函根鎮守府~提督と艦娘たちの戦いと日常~   作:柱島低督

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前回のあらすじ ワンコ2匹と黒豹とoh淀付きのツッコミモブが過剰武装鎮守府に着任しました。


第三話 闘いの始まり

「んじゃまぁ、鎮守府正面海域に出撃してもらおうかな」

 

『はい(ぽい)!』

 

函根鎮守府出撃ドックー箱根山内部の海抜標高0m地点に設けられた出撃用の施設ーには寒川大佐、暫定的な第一艦隊の面々、事務担当の大淀が集まっていた。

 

第一艦隊

・旗艦 時雨

・2番艦 夕立

・3番艦 綾波

 

「基本的に偵察、様子見、小手調べ、こちらの戦力がどれだけ通用するのかの確認っていう側面も強いからできるだけ慎重に」

 

「ぽい!(夕立)」

「はい!(綾波)」

「時雨、行くよ!」

 

時雨が抜錨し、夕立と綾波が彼女に続く。

 

「提督、発令所に行きましょう」

 

「ああ」

 

◆◇◆◇◆◇◆

 

《提督、もうそろそろ接敵するからこのまま単縦陣で行くね》

 

「気をつけて」

 

《了解。通信管制を開始するね》

 

単縦陣は巡航用の陣形であり、実戦形のうちでも最もスタンダードな陣形である。特に砲雷撃戦では片舷にすべての火力を集中できるので、史実では多く利用された。

また、深海棲艦からの奇襲のリスクを気休めだとしても減らすため無線を封鎖する。

 

「見つけたよ」

 

旗艦の時雨が敵艦を捕捉した。相手は駆逐イ級が1隻で、警戒偵察艦だろう。

 

「さあ、ステキなパーティしましょ!」miss!

 

夕立が砲撃を開始する。しかし1撃目は躱され反撃が飛んでくる。それでも現代兵器であれば擦りもしないような状況でも砲撃があと少しのところへ届いている。

 

「ぁあっ!被弾した!?」9/15

 

綾波が反撃を受け小破する。

 

「よく狙って…てぇえええ~い!!」8/20

 

綾波が負けずと撃ち返し中破させる。一部兵装を破壊し、戦闘力を奪う。

 

「残念だったね」0/20

 

時雨がトドメの一撃を撃ち込み撃沈。

 

《通信管制解除。提督、敵艦を撃沈。こちらの被害は綾波小破だけだよ》

 

時雨が吉報を伝える。深海棲艦に勝利できる。その事実に安堵する。

 

「了解。よくやった」

 

《提督、進撃した方がいいかな?》

 

「いや、無茶はせずに早めに帰投してくれ。小破した綾波を中央に挟んで夕立先頭、殿に時雨がついて護衛しながら戻ってきてくれ」

 

《了解》

 

◆◇◆◇◆◇◆

 

時雨たちを迎えに桟橋へ出る。生物の生臭い匂いがしない紅い海を見つめる。そういえばあの日も、こうやって朱い海を見つめていたことを思い出す。

ーあの日ー父の寒川通司がマリアナへ出撃した日の事を思い出す。『母さんを任せたぞ。』それが彼との最後の会話だった。結局彼は二度と帰ってくる事は無かった。

 

「……督?…提督!」

 

「…?大淀か?」

 

「何寝ぼけた事言ってんですか提督」

 

「悪い。考え事してた」

 

「もう時雨ちゃん達帰ってきますよ」

 

「ハハハ」

 

「提督。第一艦隊、帰還したよ」

 

「本当によくやってくれた。今日はゆっくり休んでくれ」

 

艤装に補給する

 

「ありがとう(時雨)」

「ふふっ、お腹いっぱいっぽい!(夕立)」

「はぁ…癒されます…感謝ですね…(綾波)」

 

「綾波は小破してるからすぐに入渠してくれ。それじゃあ、解散」

 

 

綾波はドックへ向かう

 

「少しだけ、休ませて下さい」

 

「まあ無理しないで」

 

「はい。ありがとうございます」

 

割り当てられた自室へ戻る時雨と夕立と共にその足で執務室へ戻り報告書を書く。

 

「確か報告書用紙は…何処だ?……大淀?」

 

「取りに行ってきます」

 

大淀が報告書用紙を執務室の隣にありドアを挟んで繋がっている図書庫へ取りに向かう。

 

コンコンコン。

ドアがノックされる。

 

「時雨だよ」

 

「空いてるぞ」

 

「失礼します。あ、今空いてるかな?」

 

「提督、お持ちしました」

 

「ああ、すまない。一旦休憩するか」

 

報告用紙を受け取り休憩にする。

 

「はい」

 

「あ、じゃあお茶淹れて来るね」

 

「悪いな」

 

ならば自分も、と自室へ戻り冷蔵庫から片手に収まるサイズの、紙で包まれた棒状の冷えた茶菓子を持ってくる。

 

「羊羹じゃないけど、ういろう、食べるか?」

 

名古屋土産として有名、「青柳ういろう」のういろうを取り出す。

 

「えっ、いいの?」

 

時雨がキラキラしながら尋いてくる。

 

「もちろん」

 

「ありがとう♪」

 

お茶を啜りながらういろうを口に入れようとした刹那、それは起こった。

バァン!

執務室のドアが開け放たれ二つの小さな影が突進してくる。

 

「提督さん達だけお茶とういろうずるいっぽい~!」

「綾波、こう見えて狙った獲物は逃しません!」

 

「うわぁ!?」

 

時雨が驚き座敷コーナーが荒れる。

 

「時雨ちゃんずるいっぽい~」

 

「夕立、待ってよ」

 

「あっ、夕立ちゃんダメですよ」

 

夕立が時雨を、綾波が夕立を追いかけて座敷コーナーの周りを回り、渦潮地帯が出来上がる。

 

「提督さんも提督さんっぽい!私たち呼ばなかったっぽい!」

 

「悪かったから。謝るから、許してくれ」

 

「謝るだけじゃ許さないっぽい!夕立達もういろう食べたいっぽい!」

 

夕立が袖に纏わりついてくる。放さないつもりらしい。

 

「分かったから。持ってくるから、放してヤメテ」

 

「分かったっぽい!」

 

「じゃあ僕もお茶もう一度淹れて来るね。」

 

「時雨ちゃんよろしくっぽい!」

 

「夕立ちゃん流石にさっきのはやり過ぎですよ?(綾波)」

 

「むぅ~、分かったっぽい~」

 

◆◇◆◇◆◇◆

 

「あ、提督さん達帰ってきたっぽい!」

 

「はい、夕立、綾波も、お茶だよ」

「はい、ういろう」

 

2人にういろうを渡し座布団に座る。リモコンを手に取りテレビをつけるとちょうどニュースが始まった。

〔新日本ニュースが3時の速報をお届けします。まずは国内ニュースについてです……〕

 

「おっやつ~おやつ~3時のおやつ~♪」

「はぁ…癒されます…感謝ですね…」

 

暫しの間和やかな空気が流れる。

 

「あれ、提督、そのお茶冷めてるよ?淹れ直そうか?」

 

「あ、猫舌だからこの位で大丈夫」

 

「へぇ…そうなんだ」

 

全員がういろうを食べ終わり、執務に戻る。

 

 

戦闘報告書 HA0101A0001号

基地:大本営函根鎮守府

艦隊:第一艦隊

           旗艦     白露型駆逐艦2番艦 時雨

           2番艦   白露型駆逐艦4番艦 夕立

           3番艦   綾波型駆逐艦1番艦 綾波

日時:2016/03/29 11:48開始

           2016/03/29 11:57終了

進出海域:鎮守府海域 鎮守府正面海域(1-1)

戦果:(撃沈)駆逐イ級x1

被害:(小破)綾波

戦闘責任者:函根鎮守府司令長官 寒川雪成

 

一通り書き上げFAXで大本営へ送る。原版は資料室の専用ファイルに綴じて永久保管する。保管庫の原版の保存性を高めるためデータ化してMAGIに記録する。あとはパソコンからいくらでも呼び出せる。

時刻は0355で、日没まであと1時間ほど余裕があった。海を眺めに出ようと思った途端、光学監視施設が鎮守府に接近する深海棲艦を捕捉し、警報を鳴らす。警報が響き渡り函根鎮守府地上施設群は地下へ移行する。




・注意を払ってはおりますが、誤字脱字等発見された方は報告していただければ幸いです。
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