お姉ちゃんガチ勢の弟ガチ勢のお姉ちゃんの幼馴染ガチ勢のお姉ちゃん   作:効果音

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よっ✋(ブラッド族)


蛇の足
薬にも毒にもならなければ犬も食わない話


 アレから時は流れ、カズが高校三年生になってからというものの、ある程度のまとまったお金と大学に進学するにあたって一人暮らしをしたいという話を両親に相談したところ、思いの外すんなり承認されて物件も見つかり、悠々自適とはいかないが、それなりに自由な生活を手に入れていた。

 

「あんさぁ……人んち来るなりベッドの下に顔ツッコむのやめてくんない?」

「浮気チェックよ」

「まず、付き合って無いじゃん?」

「?」

 

 尤も、この家で一番自由なのは週に一度の頻度でこの家に無断で来る湊友希那である。

 勝手にRoseliaの打ち上げに使うだけではなく、家に上がり込むなり、今みたいにベッドの下に顔を突っ込んで人のあまり見られたくない物を探そうとしている。

 

「きょとんとすんな。そもそも今のご時世紙媒体でそういうの持ってるやついるのか?」

「リサから聞いたわ」

「あ~ね~きぃぃぃぃ!!!!」

 

 澄まし顔で姉からの裏切りを告げられたカズは発狂しそうになりながらも、近所迷惑になってしまわないようにベッドに倒れ込んで枕に顔を押し付ける。

 

「……は! 今『ここ』にないというだけで、向こうにはあるということかしら……」

「行くな行くな! というか今行くの流石に迷惑だろ!」

 

 姉は笑って許すだろうが、流石に親から説教を食らうのはカズ本人であるし、変なところまでつつかれそうで恐ろしい。

 

「そうよ。私を監視しながら一緒にご実家に挨拶に行くか、終電を逃した私をこの家に泊めるか。選びなさい」

「終電逃す前に帰れよ! そもそも徒歩で帰れる距離に家借りてんだろ!」

 

 既にもう疲弊してぐっすり眠ってしまいたいところだが、今の友希那を放置したら何をしでかされるかわかったものではなく眠れない。

 

「ふふふ……終電まで残り二本よ……」

「なんでそんなことは計算できる癖にキャンパス間違えて単位落としたんすか?」

 

 意味のないカウントダウンに付き合うのもいい加減疲れてきたせいか、噂に聞いたしょうもない話を思い出す。

 

「私はメジャーデビューしてるの。この意味わかるかしら?」

「事務所のマネさんの電話番号貰ってるんすけど。ちょっと離席しますね。この意味わかります?」

「待ちなさい。やめなさい」

 

 面倒くさくなったカズはスマホの電話帳を開いて通話ボタンをタップしようとしたところで友希那にスマホを引ったくられて通報を阻止される。

 

「正直この家に出入りしてるのもリサが借りている家と偽って出入りしてるわ」

「姉貴普通に実家住みだし、無理があるだろ」

「部屋の半分くらいリサの私物置きになっている気がするのだけど?」

 

 週三回はリサが家に上がり込んで来て料理を作って帰っていくという相変わらずの甘やかしを受けているが、それはそれで助かっているため何も文句は言えなかった。

 

あんたら(Rosellia)が家を溜まり場にするからでしょうが! 特にボーカルとベース!」

 

 Roseliaの中で一番信頼している人物は? と聞かれればカズは氷川紗夜と答えるだろう。

 なんだかんだでリサは友希那には甘いところがあり、燐子とあこに関してはあくまでもゲーム友達の域を出ない。

 悪感情は抱きはしないが、それはそれとしてせめてメンバーの家を溜まり場にしてほしい。

 

「……なるほど。今度キャットタワー置いていいかしら?」

「ここペット禁止だが?」

「私がにゃ──」

「ああもう言わんでいい!」

 

 言いたいことは大体わかった。

 いつぞやの夢が正夢になってしまったら、それは本当に悪夢でしかない。

 

「まだ何も言ってないじゃない」

「言わせるかって言ってんの!」

「Roselliaのボーカル。未成年淫行で逮捕と……」

「待ちなさい! 確かに三年前は18歳未満は未成年として使われていたわ」

 

 世間的には女性側が悲鳴さえあげてしまえば社会的にすぐに殺されてしまう世の中であることを考えれば圧倒的弱者はカズであるが、一旦は友希那の主張を聞くことにした。

 

「でも、今は違う!」

「高校生は大体は未成年扱いだが?」

 

 ぎゅっ。と音が出そうなくらいに凄んでいたが、高校を出るまでは未成年として扱うことは少なくない。

 

「大丈夫よ。メジャーデビューしたバンドの収益で十分養えるわ」

「うーん、これは事務所クビかぁ」

 

 SNSのトレンド1位は湊友希那の未成年淫行だろうか。

 

「これくらいでバンドマンがクビになるとでも?」

「黎明期のロックシンガー達に失礼では?」

 

 偉大なロックシンガー達とただの性犯罪者予備軍を比べてしまうのは流石に失礼がすぎる。

 ツッコミにいい加減疲れて脱力すると、友希那が腕時計を見て小さくガッツポーズを取った。

 

「……終電逃したわ」

「だから、終電は関係ないって……ああもう、どうせ泊まるんなら着替えとか、持って来てるんでしょ。来客用の布団用意しとくから……」

「悪いわね」

「本当に思ってます?」

 

 頭をガシガシと掻いて押し入れの奥から布団を引っ張り出す。

 その動作になれてしまっている辺り、一人暮らしの自由はもう無いのだろうと薄々予感している。

 

「ところで、今の私は、貴方が見たい湊友希那になれたかしら?」

「……11本の青い薔薇を送っても良いとは思う」

「今、なんて──」

「二十歳になったら! 明日一コマ目からなんだろ! さっさと寝ろ!」

 

 因みにカズの一言が原因で一晩中寝れずに、徹夜でキャンパスに向かった友希那が語弊のある言葉選びをしたせいで、彼がリサと紗夜に囲まれて説教されたのはまた別の話。




なんでこんなん書いたかって最近またバンドリ書いてるからですね。
https://syosetu.org/novel/364452/
大体この作品の2~3年後の話。
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