ハルケギニアの新生第三帝国   作:公家麻呂

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02話 デモンストレーション

 

ターニャ・デグレチャフ親衛隊准将。

『ヴェーザー演習作戦』『ライン邀撃戦/第一次ライン戦』『ダキア蹂躙戦』『ドーヴァー海域封鎖任務』『ライン会戦』『南方戦線』『東部緒戦』『モスクワ襲撃作戦』『東部第二期戦』『南方遊撃戦』『ゼーレーヴェ作戦』『イタリア制圧戦』『第二次ライン戦/低地戦』『東部遅滞戦』『バルジの戦い』『最終反攻』『バルバロッサ作戦』とほぼ主要な戦闘・戦役に従事。

 

撃墜数(魔導師)は計測不能。しかし最低でも200以上は確実で、推定でも300越えがほぼ間違いない帝国軍トップクラス。

航空機撃墜数は、記録されているだけで18。ただし、未確認多数とのこと。

撃沈した艦艇に至っては、護衛駆逐艦多数に、巡洋艦と空母、はたまた巡洋戦艦とまできている。

生粋の戦争狂と称される名将。

異世界に転移したナチスドイツ軍は第1SS装甲師団ライプシュタンダーテ、第11SS義勇装甲擲弾兵師団ノルトラント、第39SS武装混成戦闘団サラマンダー、第40警察擲弾兵師団シュターツポリツァイ、彼らが乗ってきた国防海軍潜水艦群乗組員である。

ただし、名称通りの兵力を保有しているのは彼女のサラマンダー戦闘団のみで、このサラマンダー戦闘団がナチスドイツ軍の最大戦力であった。サラマンダー戦闘団に対してそれ以外の戦力を足してようやく同数にわずかに劣る程度であり、ナチスドイツ軍内でサラマンダー戦闘団の発言力が最も高いものであった。

 

ターニャは広場に集結した航空魔導士たちを一瞥する。

 

「第二〇三魔導大隊の諸君、それから今回の作戦で大隊に組み込まれたライプシュタンダーテとノルトラントの魔導士諸君!!異世界に来ても我々の仕事は変わらない。敵対者を殺す事、基本変わりはない。どこの部隊でもやっていたことだ。」

 

ターニャは軽く息をつく。第一声の張りつめた声から軽い感じの話し方へと変える。

 

「まぁ・・・。今回は、大体諸君にとっては懐かしく思うかもしれんが、新たな友人であるリヒテンブルク公国から演習のお誘いだ。演習の相手はダキアの肉袋達より歯ごたえのない安い肉袋達だ。これから我々はリヒテンブルクの妖精さんと、仲良くお手々繋いでハンティングだ。何と今回の肉袋は剣と弓矢で武装しているそうだ。一応反撃してくるがダキアのマスケット以下の弓矢如きに、掠り傷だって負う様な無能は我が大隊はもちろん武装親衛隊の魔導士諸君だって居るはずはないだろう。念のため言っておくが、敵が方陣を組んでも距離を取る必要はないからな。」

 

大隊の魔導士たちからクスクスと声が漏れる。

内輪ネタで笑いを取ってから、ターニャは口調を強い物に戻す。

 

「諸君らは、リヒテンブルクの観戦武官の皆様にデモンストレーションをご覧いただくことになる!こちらの世界にも航空魔導士の様なものがいるらしい。私自身、中世の航空魔導士もどきに劣るとは思えんが、リヒテンブルクのお友達に間違った認識を持たれないように総統からは盛大にやる様にとの事だ。ただし、諸君らは調子に乗りすぎて下らんミスをしない様に留意するように。」

 

 

武装親衛隊の航空魔導士合計68名は、リヒテンブルク公国の騎士候二人は観戦武官とその護衛兵を伴って農村を占拠する賊討伐のために出撃する。

 

 

チェリー・コーンウォリス、ロイス・グロスターの二人の観戦武官は第三帝国の航空魔導士達の戦闘能力に驚愕した。

妖精兵はスペックとして、この世界にある他の存在と比較してではあるが、飛行能力を持ち魔法を行使すると言う意味で航空魔導士に近い。

無論、航空魔導士に比べて限界高度、旋回能力、最高速度、攻撃能力、その他、全てにおいて妖精兵を上回っている。防殻術式を持たない妖精兵はその防御力は甲冑に頼るものであった。

 

200ほどいた賊は、航空魔導士達にいいように弄ばれていた。

銃から放たれた弾薬が爆発し、数人の賊が吹き飛ばされ肉片をばらまきながら肉塊へと変わる。

 

「す、すごい!手投げ爆弾より威力があるのでは!?」

「あれはいったい!?」

 

圧倒されている2人の横ではターニャの副官であるヴィクトーリヤ・イヴァーノヴナ・セレブリャコーフ大尉が戦闘の様子や、術式について説明をしている。

 

「あれは爆裂術式です。弾に爆発する魔法をしこんで発射します。拡散性があり軽装甲の敵に有効です。ですので、あそこの分厚い大盾を持っている賊は耐えましたね。ですので、こういった場合は・・・。」

 

そう言ってヴィーシャは銃を構える。

 

「貫通術式を使います。」

 

彼女の指先が引き金を引く。

それと同時に薬莢が排出され、術式が仕込まれた弾丸が大盾を持った賊を貫く。

彼女の撃った弾丸は大盾の後ろに隠れていた賊の心臓を抉り、賊はそのまま崩れる。

 

「セレヴリャコーフ殿、この貫通術式とは?」

「どれくらいの鉄板を貫けるのですか?」

 

チェリー・コーンウォリス、ロイス・グロスターの二人は興奮気味にヴィーシャに質問を繰り返し、彼女もそれに丁寧に応じている。

 

「個人差はありますが、平均で22 mm。あくまでも個人差ですが最高で60mmほどですね。(最高記録は准将のポケット戦艦の事なんだけど嘘は言ってないからいいよね。)」

 

 

「すざまじい性能です!我々の知る銃は火薬や火打石を使う銃とは全く違いますね!」

「魔法的なものと聞いていましたので杖の様なものかと思いましたが、汎用性こそこちらに理がありますが、武器としての性能は比べるまでもないです!」

 

興奮する彼らにヴィーシャは好意的に提案する。

 

「もしよろしければ、撃ってみますか?」

 

「よ、よいのですか!?」

「ぜひ、撃ってみたいです!」

 

「准将、構いませんか?」

 

ヴィーシャに尋ねられたターニャは気にも留めた様子もなく答える。

 

「ん?あぁ、上からは観戦武官殿にはサービスするようにと言われている。セレヴリャコーフ大尉丁重にもてなして差し上げろ。」

「はい、了解しました。」

 

ヴィーシャは持っていた小銃と付近の兵が持っていた小銃を渡す。

2人は小銃を構える。

 

「背筋は伸ばさないで、やや前傾姿勢で。」

 

「こうですか?」

「私たちはあまり銃は使わないので・・・お恥ずかしい限りです。」

 

ヴィーシャに指導を受けながら、銃を構える観戦武官の2人は殊勝にもヴィーシャの言うことを聞きながら銃を肩付けする。

 

「頬付けはしっかりして、狙ってください。あと、脇も閉めた方がよく当たりますよ。」

 

「な、なるほど。」

「こうですか?」

 

「そうですね。では、狙いを付けたら引き金を引いてください。魔力を込めるのを忘れずに。」

 

術式は組んでいないので、中途半端なものではあるが原始的な魔導銃として魔力を帯びた銃弾が賊にあたる。

 

「よし、あたった!」

「外れてしまいました。もう一発!」

 

チェリーの方は1発で仕留めたようだ。ロイスの方は2発目に狙いを定めている。

 

「しかし、槊杖で銃身の奥へ押し固める必要がないのは楽ですね。」

 

チェリーの発言でターニャは、後装式銃を知らない彼女たちとの技術格差を改めて理解する。

 

「(技術格差が、ここまで大きいとこういう反応が返ってくるのか。発展しすぎた化学は魔法と同義と言うからな。いや、これは元々魔法だったか。)」

 

ターニャは戦場を見回す。部下たちが敵の射程外から賊を一方的に討伐している。

 

「(掠り傷を負うアホは懲罰と言うのは冗談だったのだが、皆バカまじめにお考慮しているのだな。)ところで、観戦武官殿?我々の白兵戦等に興味はあるかな?」

 

急に話題を振られた2人は困惑気味に返事をする。

 

「白兵戦ですか?たしかに見せていただいていませんが・・・?」

「見たところ、銃剣かナイフしかお持ちではないようですが?」

 

「では、面白いものをお見せしましょう。セレヴリャコーフ大尉、少しの間だけこの場を任せる。」

「っは!」

 

ターニャはそう言って腕に魔導刃をまとい突撃する。

右腕の一閃で賊の首が飛び、その勢いに任せて足にも魔導刃をまとわせて、その後ろの賊の胴体を切断する。まるで踊る様に動き回って瞬く間に、死体の山を築いて見せた。

 

「アハハッ!(正規兵でもなく、防御術式も使えない連中など。大した脅威ではないな。これならヴァイスたちに注意事項など言わなくてもよかったか。)」

 

振り返ってみると完全に憧憬のまなざしを送ってくる観戦武官2人と護衛兵。

久しぶりの思い通りの戦場に感情が昂ってしまった。

 

「やりすぎたか。」

 

戦闘は終了した。

賊は全滅。

リヒテンブルク公国の観戦武官を見る限り、掴みは上々。

総統の希望には沿えただろう。

 

「諸君、任務完了だ。撤退するぞ。」

 

 

 

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