あれから更に時間が経ち、俺の身体は更に成長し大きくなった。その間にも『ゾルザル育成計画』は進み、今現在に於いてそこまで嫌われるような要因はないと言えよう。今のところ姉弟仲は悪くなく、基本的に皆慕っている。ただ………どうにも次男であるディアボが妙に俺の事を意識してる節があるんだよなぁ。本人に直に聞いてみたら何でもないと答えるが、それは絶対に嘘だろ。親父(皇帝)と話している所を見られる時、妙に食い入るように見られているからな。この問題はいずれ解決しなければと思ってるが、それは後にしておこう。問題の内容がまだはっきり見えてこないのでね。
そして時間が経ってもピニャは可愛い!!
もうね、何この生き物。可愛すぎて仕方ないんだけど。俺を見れば『ゾルザルにいさま~』と可愛らしく俺を呼びながらトテトテと近づいてくるし、頭を撫でてあげれば猫のようにふにゃとした可愛らしい笑顔を浮かべる。まさに天使だ。この世の天使が舞い降りたぞ!!
こほん……まぁ、そんなわけでピニャも物心つく年頃になりました。それだけ時間が経ったというわけです。公式的にゾルザルが何歳なのか? というのは良くわからないが取り敢えず原作時に30はいってないだろ。だから原作開始時の時の年齢は大雑把に25歳くらいだとしておこう。そうなるわけで今のピニャの歳は5歳になったばかりだ。うん、無茶苦茶可愛い。
さて、そうなると俺の年齢はざっと10歳くらいだろう。いや、自分でわからないのかと言われたって困る。そもそもこの世界の暦が良くわかってないんだから。だから大体とか大雑把にしかわからないんだよ。別にそんなことを気にする皆でもあるまい。
そんなわけで10歳になった俺ですが、この辺りになると更にこの計画は進んでいくわけだ。何、具体的には何も変わりはしない。ただ周りの評価を聞けばその答えが分かるだろうよ。ここ最近の俺の評判は…………。
『何にでも好奇心旺盛な少し困った皇子』
である。
成長すれば様々な事にも興味津々になるというものだ。そんな当たり前のことが皇族に起こったって何もおかしな事は無い。武の為に剣技を磨き王になるために政治を学ぶ。所謂お稽古事は勿論行うが、それ以外の空いた時間は別の事に費やす。時に厨房に忍び込んでは調理長を困らせながらも無理矢理周りの者達と共に料理を学び、それに付随して食材の事や産地の事などを学ぶ。または芸術に興味抱き鑑定目を学ぶべく皇帝の許可とお付きの者を付けた上で宝物庫に足を運び美術品を観察する。また医学に興味を示し軍医に簡単な治療の講義を行ってもらう。それ以外にも様々な物事に首を突っ込んだ。衣食住に関してや種族の違いに関しての知識、帝国国民の一般的な暮らしについてなど、本当に様々だ。ある意味貪欲に、悪い意味では悪食的に学んでいく。お陰で最近は一部の貴族達から『皇子らしくない皇子』なんて後ろ指差されることもあるが、そんな事を気にしている暇なんてない。何せこれからそれらの知識が全て必要になっていくからだ。
え? チート乙だって? ふざけんなよ! こっちはお生憎、天才的な頭脳なんて厨二臭いもんはないんだよ。転生して確かに生前の知識はあってもそれは向こうの知識。確かに科学が進んでる向こうの知識はよく使えるが、それをそのまま此方に持ち込めるわけじゃない。植物一つとっても全くの別種だ。それらの特性を聞いて学んで、そこからやっと科学が使えるんだよ。それに限らず美術品に於ける価値観というのも国によって違う場合があるし、此方の価値観とは違うものもある場合がある。だからこそ、その価値観を知らなければならない。皇帝として政治を行うのなら、当然民の生活に目を向けるべきなんだ。民が潤うからこそ帝国がより繁栄する。皇族が一人ふんぞり返ったって発展するわけがない。国を発展させるのもまた皇帝の仕事と言えよう。まぁ、今のこの帝国内の考え方だと大概は戦争でぶんどってくればいいなんて考えばかりだが。そんなことがずっと続くわけがないということをこの国の元老院の貴族達、特に戦争支持派の馬鹿共はわかってない。いずれ皇帝としてこの国の政治を執っていく身としてはこういう連中は叩いた方が良いかもしれない。まぁ、叩き過ぎても問題なのでほどほどにしておくが。
おっと、話が逸れたな。つまりだ、チートも特典もない俺は自力でこの世界の事を学んでいく必要があるわけだ。それはこの帝国の帝王学だけじゃ全く足りない。だから周りの監視が緩いこの時期、この年頃に詰め込む必要があるんだ。知識はいくらあっても困らないし技術もまた叱り。歳を取ると周りからもっと皇族らしくしろと言われ取り上げられる可能性があるからな。この年頃なら子供のお遊びで済ませられる。だから遊んでいられるウチにできる限り済ませる。既にこの計画は中盤に入ってるかも知れない。
何、ありがたい事に親父(皇帝)は今の俺を見ても苦言は言わない。
『このように鋭意精進しているのだ。邪魔せずに学ばせる方が此奴に良い』
だとさ。原作よりもしかして甘くなってないか、親父? まぁ、その言葉はありがたく受け取るよ。そんなわけで現在俺は勉強の虫状態だ。確かに大変だし苦労も多いがそれでも嫌じゃない。新しい知識や技術に触れ学び己の血肉にしていくというのは充実感に満ちているからな。こういうことが好きってことは案外俺は転生する前は技術者寄りの人間だったのかも知れないな。それにこの城の連中とも冗談を言い合えるくらいには仲良くなったしな。最初こそビクビクと怯えながら接っされたが、段々俺が何かを聞く度にその怯えと緊張は解れていった。フレンドリーに接しつつ向こうの為になることをやんわりと提示して此方の知識のために何かを教えてもらう。ギブ&テイクの関係に近く、それでいて教師と教え子の関係にも近い。そんな風に接していけば意外と皆気を良くして接してくれる。お陰で今じゃもっとも重臣に親しく接する皇族なんて呼ばれてもいる。それだけ慕われ同時に貴族から後ろ指さされてるわけだがね。だがへこたれる気はない。それにちゃんと弟たちの面倒見たりピニャと遊んだりピニャと遊んだりピニャと遊んだりピニャと遊んだり…………と、ちゃんとそういったプライベートな時間も確保してる。充実感だけならきっと生前よりも充実してるんじゃないか、これ。
そんな風に過ごすこと更に数年。
うん、まぁ分かってた。予想してたしね。でもさ、やっぱり……………。
『ゾルザル殿下、御出陣!!!!』
15になったら成人だからね、この世界。皇族なら当然そうなるだろう。戦争への出陣ってのはさ。当然後方に回されるだろうが大方手柄を取らされるために最後辺りの詰めをやらされかねない。だからここで敢えて言おう。
絶対に生き残ってやるし、何よりも…………俺が指揮する部隊は誰一人として死なせない!
だってそれこそが………真に『優しい王様』なのだから。
だからきっと俺は最前線に立ったとき、こう言うのだろう。
『ヤッッッサシィィィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイインンンンンンンンンンンンン!!!!!!』
ダリューン役がいないのが唯一不安だがね。