ヤンデルモンスト〜書いたら出るを添えて〜   作:千銀

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KGMY姉貴VOICEのヤンデレとか束縛系しか思いつかないもぉぉおぉぉおぉおおぉおぉおぉぉおぉん‼︎


頼れる妹(ノストラダムス)

 

 

僕は昔から不幸体質だった。子供の頃は交通事故に遭いかけ、一人暮らしをすればアパートのエレベーターが故障し閉じ込められ、ひどい時には銀行でお金を預けているときに強盗にあった。

 

しかしもうそんなことは起きない。何故なら彼女がきてくれたから。

 

 

 

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「ただいまー。」

 

 

「お帰り兄さん。どうだった?」

 

 

「ああ。お前の予言通りだ。いつもの道で帰っていたら事故に遭っているところだった。」

 

 

「そうでしょ!もっと私に頼っていいんだから!」

 

 

僕を兄さんと言って慕う彼女。しかし僕は彼女の兄ではない。世間の目を気にして兄弟という事にしている。

 

 

そんな彼女の真名はノストラダムス。おそらく世界で最も有名な予言者だ。

 

 

彼女のおかげで、僕は不幸を恐れて引きこもりがちだったのを解消できた。さらに不幸を避けて幸運だけをすくい取ることもできる。

 

最初は人生の勝ち組だと思っていたが。なんというか苦労も達成感も無くなってしまった。

 

 

人生山あり谷ありと言うが、たしかに山も谷もあったほうがいいと思った。

 

 

金や利益のために彼女の力を使おうとは思わなかった。彼女を道具のように使うのが嫌だった。

 

 

だから僕はいくら貧しくても一生懸命働いてお金を稼いだ。毎日クタクタだが、それでもやりがいがあった。

 

 

だから僕は極力彼女に予言してもらう事は天気の予想や事故の予想だけにして貰っている。しかし彼女はそれが不服そうだった。

 

もっと自分に頼ってほしいと思っているのだろう。でも頼り過ぎてしまうのもよくないと考えている。

 

 

 

「あ、あとさ兄さん。」

 

 

「ん?どうした?」

 

 

「何か私に隠し事してない?」

 

 

「えっ?……いや?別に…。」

 

 

彼女が冷たい目で僕を見てくる。僕はその目に恐ろしさを感じ、咄嗟に嘘をついた。

 

 

「そう……。」

 

 

「あ、それよりほら。アイス買ってきたよ。好きでしょ?」

 

 

「アイス!しかも高いやつ!」

 

 

「いつも助けてもらってるお礼にさ。」

 

 

なんとか機嫌をとることが出来た。着替えてくると言って自分の部屋に戻った。

 

 

 

「流石にこれは頼りたくないしな……。」

 

 

スーツに入っている箱を開ける。中には綺麗な指輪が輝いていた。

 

 

 

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私は世界中の沢山の人に予言をした。

 

 

その誰もが、私の予言を利用して莫大な利益や金を手に入れた。

 

 

最初は善意のつもりだった。貧しい暮らしをするものを助けるつもりだった。しかしその貧しかった人達は、次第に利益や金を求めるだけになった。

 

 

私は私が道具のように使われているのが、私を見てくれないことが嫌だった。

 

 

私がしたかったのはこんなことじゃない。私の力で莫大な利益を得るのはいい。しかしその利益を得た人達が貧しい人達のために手を差し伸べて欲しかった。

 

 

しかしその利益を得た人達は、自分のことしか考えなくなり、貧しい人達を軽蔑した。

 

 

だから私はその利益を求めた奴らを破滅の道に追い込んでやった。

 

 

次に私が目をつけたのは、不幸体質の男だった。この男が、はたして私を道具としてみるか人としてみるか、それを判断したかった。

 

 

手始めに、宝くじで一等を予言してやると言った。

 

この男も私の力を知れば、すぐに利益ばかりを求めるようになるのだろうと思った。

 

 

 

『いや……なんか………違う気がするんだよね。』

 

 

『と言うかそんな事にお金使うくらいなら地震の被災者のために使ってやれよと思うんだよね。この国地震多いし。』

 

 

私が予想していた答えとは全く違っていた。予言でも読めない、全く予想外の答え。

 

 

私は彼に何故私の力を利益のために使わないのか問いただした。

 

 

 

『いや…聖人ぶってると思われるんだけどさ。君はそんなふうに使われたいの?』

 

 

『……違う。でもみんなそうした!なんであなたはそうしないの⁉︎』

 

 

『死んだ母さんにさ…人に優しくしろって言われたんだ……。それだけだよ。』

 

 

『そんな言葉一つで自分の幸せを捨てるの⁉︎』

 

 

『うん。というかもう言わないで。お願いだから。自分で言ってて恥ずかしくなってきた……。友達に言ったら笑われちゃうよ…。』

 

 

彼は本当に私を見てくれると思った。私のすさんだ心を癒してくれると思った。

 

 

だから私は彼についていった。彼は世間の目を気にして、私を妹ということにした。

 

 

いつもクタクタになって帰ってくる兄さん。それでも兄さんはいつも私の前では笑っていた。次第に私は兄さんを一人の男性としてみるようになった。

 

 

もっと兄さんの役に立ちたい。兄さんになら私の力をお金のために使われたっていい。

 

 

もっと……もっと……私を頼って…。

 

 

兄さんに私の身体を求めてほしい兄さんに私の力を求めてほしい兄さんに私の全てを愛してほしい。

 

 

もっと求めて…。もっと愛して…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、私はそれを見た。

 

 

 

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「ただいまー。」

 

 

今日もクタクタになって帰ってきた。しかし家は電気がついておらず、彼女の出迎えの声も聞こえない。

 

 

 

(出掛けてんのかな…?)

 

 

料理の匂いがした。どうやら食事は作っておいてくれたらしい。着替えてリビングへ行き、電気をつけた。

 

 

 

「………………。」

 

 

「うおっ…。なんだ…いたのか……。」

 

 

彼女が電気もつけずに座っていた。冷たい目で僕を見た。

 

 

その目に身震いしながら、テーブルに置いてある料理を食べた。

 

 

食べ終わって、食器をシンクに置いたところで、彼女が僕を呼んだ。

 

 

「兄さん……。」

 

 

「どうした?」

 

 

「兄さん…この人誰……?」

 

 

彼女が見せてきたのは、僕と女性が手を繋いでいる写真。

 

 

 

(もう隠せないか……。)

 

 

「ちょっと待ってて。」

 

 

そう言って、僕はあの箱を取りに行った。

 

 

 

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「はい。」

 

彼女の前に箱を置いた。彼女がその箱を開け、中身を見た。

 

 

「前からなんだけどさ…会社の同僚の人で……。」

 

 

「なに……これ………。」

 

 

「一応…結婚まで考えてる。もっと早く話しておけばよかったな…。ごめんな……。」

 

 

彼女の好意には気づいていた。しかし僕は彼女をそういう目で見ることはできなかった。

 

 

彼女はずっと無言で震えていた。もっと早く話しておけばよかったな…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「酷い……。」

 

 

「え…?」

 

 

「酷い酷い酷い酷い酷い酷い酷い酷い酷い酷い酷い酷い酷い酷い酷い酷い酷い酷い酷い酷い酷い酷い酷い酷い!!!!」

 

 

「ノ…ノストラダムス……?」

 

 

「なんで……?なんで私じゃダメなの…?もっと兄さんの役に立ちたかったのに…私のほうが兄さんをたくさん愛せるのに……私のほうが兄さんと一緒にいたのに‼︎」

 

 

「私よりこの女のほうがいいの…?なんでこんな女に頼るの…?兄さんの恋だって結婚だって愛し合うのだって私に頼って欲しかったのに!!!!」

 

 

彼女が僕の首を締めてきた。その華奢な腕からは考えられない力で。

 

 

「かはっ……やめて……。」

 

 

「私だけいればいいじゃない!私だけ頼ればいいじゃない!あああっ‼︎こんな女兄さんには必要ない必要ない必要ない必要ない必要ない必要ない必要ない必要ない!!!!」

 

 

意識が薄れてくる。彼女の涙が頬を伝って流れていく感覚も薄れてくる。

 

 

「ごめんね…。苦しいよね。でも大丈夫だから……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私がずっと面倒を見てあげるから……。」

 

 

 

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ある都会の郊外に小さな屋敷が建っていた。その屋敷はある少女が一人で暮らしている。

 

 

しかしその屋敷の窓には、たまに首輪に繋がれた男性が見えることがあり、周囲の人々からは幽霊屋敷と言われ、近づくことはなかった。

 

 

 

「ただいま兄さん。」

 

 

「うん。順調だって。」

 

 

「もう直ぐ生まれるんだね。兄さんと私の子供…。」

 

 

「どうしてそんなに悲しい顔をするの?」

 

 

「大丈夫。生まれてきた子供も、兄さんのお世話も、私がしてあげるから…。」

 

 

「だから…もっと私を頼って……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ね?兄さん。」

 

 

 

 

 

 




ドナルドの声ってどうやって出してるんすかね……。

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