ガチ勢   作:効果音

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日刊53位になったり好評価いただきました!
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Awkward senior

 あの一件以降姉貴に気を使われているのがよくわかる。露骨に友希那さんとRoseliaの話をしなくなった。

 俺も何度か彼女の元へ謝りに行こうかと考えた、けどその度に彼女の泣き顔が脳裏にちらついて、その足を止めた。

 

「なぁ、俺ら何に来たんだっけ?」

 

「ライブだろ?」

 

「でも、ここライブハウスじゃないだろ」

 

 話題は変わるが金曜日になり流星堂に裕司と来ていた

 

「…で、ピンポン押せよ」

 

「え、俺が押すの?本来招待されてないのに?てかインターホン無くね?」

 

「裕司はそういうの得意そうじゃん」

 

「どういう意味だよ!」

 

 ピンポンダッシュしてそうじゃん

 

「…いや、漫才やってないで入れ」

 

 流星堂からいっちーさんが出てきた。あ、いっちーさんのいっちーて…そういう

 

「HN雑過ぎないか?」

 

「お前の意味わかんねーのよりマシだ」

 

「因みに何なんだ?」

 

「イケナシエル」

 

「何だよ、イケナシってしかもエルって天使か何かか?」

 

「聞かない方が良いぞ、呆れるだけだし…それより付いて来い」

 

 そういや、いっちーさんに出会ったばかりの時に聞かれたから言ったな

 

「お前…何の意味を込めたんだよ…」

 

「深くは無いんだけどな」

 

「…まぁそんな事よりさ」

 

 いっちーさん…もとい、市ヶ谷さんの後ろに付いて行く途中、裕司の顔が何時にも増して真剣な顔をしていた。何か悩みでもあるのだろうか?

 

「何だよ?」

 

「お前いつこんな美少女と知り合った?」

 

 小声で聞いてきた、まぁ本人の前だし当たり前か

 

「ゲーセン…」

 

「ハイスコア的な出会いか?」

 

「いや…別にそう言う訳じゃ…」

 

 急に市ヶ谷さんが蔵の前で止まった

 

「おい、カズ。俺らが招待されたのライブだよな?」

 

「…その筈」

 

「それは発案者に言え、私だって聞きたい位だ。ちょっと待ってろ」

 

 こうしてまたされる事、数分後。市ヶ谷さんに呼び出されて蔵の中に入る。

 

「皆ー!盛り上がってるー!」

 

 ネコミミの髪型の女子が声を上げた。

 

「…マジでライブだ!」

 

「裕司、そこじゃない!」

 

「私達!」

 

「「「「「Poppin'Party!」」」」」

 

 市ヶ谷さんはどうにでもなれって顔をしていた、他のメンバーはノリノリだけど…

 

「まずは一曲目行くよー!」

 

「流れで始まるのか!流れで!」

 

 何ともアクが強いバンド、Poppin'Partyのライブが始まった。

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 二人しか観客が居ないのにライブは続き途中でメンバー紹介も含みつつ、無事に終了してしまった。

 

「……えーと、これはどういう事だ?」

 

「クライブ」

 

「そうじゃない!てかクライブって何!?」

 

「蔵のライブ」

 

「そうじゃねぇぇぇぇ!」

 

 ギターの花園たえに翻弄されていると裕司が肩に手を置いてきた。

 

「お前こんな良いライブにケチ付けんなよ」

 

 手遅れだった!こいつ頭Poppin'Partyしてやがる!

 

「クオリティの話じゃなくてな…色々ツッコミどころが多すぎてヤバいんだよ!」

 

「うーん、おたえに一々ツッコミ入れてたら持たないと思うよ?最初なんてそれで有咲も過呼吸気味だったし」

 

「途中で対処法を編み出さなかったら私の胃が危なかったな…」

 

「おい、メンバーがそれ言っちゃうのか!」

 

 ドラムの山吹沙綾とキーボードの市ヶ谷さんまでそんな事を…そこからの記憶は思い出したくない。だって、6対1とか勝てる訳がないだろ?

 わかった事はPoppin'Party…略してポピパのライブリハーサルだった事だ。

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 頭Poppin'Party事件が終わってから裕司を駅まで送って、公園のベンチで小休止していた。

 

「どうしてバンドってのはああなのか…」

 

「んなー」

 

 昔からこの公園に住み着いてる猫が近寄ってきて膝の上に乗ってきた、一度はこいつを飼おうとしたら父さんが猫アレルギーだったので許可されなかったのはショックで未だに覚えてる。

 

「おーよしよし」

 

「みぎゃー」

 

「お前いつまで生きてんだよ、猫的にはもうお爺ちゃんだろうに」 

 

 なんかこいつと出会った日に何かあった気はするけど…何だったかな?

 

「にゃっ」

 

 頭を撫でたやったら手を右手で引っかいて下顎を出してきた。

 

「いって…なんだよ、急に」

 

「んにゃ」

 

 よく見ると下顎に何か着いてるので取って見ると毛が付いていた、恐らく人の髪の毛

 

「誰かこいつと会ってたのか、変な奴…いてて!」

 

 今度は噛まれた、今日のこいつは何なんだ…えらく暴力的だ。

 

「みゃーお!」

 

 お次は付いて来い、と言わんばかりに膝から降りてどこかへ向かい出した。少ししてピタリと止まったと思いきや商店街方面の道で立ち往生だ。

 

「年取って耄碌してきたのかな…」

 

「にゃー…」

 

「商店街に行きたいのか…それとも…」

 

「けけけッ…」

 

 何かを見つけたらしく駆けて行った。何だその鳴き声、と思いながら後を追うと姉貴が居て少しだけ安心した。

 

「カズじゃん。ポピパのライブどうだった?」

 

「あー…何か勢いがあった…てか姉貴もメンバーに一回は会った事あるんじゃないの?」

 

 スタジオで練習する時に入れ違いでとかあるだろうし

猫は姉貴を見てこいつじゃないといった感じでどこかに行った

 

「うん、会った事あるよー」

 

「じゃあ俺に聞く必要ないじゃん」

 

 姉貴も帰りなので久しぶりに二人並んで帰る事になった。姉貴がバンドを始めてからは初だ

 

「ねぇねぇ、有咲とはどんな関係なの?」

 

「…普通にゲーム仲間だけど?」

 

「ホントにー?それだけでライブに呼ぶかな?」

 

 何か姉貴の機嫌が悪くなった気がする。リハーサルだったから深い意味は無いと思うんだけど

 

「姉貴は勘繰り過ぎなんだよ、ラブコメじゃないんだからさ」

 

「でもわざわざ女の子が呼んでくれたんだから何かお礼はしときなさいよ、わかった?」

 

「わかったよ…ところでさ姉貴聞きたい事があるんだけど」

 

「改まって何か聞く事って何?好きな人でも出来た?」

 

 どの口が…いや、そう言う好きじゃないけども

 

「姉貴さ、また辛くなってない?」

 

 姉貴は一度挫折して音楽から離れた事があってその時は色々大変だったのだ。

 

「大丈夫だよ、今度は」

 

「なら良いんだけどさ…」

 

「というか」

 

 頬を引っ張られた。割と力強く

 

「いふぁいいふぁい」

 

 数秒つねって満足したのか放してくれた。

 

「アンタは他人の事より自分の事をどうにかしなさい」

 

「…わかってるけどさ、俺完全に嫌われてるだろうし話し合いにならないと思うんだけど」

 

「こらこら、やる前から諦めない。昔みたいに友希那お姉ちゃんって呼べとまで言わないからさ」

 

「それいつの話…」

 

 確かに大昔はそうだったけど…そもそも姉は姉貴が良いというか…

 

「最低限でも普通に会話する位にはなりなさいよー」

 

「…そこまで言うなら、まぁ」

 

 死んでも今の友希那さんと仲良くするなんて嫌だけど…姉貴の頼みならそこまで言うなら

 

「じゃ、頑張りなー」

 

 その後は雑談をして無事帰宅、何もなく一日が終わった。

 

 

 翌朝、時刻は6時。携帯に通知が来て目が覚めた。

 

「誰だよ、この時間に…」

 

 中学の時の知り合いの上原ひまりだ、紹介したい人が居るから昼に指定の場所に来いとの事らしい

 

「もうちょい寝てたかったんだけど…はぁ」

 

 二回の自室からリビングに降りて朝食の準備をしていると父さんが降りてきた。

 

「おはよ、父さん」

 

「おはよう、珍しいねカズがこの時間に起きてるなんて」

 

「目が覚めちゃってね、それより父さんは今日も仕事?」

 

 パンをトースターで焼いている間に目玉焼きを父さんと自分の好みに合わせて焼く、ベーコンは品切れしていた。

 

「そうだね、昨日の夜に母さんに文句言われたけど…」

 

 そう言いつつも隔週で夫婦でどっかに出掛けてる辺り仲が良いのだろう

 

「いつもの事じゃん?」

 

「それより学校の方は大丈夫か?こっそりバイトして電車使っても良いんだぞ?」

 

「あー、それね。慣れて来ちゃってさ、止め時が見つからなくてさ」

 

 皿に父さんの分と自分の分を乗せてテーブルに置く

 

「コーヒー淹れといたぞー」

 

「ありがと…」

 

 適当にトーストを食べている途中に父さんは出て行き、時刻は9時もう良い時間なので姉貴を起こしに行く、母さんはこういう時に起こすなと言われているので起こさない。

 

「姉貴ー、起きてるー?」

 

 念のため姉貴の部屋をノックして起きてるか確認する。大体は起きていないから面倒ではあるけど一応だ。数秒待って返事が無いので部屋に入る。

 

「…姉貴ー、もう9時」

 

 姉貴の寝顔を見ていたい気もするけど、起きてもらう

 

「…んぅ、あと5分…」

 

「そう言って起きないやつが大半なんだけども?てか今日は用事無いの?」

 

「…13時からバイトー」

 

「今14時だけど?」

 

「ホント!?遅刻じゃん!」

 

 姉貴は寝間着のまま部屋を飛び出して身だしなみを整えに行った。引っ掛かるかぁ…大嘘こいて起きてくれるのはありがたいけど

 

「俺はゆっくりしよ…」

 

 リビングに戻って優雅にコーヒーを飲んでると姉貴が背中に寄っかかってきた。普通にドッキリするからやめてほしい

 

「まだ午前中じゃない、騙したわねー!このこのー」

 

「いや、13時にバイトならもう起きとけよ…」

 

「そこはありがたいけどさー、朝ご飯食べた?」

 

「父さんと一緒に食べた。姉貴は適当に食べといて」

 

「はーい」

 

 ようやく離れてくれて自分の分の朝食を準備しに行った。そこからは特に何もなく集合時間の30分前に指定のバーガーショップに来て適当にドリンクを飲んで待っていると何か見覚えのある二人を連れたひまりが来た。

 

「お待たせー、待った?」

 

「待ってないけど…」

 

「あれれ?今日は妙に不機嫌だね」

 

「お前、呼び出したの何時だよ」

 

「6時だよ?」

 

「速いよ!寝てるよ!休日のこの時間は流石に寝てるよ!」

 

 おかげでちょっと眠い、裕司からの連絡だったら既読無視して寝てた。

 

「そう?ちょっと早く目が覚めるとあれ位の時間なんだけどなぁ」

 

 だからってあんな時間じゃなくても良いだろ…挨拶と自己紹介も程々に今回の要件を聞く事にした。

 

「それで何で紹介しようと思った訳?」

 

「うーん、リサさんの弟だから?」

 

「それだけ?」

 

「うん」

 

 帰って良いか…

 

「リサちーの弟ってイケイケな人かと思ったらそうでもないんだね」

 

「そうそう、友希那さんと喧嘩してたのがあのリサ姉の弟って言うのが意外だよ!」

 

「そういう話は後にして今回の本題はこれ!」

 

 バァン!と言う効果音がなりそうな程ドヤ顔をして謎のパネルを出したひまり。そのパネルに書かれた文字は

 

「「「姉について?」」」

 

 ひまり以外でハモる、ああ…なんか嫌な予感が…

 

「と言うか、バンドやってる姉が居る訳でもなく年上じゃないひまりが仕切るんだな」

 

「一応Afterglowのリーダーだからね!」

 

「そこ関係あるのかなぁ?」

 

「良いの!はい、日菜先輩からどうぞ!」

 

 最近あんまりリーダーぽくないとか言われたんだろうか…

 

「うーん、あたしかー、最近は特にお姉ちゃんとは話せてないから何でだろうなぁって位なんだよねー。あこちゃん何かRoseliaであたしについて何か言ってない?」

 

「うぇっ!?その…たまーに聞きますけど…」

 

 これもしかしなくても地雷だろ!どうすんだこれ!俺は紗夜さんの事知らないから何とも言えないし、中三の子が高二の先輩から姉について聞かれる状況が不憫だ!この状況を打開するためにひまりにアイコンタクトを送ると

 

「…こひゅー…こひゅー」

 

 鳴らない口笛を吹いていた!自分でも不測の事態なのかよ!ある程度そこら辺把握しとけよ!

 

「そもそも日菜さんは音楽とかやってるんですか?」

 

「んー、最近るんって来てるのがギターかな?何となくオーディション受けたらしてみたら受かっちゃったんだよねー」

 

 ギター…ギター?確か紗夜さんってギター担当だったな?

 

「…もしかしてそれって紗夜さんに話しました?」

 

「うん、そしたらね!酷いんだよ!「あなたは私からギターまでも奪うのか」って言われて喧嘩になっちゃったんだー」

 

 アウトっ…!あこの冷や汗かいて「あははぁ…」とか苦笑いしてるし話題変えないと不味い

紗夜さんと正反対の性格って時点でちょっと嫌な予感したけどなんてこった。

 

「と、とりあえずギターの話じゃない話題で会話してみれば良いんじゃないんですか…?」

 

「じゃ、じゃあ次!ひまり!さっきから主催者が黙ってるんじゃないよ!」

 

 強引に話題をひまりに振る。

 

「私は普通かなぁ、たまにお姉ちゃんが私のプリン食べて喧嘩する位かなぁ」

 

「そういうの良いなぁ、あたしのおねーちゃんの場合一緒にパピコ食べようって言っても断れらるもん」

 

 もうダメだ…!何話しても日菜さんと紗夜さんがあんまり仲がよろしくない方向になる!

 

「あ、あとは…うーん特にないかなぁ」

 

「じゃ、じゃあ次宇田川さん…」

 

 目が泳ぐひまり、だ、ダメだこいつ使い物にならねぇ…

 

「あこのお姉ちゃんはすっごくてね!こう、ババーンって感じでドガーって感じでね!」

 

 自分のお姉ちゃんの話しろって言われたら嬉しいよね!その無邪気さがまぶしいけど今はやめてー!

 

「と、巴は…そんな感じだよねぇ」

 

 ひまりも同じバンドやってるから話せる事あるだろうけど適当な同調しかしてねぇ…彼女までこの話で盛り上がったら終わりだけど…とりあえず二人にはその話をしておいてもらって日菜さんに肩をつつかれた。

 

「ちょっと飲み物買いに行こうか、あたし喉乾いちゃった」

 

「あ、はい」

 

 謎の圧力で断り切れずに二人を置いてカウンターへ向かった。

 

「リサちーからさ、おねーちゃんとあたしの事何も聞いてない?」

 

 やっぱりそういう事か…思い返しても基本友希那さんの事だった。腹立たしい

 

「いや、あんまり…俺はRoseliaからはちょっと距離取ってるんで…」

 

 主に友希那さんからだけど…

 

「敬語とかそういうの良いよ、メンドーだし」

 

 待って結構この人怖い、何か急に声低くなってるんだけど

 

「…ならお言葉に甘えるけど、俺が聞いた話だと紗夜さんは犬が好きって事位しか…」

 

「あー、それなら知ってる。隠さないでも良いのにねー」

 

「まぁ…ああいう人は自分のイメージ崩したくないんでしょ」

 

「そうかな?」

 

「日菜ってあんまり人の事考えないだろ」

 

「あたしはあたしだし、考えたところで意味無くない?」

 

 やっぱそういう人だよなぁ…適当にやって際限なく成功できる人、対して紗夜さんは姉貴目当てで見たRoseliaの記事で彼女は結構努力をするタイプの人に見えた。確か「練習は本番のように、本番は練習のように」とか言ってたし、多分あの人からしたら日菜みたいな人は…鬱陶しく見えたのだろう

 

「でも紗夜さんは紗夜さん何だからお前が良くてもあっちは気に入らないかもしれないだろ…」

 

 絶賛喧嘩中で何言ってんだか、死んでしまえ

 

「うーん、やっぱわかんないや」

 

「だろうな」

 

 話してる内にレジが開いたので四人分の飲み物と適当にポテトを買って席に戻った。

 

「あ、ようやく戻って来た次はカズ君の番だよ!後飲み物ありがとう!」

 

 こんにゃろう、こっちがどんな思いして買って来たと…

 

「姉貴の話ねぇ…」

 

「リサ姉!Roseliaだと結構カズさんの話しますよ!歩きで隣町の学校行ってるとか色々!」

 

「…あー、そっちではそうなのか…」

 

「リサちーと同じ羽女は無理でも近くに高校なんて一杯あるし、何でそんな面倒くさい事してんの?」

 

「歩いて行けばバイトしないで金くれるって言われたから」

 

「それってリサ姉に言われたからですか?」

 

 むしろ姉貴に言われてたら金貰わずにやる…というのはさておくとして

 

「母親だよ、出来なければ途中でやめればいいやって思ってたけど無理だった」

 

「そういえば中学時代に羽女の高等部が共学になんないかなぁってずっと言ってたよね?」

 

「おい、やめろひまり」

 

「後はねぇ」

 

「それ以上言うなぉ!」

 

 この後滅茶苦茶暴露された。




多分次回リサ視点です。

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