V's If-Story:ScalePowder of WhiteMoth   作:よしおか

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 オリキャラその2登場回。


第四話 邂逅

 ワイヤーリフトを使って砂浜に降り立ったハルトを迎えたのは見知った友人ではなく、いけ好かない銀髪の男子生徒だった。確か彼の仲間には、エルエルフ、と呼ばれていたか。

 学校の友人達は遠くの校舎からハルトに称賛の声を浴びせてきたが、眼前のエルエルフはハルトに何の言葉もかけない。昼間と同じく、おおよそ温度というものを感じさせない視線がハルトを射抜くだけだ。その視線に侮蔑のニュアンスを見て取ったような気がして、ハルトは視線を砂浜へと逸らした。

「……笑えばいいだろ。君の言う通り、勝ち負けの無い世界なんて幻想だった」

 何故、彼がここに居るのか。ハルトには知るべくもない。けれど、彼が昼間、自分に向けて放った言葉は図らずも自分が戦うきっかけとなった。

「なんなんだよ、君は」

 吐き捨てたその言葉は半ば八つ当たりのようなもので、別段返答を期待したわけではなかった。

 だから、油断した。

 

 

「―――ドルシア軍特務大尉、エルエルフ=カルルスタイン」

 

 

 彼から返答があったことと、その言葉の意味に。

「え―――」

 ドルシア軍、というのは、あのドルシア軍事盟約連邦の軍隊? というか、彼は学生ではないのか?

 一瞬で、いくつもの疑問符を浮かべるハルト。

 その、わずかな隙に。

「……え?」

 間の抜けた声を漏らすハルト。しかし、それも無理も無いこと。

 制服の袖から銀光を閃かせたエルエルフが音も無く地面を蹴ったのは、彼が己の正体を口にした直後だった。

 気が付いたら、エルエルフが息がかかるほどの近距離に立っていて。

 彼の右手が、まっすぐハルトの左胸に伸びていて。

 その手にはナイフが握られていて。

 その切っ先は、ハルトの胸に沈み込んでいた。

(あ、れ……これ、僕、殺さ、れ……)

 胸に杭を打ち込まれるような、熱い痛み。半ば反射的にエルエルフの右手をどけようとすると、彼はその右手を回転させ、ぐっ、とナイフの刃を捻る。

 心臓を一突きされ、さらにその傷口を抉って広げられたハルトの左胸から致死量の血が溢れ出す。

 人間の身体というものは本来、少しでも空気が入れば心臓が圧迫されて死んでしまう。その心臓をずたずたに破壊されたハルトは、ショックでそのまま仰け反り、背中から地面に崩れ落ちた。

 ナイフに付着した血を振り払ったエルエルフは懐から拳銃を取り出すと、もはや物言わぬハルトの身体に銃口を向けて、引き金を引く。一発、二発。慈悲など欠片も存在しない銃弾が、右と左の肺を正確に貫いた。

(どうやって機体を奪うかと考えていたが……戦闘が終了していないのに自分からコックピットを開いて降りてくるなど。やはり間の抜けたジオール人か)

 ここまでやれば、まさか生き返るようなことはあるまい。ハルトの死体を踏み越えて、エルエルフはヴァルヴレイヴへと近づく。

 

 任務達成。パイロットを殺害し、特一級戦略目標を確保。

 

 その文言はエルエルフの功績となって、彼に更なる力を与えるだろう。そしていつか、彼が思い描く未来を現実のものとする為の一助となるのだ。

「俺は、また勝ったよ……リーゼロッテ」

 主君に勝利を捧げる騎士のように、自分にとって何よりも神聖なその名を呟く。そうすることでエルエルフはともすればくじけてしまいそうな日々を、胸に秘めた目標に向かって歩くことが出来ていた。

(……ここまでだ。今は、まだ)

 深呼吸を一つ。その一挙動で感傷を振り払ったエルエルフは兵士としての自分を思い出すと、図らずも労せずに確保できた目標……巨大なロボット『ヴァルヴレイヴ』を見上げる。確保したは良いが、この巨大なロボットの操作方法までは上官から教わっていない。どうも動かすには特殊な“資質”が必要らしく、上官からは『確保したら誰も近づけなければ良い。後から操作できる人間を向かわせる』としか聞いていなかったのだ。

(だが、あの性能……これさえあれば、或いは……)

 もしも、と。エルエルフは珍しく、可能性の低い未来を夢想する。

 ヴァルヴレイヴを上官に引き渡さず、自分がこの超兵器のパイロットになることが出来れば、どうなる。

 自分の目標を達成するための計画は、三年……否、五年は前倒しで実行できるのではないか。

(……いや、あまりにもリスクが高すぎる。今は余計な事は考え―――っ!)

 背後に人の気配を感じて、反射的に振り向くエルエルフ。

 先程殺害したパイロットの仲間が居たか、と胸中で毒づきながらその気配の正体に向かって視線を巡らせ―――

「なっ……!?」

 らしくもなく、彼は絶句する。しかしそれも無理からぬことだろう。

 そこに居たのは、彼が先程間違いなく命を奪った、ヴァルヴレイヴのパイロット。

 しかしそのパイロットは、強烈な眼光を瞳に湛えながら両足でしっかりと立ち上がり、エルエルフの背後を取っていた。

(まさか!? 確かにさっき、殺し……)

 エルエルフに思考の時間すら与えないまま、立ち上がったパイロット―――ハルトは、大きく口を開く。

「かぁああっ!!」

「っ、ぐ……!?」

 一瞬だけちらりと見えた、ハルトの口元。そこに、不自然に伸びた八重歯が、エルエルフの首に突き刺さる。

 その歯を引き剥がそうとしたエルエルフは、首元に走った不快な感覚に背筋を凍らせた。

 薬品に似た何かが、首元から全身に広がる。毒とは違う得体の知れないものが、この少年の“牙”から自身を侵食しているのだ!

「うぐっ、ぁ、あああああああああああああああ!?」

 おぞましいまでの勢いで以て意識を塗り潰され、蹂躙される未知の感覚。その強烈な不快感にエルエルフは絶叫し……その意識を、完全に刈り取られた。

 

 

 結果から言えば、この時。

 彼の夢見た“革命”は、五年どころか十年近く前倒しで、尚且つ彼の意志を完全に無視して開始されることになる。

 例えるならば、クラウチングスタートに備えてウォームアップしていた所を、背後から蹴っ飛ばされてスタートラインを踏み越える形で。

 

 

 

 眼鏡の男子生徒にいきなり殴り倒されてから、数十分後。

 腹部に蹴られるような衝撃を感じて、草蔵ミツルは意識を取り戻した。

「げっほ、けほ……」

「気が付いたか」

 咳き込むミツルに声を掛けたのは、能面のように怜悧な面立ちの男だった。

 意識を失う前に話した男子生徒と同じく飾り気のない眼鏡を掛けてはいるが、ミツルを殴打した男子生徒とは別人だ。あの男子生徒も冷たい印象を受ける顔立ちではあったが、髪型などから若者らしいファッションの意識が見て取れた。

 しかしこの男は金髪とも茶髪ともとれる不思議な色合い―――強いて言うならオリーブ色、だろうか―――の髪をかっちりと七三分けに固めており、武骨な印象を受ける口元は真一文字に引き結ばれている。

「あいっててて……ぁ、あれ……!?」

 痛む腹を摩ろうと腕に力を込めたミツルは、自分の両手が後ろ手に縛られているのに気付く。余程しっかりと縛られているようで、どれだけ腕を動かしてもその拘束は緩む素振りすら見せなかった。

 七三分けの男はそんなミツルに目を向けることも無く、手元の通信端末に向かって喋りかけていた。

「……はい、こちらの方は目を覚ましました。尋問にかけて例のパイロットの素性と、ヴァルヴレイヴの工房についての情報を……了解しました、一度学園の方へ向かいます……はっ、ブリッツゥンデーゲン」

 何やら聞き慣れない言葉で会話を締めくくった男はそのままミツルに向き直ると、ミツルの髪を掴んで乱暴に頭を持ち上げた。

「いぃだだだだっ!?」

「おい、貴様。ヴァルヴレイヴのことで知っていることがあれば速やかに話せ。でなければ命の保障はしない」

 藪から棒に、という形容がぴったりと嵌まるような問いかけ。尋問の相手が一介の学生だということを全く考慮していない七三分けの男は、飽くまで事務的にミツルを尋問する。

「いててっ、痛いっての!……っていうか、アンタ誰だよ!?」

 あまりにも酷い扱いに、ミツルが堪らず悲鳴を上げる。

 しかし七三分けの男は、その問いに答える事無くミツルの髪を放り出す。両腕を腰の位置で縛られたミツルは身体を支えることも出来ず、顔から床に突っ伏した。

「ぶっ……!」

「ふん、口を割る気は無いか……或いは末端か? どちらにせよ、大したものだ。カルルスタインの兵ならともかく、その若さでジオールに仕える気概を持つか」

 七三分けの男の言うことが理解できず、ミツルは目を白黒させる。

「か、かる……なんだって?……いやそうじゃなくて、何で俺縛られてるんだよ! 人攫いかアンタ!?」

 戦争を扱うマンガやパニック映画などに度々姿を見せるような、戦禍に乗じて悪事に勤しむ輩じゃあるまいな、と七三分けの男を睨むミツル。混乱を露わにしたその態度を見て、男は視線に込めていた疑念を、警戒、というよりは不思議なものを見るそれに変える。

 

―――この少年はまさか、この期に及んで自分のことに……白地に金の刺繍で彩られた軍服が、世界を二分する大国の兵士を示す物だということに気付いていないのか?

 

(特務隊の若造ども、まさか民間人を敵兵と間違えて拘束したと言うのか?)

 そもそも七三分けの男は当初、ミツルが只の学生だということを信じていなかったのだ。

 男は、今回ジオールを奇襲したドルシア軍に所属する尉官だ。同じく任務に従事していた若者ばかりの部隊から『特一級戦略目標のパイロットと、その関係者を捕えた』と連絡が入り、彼らの上官でもある本作戦の司令官によって、拘束された関係者の尋問を行うことになった。

 相手は非武装による永世中立を謳っておきながら、裏では軍人たちを教師に扮させ、教育施設の地下で兵器の建造をしていた外道な国家。その末端として動いている以上、学園の中にも兵士としての身分を隠した学生モドキがいるであろうと想像し、捕えられたパイロットの関係者の少年も、そう言った類の人間であろうと思っていたのだが……

 ふと、七三分けの男は背後から引っ張るようにミツルの腕を掴むと、おもむろに口を開く。まずは確かめるべきことがあるのではないか、と感じた故の行動だった。

「……貴様はこの学園の地下組織の者ではないのか?」

 その問いに対するミツルの返答は、男が半ば予想していた物ではあった。

「地下組織って……はぁ?」

 馬鹿じゃないのか、と男に白い視線を向けるミツル。『学園の地下組織』などと言われてもミツルが思い浮かべることが出来るのは、去年まで部活の設置申請を出さずに倉庫を勝手に使っていたという漫研ぐらいのものだ。そして、言うまでも無くミツルはそこと何の関係も無いし、この男から酷い扱いを受ける理由になるとも思えなかった。

 理解できない相手を見るような目を向けて来るミツルに若干の苛立ちを覚えつつも、七三分けの男は冷静に状況を整理する。

(脈拍は正常、瞳孔の揺れも見られず。発汗量の変化、体温の上昇も共になし……)

 掴んでいたミツルの腕から脈拍を測り、更にまだ幼さの残る顔にも注意深く視線を走らせる。

(確証は持てんが……この少年、どうにもジオールの軍属とは思えんな)

 男から見て、この少年―――先程取り上げた学生証には、クサクラ ミツルと書いてあったか―――は、どこまでもただの平凡な一般人だ。少なくとも、嘘をついているようには見えない。

 勿論、一定の訓練を積めば感情のコントロールや、それに付随する生理現象の制御は決して不可能ではない。ミツルが男の目をごまかせるレベルで『一般人の演技』をしている可能性も無いわけでは無いが……

(まずは様子見か。どちらにせよ特務隊の獲物だ、真偽はどうあれ私が勝手に判断するわけには行かん)

 戦時階級ではあるが、特務隊の少年たちは階級の上では自分の同僚だ。わざわざ余計な衝突の火種を作る必要もあるまいと判断した男はややあってミツルの腕を離す。身体を戒めていた軍人の屈強な手から無造作に解放され、ぶぎゅる、とかいう不細工な悲鳴と共にミツルは再び床にキスする羽目になった。

「グレーデン大尉っ!」

 暗くて狭い部屋の入口からやや強い口調で声を掛けたのは、七三分けの男と同じく白い軍服に身を包むドルシア連邦軍の男性軍人。

「捕虜の尋問を一人でやらんでくださいよ、万が一のことがあればどうするんですか」

 年若い部下の咎めるような言葉に、グレーデン、と名を呼ばれた男はひらひらと手を振って適当に答える。

「丁度私だけ手が空いていたからな。いやはや優秀な部下を持つと何かと楽で助かるよ……で、何の用だ?」

 男の態度に全く反省の色は無い。部下の軍人もそんな上官の態度に慣れているのか、やれやれと溜息を一つ漏らすと表情を改めて本題である連絡を行う。

「『デュッセルドルフ』のザッハ少将から通達です。『目標施設の上層部を制圧完了。グレーデン隊は捕虜の尋問を一時中断して現地に向かい、地下施設の検分を開始』とのこと」

「中断も何も、まだ初めてもいなかったんだがな……それにしても早いな、もう制圧できたのか」

「例の特務隊だそうです。一人負傷者が出たそうですが、残る数人で現地の歩兵部隊と連携し、制圧まで成し遂げたとか」

 部下が肩をすくめて放った言葉に、七三分けの男―――ドルシア連邦軍軌道突撃大隊第三小隊長リヒャルト・グレーデン大尉は感心したように溜息を吐く。

 命令は、今回の作戦で前線指揮を執っている上官の名前によるものだ。しかし、その命令が下る原因となった『特務隊』の活躍。作戦前のブリーフィングで彼らと顔を合わせた時には、随分若い特殊部隊もあったものだと半信半疑であったが、この数時間で彼らは噂に恥じない多大な戦果を挙げている。

(特一級戦略目標の確保から時間も置かず、敵拠点の制圧まで……恐るべきはドレッセル大佐秘蔵のパーフェクツオン・アミー。カルルスタインの子供達、ということか)

 まあ、よく見れば軍属ではなさそうなこの少年を自信満々に関係者だと言って捕まえる辺り、年相応に未熟な部分もあるようだが……と胸中で独りごち、リヒャルトは未だに床に張り付いているミツルに目を向ける。

 リヒャルトと部下の口から『学園が制圧された』という情報を漏らしてもミツルが取り乱す様子は無く、ただ痛みに呻くだけだ。この分では本当に何の関係も無い民間人かも知れない。

(すると後々になってから少し面倒臭いかもしれんな。紛らわしい場所に居たのは確かだが、我々は『民間人を不当に拘束して暴行を加えた』ことになるか)

 いっそ口を封じるか、とリヒャルトは投げ遣り且つ短絡的な後始末を一瞬だけ考えるが、それよりは別のことに役立てる手段を模索するべきであろう。ミスは戦功で帳消しにするのが、リヒャルト・グレーデンのやり方だ。

「致し方あるまい。この少年は学園に連行し、検分に立ち会わせる。吐けばそれでよし、シラを切るなら連れ回して精々疲れさせてやれ」

「はっ!」

 部下の男はリヒャルトに敬礼すると、狭い部屋を後にする。ほどなくして、ミツルとリヒャルトの居る部屋の床が、エンジン音と共に振動を開始する。

(車の中……?)

 その揺れ方とエンジンの音に馴染み深い物を感じたミツルは、自分が拘束されていた場所をようやく知ることが出来た。自分が居た狭い部屋は、車の中だったのだ。

 痛めつけられてようやくクールダウンした頭で、ミツルはもう一度、周囲に視線を向ける。

 先ほどのやり取りを見るに、この男達はどこかの軍隊に所属する軍人なのであろう。その挙措は、ミツルがイメージする『兵隊さん』のそれと完全に一致する。

 

―――では、彼らがユウスケの言っていた「ドルシア軍事盟約連邦」の兵士なのか?

 

 混乱の末に辿り付いた仮説は、只の高校生に過ぎないミツルの思考を凍り付かせるには充分過ぎた。

(こ、殺される……!?)

 軍人、ということは銃なんかも当然持っているだろうし、自分が逃げようが抵抗しようが殺すことなど造作も無いだろう。まして彼らは、現在自分たちの居るモジュールにいきなり踏み込んできた侵略者だ。何もしなくても、気まぐれ半分に自分に銃を向けることだって有り得ないわけでは無い。そんなことになれば……

(嫌だ、死にたくない! くそっ、なんで俺がこんな目に……)

 何とかして脱出せねば、と思考を巡らせるミツルだが、両腕を縛り上げられたこの状態で自分に出来ることは無いだろう。

 落ち着け、慌てるな、と自分に言い聞かせながら、結局ミツルは目の前の男―――リヒャルトに質問をすることにした。

「……あの、この車はどこに行……く、んでしょうか……」

 自分を散々に痛い目に遭わせたリヒャルトに対し、ミツルは控えめな態度で問う。立場を理解した故のものか、或いは痛覚に訴える対話の効果か。先程までに比べれば随分と大人しくなったミツルの態度にリヒャルトは苦笑しながら、その問いに答えた。

「この装甲車は、君たちの学園に向かっている。我々も次にやることがあるのでね」

「やること……?」

 ミツルの更なる問いに、リヒャルトがそれ以上応じることは無かった。

 

 

 ミツルは知らなかった。リヒャルトが気紛れに考えたアイディアが自分の命を救い、大きな力を自分にもたらす事など。

 リヒャルトは気付かなかった。ミツルがこの窮地を生き延び、自身の喉元に幾度となく迫り来る“仇敵”となる事など。

 ドルシア軍によるジオールスフィア奇襲から、時間にしておおよそ一時間。草蔵ミツルとリヒャルト・グレーデンの二人はこれ以降、奇妙な縁で以て度々銃を向けあうことになる。

 

 

 図体に似合わぬ加速性能を持つドルシア軍の装甲車に揺られること、二分ほど。腕の戒めを解かれたミツルは二人の兵士に銃を突き付けられながら装甲車を降りた。

 そこで彼が目にしたのは、見慣れない白服の軍人たちが闊歩する、そこかしこが抉れて崩れた学び舎。自動修復装置によって復旧した天蓋モニターは真昼の青空を映し出し、午後十時という時間に似合わぬ明るさで以て学園を照らしている。

 時間、空の色、闊歩する軍人たち。ありとあらゆるものが“ズレ”た学園は、ミツルの目には強烈な違和感も伴って見えた。

「なんで、学校にドルシア軍が……」

 半ば独り言であったその言葉に、しかしリヒャルトは律儀にも言葉を返した。

「この学校が、真っ当な教育機関では無かったからだよ」

「は?」

 素っ頓狂な声を上げるミツルに視線を向けることもなく、リヒャルトは歩きながら言葉だけで応じる。

「先程、我が軍の機動戦隊に属する小隊が、ジオール製のロボットによって瞬く間に撃破された。そして、そのロボットが出現したのはこの学校の地下からだ」

「あ、もしかしてさっきの……!」

 察しがついたミツルは、思わず、といった具合に声を上げる。

 おおよそ、一時間ほど前。咲森学園のプールから飛び立ったロボットがドルシア軍の戦闘ポッド『バッフェ』を屠る一部始終を目にしたのはミツルだけではない。

 だがミツル達は、そもそも何故あのロボットがプールに突っ立っていたのかを考えていなかったのだ。

「この学校は、ジオール政府が兵器開発の隠れ蓑にしていたカモフラージュ、ということさ。ひょっとすると、生徒達の中にもその兵器に関わっていた軍人が紛れ込んでいたかもしれないな?……君や、君の先輩のように」

「……俺は何も知らないし、ハル先輩だって、見た感じは普通の人だ……ですよ」

「確かに、君たちの国では平凡な少年がある日突然ヒーローになるコミックが好まれるらしいな」

 ミツルの言葉を、皮肉交じりに笑い飛ばすリヒャルト。実際、ジオールで出版されているペーパーバックには、自称“何処にでもいる高校生”な主人公がある日いきなり絶大な武力を手にするという展開のものが多かった。

 しかしリヒャルトはそれを鼻で笑い、所詮は架空の物語だと切り捨てる。何の訓練も積んでいない本物の民間人―――しかも、永世中立と戦争放棄などという理想を掲げた、戦いを知らない国家の出身―――が操る兵器が、熟練のパイロットが駆る戦闘ポッドを初陣で撃破せしめたなど、誰が信じるものか。おそらくネットに情報の出ていたあの高校生は、地下の施設で以前からあのロボット―――ヴァルヴレイヴの操縦訓練を受けていたのだろう。そうでなければ或いは、技術の変態国家と名高いジオールが作り上げたヴァルヴレイヴの操縦プログラムが、よっぽど優秀だったか。

「ま、それは良い。現在君はトキシマハルトと並んで、ジオール軍の重要参考人だ。この後の調査に同行してもらうぞ」

「なんで、俺が……」

 体育館の裏道を歩きながら、リヒャルトの言葉に言い返そうとするミツル。そのまま更に言い募ろうとして、ミツルは動きを止めることになる。

 

「草蔵くんっ!?」

 聞き覚えのあり過ぎる声が、ミツルの名を呼んだ。

 

 反射的に振り向くと、体育館の非常口から姿を見せた競泳水着姿の女性―――七海リオンが、ミツルに突き付けられた銃口を見て顔を青褪めさせていた。

「おい貴様っ! さっさと列に戻らないか!」

「な、なんで草蔵くんが!? あのっ、なんでその子に銃を!?」

 捕虜の誘導の最中だったのだろう。咄嗟にミツルに駆け寄ろうとしたリオンを、ミツルの近くに居た兵士が押し留める。

「奴はジオール軍の重要参考人だ。地下施設へ連行し、検分の補助をさせる」

「重要参考人って……その子は学生ですよ!?」

 リオンの叫びに答えたのは、問いを向けられた兵士ではなくリヒャルトだった。

「表向きの肩書に意味は無い。それを言えばあのロボットのパイロットも、身分の上では只の学生だったようだが?」

「そんな……」

「ほらっ、さっさと戻れ!」

 兵士がリオンを誘導の列に戻そうとするも、納得のいかないリオンは尚も食い下がる。

「ま、待って! あの、きっと何かの間違いです! だから……」

「いい加減にしろっ!」

「きゃあっ!」

 とうとう兵士がリオンの身体を突き飛ばし、尻餅をついた彼女に向かって銃を向ける。

「ひっ……!」

「七海先生っ!……おい、やめろっ! 先生は関係ないだろ!?」

 兵士の行動は、リオンを黙らせるための只の脅しだったが、銃を向けられたリオンは息を呑んで身を強張らせる。想い人に銃口を向けられて、ミツルは堪らず激発する。

 しかし、それは悪手だった。ミツルの取り乱し方を見たリヒャルトは、ミツルがリオンを慕っていることを―――流石に恋慕の情だとは思っていないようだが―――瞬時に見抜いた。

「そうだな。だが、もしかしたら彼女も軍の関係者で、責任を感じて君を助けようとしたのかもしれんぞ」

「ふざけたことを……!」

 飄々としたリヒャルトの物言いに声を荒げるミツルだが、リヒャルトの言う事は何も只の意地悪ではない。

 咲森学園が真っ当な教育機関ではないと知った今、学園に在籍する生徒と教員の全員が、かの超兵器との関与が疑われているのだ。先生、と呼ばれたリオンが軍人だったとしても、何処もおかしくは無い。

「彼女が無関係だと言い張るのなら、そう言い切れる証拠が必要なんだよ。そして、あのロボットに不用意に近づいておきながら、同じく無関係を主張する君の言葉は信用ならない」

「このっ……!」

 目の前の分からず屋にどう言って聞かせようかと考えあぐねるミツル。

 このままでは、自分が憎からず想っているリオンまでこの軍人たちに拘束されかねない。ましてリオンは女性だ、下手を打てば自分よりもひどい目に―――

「―――わかったよ! あんた達の調査に協力する! 協力するから、その人を放せ!」

 こうしてミツルは土壇場で、自身の身の安全よりも、淡い想いを寄せる年上の女性を選んだ。

 

 

 

 

 自分が差し出した握り拳と、目の前の少年が差し出した指を二本立てた拳。七回に渡ってじゃんけんに勝利した自分の右手と、七回に渡って敗北した相手の右手を交互に眺めた犬塚キューマは、信じられない、という視線を銀髪の少年―――エルエルフに向ける。

 否、眼前の少年は確かにエルエルフだが、今キューマが話しかけているのは“間違ってもエルエルフではない”。

 そもそも、じゃんけんとは人と人が争う手段の中では、世界一平等な競技だ。主義主張も老若男女も、思想や理念さえも問わず、どころかちょっと身体の形が周囲と違っていたとしても、自分の意志で石、紙、鋏の三つを表現することが出来れば、何をどう足掻こうと勝率は三分の一なのだから。

 しかしながらエルエルフと対峙するキューマ、アイナ、サキの前で行われたじゃんけんの連戦で、エルエルフはキューマに七回連続で敗北を喫している。逆立ちしたって勝率は三分の一から変動しようの無い勝負で、七連敗。いっそ清々しいどころか、勝利の女神から恨みを買っているんじゃないかという壮絶な負けっぷり。

 ここまで勝負運の無い人間を、キューマ達は一人しか知らなかった。

「……お前、本当にハルトなのか」

「……これで認識されるのはすっごく複雑ですけど……そうです」

 整った眉を八の字に曲げたエルエルフは―――“エルエルフの肉体に乗り移ったハルト”は、そう言ってぶすーっと膨れっ面を作った。

 

 

 ミツルに先んじること十分ほど前。学園の海岸にハルトを迎えに行ったキューマとアイナ、そして何故か付いて来たサキが目にしたのは、巨大なロボットの足元に倒れ伏すハルトと銀髪の少年の姿だった。血に染まった制服と血の気の失せたハルトの顔を見て三人は息を呑んだが、幸いにも大した怪我は見られず脈拍と呼吸も正常だった。

 気絶しているハルトをどうやって校舎まで運んだものか、何故銀髪の少年が一緒に倒れているのかと途方に暮れる三人の前に現れたのは、昼間、アイナとキューマの前に現れた五人組のうち、銀髪の少年を除いた四人。

 ここまでは、まだ良かった。問題はこの後。

 四人の男子生徒は懐から拳銃を取り出すと、アイナ達に向かって淀みの無い動作でその銃口を突き付けたのだ。

『ヴァルヴレイヴから離れてもらおう』

『ヴァル、ヴレイヴ……?』

 ボブカットの男子生徒が言った言葉の意味を、三人はすぐに理解できなかった。オウム返しに言葉を繰り返したキューマの言葉に答えたのは、ひときわ小柄なバンダナの少年の、どこか面白げな声だった。

『その笑っちゃうロボットの名前だよ。君達ジオール人が名付けたんだろう?』

 それは、バンダナの少年が―――いや、直ぐ傍に倒れている銀髪の少年も含めて、この五人がジオール人ではないという意味だった。

『咲森学園の生徒じゃないの……!?』

『ドルシア軍だってーの』

 何を馬鹿なことを、といった口調でサキの声に応え、ついでとばかりに銃の引き金に指を掛けるバンダナの少年。

 まっすぐ自分に向けられた銃口の意味を理解したサキが、ぎくりと背を強張らせた次の瞬間―――サキ達の足元から響いた銃声と共に、バンダナの少年が持っていた拳銃が弾かれた。

『なっ―――!?』

 素早く銃を構え直し、銃声の出元に照準を定める四人組。しかしそこで、彼らは驚愕に目を見開いて動きを止める。そして、思わずそちらに視線を向けたアイナ達も。

 

 バンダナの少年の手元から拳銃を弾き飛ばしたのは、彼らの仲間である筈の銀髪の少年―――エルエルフだった。

 

 それから、エルエルフの助けもあって三人は海岸に設置されていた換気ダクトから無事に逃げおおせることが出来た。しかし彼らは当然、エルエルフの行動に眉を顰めるばかりだった。

 彼は、あの四人の仲間だったはずだ。そして、あの四人は自らをドルシア軍の軍人と名乗った。ならば彼もまた他国の軍人なのだろう。

 彼が三人を助ける意味はどこにもない。その筈なのだ。

『何のつもり? さっきの四人はあんたの仲間じゃないの?』

『どうして俺達を助けた……おまえ、何者なんだ』

 サキとキューマから剣呑な視線を向けられたエルエルフは、しかし眉毛をへにゃりと情けなく八の字に曲げて俯くと、小さい声で言った。

『……僕は、ハルトです』

 その言葉に、はぁ? と素っ頓狂な声を上げたのは、サキだったか。目の前の少年が言ったことがあまりにも馬鹿馬鹿しくて到底信じられず、三人は顔を見合わせた。

 しかし、エルエルフは真剣な声で言い募るばかりだった。

 

『なんで、この身体なのかは解らないけど……でも、僕はハルトです。時縞ハルト、なんです……』

 

 

 そして、話は戻る訳である。『じゃんけんに負け続けたからハルトで間違いない』という、その判断基準はどうなのだろうかと常人ならば疑問に思わざるを得ない方法であったが、ひとまずエルエルフ―――ハルトは、自分が間違いなく時縞ハルトであることを証明することが出来た……普段の自分が周囲からどう思われているか解った気がして、少しばかり心に傷を負ったが。

「じゃあ、本当に……」

 あの場にハルトを置いてきてしまったことを気に掛けていたアイナが、幾分か声を弾ませる。ともあれ、自分たちの良く知るハルトと再会できたのが純粋に嬉しかったのだ。

「でも、どうして……」

「うーん、あのロボットから降りた時に、この身体の持ち主と話して……」

 そこから先を思い出して、ハルトは愕然と目を見開く。

「あ……え、な、なんで……」

「ハルトさん?」

 突然、何か悪い夢でも見たかのように口元を押さえるハルト。その腕は細かく震えている。何事かと案じたアイナがハルトに声を掛けるが、ハルトがその声に応じる様子は無い。

 やがて、小さな声でハルトは語り始めた。

「……あの時、あいつに……この身体の持ち主にナイフで刺されたんです。その時に一回、気を失ったんだけど……」

「ナイフでって……でもハルトさんの身体、どこにも怪我はありませんでしたよ!? ちゃんと息だって……」

「―――ひょっとしたらハルトの勘違いだったのかもしれないし、その話は置いておこう。それから、どうしたんだ」

 アイナの言葉に、気を失ったハルトの身体の脈と出血を確かめたキューマが頷いて話の続きを促す。現在進行形で自分の身体から抜け出しているハルトに、元の身体はもう死んでいるかも、と思わせるのは良くないと判断してのことだった。

「それから……確か、あいつに噛み付いたんです」

「噛み付いた……って、何でよ」

 胡乱な視線と声を向けてくるサキに、ハルトは言い訳をするように捲し立てる。

「僕だって解らないよ。ただあの時は無性に、こう……誰かに噛み付きたかったっていうか、そこにちょうどあいつが居たっていうか……」

 自分で言っておいてなんだが、完全に変態か不審人物の行動だった。段々と声が小さくなるハルトに、サキの視線はますます冷たくなるばかり。

 再び微妙なことになりかけた空気を振り払うべく、キューマはもう一度話題の転換を図る。

「い、いやーそれにしてもさっきのハルト、凄かったな! お前銃なんて撃てたんだなー」

「……初めて触ったんですけどね。どっちかっていうと、身体が勝手にっていうか……」

「記憶喪失と同じね」

「記憶喪失……え、つまりどういうことだ」

 ひとまずハルトの謎の行動については追及しないことにしたのか、先程までの胡乱な視線を引っ込めたサキが会話に加わる。

「エピソード記憶と手続き記憶……自分がどんな人間かを忘れても、シャーペンの使い方や靴下の掃き方は覚えている。思い出と常識は、脳の違うところに保管されるって言うから」

「この身体の持ち主は、銃を取り扱うのが日常茶飯事だったってことか……どういう奴なんだ、こいつ……?」

 キューマの問いに答えるサキの言葉から、エルエルフが戦いを生業としていたことを察したハルトは、自分の感覚では多少のズレを感じる、細身の割に鍛え上げられた身体をぺたぺたと触ってみる。運動部で日夜筋トレに励んでいた自分でも、ここまで筋肉の密度が高くは無かった筈だ。

 しばし、沈黙。ややあって、その沈黙を破ったのはサキ。そして、その言葉に存外に強く反応したのは、アイナだった。

「……で、これからどうするのよ」

「ハルトさんの身体、取り戻しましょう!」

 胸の高さで拳を握り、むん、と意気込むアイナ。意外そうな目でそれを見つつも、キューマもそれに同意する。

「だな。このままじゃ落ち着かないし。なによりしっくり来ねぇしなぁ……な、ハルト」

 元に戻れるかどうかはさて置き、抜け殻となっている身体が敵の手にあるのは宜しく無いだろう。そう、ハルトを気遣っての言葉であったが。

「……それだけじゃ、ダメです」

 歯軋りさえ聞こえて来そうな声音で言い切ったのは、当のハルトだった。

「あのロボットを……ヴァルヴレイヴを取り戻して、このモジュールからドルシア軍を叩き出します」

「え……ハルト?」

「身体を取り戻した程度じゃ、僕が失ったものと全然釣り合わないから……」

 ぎり、と皮膚が擦れる音を立てて、ハルトは拳を握りしめる。本来彼のものではない冷たい瞳は、怒りの炎を宿していた。

 事ここに来て、アイナ達は目の前の少年が本当にハルトなのだと確信した。そうでなければ、見ず知らずの銀髪の少年があの快活な少女の仇討ちに燃える理由など、どこにも無いのだから。

「あいつらは、ショーコを殺したんだ……!」

 ハルトの言葉に一行は再び沈黙する。あまりにも現実味に欠けたショーコの死を、否応なく認識させられてしまったからだった。

 どうして、こんなことになってしまったのだろうか。アイナとキューマは沈痛な面持ちのまま、胸中で嘆く。

 ハルトとショーコが居て、二人を中心に自分たちが集まるのが普段の日常だったはずだ。マリエとアイナ、キューマとミツルが―――

「―――あ、そうだっ!? やべえ、ミツルが危ねえ!」

 キューマが思い出したように叫んだ一言に、同じく事態を理解したアイナが顔を青くする。

「え、ミツルがどうしたんですか?」

「く、草蔵くんに、救急箱持ってハルトさんの所に来てって頼んでたんです! もしかしたらさっきの人達と鉢合わせしたかも……!」

「えええぇぇっ!?」

「とにかく連絡……ってまた留守電かよっ!? メールだけでも―――」

 それから一行はスマートフォンの電波が届く場所まで移動し―――実際には場所の問題ではなく、モジュール77の通信局がドルシア軍に抑えられていた為だったのだが―――なんとかミツルに危険を知らせるべくメールを送ったり電話を掛けたりしたのだが、一向に通じることは無かった。

 最終的にミツルがその危険を知らせるメールを読むことが出来たのは、この後に起こるトラブルやら何やらに彼が巻き込まれるだけ巻き込まれた後であり、メールの内容に目を通したミツルは「遅ぇよ色々と!?」と叫んで力いっぱいスマートフォンを布団に叩き付けたのであった。

 

 

 

 

「……草蔵くん……」

 ミツルを伴う兵士たちが去って行った学園の校舎を眺めて、七海リオンはぽつりと呟いた。

 草蔵ミツルは、リオンにとって教え子の一人だ。実習中の未熟な身ではあるが、教職を志すリオンにとって咲森学園の生徒達は自分が初めて物を教える、大事な子ども達だ。

 リオンはふと、大学の恩師が口を酸っぱくして学生たちに言っていた言葉を思い出した。

 

『旧世紀、学校教育の場に危険が迫ることは幾らでもあった。子ども達は学校に居るから安全なのではない。『教師に守られているから安全』であるべきなんだ。君たちは万が一の時、命を懸けて子どもを守ることが出来るか?』

 

 教育に関する法律の講義中だった。旧世紀、ジオールがまだジオールという国になる前の事。己の苛立ちを拭う為という犯人の身勝手な目的の為に大勢の子どもが犠牲になった事件のことを聞いた。

 その場に居た教師たちの対応を責めることはいくらでもできたし、リオン自身も心のどこかで、自分ならもっと上手くやれる、と感じていた節があった・・・だが、実際には。

(何も、出来なかった)

 侵略者によって銃を突き付けられたミツル。その姿を見て、自分は何が出来たか。ただ、取り乱して、無様に叫んで。挙句、自分が守るべき子どもに守られた。

(なにも、できなかった……!)

 情けなさに、涙が出て来る。これでは何のために、自分は教師を目指したのか。

 

 この時感じた悔しさはリオンの心に深く刻まれ、やがてその後の彼女の在り方を決定づけるものとなる。




ハルト「オレサマ、オマエ、マルカジリ!」
エルエルフ「アッーーーーーーー!!!」

 水着姿でとっ捕まってたリオン先生があの場でよく『ピーッ!』で『バキューン!』で『それは禁則事項です☆』な目に遭わなかったなぁとか思っちゃう辺り、私はエロ同人にだいぶ毒されているような気がします。
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