お姉ちゃんガチ勢の弟ガチ勢のお姉ちゃんの幼馴染ガチ勢のお姉ちゃん 作:効果音
俯瞰で昔の今井家を見ていた、この時点で夢だと気づいた、確か赤いランドセルを私とリサが背負ってそれをカズが羨ましそうに見ていた…多分この頃は小学生になりたての頃でお互いの両親が入学祝いの買い物をしていた筈。
「なんでお姉ちゃんたちは小学生なんだろう」
「カズが弟だからでしょ」
「…ズルい」
夢の中なので変な気はするがソファーに座って三人を見守っていた。
「♪~」
夢の中の小さい『わたし』が歌っていた、この頃はまだお父さんがミュージシャンとして活動していてわたしも歌うことが好きなだけだった。そして
「ゆきなお姉ちゃんの歌好き!」
「…ん、ありがと」
歌っている私の背中にカズが突進にも近い勢いで抱き着いていた。
『どうしてああなったのかしら…』
自由度の高い夢だった様で誰にも聞こえていないけど思った事が口に出てしまった。
「えー、この前あたしの事好きって言ってくれたじゃん」
「今はゆきなお姉ちゃんの歌がいい」
昔はこんな感じでリサと二人でカズを取り合っていた、こうして見ると自分も随分子供っぽい所もあったと思った。
「…公園いきたい」
「お留守番しててってお母さんに言われたからダメでしょ」
「リサ、私も行きたい」
あぁ…この日なのね、あんな喧嘩を彼とした後にこの日の夢を見る事になるとは運が悪いとしか言えない。
「ゆきなも我慢してよー!」
「でも、カズくんもう行ったよ?」
「え?」
「わたしも行く」
「え?」
わたしもカズに付いて行って外に飛び出して、慌ててリサも飛び出し鍵を閉めずに全員が飛び出してしまった。
「ちょっとー!二人ともどこー!」
『不用心ね…』
この話の終わりは知っているから無駄だと分かっていても鍵を閉めてからわたし達を追う事にした。
『…やっぱりここに居た』
家のすぐ近くの公園を少し離れた所にわたしとカズが居た。先に公園に着いていた二人はあの猫との初めて出会って戯れていたら公園にリサを置いて行ってしまった。小さい頃は少しの距離でも大移動した気分だった。例えば隣の駅まで行っただけなのに別の県に出た様に、別の県は外国の様に……
「ねこかわいい」
「うん、かわいい」
ここからすぐ公園に戻ればわたし達を探しているリサが居て三人で仲良く戻るだけで無事戻れる、だけどこの時はわたしが小学生になった事で何でもできる気になっていたせいわたしが居れば大丈夫と思っていたのだ。
「ちょっとおさんぽしてからもどろ」
「リサお姉ちゃんは?」
「お留守番してるよ」
していない、わたし達のせいで彼女も別で迷子になっている。出来る事なら二人に話しかけて家に帰したいけど、物に触れられる癖に人には干渉できない不器用な夢だった。
「…♪~♪~」
わたしとカズが手を繋いで当時流行っていたアニメかドラマの主題歌、それかお父さんの歌を歌いながら猫の後を付いて行くわたしとそのわたしの手をちょこんと掴んで少し後ろを歩くカズ
数分はこんな調子で散歩していたのだけど、公園を出てからは家と真逆に進んでいったせいで全く知らない場所に行ってしまい、最初は自分が成長したと勘違いして、知らない物に対しての好奇心の両方で迷ったとは微塵も思っていなかった。
「ゆきなお姉ちゃん」
「なに?」
「もう帰りたい」
「…そっか、帰ろ」
だけど二人の前にはいつの間にかガイド役の猫は居なくなっていて、周りには知らない世界が広がっていた。
「ここどこ…?」
「…わかんない」
「どうしよう…」
ここでわたしは泣き出してしまった。この状況でカズは泣いていないのに声をあげて泣いたら彼まで泣いてしまうかもと意味のない強がりをしていた。
「ゆきなお姉ちゃん、こっち」
この時だ
年上の自分は泣いてしまったのに、カズは泣かずにさっきまで自分より後ろを歩いていたのに、彼はわたしの前を歩いた。
その姿が自分より小さい背中なのに頼りがいあって、ありふれた言い方をするとカッコよく見えてしまったのだ。
『…今見ても、感じる事は変わらないのね』
数分後、わたし達は無事にお互いの父とリサに発見された。
「ゆきな~!カズ~!」
泣き止んでいたわたしとカズに泣きじゃくるリサが抱き着いてきた、そのせいで無事に戻って来れた事に安堵してわたしがまた泣いていた。
カズはと言うと全く泣く気配もなく
「カズは泣かなかったんだな、そこだけは偉いな」
「だって、ゆきなお姉ちゃん泣いてたし」
「今日はごちそうの予定だったけどお母さん達に頼んでピーマン多めにして貰おうか、な?友希那」
「カズくん、もっかいおさんぽいこ」
わたしはピーマンと聞いただけで逃げ出そうとしていた。けど結局はお父さんにおんぶされて家まで強制的に帰る事になった。
全員が今井家に入るのを見て私はリビングの中が覗ける窓の方へ向かった。
「カズ、正座」
「うん、かあさんなに?」
「今日、お散歩行ったんだってね?」
「行ったー!」
「お母さんお留守番してーって頼んだよね?」
「リサお姉ちゃんにでしょ?」
「いや、カズもよ」
「……盲点だった」
ここもよく覚えている、カズが叱られているのをリサと一緒に見てたのだ
「カズ、覚悟ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
母の雷には流石に勝てずカズが泣くのがこの迷子騒動の話である。
それを見届けた私の顔が窓に映ると、いつもより柔らかい表情だったのが自分でもわかった
どうしても最後の一文で締めたくて分割にしました
☆9
百式機関短銃様
☆8
mocca様
評価ありがとうございます!
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