プルセニドに侵攻したのは、リクセンブルク公国公主従姉マリー・ド・ルクセンシュタイン
侯爵率いる諸侯軍であった。諸侯軍の大半が動員された雑兵含めた3000の軍集団は、ナチス武装親衛隊機甲及び砲兵集団の支援を受け、ズデデーンの要塞線を越える。
リクセンブルク公国以上に小国のかの国は、散発的な抵抗の末陥落した。
予定通りに・・・。
プルセニドを攻め落とした侵攻軍総大将マリー・ド・ルクセンシュタイン侯爵は、プルセニドに接しているベーレン公爵領の領境界に兵を集結させる。
これに対し、ベーレン公爵ボメミオはこれに対抗すべく、プルセニド侵攻時に招集していた軍を差し向けた。また、ベーレン公爵領と同盟関係にあったメーメン公爵領は援軍の派遣要請を受けて援軍を派遣した。
両軍はオモロッツ平野に、マリー率いるリクセンブルク公国軍2500とメーメン公の援軍を加えたベーメン公爵軍3000が衝突する。
また、このことに危機感を持ったスラヴィア侯国とカルパト伯国も同様に軍の編成を開始し始めていた。
リクサンジュール候城では、トリステイン王国との停戦交渉が続けられれていた。
「我々は、リクサンジュール候に攻め入られ返り討ちにした。我が国に不穏な行動をとるリクサンジュール候の復権は認められません。」
公主フィアリアはじめ、リクセンブルク公国側はトリステイン王国に対し、数百年以上昔にルクセンシュタイン候領として統治していた事実を盾に、リクサンジュール候領の全土の割譲を要求。
これに対して、トリステイン王国エスターシュ宰相は当然のごとくこれを拒否。
「リクサンジュール候領の分割統治を提案する。」
エスターシュはリクサンジュール候領の分割を提案し、双方で分割交渉が始まる。そこに、リクサンジュール候の出る幕はない。リクサンジュール候はこの時点で法衣貴族への転落が決定していた。
トリステイン王国はこれを機に王家の統制を受け付けない貴族の解体と見せしめ。リクサンジュール候領の直轄地化することによる収益の増加。リヒテンブルク公国は単純に領土拡大。
双方に利益があった。さらに言うのであれば、トリステイン王国の取り分の中に、エスターシュ大公領としての割譲分も含まれていた。
結論として、トリステイン王国内の独断専行の目立つ貴族を取りつぶし、トリステイン王国とリクセンブルク公国で3:7で分割したと言うことである。リクセンブルク公国は統治記録が歴史的に証明されている3割を取り戻し、トリステイン王国は王家の強化と、エスターシュの影響力の拡大と言う結果で終わったのでした。
トリステインは王家とエスターシュ大公家の暗闘がはじまり、リクセンブルク公国はそれに手を出さない代わりに周辺独立諸侯の刈り取りの黙認と言う非常に魅力的な勝利を得たのであった。
フィアリアは、旧リクサンジュール候城を去っていくトリステインの交渉団を見送った。
「これで、最大の懸念であったトリステインの介入はなくなったわね。」
「はい、フィリップⅢ世とエスターシュ大公の政争は、すぐには終わらないでしょう。」
フィアリアとミュラーは、手を振ったりしながら街道を去っていくトリステインの馬車から目を離さないままに、口だけを動かして会話する。
「リクサンジュールとズデデーンは大昔は従姉の持ち物でした。従姉も俄然やる気を出してくれることでしょう。」
「公主様、この場の軍の事ですが・・・。」
「親衛隊は私とリクセンブルクへ戻って、SSと近衛主力は従姉の援軍に出しましょう。そうすれば、ベーレン公とメーメン公に付いた独立諸侯も早く片付くでしょう。」
数日後、フィアリア達はリクセンブルクへと戻った。
その後、2年ほどでベーレン公領とメーメン公領並び追従諸侯を刈り取った。
その翌年には、リクセンブルク公国南のトリアー候領を併呑。さらに、最後に残った独立諸侯トランシルダキアとマジャルザークが戦わずして軍門に下り、ヒトラーの稲刈りは終了した。
リクセンブルク公国は、僅か数年で独立諸侯全てを統一してしまった。
僅か短期間でトリステイン王国に並ぶ、国力を持った国家が誕生したのだ。
当初ガリア、ゲルマニア、ロマリア、トリステインから警戒されましたが、トリステイン王国のエスターシュ大公失脚から始まる混乱を突いて、ゲルマニア王国が再度トリステイン王国と戦端を開いたために、注意がそちらに傾いたからでした。
「護国卿の任。遺憾なく、才を発揮し公国のため。私のために尽くすことを望みます。」
リクセンブルク公国公城の玉座の間で、アドルフは私から護国卿の叙任を言い渡される。
「護国卿の任、謹んでお受けいたします。」
アドルフは恭しく私の手を取り、その手の甲にキスをして忠誠を誓う。
一通りの儀式を済ませると、参列者がいる方を向いて演説のように今後の展望を語る。
「リヒテンブルク公国は、大国に対抗すべく国力・軍事力を整えるべきでしょう。いずれ、公国は、精強なる軍勢を整えるであろう。」
アドルフ・ヒトラーは指さしの形で周囲を示す。
「確かに周囲の国々は油断ならない!だが、それは大した問題ではない。ロマリアの相手は新教徒どもに・・・。ガリアに関しては少しばかり注意が必要だが、二人目の皇太子誕生で浮かれている。直近の脅威であるトリステインはフィリップ四世への代替わり中、ゲルマニアは王政が崩壊し、新たな形に変わりつつある。彼らは彼らで潰しあってくれるだろう。何せ、このハルケギニア・・・人間だけは掃いて捨てるほどいる。」
アドルフは私の後ろに回って、両肩に手を置きます。
「きっと、その後も連中は何かと理由を付けて戦争し続けるだろう。何十年も・・・。そうし
て、愚図な人間どもが、殺しあっている間に我らはさらなる時間を得る。」
私はアドルフの方を見上げる。彼は愛しむ目を私に向ける。その目は紅くギラギラと光っていた。
「公国が準備を整えたその時。世界は、どのような形であれ悲惨な大戦になっているだろう。」
彼の目が赤く光る。
「その時こそ、拳を振り上げ完膚なきまでに叩き潰し。連中に教育してやろうじゃないか。」
アドルフは数歩前に出る。私の玉座の右斜め前に・・・。
「東方より、今のハルケギニアの人の子らの先祖が渡ってくる前は、誰が支配していたのかを・・・。フェアリルが支配者として復活し、再び覇道を為すと・・・。私はフェアリルの全盛期
を取り戻すとリクセンブルク公、公国のすべての民にお約束しよう。」
アドルフは握りこぶしを振り上げ、紅い目をギラギラと輝かせて叫んだ。
「そのために、私は吸血鬼、ヴァンピールとなったのだ!!」
リクセンブルク公国の現No.2公主従姉マリー・ド・ルクセンシュタインが、ナチス式敬礼で従妹である私と新No.2アドルフ・ヒトラーを讃える。
「ジークヘルツォーギン!!リクセンブルク!!ジークサーユージーン!!ヒトラー!!」
マリーの敬礼を合図に、この場にいた数百人の諸侯と軍人たちは腕を斜め上に突き出し、唱和した。
「「「「「ジークヘルツォーギン!!リクセンブルク!!ジークサーユージーン!!ヒトラー!!」」」」」
「「「「「「「「ジークヘルツォーギン!!リクセンブルク!!ジークサーユージーン!!ヒトラー!!」」」」」」」」
息継ぎで、少し静かになった。
今度は、ハインリヒ・ミュラーが声を上げる。
「ジーク!ハイルッ!!ジーク!ライヒ!!」
「「「「「ジーク!!ハイル!!ジーク!!ライヒ!!」」」」」
「「「「「「「「ジーク!!ハイル!!ジーク!!ライヒ!!!!」」」」」」」」
その声は、城の外まで響き渡った。
彼の言う大戦より40年以上昔の出来事であった。