遭難する天空の魔女   作:Kaisu

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一切売り上げに貢献しない懐古キャラスタイル。
フリードさんの空賊団名前ちゃんとあったわ。
11/13文章微修正





私ならやれるわ、私なら

 彼の生涯は、闘争の日々だった。

 赤毛の親子猿を肩に乗せサーベル2本で数多の同業者を斬り倒し、身に宿る雷の魔力を振るって数え切れない村落を襲撃し略奪した。

 

 老境となり、若き頃の友であった親猿とは寿命で死に別れ、闘いの過程で左目も失い、2刀でもってバッサバッサ斬り捨てるようなことはもう体がついていかない。

 しかし、年輪のように積み重ねた襲撃の経験は色褪せるどころか円熟味を増し、帝国・共和国・艦隊連盟から目の敵にされようとも、悪名誉れ高い古豪の空賊団「フォボス」の首領としてフリードは存在し続けている。

 

 

 攻めようとするならば雨の小国「雨龍」の防備は相当険しいとフリードは経験で知っている。

 既に何度も攻め寄せたことのある国で、その防衛線を破って略奪に成功したことも少なくない。

 そのたびに防備は堅牢となり、今では亀のよう。もはや空賊団規模では雨龍本土攻撃は望めない。

 雨龍の防御力を育ててしまったという自覚すらもある。

 

 ただ、亀でしかない。

 雨龍本土を囲う筒雲を活かした空の城壁は強くとも、帝国や共和国のものと比べると早期警戒能力はザル同然。城壁から出てしまえば付け入る隙はいくらでもあった。

 

 

 雨龍には洗濯船なる他国にない飛行艇が常時出入りしている。

 これらは護衛も薄く狙い目であり、雨龍の質の良い布を使用した衣服は服としても布材としても優れた収入源となる。

 特に魔力を布地に編み込んだ布や服は魔導具として引く手数多。

 雨龍は輸出こそしないがそれの生産に長けており、洗濯船の積んでいる衣服の中に混じっていることも多い。

 ゆるい護衛はものの数にはならず、気分はクジを引くかのよう。

 

 

 フリードの立てた計画の下、襲撃隊はあっさりと護衛を落として洗濯船として使われていたインペリウムへカチコミをかけ操縦を乗っ取り、避難艇に洗濯船乗員を押し込んで空へ蹴り出した。

 洗濯船の発信機をさっさと停止させ本隊へ合流させるつもりだったのだが、雨龍防衛部隊の集合が早く、さらに追跡も執拗で撒くに至らず、フリード率いる本隊が迎えに出ることに。

 

 同時に本隊から抽出した高速機フレスベルクの別働隊が迂回して雨龍本島を襲う構えを見せて防衛側の戦力も分散させる。

 思っていたよりも雨龍防衛部隊が粘り腰を見せているが想像の範囲内は脱しない。

 特異な操艦技術を持つエース機もおらず、強奪したくなるような目新しい新造艦がいるわけでもなく、旧態依然とした辺境国家の戦闘部隊は扱いやすい敵でしかない。

 

 

「若造ども! 墜とされたら分け前はないと思え!」

 フリード本隊の重装艦ギガント部隊と雨龍防衛部隊との砲撃戦が始まったが負ける要素は微塵もない。

 フレスベルクを集めた高速隊が本島防衛部隊に一当てしたら即座に切り返し、現在フリードの本隊が対峙し釘付けにしている雨龍部隊を横から食い破るだろう。

 

 こちらの被害は無いまま、正面で撃ち合っている雨龍部隊は3隻が火を噴いて乗組員の緊急離脱が行われている。

 

 なんのことはない、いつもの勝ち戦。

 そうフリードが思ったとき、フレスベルク隊から警報が操縦指令室へ通達された。

 いるはずのない船が殺意高く追ってくると。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 時は少し遡る。

 

「魔力炉稼働率70%まで解放、魔力防壁を機体前部へ展開。エンジンを戦闘モードへ移行。火器管制システムへの諸項目入力完了、敵味方識別信号登録完了。レーダー及び電探の異常なし。魔力弾供給ルート異常なし。操舵とスラスターと昇降舵異常なし。アンチアイスオン。内線と外部無線問題なし。戦闘用出発前チェックリスト完了」

 

 持ち船の主人として、やらなければいけないチェックリストを終え、アセロラは外部と無線連絡を繋げる。

「管制局、こちらエスメラルダ、出撃許可求めます」

「こちら雨龍本島管制局。アセロラ様、現在、雨龍船籍の洗濯船が1隻船ごと奪われていると情報が入っており、空賊は既に逃走態勢に入っている模様です。防衛目的での出撃としていましたが、エスメラルダの船速を加味して追撃戦へ加わって頂きます」

「管制局、少々お待ちください」

 

 エスメラルダ上部艦橋に備わったコクピット機器から後ろを向けば、そこにはユウヅキさんがいる。

 重職にいる人を果たして前線まで連れ出していいものなのか。

 

「えっと、改めて確認しますけどいいんですか? 大臣級の人なんですよねユウヅキさん。撃ち合いにはなりますから、万が一もあるかもしれないんですけど」

「私が乗船しているからといって、このエスメラルダ(戦力)を後ろで遊ばせていたら、軍部にも雨龍の国民にも怒られますよ。それに、私これでも戦える巫女なので。遠慮せずどうぞ」

「そうですか。あー、管制局管制局、エスメラルダ了解。追撃戦に加わります」

「こちら管制局。ありがとうございます。エスメラルダ出撃を許可します。雲を出るまでは誘導船の後に続いてください。ご武運を」

「ありがとうございます」

 

 

 エンジンの稼働率が上がり音が強くなる。

 アセロラは操縦桿を引いて、ゆるやかにエスメラルダを発進させた。

 雨龍を囲う筒状の雲、それをレーダーをガン見しながら真っ直ぐに飛ぶ。

 

「ああ、そこまで固くならなくてもいいですよ。誘導船の後をついていけばいいのですから」

 そうは言っても、入国したときの浮遊岩を避け避けして飛んだ経験が記憶に新しい。

 

 

「うわ」

 おっかなびっくり筒状の雲を通り過ぎた途端、レーダーに大量の輝点が湧いた。

 

 中でも際立って大きな輝点が3つ。しかも敵。艦種はフレスベルクと表示されている。

「強襲型の雷系に親和性の高い高速艦ですね。洗濯船を追いかけるにしても、あの3隻は先に片付けた方がいいでしょう。私から艦内に通達しますね」

 言うが早いか、ユウヅキさんは内線の通話機を掴んだ。

 

「ユウヅキです。出航直後ですが戦闘に入ります。目標は高速艦フレスベルク3隻。砲戦で片付けますよ。和葉、物理火器は任せます」

「こちら和葉、攻撃タイミングはどうしましょう」

「タイミングも任せます。残弾は注意しつつ、自由に」

 

 和葉さんは、ユウヅキさんの直属の護衛の1人。

 紫髪の長いリボン留めツインテールでおっとりとした雰囲気のある女性だが、アゲハさん同様に熱魔法を付与した刀を使う武闘派。

 

 

 フレスベルク側もこちらを確認したらしく無人機が次々放出されている。

 レーダー上には無数の細かな輝点が拡がっていく。

「エスメラルダのロックオン機能が普通と思わないことね」

 アセロラは増え続けるレーダーの輝点を手のひらで一撫でした。

 たったそれだけで、無人機の全てが空間単位でロックオンされた。

 

 瞬間、エスメラルダのあらゆる砲が火を噴いた。

 艦首1門・底部2門・左右側面4門づつ、それらが5連射かつ、放たれた魔力誘導弾の全てがそれぞれで別の無人機を追尾し、撃ち漏らしひとつなくレーダーの小さな輝点を消し去った。

 

 ……旧型エスメラルダが帝国に配備された頃、見た目と評判はともかく、当時としては世界最強の火力を持つ砲艦であった。

 これの時点で相当だが、帝国が抜本的な設計を見直した方の新型エスメラルダはさらに火力を増すというから脳筋ここに極まれり。

 

 

 あっという間に無人機が掃除され、今度は直衛の有人機がフレスベルクに寄ってきている。

「ここは、私の出番ね!」

 乱数回避モードに機体を設定しつつ和葉さんに接近して攻撃魔法を使用する旨を伝達し、ユウヅキさん手配の代理パイロットに操縦権を移譲して、アセロラは艦橋の上端へ走り魔力を練った。エスメラルダからも魔力供給を受けている。

 フレスベルク側からの砲撃も来ているが、雷系魔力弾のそれは暴風耐性や雷耐性の高いエスメラルダの魔力防壁がそれを受け切っておりなんの痛痒も示さない。

 

 風防の魔法を自身に付与、目標はみるみる近づいていくフレスベルク3隻と直掩機6隻。

 フレスベルクはベージュの艦色で柄の長い直剣のような飛行艇。

 上下の艦橋と左右のアンテナが十字になるように配され、レイピアの(つば)のようになっているのが特徴的。

 

 艦橋の天井部から身を乗り出し、アセロラは身の魔力とエスメラルダから供給される魔力を杖に通して呪文を唱えた。

「獄炎の渦っ!」

 空間を燃やす炎の竜巻とでも形容しようか。

 周囲の酸素が一気に燃焼され、爆発的衝撃と熱波がエスメラルダの機体を小さく揺らした。

 

「いっけぇええっ!」

 金属すら焼きちぎる熱の暴風。それを編隊を組んでいた敵9隻へ薙ぎ払う。

 

 紅々とした融解炎上の攻撃魔法が6隻の直掩機を大火事に変える。

 フレスベルクは3隻のうち2隻で対抗呪文の展開が間に合ったのか損傷軽微。残る1隻はエスメラルダ側の側面アンテナを溶解され、ベージュ色だった船側面も赤黒く焼け焦げている。

 

 アセロラ自身の強い火炎属性への魔力適性と、火炎系への高い親和性のある魔力を生むエスメラルダの魔力炉や増幅器の合わせ技。

「ふぅ」

 脱力感とやり遂げた感に浸った直後、エスメラルダが実弾系攻撃をバースト射撃。

 対抗して損傷の少ないフレスベルク1隻が機銃による制圧射撃を試みるが、ブラストファイアという単発中火力呪文の追撃を受けて制圧射撃を中断させられている。

 

 一方のバースト射撃、怒涛の重砲連射は容赦なく焼け焦げたフレスベルクに降り注いだ。

 和葉さんを中心としたユウヅキさん護衛隊の面々が射撃部隊になっているがなかなかの命中精度。

 重砲のいくつかが損傷部分からバイタルパートに刺さったのか、一度大きな爆発があり機体がフラフラと上下運動を開始した。

 もはや長く保たないと見たか、戦闘不能と緊急退避の信号が焼けたフレスベルクから発せられた。

 

 

 フレスベルクに置き去りを食らって遅れていた雨龍部隊の飛行艇が集まってくるのを知ってか、残りのフレスベルクは形勢不利と判断したのか離脱を開始。

 炎上が止まらない直掩機は見捨てられていた。

 

 

「ユウヅキさーん、紳士協定でいいよね?」

「艦長の判断に従いますよ」

 高空遥かな戦いで母艦を喪うことは、死へのカウントダウンにほぼ等しい。

 脱出できるのであれば、それに越したことはない。

 

 離脱する戦闘不能者への攻撃は、禁じられてはいないが褒められもしない。

 軍でも空賊でも共通した最後の一線のゆるい不文律。運が良ければ味方が拾うし、見捨てられるようなら捕虜にすることもある。

 戦闘不能信号を出した乗組員たちが攻撃を続けるようなら、それはトドメを刺しにいくことになるが。

 アセロラは艦内へ戦闘不能者への攻撃禁止を通達し、まだ戦闘中なので回収もしないと宣言。空賊の戦闘不能者にはどこかで浮いていてもらって、雨龍軍の扱いに任せよう。

 

 エスメラルダにとっては前哨戦でしかない。

 操縦席の代理パイロットに、逃げたフレスベルクを追うように指示を出した。

 







サブタイトルはアセロラのボイスより。

アセロラ・アゲハ・ユウヅキ・イロハ・和葉+エスメラルダでミッション
の組み合わせは、ゲーム的にもちゃんと親和性があったりする。
ゲーム的な性能による説得力と作品への採用両立は壮絶に面倒くさい。

そして、苦労のわりに極々一部の天クラファンにしか通じないこだわりである。





例によってwikiより抜粋

フリード(老)
若き日に暴虐の限りを尽くした悪名高き空賊。襲った島の数は数知れず、老齢になった今も各地で暴れまわっている。
好き 酒、女、金
嫌い 正義を語る人間
初期も初期の緑星5キャラ。とうの昔に排出停止されており、現在はアセロラ同様、本当に微粒子レベルで入手できるかもしれないぐらい。
性能的には昔からゴミだった。
https://wikiwiki.jp/craftfleet/%E3%83%95%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%89


フリード(若)
空賊団『フォボス』の首領。二刀での戦闘を得意とし、そこが戦場である限り老若男女関係なく切り捨てる。大きい浮島を支配しようと企んでいる。
好き 悲鳴、強者
嫌い 正義感
こちらは緑星4で現在も入手可能。登場時点ではギリギリ使えなくもなかったが、今は論ずるに値しない性能。
https://wikiwiki.jp/craftfleet/%E3%83%95%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%89%E3%80%90%E8%8B%A5%E3%80%91

ユウヅキ(コスト23)
霧の中の小国『雨龍』で巫女を務めている。祈りの力で不思議な出来事を起こす、とされているが実は全て魔力で行っており、いつ打ち明けるか悩み中
好き 『雨龍』の人々
嫌い 嘘
現在は排出停止されている。
登場していた際はまあまあ使われていたようなそうでもないような。
https://wikiwiki.jp/craftfleet/%E3%83%A6%E3%82%A6%E3%83%85%E3%82%AD

和葉
女性専門で護衛の仕事を請け負っている少女。その腕前は確かで、請け負った仕事は100%成功している。プライベートで男性に近寄られるのは苦手。
好き 花
嫌い 男性
赤星4で現在も入手可能。使い道は…………うん…………ないかな…………。
ちゃんと雨龍にいてもおかしくないようなミニスカ和服っ子。
当話でブラストファイア撃ったのはこの子。
https://wikiwiki.jp/craftfleet/%E5%92%8C%E8%91%89


フレスベルク
完成画像からだと随分シンプルな風貌に見えるが、実は素の状態だと吹きさらしの骨組みである。中身に機関部や弾薬らしき物が見えるというなかなか凝ってる珍しい仕様、ダメージ表現がより深刻に伝わるだろう。サイドパーツは名の通りパーツというよりほぼ部屋兼壁、真っ先に落とされるパーツなのだが・・・
ちなみにCICとは戦艦の戦闘指揮所を表す。おい大丈夫か
↑引用ここまで
見た目シンプル性能はボチボチ、グラフィック的には物凄くこだわりを感じられる。
昔はミッションパートでダメージに応じてパーツが剥がれ落ちていく仕様で、この船の場合居住区やらCICやらが落下してどんどん骨組みが見えていくシュール仕様。
のちにダメージによるパーツ落下がなくなったためシュールさはなくなった。

ついでに、作者がこの船に関する不具合を検証して、蟹が仕様とのたまうので、作者が証拠付きでwikiでボロクソに貶した過去がある。
不具合の検証結果からフレスベルクにおいては正しい結論を出すも、エスメラルダで間違った結論を出して誤った内容を元に蟹をボロクソに貶した過去もある。

その節は大変申し訳なく思っております。ご迷惑を受けつつおかけしました。今後もファン兼アンチとしていじり倒す予定です。
つきましては、10/31の15時にハロウィンイベントが全撤去されるハロウィンとはなんぞやを、2年ぶり3回目となるハロウィン終了時刻に対する意識の低さについて追求をしたいと存じます。

なお蟹が上記不具合を認めてからも、半年ぐらい修正は来なかったことを明記しておく。
https://wikiwiki.jp/craftfleet/%E3%83%95%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%99%E3%83%AB%E3%82%AF
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