函根鎮守府~提督と艦娘たちの戦いと日常~   作:柱島低督

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前回のあらすじ 勝ったッ!第3話完!(フラグ)


第四話 邀撃戦

「急に呼び出して済まないが、再出撃だ」

 

今日の執務も終了しゆっくりまったりできると思ったところを警報で引きずり出され半おこ状態の寒川雪成大佐(スマホはios、というかiPh○n派)の声が出撃ドックの空気を揺らした。

 

「警報で知っているだろうが、深海棲艦、駆逐イ級が鎮守府に接近中だ。鎮守府の要塞システムは建設が遅れて稼働率は17%未満。支援は期待できない。この速度で接近を続けた場合、攻撃されるまでおよそ8分だ。すぐに邀撃に出て欲しい。さらに進撃を続け正面海域の主力との決戦の可能性も考慮している。厳しい戦いになるかもしれないが、頼む」

 

『了解』

「時雨、行くよ!」

 

◆◇◆◇◆◇◆

 

「そろそろ接敵する。警戒して単縦陣で進撃をしてくれ。戦闘の指示は追って出す」

 

《了解。通信管制は行わずこのまま進撃するね》

 

邀撃戦では敵との位置関係とそれを伝える連絡が重要になる。通信管制は行わずに連携をとりながら邀撃する。

光学監視システムと艦隊からの通信の情報をMAGIが可視化処理を行い主モニターに表示する。「警戒」の二文字が表示され戦況がリアルタイムでモニターへ出力される。

 

「夕立が正面に出て先制攻撃をかけろ。綾波が側面援護、時雨は後方支援に徹してくれ」

 

《了解!》

 

速力を全開にした夕立が隊列の先頭を行く時雨を抜いて前面に出る。綾波もそれに続き夕立の後ろに付き、時雨を守るように進む。

 

《さあ、ステキなパーティしましょ!》9/20

 

夕立が一撃目を命中させ中破に追い込む。

 

《同じ手は喰らいませんっ!》miss!

 

綾波が砲撃を受けるが躱して反撃に移る。

 

《よく狙って…てぇえええ~い!!》0/20

 

「よくやった。敵主力をこの勢いで撃破する。進撃してくれ」

 

《了解!》

 

被害無しで敵を撃ち破る。

 

◆◇◆◇◆◇◆

 

「見えた!敵主力艦隊。提督、突撃するね」

 

隊列の先頭をゆく時雨が敵主力を捉え戦闘の準備に入る。

 

《軽巡ホ級1、駆逐イ級2の水雷戦隊だ。昼の間は駆逐の排除を優先し、敵軽巡の砲撃は回避に徹して雷撃戦で露払い、夜戦で決着をつける。綾波が前面に出て突撃してくれ》

 

『了解!』

 

提督の指示が通信機から聞こえ、綾波が加速し正面に出る。

 

「よく狙って…てぇえええ~い!!」7/20(イ級2)

 

2番目のイ級を中破させ戦力を減らす。しかし負けじと敵の軽巡が動く。

 

「夕立ちゃんっ!?」

 

綾波が振り返り、庇う様に敵と夕立の間に自身の躰を入れる。

 

「も、も~ばかぁ~!これじゃあ戦えないっぽい!?」5/15

 

夕立が一撃で中破まで持ち込まれ戦力を削がれる。

 

「さあ、ステキなパーティしましょ!」11/20(イ級1)

 

夕立の砲撃が刺さるが小破止まりで有効打には至らない。

 

《夕立はそれ以上の戦闘継続は危険だ。時雨は夕立の前に上がって援護しつつ小破のイ級を狙え》

 

「了解。捉えた!…残念だったね」0/20(イ級1)

 

時雨の正確な砲撃がイ級に命中し撃沈する。

 

《雷撃戦に移行する。綾波は残りのイ級を狙い、時雨は軽巡を狙え。発射後は回避に専念し次発装填。あと5分で日没だ。そのまま夜戦に移り敵旗艦、軽巡ホ級を撃破する!》

 

『了解!』

 

綾波、時雨、夕立の順に単縦陣を組み直す。雷撃に参加出来ない夕立は敵と反対側へ少しズレたラインを進む変則的な単縦陣となった。敵もホ級、イ級の順に陣形を組み直す。

 

「よく狙って…てぇえええ~い!!」0/20(イ級2)

「ここは譲れない」15/33(ホ級)

 

お互いの雷跡が双方に向かって伸びて行き、水柱が二つ立つのが見える。残りのイ級を撃沈しホ級も中破させ雷撃能力を奪う。これにより夜戦の近距離を生かした雷撃という軽巡の本領を発揮出来なくなる。敵の雷撃がこちらにも迫り回避に移る。

 

「きゃぁ!」

 

「綾波っ!?」

 

雷跡がほぼ零距離まで迫り、回避行動を終えたと思った刹那、綾波が巨大な水柱に呑まれる。すぐに水柱は霧散し、中からずぶ濡れになった綾波の姿が現れる。

 

「まっ…まだ…戦える…はずです…」6/15

 

軽巡の強力な雷装が生み出した雷撃に捉えられた綾波が中破、戦闘能力を奪われる。

 

「君たちには失望したよ…」

 

日が沈み、赤かった海が漆黒の闇に包まれる。夜になり、夜戦が始まる。

 

「残念だったね」0/33(ホ級)

 

砲雷撃を交えた時雨の近距離攻撃がホ級を捉え、撃沈する。

 

ふと気付くと水飛沫の中から少女が現れる。深海棲艦とは明らかに異質な()()に時雨が近づく。

 

◆◇◆◇◆◇◆

 

「提督。状況終了。戦闘の結果、敵艦隊全艦撃沈、被害は夕立、綾波中破。それと軽巡洋艦の神通に邂逅したんだけどどうしたらいいかな?」

 

一部始終は鎮守府に中継されて主モニターに映し出されている。

 

《了解。戦闘経過はこちらでも確認した。神通については艦隊への合流を許可する。陣形は単縦陣、時雨を正面に、前方を警戒。夕立、綾波は中央に入って神通は後方を警戒して戦闘を回避しながら帰投してくれ》

 

『了解!』

 

艦隊との通信を切り鎮守府の警戒体制を解除し、発令所を後にする。

 

◆◇◆◇◆◇◆

 

更に執務室で戦闘報告書を書き上げる。MAGIが収集した情報を参照しながら2戦分の2枚を用意する。

 

戦闘報告書 HA0101A0002号

基地:大本営函根鎮守府

艦隊:第一艦隊

           旗艦     白露型駆逐艦2番艦 時雨

           2番艦   白露型駆逐艦4番艦 夕立

           3番艦   綾波型駆逐艦1番艦 綾波

日時:2016/03/29 16:08開始

           2016/03/29 16:10終了

進出海域:鎮守府海域 鎮守府正面海域(1-1)

戦果:(撃沈)駆逐イ級x1

被害:なし

戦闘責任者:函根鎮守府司令長官 寒川雪成

 

 

戦闘報告書 HA0101C0001号

基地:大本営函根鎮守府

艦隊:第一艦隊

           旗艦     白露型駆逐艦2番艦 時雨

           2番艦   白露型駆逐艦4番艦 夕立

           3番艦   綾波型駆逐艦1番艦 綾波

日時:2016/03/29 16:49開始

           2016/03/29 17:11終了

進出海域:鎮守府海域 鎮守府正面海域(1-1)

戦果:(撃沈)軽巡ホ級x1 駆逐イ級x2

被害:(中破)夕立 綾波

備考:川内型軽巡洋艦2番艦 神通と戦闘後に邂逅。合流した。

戦闘責任者:函根鎮守府司令長官 寒川雪成

 

MAGIの戦闘情報を見返しながら時間を確認して仕上げる。そろそろ艦隊が帰ってくる。

 

◆◇◆◇◆◇◆

 

桟橋へ迎えに出る。時雨達の姿を認め安堵する。

 

「提督、艦隊が無事、帰投したよ」

 

「よくやった。すぐに補給と入渠を済ませてくれ。今晩は祝勝会だ」

 

『はい!(ぽい!)』

 

時雨達が補給と入渠のために散っていく。彼女たちより背が高く、整った顔立ちが凛々しい印象を与える神通が残り、自己紹介をする。

 

「あの……軽巡洋艦、神通です。どうか、よろしくお願い致します……」

 

「この鎮守府の提督を務めている寒川雪成です。よろしくおねがいします」

 

「はい。こちらこそお世話になります」

 

神通も補給のために時雨達の元へ向かう。

 

◆◇◆◇◆◇◆

 

「ほら、行って祝勝会の準備するぞ」

二種軍服のズボンのポケットに手を突っ込みながら月明かりの下を宿舎に帰って行く。

 

それを見つめた艦娘(大淀)は後を追うように帰って行く。函根鎮守府に、しばし静寂が訪れる。




・注意を払ってはおりますが、誤字脱字等発見された方は報告していただければ幸いです。
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