 

「世界を変えるのはお前じゃない、ドントさんだ」

「いや、俺はそいつが変えた世界なんて認めねえ」

 

 神経が張り裂けた気がした。

 

 金髪の忍の首を蠍の尾が跳ね飛ばしに行く。が、オレンジ色のチャクラの前にそれは叶わなかった。太陽の様に包容力のあるチャクラの腕が蠍の尾をしっかり掴んでいたからだ。

 

「今なんて?」

「認めねえ。誰かが犠牲になるような世界なんて、認めねえって言っているんだ」

 

 犠牲を払わずに世界を変える事なんて出来るわけがない。それどころか、自分も含めて誰かを犠牲にする覚悟が無ければ、世界を守る事すらできやしない。忍は自己犠牲が本分だ。

 

「彼らは忍だ。一般人じゃない、死の覚悟くらいできている」

「そいつらにだって、仲間や家族はいたんだぞ」

 

 無意識に尾の力が弱くなる。何故?僕は罪悪感を感じているのか?そんなはずは無い。だって、僕は間違ったことはしていないのだから。すべきことをしただけだ。そう思い込もうとした僕を、僕の心を火影は殴りつけた。

 

「軽々しく命を語るお前は、本気で世界をどうにかしようなんて考えてはいねえ。自分のこと、仲間、家族しか考えてねえ子供だ。世界を言い訳にすんじゃねえよ」

 

 愕然と椅子に座りこむ。

 

 何も言い返せなかった。そう、本当は周りの事とか、世界の事なんてどうでもよかった。ただ自分の身内だけ良ければいい。自分がよければいい。そう思っていた。

 

 ナルトは暫くリオンの姿を見つめた後、沈黙を破った。

 

「カカシ先生」

「なんだ?」

 

 カカシはナルトの雰囲気に何か感じたのか、いささか警戒気味に尋ねる。

 

「こいつは俺に預からせてくれねえか」

「馬鹿なことを言うな。この子にはS級並みの嫌疑が掛かっているんだぞ」

「・・・俺には、こいつの気持ちが分かるんだってばよ」

 

 彼は自分の生徒の発言に頬が引きつるのを自覚した。こうなったこいつは絶対に自分を曲げないと、今までの長い付き合いで悟っているからだ。そんな恩師の様子に構わず、ナルトは話し始めた。

 

「やっとできた繋がりを失うのが怖くて、それを守るのに必死になって、他人にも繋がりがあるって気づかねえんだ。俺は生まれた時から親を知らなくて、みんなが俺を避けた。そん時は、悪いことだと分かっていても悪戯をするのが止められなかったからなあ」

 

 ニカッとナルトが笑い、しゃがんでリオンに視線を合わせる。

 

「俺のダチにもな。持ってた繋がりを失って、復讐に走っちまった奴がいてよ。最後にはそいつは忍界の闇を背負う為に、自分の全ての繋がりを断とうとしたんだ。でもなあ、繋がりってのは切るもんじゃねえ。もちろん他人のもな」

 

 自分の命や繋がりより、他人の繋がりを優先する?そんなことができる人がいるはずがない。そんなことが・・・

 

「後ろにシカマルってやつが居るから、そいつについて行け。俺の家に案内してくれっから」

「おいおい、マジかよめんどくせー」

 

 髪を後ろに縛った黒髪の忍が入ってきた。

 

「頼むってばよ」

「あ~、分かったよ。おい、リオンとか言ったか着いてこい」

 

 ガリガリと頭を掻きむしりながら少年に呼びかける。しかし、リオンは黙り込んでついていかない。シカマルはめんどくさげにため息をついた。

 

「はぁ~。おい、繋がりってもんが何か知りたくないのか」

「・・・・・・」

 

 カタンと椅子が動いた。

 

 

   *

 

 リオンが火影室を出て行ってから、カカシはナルトを注意した。その眼差しはしょうがない生徒を見るよう。 

 

「脱走されても知らないよ」

「大丈夫だって、あいつはすぐには逃げねえ自信があるってばよ。なんかあってもヒナタが居るしな」

 

 カカシはナルトの呑気な様子に呆れるばかりであったが、自分も彼の判断が正直言って嫌いではなかったので強くは言わなかった。

 

「まあ性質変化を封印しているから、ろくな術の行使も出来ないだろうし、暗部もつけてるからね」

「それよりも心配なのはボルトの方だってばよ」

 ナルトは眉間を指でグリグリする。

 

「ん?なんかあったの」

「あいつアカデミーに入った後急にひねくれだして」

 

 ガキンチョだったナルトがいっぱしの父親の様に悩むのを見て、カカシは噴き出すのを押さえられなかった。

 

「はは、それは単なる反抗期ってやつでしょ」

 そう言ってカカシは話を切り上げようとする。

 

「カカシ先生は子供がいないからそんな反応が出来るんだってばよ」

 クマのついた疲れた火影の瞳を見ながら、カカシはやれやれと窓から里を一望した。

 

「まったく、どうなる事やら」

 

   *

 

 木の葉の里人々の顔には笑みが浮かび、その大通りでは夕暮れにも関わらず子供たちが鬼ごっこをしていた。商店街は最後の掻き入れ時なのか、懸命に声を張り上げている。そんな微笑ましくも賑やかな光景とは裏腹に、僕は暗い気持ちで前方のパイナップル頭を見つめていた。

 

 ここでパイナップルを殺っても、その後がどうしようもないな。チャクラもほとんど練れないし、出来ても性質変化を必要としない傀儡糸の術とか壁渡りくらいしかできないな。

 

「お前、どこ出身なんだ。やっぱり、土か」

 パイナップル殺害について考えていた所に、突然本人に話しかけられ少しびっくりする。

 

「いえ、土じゃないですよ」

「じゃあ、どこなんだ」

 

 動揺して正直に言っちゃたな。それよりも、

 

「やっぱ土ってどういう意味ですか」

「ん?ああ、うちの諜報員がお前らが土のもんだって情報を掴んでね」

 

 諜報員?あそこで、最も怪しいのは・・・・・・スケアさんか。

 

「スケアさんは今何しているんですか?」

「スケア?誰のことだ」

 

 あれ?違うのかな。かっこつけてカマかけた分、ちょっと恥ずかしい。

 

「で?どこ出身なんだ」

 

 話を逸らせなかった。まあ、いいか話しても。どうせ僕自身ですら分かんないんだし。

 

「いや、よく分からないんですよね」

 

 シカマルは立ち止まり訝しげに振り返る。

 

「分からない?」

「いや、両親や出身の記憶が無いんですよねどうも」

「なるほどね、まあある程度当たりはつくが―」

 

 記憶が無いことを良いことに、適当にはぐらかそうと思っていただけに、思わぬところで自分の出生の秘密を知れるかもしれない機会が巡ってきて思わず食いついてしまった。

 

「当たりってどういう意味ですか⁉何か知っているんですか?」

「まあ、なんとなくな。その目立つ赤髪、もしかしたらお前うずまき一族なんじゃないか?」

「うずまき一族?」

 

 情報を少しでも得ようとする僕にニヤリと笑うシカマル。

 

「一応機密扱い何でな。詳しいことは教えられないんだ」

「教えてください!どうしても知りたいんです」

 

 このパイナップル、人の足下を見やがって。チャクラさえまともに練れれば、乗っ取って頭を覗けるのに。きっと、法外な要求をしてくるつもりだ。

 

「まあ、こっちの条件を一つ呑んでくれるならな」

「・・・・・・情報は流しませんよ」

「そういうんじゃねーよ。本当に些細なことだ」

 

 こういう手合いの些細な願いって言うのは、些細じゃないことばっかりだ。ドントさんのちょっとしたお願いでも、危うく死ぬところだったし。でも、自分が何者かを知れるチャンスを逃すことは出来ない。

 

「分かりましたよ、でうずまき一族とは何ですか?」

「・・・一般的に、うずまき一族は強い生命力と特別な力を持っている事が多い」

「特別な力?」

 

 パイナップル頭の忍はどこまで話すか整理しているのか、ほんの一瞬思慮深い表情をした。

 

「ああ、特殊な感知能力や回復能力だったり、特殊な封印術を扱えたり果てには、通常では体が耐えられないチャクラを纏いさらにはそれを無害化して他人に与えたり出来る。他には、どれほど特異な細胞でも拒否反応を起こさずそれに適応することができるとも言われている」

 

 そうか、だから僕は他人の経絡系に適合できたのか。じゃあ、うずまき一族のもとへ向かえば両親に会えるかもしれない。

 

「ただ、うずまき一族は四代目火影の時代に滅んだとされている」

 心に罅が入った気がした。どうして自分の事について何か指が触れそうになる度に、届かなくなるんだ。

 

「そうですか」

 

 消沈したリオンの様子に良心が咎めたのかシカマルは頭を掻く。

 

「まあ、ナルトはうずまき一族だからな。なんかヒントが得られるかもしれねえ」 

 

 シカマルの視線の先には、小さな庭のある二階建ての一軒家があった。カーテンで中は窺えなかったが、温かい家の明かりが透けていた。

 

「ここが、ナルトって人の家ですか?」

「ああ」

 

 お子さんかなんか居たら、突然の部外者に拒絶反応を示すんじゃないか?

 

「あの人って何人家族なんですか」

「四人だな、奥さんに娘一人に息子一人。見た目で判断して、長男はお前より一、二歳くらい年下かな」

 

 ほら見た事か。男の子だけじゃなく女の子までいるなんて、地獄の様な環境だ。どうにかして、別の部屋に住みたい。むしろ監獄の方が好都合なくらいだ。説得を試みる。

 

「突然やってきて邪魔じゃないですか?」

 シカマルはプッっと吹き出し笑った。

 

「お前俺を殺そうとしてた割にはしょうもない事気にするんだな」

「殺そうなんて思ってませんでしたよ。殺気だって無かったでしょ」

 

 バレてた。この忍、適当に見えて案外出来るぞ。

 

「お前は俺に似て考えるタイプみたいだからな。目が打開策を考えてたよ。それに、この場合俺を殺して周囲の一般人を人質にしつつ脱走するのが最も可能性が高いしな」

「・・・・・・僕どうやって、この家の人たちに接すればいいのか分からないんですけども」

 

 僕の真面目な質問にパイナップル頭は雑な答えを返した。

 

「子供はそんなこと気にせず勝手に仲良くなればいいんだよ。あ、そうそうそれで情報の代わりの条件なんだがよ」

「・・・何ですか」

 

 一体どんな無理難題が飛び出す事やら。固唾を呑む。

 

「この家の長男はよ、凄い生意気で悪ガキでよ。俺の息子とつるんでしょっちゅう悪戯するんだよ」

「・・・だから何ですか」

 

 察しが悪い奴だなみたいな目をするのは止めてほしい。察した上でとぼけているだけだ。

 

「最近のアカデミー生はどうも忍びを舐めてるようでな。叩き直してやってくれ」

「嫌ですよ、向こうからすれば急に家に押しかけて説教してくる完全にウザイ奴じゃないですか」

「ははっ、まあ適当にやればいいんだよ」

 そうしてシカマルはインターホンを押した。ピンポーンとゴングが鳴り響いた。

 

「あっ、勝手に!」

「ま、頑張れよ」

 

 そして、シカマルの姿が掻き消えた。

 

「あっ、ちょっと。くそ覚悟を決めるしかないか」

 

 どうしよう。僕の名前はリオンです。よろしくお願いします。いや、違うな。いきなり自己紹介ってのもな、まずはこうなった経緯を。駄目だ、老中並びに土影暗殺の嫌疑で捕まり何故かお宅に来ましたは拙いだろう。ここは一旦撤退して―

 

 ガチャ

 

 うわーもう駄目だ。

 

「いらっしゃい」

「いらっしゃーい!」

 

 紫がかった黒髪の女性がにこやかに微笑み、ひょこっと同じ髪色の少女が天真爛漫な表情で笑っていた。

 

「お、お邪魔します」

「私はヒナタ。この子はヒマワリよ」

 

 どういう事だ。なんで見知らずの人間を笑顔で対応できるんだ。まさか火の国の連中はみんなこうなのか?

 

「リオンです。よろしくお願いします」

「そんな固くならなくていいのよ、ここを第二の我が家だと思ってくつろいでね」

 

 落ち着いた優しい女性の声に、ヒマワリの様な明るい声がハミングする。

 

「くつろいで~」

 

 想像をはるかに超える寛容さの前に玄関で立ち尽くすリオン。

 

「ほら上がっていいのよ」

「はやーくー」

 

 リオンは少女に引っ張られ部屋に連れられる。

 

「好きなところに座ってね」

 

 取り敢えずリオンはソファーの端に座って、あたりを見回した。

 

 これぞ一般的な家庭って感じの家だな。どうしてこんなことになったんだ?まあ、いいや今日はもう疲れたし落ち着くとしよう。というか、寝たい。昨日から状況が変化しすぎて気がおかしくなりそうだ。

 

 そこに、ヒマワリちゃんだったか、少女がカエルとパンダのぬいぐるみを抱きしめながら、とてとてと駆け寄ってきた。

 

「ねえねえお人形で遊ぼう」

「ん?」

「だめ?」

 

 ヒマワリの顔が悲しそうな顔になる。

 

「あ、いや、やろう人形遊びしようか」

「いいの?やった~お兄ちゃんは嫌がって遊んでくれないからうれしい~」

 

 パアっと笑みを浮かべて、人形を床に置くと、部屋の隅へ別の人形を取りに行く。

 

「ありがとうね。娘に付き合ってくれて」

「いえ、こちらこそ」

 

 むしろ人形遊びは得意中の得意だ。プロフェッサーを名乗っても良いだろう。

 

「今からお夕飯の準備をしようと思うのだけれど好きな物とかある?」

「食べ物なら何でも好きですけど、鍋とかが結構好きです」

 

 みんなで食べれるし。出来ればドントさんや雫たちと食べたかったけど・・・まあ、彼と彼女が一緒の鍋を囲むことは一生無いな。

 

「そう。分かったわ。息子は友達と遊んでいてまだ帰ってきていないの。もうすぐ帰ってくると思うからゆっくりしててね」

「は、はい」

 

「ねえねえ遊ぼーよ」

 

 ヒマワリがむくれっつらでウサギのぬいぐるみを抱えていた。

 

「ごめんごめん。じゃあちょっと人形貸してね」

「いいよ!」

 

 リオンは軽く指を振ると、人形たちがひとりでに動き出した。

 

「わぁ~すごい‼」

 ヒマワリの周りをウサギとカエルがぴょんぴょん飛び跳ねる。きゃっ、きゃっとヒマワリはくるくる回りだした。

 

 ガチャン

 

「ただいまー」

 リオンが廊下に目を向けるとあのナルトとか言う忍と同じ金髪に、青い瞳の少年が立っていた。その子は家に見知らぬ少年がいることに一瞬キョトンとした表情をしたが、直ぐに瞳を輝かせた。

 

「すげぇ~‼それ、どうやってるんだってばさっ」

 

 少年は走ってヒマワリの人形を興味深げに手に取る。

 

「あ~。お兄ちゃんヒマのお人形を取らないでっ」

「いいじゃん。ちょっとぐらい」

 

 ヒマワリちゃんが口をとがらせて抗議した。

 

「だめっ!」

「まあまあ、どうやってるのか教えてあげるから人形放してやって」

 

 その言葉に金髪の少年がピンッと反応し振り返った。まさに、喜色満面であった。

 

「えっ⁉いいのか?」

「うん」

 

 そういう僕に金髪の少年は手を伸ばした。

 

「俺、ボルトってんだ。よろしくな‼」

「僕はリオン。よろしくね」

 

 将来、僕の人生で最も印象に残った出会いは何かと聞かれたら、間違いなく今日の出会いになりそうだと、そう思った。

 




気づいたら、評価に色がついていてとても嬉しいです!本当に読者様のおかげです。本当にありがとうございます。これからも、頑張って書き続けていきたいと思います。


追伸
前回の後書きで、六名の暁の術を出せましたと報告しましたが、正しくは角都の土矛も入れて、七名でした。すみませぬ
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