遭難する天空の魔女   作:Kaisu

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2018/11/11ちょい文章修正


お客さんかのう?

 アセロラが巨岩と雲の空域を抜けて、即座に拘束された、翌々日の昼。

 ようやくアセロラは解放された。

 

「面倒なこと、しないでよね」

 薄紫色の髪に淡い桃色の魔力を湛えた目つきの鋭い痩身の女性が、長刀を背負って眠そうに去っていった。

 

「す、すいませんでしたアゲハさん……」

「うん、滞在するなら面倒ごと起こさないで。日常を壊されるのは我慢ならないんだ。あぁ、眠い……」

 ひらひらと左手を振った際に、着崩し気味の着物の左肩からちらりと黒揚羽蝶の入れ墨が見えた。

 

 

 アセロラが取り調べを受けている間、逃げ出さないようにと付けられていた人物である。

 取り調べを行うにあたり、軍船で来たせいで必要以上にアセロラの戦闘能力を警戒していたらしく、なにが起きてもどうにかしてくれるであろう人を呼んだそうだ。

 

 船こそアレだが、アセロラ個人の戦闘能力は、魔法の使える一般人に毛が生えた程度。

 正直、アゲハさんと戦えばなにか考えるまでもなくこま切れされたであろう。そのくらい、とんでもなく強いと見てわかるレベル。

 

 

 思いっきり警戒を受けた理由は、雲の外側でなにか調査をしているように見えた(実際どうやって雲に入るか調査してた)、正規外の入り方で国境を侵した、それが軍船であった、というもの。

 

 当然すぎる理由がそこにあり、アセロラは平身低頭全力謝罪する立場と案件。

 もちろん戦う気持ちなどあるはずもなく、取り調べ開始直後からただの情けない遭難者であると全力で説明し、なぜ帝国軍船に乗っていたのかも包み隠さず喋りまくったし、船舶所持許可証もちゃんと提出した。

 

 そんなこともあって取り調べ初日時点で嫌疑は9割9分晴れていたものの、健康チェック、血液検査、船の立ち入り調査もあって拘置所に泊まることに。

 アゲハさんは早々に危険度が無いと見切りをつけて居眠りしていたけれど、寝首をかける自信はさっぱり起きなかった。

 

 

 留め置かれた間いろいろと、ここがどういうところなのかの説明を受けた。

 大陸および国名は『雨龍』。そんなに大きな国ではないらしい。

 大陸の外縁に沿って筒状の万年雲があり、万年雲の中に大陸近隣にあった浮遊岩を引っ張って来て壁のようにしているという。

 さらに魔力糸で連結し、雲の中から出ないようにもしているそう。大した国防術をしている。

 

 近場の浮遊岩は全て雨龍が引き込んでおり、だから遭難6日7日あたりでは障害物ひとつ発見できなかったのだ。

 

 

 アセロラは浮遊岩の隙間を縫って雲を抜けたが、本来雨龍には先導されて入るものらしい。

 雨龍本島、筒状の雲の外に分島のようにしていくつか小規模な浮島があったらしく、最初そこに寄って案内をお願いするのが正規ルートであったそう。

 運悪く大陸探査信号のみで向かってきていたアセロラはそれを発見できなかった、ということでもあるらしく。

 

 共和国から東へ大きく離れた上でさらに遭難をかますほどの迷走を繰り広げないと機器が大陸を感知しない場所だけに不確定な来訪者は多くない。

 雨龍で生まれ育った者か、共和国および東国(雨龍から見ると北西にあるが)との間にある個人路線に同乗するか、過去自力で辿り着いた者が稀に来るか、そのいずれかでほぼ100%の出入りが該当するとのこと。

 国家の気質として保守的というか閉じこもり気質が強く、鉱産資源にもあまり恵まれなかったことで工業はあまり発達せず、魔力に頼ったある種原始的な生活文化が醸成されている。

 

 

 雨龍の名が示すように、あり過ぎるほどの雨量から水資源には事欠かず、また植生は非常に豊か。

 エスメラルダが駐機させられているドックにある飛行艇が、木造主体のプロペラ搭載型飛行艇プロテウスや、木造帆船のプルマスといった、あまり金属を使わない飛行艇でほぼ全てを占めるのが国柄を表しているだろうか。

 空気も、雨が不純物を洗い流すからか素晴らしく良い。

 

 

 来てしまったものは仕方ないので、エスメラルダを宿代わりに観光飛行でもするかーと解放された時には思っていたのだが。

 出入国用の駐機ドックに船を取りに行くと、お役人が出てきて「アセロラさんの大型戦闘艦は国民に不安を与えるので、出国の際以外は飛行禁止です」と飛行許可を出してくれなかった。

 

 その代わり中型船のガルーダは貸してくれた。デーニッツブリッジこそ艦橋としてついているが、補助翼の類も防壁もなく安定性が悪いので、寝床にはできそうもなかったけども。

 たぶんあんまり自由にさせたくはないのだろう。当然か。

 自由に飛び回ろうとするならば、もっと何回も訪れる必要がありそうだ。

 

 

 それにしても、威圧感があるから飛行禁止とはエスメラルダの思わぬ欠点だ。

 武器庫のスペースが使われないまま持て余しそうだし、1人乗りか2人乗りの小型飛行艇は放り込んでおくべきかもしれない。無人機展開用兼物資搬入口も艦体上部にあったし。

 

 あと、とかく艦内の移動距離が長くなりがちなのには参った。

 ぶっちゃけ1人には広過ぎる。

 上下移動には大型のエレベーターがあるものの横移動は徒歩である。

 艦橋部と機関部と生活エリアがそれぞれ遠めに配置されているせいで移動が面倒でたまらない。

 

 寝るだけならどうせ1人なので上部艦橋に寝台を置けばいいだけの話だが、汚水排出の都合で料理場や洗濯場やシャワールームバスルームが最下層であったり、貨物格納庫は前部であったり、艦橋が後部の最上階であるとか。

 広さでいうならちょっとした豪邸なので、手を入れたいところがいくつもいくつも出てくる。財布の中身がどんどん薄くなっていきそうだ。

 すぐに改装に取り掛かるには懐事情が厳しいので、艦内を高速で移動できる補助道具が2台ぐらい欲しい。あと大きな台車も。

 

 

「うーん、お金がいくらあっても足りない……」

 魔女、と呼ばれる存在であるアセロラ。

 どこかに所属しているわけでもなく、篤志家がいるわけでもなく、研究をして支援金をもらっているわけでもなく、傭兵として護衛をすることもなく、なにかを育てているわけでもなく。

 

 生まれもった魔力生成能力を稼ぎ口に、魔力炉と魔力充填器に魔力を補充する仕事を不定期に請け負っては収入としている。

 魔力だけで稼げて不定期で大丈夫な仕事というのが、これぐらいなのだ。

 

 

 あとは、魔力の詰まった黒雲探しで長時間航行することが多いので時間がある。

 その間に魔力を込めたアクセサリーを作ってそれも売っている。こっちは収入と言えるほどの額にはならないが。

 総じて1人で慎ましく暮らすには十分な金額は稼げるが、エスメラルダを買った時点でいろいろとヤバくなる程度の稼ぎでもある。

 

 

 世の空賊数あれど、あれはあれで凄いのだ。

 帝国を乗っ取った「最果ての空賊団」は言うに及ばず、空賊で1番のアホの子団長と呼ばれている「リッパーズ」のサキですら大所帯を食わせているのだし、その面では非常に頼れる姉御であり、立派な団長。

 

 博才に恵まれ大勝ちし博打に飽きて気まぐれに空賊になったと(うそぶ)くルピアという少女と会ったことがあるし、「海歌」首領シーシェ以下、根拠地を持ちその根拠地出身者で固めた自警団崩れの空賊団もある。

 あるが、基本1人で食べていけないから賊に身を落とすのである。

 

 冒険者と空賊の境界は、徒党を組むか組まないかの差でしかないと思うけれど。

 生まれに由来する「魔女」と呼ばれる身ではあるものの、アセロラのやっている幻の黒雲探しは宝探しを行う冒険者と大差ない。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 借りたガルーダで雨龍で1番大きい街まで行ってみた。

 1番大きい街といっても空から見下ろす限りでは木造の低い建物が多く、なんとなく平面な印象を受ける街だった。

 降りて街を歩くと、ノスタルジックというか穏やかな雰囲気。

 

 年中雨季のようなものらしいので、傘屋や雨具を売る店はかなり多いようだ。

 今も小雨模様。ガルーダの昇降口にあった唐傘を使わせてもらっている。

 建物は空から見た通り木造建築。概ね風通しの良さを重視しているように見える。

 道行く人はほとんどが前合わせの衣服を帯か紐でとめて着ている。ボタンを使うものや、貫頭衣の類はあまり見られない。

 

 アセロラの服は、黒のチューブトップと白のドロワーズ、臍の位置で外套をベルト留めしてスカート状に、黒い手袋と一体型のアームカバー、更に魔法の杖と刺繍入りの黒い頭巾、と、一般的な魔女のイメージからあまり外れないもの。

 道行く人がかならず一瞥するぐらいには、すごく浮いている。

 

 まずは周囲から浮かない程度に服を整えた方がいいかなと思う。視線がこそばゆい。

 高温ではないが湿度が結構あるせいで肩や膝下は外気に晒しているにも関わらずちょっと暑い。今着ている服では重装備過ぎる。

 お金もそこまで使えないという事情もあり、どこの店に入れば安いのかわからない。古着屋があれば理想なのだが。

 

 

「およ? 見かけない顔だねぇ? なにかお困りかの?」

 ものすっごく年寄りな喋り方をする白い髪をした少女に話しかけられた。

 

 フリルのついたミニスカ型のこの国特有の前合わせ着物を大きなリボンのような房のついた帯で腰を縛っている。

 手にお盆を持ち、はてと少女の周囲を見回すと「小豆餡」という屋号が目に入り、三色団子の絵もついていた。甘味処であるらしい。

 

「うん、まあ、困ってるかなー」

 古着屋探しに困っているのも確かだが、少女の店員?に話しかけられるのも、どう反応すればいいのか困る。

 

 

 店の中を覗いてみれば閑散としたものだった。

 昼に拘置所から解放されて、駐機ドックに行ってガルーダを貸してもらって、それから飛んできて今。ぼちぼち夕方に差し掛かる頃合い。

 なのだが、太陽は大陸外縁を壁のように覆う筒状の厚い雲の向こうに没してしまっている。かなり暗くなりつつあるのだ。

 

 雲の壁のせいで日の出遅く日の入り早く、雨も多いとくれば、雨龍とはなかなか難儀な場所かもしれない。

 甘味処でぼやぼやする人は、この時間ではもうあまりいないのかもしれない。

 私は魔法で明かり出せるからあんまり暗さは関係ないけど。

 

 

「んー、じゃあ中で相談乗ってもらおうかなー。雨降ってるし」

「はーい。おばあちゃーん、お客さまおひとりー」

「はぁい」

 椅子席と座敷席があったが、他にお客もいないので広い座敷席を使わせてもらった。

 

 お品書きを見ても文字だけでなにが美味しいとかよくわからなかったので料金だけさっと見て、1番高いのが出てきても十分許容範囲だなと銭勘定しつつ、お茶請けはオススメの甘いの見繕ってくださいとお願いして、あとは雨龍名物らしいそこかしこで名前を見た銘柄茶を注文した。

 

 

 遭難していた間を含め甘いものはここ10日以上ろくなものを食べていない。飴を舐めたぐらいか。

 店に入る前はそうでもなかったが、いざお願いしてみるとお腹が甘味を所望している感じ。店の奥の方から漂ってくる蜜の匂いと焼けた餅の匂いのせいもある。

 お茶だけ急須ごと先に出てきて蒸らすようにとのお達し。それから待つこと数分、少女がお団子4本をお盆に乗せて持ってきた。

 3色団子、みたらし団子、粒餡団子、白団子、と、小皿に胡瓜の漬物。お茶も注いでくれた。

 お腹減ってたわけじゃないが甘いものは別腹。おあずけ受けてた感もある。喉が鳴る。

 

 

 熱いお茶で口の中を潤し、いざ。

「いただきます」

「召し上がれ〜」

 

 3分後、あっさり団子4本を食べ尽くし、早速みたらし団子とお茶のおかわりを注文する私がいた。

 凄まじきかな団子の魔力。

 

 

 

 

 

 

 

 

 団子16本を平らげ、もう夕飯もここでいいやとお茶漬けまで注文してかっ喰らう。

 お茶美味しいし、胡瓜の漬物(聞いたところぬか漬けだった)がほどほどに塩味を補給してくれるのでついつい食が進んだ。

 さらにお茶漬けのあとに善哉(ぜんざい)プラス。甘みの暴力が体に染み渡る。

 明日はなるべく魔力生成して食べた分は消費しなければ余計な肉がつきそうだ。

 

 

「お姉ちゃん、よく食べるねえ」

「10日以上まともな甘いもの食べてなくて。こんなに食べるつもりはなかったけど、団子が美味しいのが悪いのよ」

「嬉しいこと言ってくれるねえ」

 食べるのもひと段落したところでふと外の様子を見てみると雨が本降りになっていた。

 

白鞠(しろまり)、もう暖簾おろしちまいなー」

「はーい、おばあちゃーん」

 奥から店仕舞いの声が聞こえて、そういえば相談どうしたものかと思い出す。

 つい目的を忘れて真面目に食べてしまった。

 

 暖簾を下ろして戻ってきた白鞠というらしい少女にお会計をお願いすると、まだ相談乗ってないよと向こうから切り出されてしまった。

 雨が強くなってこれ以上の客が見込めないから下ろしただけで、本来の営業時間はまだあるらしい。

 雨早仕舞いもよくあることとのこと。

 

 

「お姉ちゃんは、もしかして、この前大きな船でむりやり雲の壁抜けてきた人かね?」

 

 むせた。

 座敷席の対面に座った少女が、突然アセロラの正体を看破してくるものだから。

 

「やっぱり」

 2度目の弁解をすることになった。

 白鞠いわく、魔女が遭難してデカイ船で雨龍に迷い込んだ、ぐらいのことは早くも一般市民の知るところらしい。

 きっと、道ですれ違った人の中には物珍しさでこちらを見ただけではなく、この少女のように見抜いていた人もいたのだろう。

 顔から火が出る思いだ。

 

 

「広まるの早すぎじゃない?」

「波乱万丈な国じゃないからねえ。変わったことがあったら、すぐに広まるねえ」

 どれだけ変事に飢えているのか。これじゃどこ行ってもバレそうだ。

 

「外からのお客人は、雨龍は多くないからねえ。所作とか服とか顔つきとか、なにかしら違うから目立つんだ。雨が多いから出歩きにくいし、避暑するには湿度が高い。名勝地はあるけど観光地ではないし、美味しい水や山の幸はあるけど、それだけのために来るのもね。魅力がね」

 

 アセロラの迷走期間を含めて、操縦者が1人であったことを加味しても、おそらく共和国大陸リリバットから片道7日以上は見るべきな長距離移動。

 美味しい水や山の幸があろうと7日もかければ痛むし腐る。ちょっと足を伸ばすという距離でもない。

 

 

「ああ、あと、キノコは美味しいよ。この気候だからいろいろ生えるし、養殖栽培もやってるところがある。干したキノコはお土産にもなるね」

 渋いお土産にもほどがある。

 

「このお団子の粉は?」

「米のだんご粉だね。米は雨龍の主食だけど、外に出せるほどは穫れないかな」

 この日照時間と雨の量では、そりゃあ野菜や穀物の収穫量は落ちるだろう。

 

「いっぱい穫れるのはユウヅキ様の棚田ぐらいのもんかね。土がいいのか、毎回びっくりするぐらい穫れる」

 人名が出てきた。

 

「ユウヅキ様って?」

「雨龍の巫女様だよ。小さいころから不思議なことを起こして、巫女に推挙されたと。綺麗な人だよ」

 様付けするぐらいには偉い人であるらしい。

 

「守り神的な?」

「守り神は別にいるのよ。そうさね、大神官か。立場としてはそんなところかの」

 重職に就いているのであれば、アセロラとの接点はないだろう。

 

 

 

「ところで、近くに飛び込みで宿取れるところないかな? 本当は乗ってきた船で寝るつもりだったんだけど、戻るには遅い時間になっちゃった」

「なら、店出て7軒左隣が民宿だよ。小豆餡で紹介されたって言えば泊めてくれるよ」

「よし、宿確保」

 民宿ならそこまでお値段は高くなるまい、たぶん。

 

「あと、この服だと目立ちすぎちゃって。安い服屋教えて欲しいな。古着屋でもいいよ」

「服屋はわかるけど、値段のことは詳しくないから、おばあちゃんに聞いてくる」

 ぴょん、っと、座敷から飛び降りると、白鞠は裏に消えていった。

 祖母と孫娘の店とは、両親はなにやってるのやら。団子作りでもしているのだろうか?

 

 

 ざばざばと降り続く雨をBGMにしばらく店内を眺めていると、白鞠はなにか折り畳んだ紙を持って戻ってきた。

「ちょっと卓の上失礼するよー」

 湯飲みと急須を端に寄せて広げられたのは地図だった。

 

「いまここがこの店でー、ここがさっき言った民宿ね。それでお姉ちゃんが探してる安い服屋だけど、古着屋がこことここ、肌着はここの店がいいっておばあちゃんが」

「ごめんちょっとメモとらせて」

 手帳を開いて「小豆餡」からの経路を簡易地図として書き写す。

 

 

 ふと、白鞠の目がアセロラの手帳飾りを見ているのに気がついた。

「これ、気になる?」

 移動中の暇潰しに、親指と人差し指で作る輪程度の大きさの紅色と空色と藍色の輝石にドリルで穴を開け、ヤスリと研磨材で削って勾玉状に加工し、それを革紐に通しただけのちょっとした鉱石細工。

 宝飾品というにはカットによる輝きも加工も足りないが、魔女の細工物なのでギミックはある。

 

「魔力を注ぐとね……」

 指先から空色の勾玉に少し魔力を注ぎ込む。ぼんやりと輝石が光を放ち始めた。

 

「触ってみて」

 おそるおそる白鞠が指を伸ばす。

「ひやっ、冷たいっ」

「そ、冷たくなります。魔力が続く限り一定の温度で冷えるから、ちょっと暑いときに外して握ったり首筋にあてたり。紅色のは逆に熱くなる。藍色は点滅するだけ」

「便利、なの?」

「微妙かなー。魔女の道具としてはオモチャみたいなものだし」

 

 魔力を注いだ量に応じて熱くなる冷たくなるというのは便利といえば便利だが、ギミックとしては簡素なもの。

 そりゃあまあ、暑いときに冷える石を大量に布袋に入れて氷枕のようにして涼んだり、寒いときに熱くなる石をポケットに忍ばせたりはするけれど。

 

 

 そうこうしているうちに地図の簡易な書き写しも終え、時刻もすっかり夜。

「お会計お願いしますね」

「はぁい」

 お金は足りるけども、一食分としてはちょっと飲み食いし過ぎた感のある合計金額がそこにあった。

 おのれ茶店小豆餡、旅人からぼったくりしないのはいいことだが、美味しい罠。

 だって止まらなかったんだ。

 

「また来てねぇ」

「ありがとねー」

 土砂降りの中へ歩き出すのは少々勇気がいるなあと思いながらも、唐傘を開き左にあるという宿屋に向けて、踏み固められた土の道を滑ることに気をつけながら歩き出した。




アセロラの乗艦、エスメラルダについてのゲーム的な解説。
天クラwikiより一部抜粋。

実装当時は見た目が不評だったようで、バッタやらネギやら散々な扱いを受けていた(パーツフル装備になると結構マシ?)。
メダル交換所実装と同時実装だったため、入手時点では誰もエスメラルダ軽シリーズすらつけられず、貧相な船体を皆が長期間眺める事となり、更に似た名前の船員エスメラがいたためバッタを中心とした散々な名前のほうが定着することに。
上記のことがあったからなのか、2016年7月25日13時にモデル変更が行われた。変更後のエスメラルダについては賛否両論であり、「かっこいい」「欲しくなった」など評価しているプレイヤーもいれば、「(旧モデルに)戻して欲しい」「やっぱりださい」など落胆しているプレイヤーもいる。
☆4ともあって船レベルの育成は超難度、実装からリーグ戦開始までの間に頑張りゃMAXになるだろうと考えたプレイヤー全員が苦汁を舐めさせられている。現在は毎日3回できる「飛行艇特別訓練」があるため昔ほど時間はかからないが、まだ期間限定だったころは毎日やっても冗談抜きで数ヵ月掛かるほど大量の経験値が必要。

ちなみに「エスメラルダ(Esmeralda)」とは、スペイン語でエメラルドの意である。
赤属性船がエメラルドとはこれいかに?


ーーーーー
メタ的な話だと、実装当時、最新最強の、新規レア度の船であり、課金でも解決できないシステムと同時実装されたため、小説本編におけるパーツの実装遅れとほぼ同じことが起きた。
船のステータスが上がらない、上げられない、にも関わらず、無理やり使用しないと将来苦労するという三重苦を最低4ヶ月続けることに。
当時ミッションオートもなかったため、手動で一般ミッションを周回し強化するのも難しい有様であった。
言うまでもないかもしれないが、運営はぶっ叩かれた。デザインが悪い面も含めて。挙句運営側がバッタ呼びした始末。
バッタの由来は、素の船体がショウリョウバッタによく似ていたからである。これが最強船1番手として出てきたという衝撃。
小説投稿時点において、ゲームには52種類の船があるが、のちにデザイン完全変更を受けたのはこの船だけというところも不人気さの象徴的事例か。誰がゴーサイン出したやら。

ちなみに、単純比較はできないだろうが、バッタ呼びされている方のエスメラルダの大きさは、グラフィック上、蒼き鋼のアルペジオの401より大きく、宇宙戦艦ヤマト2202のヤマトといい勝負かさらに大きい。
アセロラが広さを持て余すのは当然である。ゲーム的にはアセロラ単独乗艦で出撃させることは一応可能。デザイン変更を受けているので、完全再現はできないが。
あと、新規グラフィックの方のエスメラルダは、下部艦橋がどう見ても艦橋ヅラしていなかったりする。
https://wikiwiki.jp/craftfleet/%E3%82%A8%E3%82%B9%E3%83%A1%E3%83%A9%E3%83%AB%E3%83%80
これの旧バージョンにアセロラ乗艦中。

ーーーーー
白鞠の情報抜粋。星4。
祖母と二人で茶屋『小豆飴』を切り盛りしている少女。最近は店の新商品として胡瓜のぬか漬けを考案中。普段の口調は祖母とそっくり。
好き 祖母、甘味、胡瓜
嫌い 炭酸水、ブラックコーヒー

改造ミニスカ着物娘。インフレが進んだ現在、数少ない現役環境に残っている低レア船員。
天クラ世界の謎食文化をキャラ単独で垣間見れる。
この話のタイトルは白鞠のミッション開始時ボイス。
https://wikiwiki.jp/craftfleet/%E7%99%BD%E9%9E%A0

ーーーーー
雨龍について。

運営から提示されている情報は、「雲の中の小国『雨龍』」および、アマネ、イロハ、ユウヅキの3キャラが住人であるとしかわからない。
ゲーム2年目時点で雨龍の存在は明らかにされているものの、イベントストーリーで登場したことはない。
よって、雨龍を取り巻く住環境は作者の考察に基づく創作。
雲の中でどうやって生活するんだ、しかもイロハの説明に晴れる日もあるって書いてある→筒状の雲で浮遊大陸囲えば矛盾しないな!という解決方法を思いつく。
白鞠にしろアゲハにしろ、服装と名前が上記3名に傾向が似ている理由でチョイスされている。


ーーーーー
東国について。
小説本編にほぼ出てこない要素だが、白鞠をチョイスした理由に関係するため触れる。
共和国より見て東にあるためか東国。雨龍とは別の国で、そこそこ掘り下げられており、東国出身を表記されているキャラも多い。
しかし国の名前は不明(運営が東国呼びしかしてない)。東国=雨龍の可能性もあるが、ひたすら東国呼びのためおそらく別の国だろう。
数百年前だが共和国側が侵略した過去がある。以後は共和国と友好を保っている。

服装が侍がいた時代の旧日本風(ソシャゲの常として装飾華美気味だが)。つーか侍も忍者もいる国。
東国のキャラ名は、六華、春ノ都といった漢字名や、ハナユキ、ホオズキといったカタカナ表記が混在。
服装は雨龍在住の3人と概ね同じ傾向であり、和風の命名則も含め、雨龍は共和国よりもこの東国の方が文化的に近いと推察される。
よって、漢字名の白鞠が雨龍にいてもいいよね、と決定。

雨龍に雨が多いと仮定したため、本小説では、共和国から見て、東国は東北東やや近め、雨龍は南東遠めに位置すると作者の中では設定している。
アセロラの迷走コースは、帝国→共和国→南東方向へかっ飛ばし漂流遭難→雨龍、想定となっている。

雨龍の保守的閉じこもり設定は、共和国の東国侵略を経て逃げてきた東国住人が年月をかけて自衛に走った、と裏設定。
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