デート・ア・トーナメント   作:零崎博識

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第一話 発案

「悪いけれど、私は士道の彼女として、負けるわけにはいかない。すでに確定している私の優勝の末に手に入るのは、士道のTシャツ、士道のズボン、士道のジャケット、士道のパンツ、士道の靴下…」

「いや、折紙。できれば俺の衣服を根こそぎ持っていくのはやめてほしいんだが…」

「鳶一折紙よ!優勝は渡さんぞ!シドーのハンバーグ、シドーのクリームコロッケ、シドーのステーキ、シドーのエビフライその他もろもろを手に入れるのは私だ!」

「いや、十香。さすがにそれを一度に作るのはきついんだが?」

「きひひっ!たぎりますわねぇ!私が優勝した暁には、士道さんの唇を無条件にいただきますわぁ。羞恥に悶える士道さんの姿が楽しみですわねぇ」

「狂三…お前はなぜ当然のようにここにいるんだ。っていうかそろそろツッコミがおいつかねぇ!」

 

折紙、十香、狂三をはじめとする精霊たちが、血気盛んに「優勝、優勝」と口にし、士道のツッコミを我関せず一心不乱にそれぞれの欲望を口にする、こんな地獄絵図のような状況を作り上げた事の発端は1日前へとさかのぼる…

 

―1日前―

 

「暇ね…」

そうつぶやいたのは、五河琴里。精霊の力を自らの体に封印し制御することのできる五河士道の妹にして、中学生にしてラタトスクの巨大艦の艦長を任されており、なおかつ自身も精霊であるという、属性過多な女の子である。

さらに、リボンの色が白の時には年相応にふるまい、黒の時には艦長相応にふるまうという、見事なマインドリセットもでき、正直こんな中学生がいてたまるか、という感じである。

現在彼女が居るのはラタトスクの中なので、リボンの色は当然ながら黒である。

「ふむ。最近はDEMのほうからの接触もないし、新たな精霊の出現反応もない。確かに暇といえば暇だね。十香たちも暇を持て余しているようだし、何かこちらでイベントでも用意するべきではないかな、琴里。」

そう返すのは、村雨令音。

巨乳美人である。

紹介、以上。

高校で物理の先生をしているだとか、ラタトスクの一員だとか、実は始原の精霊であるとか、紹介をしようと思えば、いくらでも行を稼ぐことはできるのだが、それらはすべて蛇足である。

巨乳美人であるという事実のみが重要であり、既刊19巻という長編の本編の中でも一二を争うレベルの必要な情報であるのだ。

「そうよね、令音。暇なのは悪いことではないけれど、十香たちを楽しませるのもラタトスクの立派な仕事の一つよ。できれば彼女たちが戦線に出てこなければならない事態は避けるべきではあるけれど、正直言って彼女たちの戦力なしでDEMに勝てるとは思えない。体がなまってもらっても困るわ。」

「だったら琴里。こういうのはどうかな?ゴニョゴニョ・・・」

「それはいいわね。でも、白熱しすぎて暴走したりはしないかしら?暴走しそうな人物に心当たりがありすぎるんだけれど。」

「大丈夫さ。そこらへんは士道が何とかしてくれるだろう。」

「それもそうね。なんてったって、わたしのおにいちゃんなんだもの。」

 

かくして、令音の案が採用され、士道の負担が半端じゃなさそうな、精霊たちの暇つぶしイベントが開催へと相成ったのである。

ちなみにラタトスクにはほかのクルーもいるが、最近は特に異変もなさそうなので、琴里が有給を出しているのだ。

決して、それぞれの個性が強すぎて書くのが面倒だという、筆者の都合によって描写されなかったというわけではない。

 

そして、次の日、琴里によって精霊たちが士道の家に集められた。

夜刀神十香、鳶一折紙、五河琴里、四糸乃、八舞耶倶矢、八舞夕弦、誘宵美九、七罪、星宮六喰、本条二亜。以上10名の精霊が五河家に集結した。

琴里の話に、真っ先に食いついたのは、意外にも夕弦であった。

「一興。面白そうです。夕弦たちの間で、様々な題目でトーナメント戦を行い、優勝を争おうというのは。耶倶矢との決着をここでつけるのも可能です。」

「ふっふっふ。どんな勝負であろうと我の勝ちは必然!わが眷属にわが勝利をささげてやろうぞ!」

「和訳。今のは、士道好き好き。もし優勝したら士道に何してもらおっかなー。という意味です。」

「なっ!ち、ちがうし!そんなことみじんも考えてないし!ていうか夕弦、あんた和訳って言ったよね!?私が日本語しゃべってないとでもいうの!?」

「お二人とも、け、けんかはよくないです。」

「はぁ。四糸乃は今日も天使ね。それに比べて私は…。」

「七罪さんも十分かわいらしいですよぉ!!特にこのけがれを知らない二の腕!はぁはぁ。」

「相変わらず美九は変態ね。って士道?さっきから反応がないけど、どうしたの?」

 

士道は何やら考え込んでいるようだった。

それはもう、熟考といって差し支えない集中力であった。

折紙と二亜によって今まさに繰り広げられている逆セクハラにも気づかないほどに。

だが二人が士道に密着するに飽き足らず、いよいよ衣服を脱がそうとした時、ようやく士道が声を挙げた。

 

「お、折紙!それに二亜!何してるんだ!」

「将来を誓い合った恋人としては当然の行為。安心して。痛いのは最初だけ。天井のシミを数えていれば終わる。」

「いやー、みんなの注意はこっちには向いてなかったし、少年もなにやら考え込んでるしで、これはチャンスかなーって。めんごめんご。」

「ったく。油断も隙もありゃしないわね。で、どうしたの士道。なんか気になることでもあったかしら?」

「ああ。さっきの説明を聞いてて思ったんだが、要するに優勝者は俺に好きな命令ができるってことだよな?」

「ええ、その解釈で間違いはないわ。」

「俺なんも知らされてないんだけど!?俺の意思は!?」

「今更ね。精霊の幸せが、士道の幸せ。そうでしょう?」

「サー、イェッサー!ったくしかたないな。でもせめて、あまりにもひどい要望は却下する権限をくれよ。」

「そうね。さすがにそれくらいは譲歩してあげるわ。」

「夫婦にとって夜の営みは当然のこと。したがってひどい要望にはあてはまらない。」

「少年との個人レッスンも悪くないかもねー、にゃはは!」

「お前らみたいなのがいるから怖いんだよ!」

「「そんな、褒められると照れる///」」

「ほめてねぇ!!!」

「っていうか、十香と六喰は?あー、あそこね。」

「昼食後のあいつらは昼寝って決まってるからな。まあもうじきすれば起きるだろ。」

「それもそうね。じゃあトーナメント表だけでも作っときましょう。えっと、計10人だから、ちょうど二人ずつで組めるわね。。」

 

その瞬間。

それは誰も予期しておらず、突然の出来事であった。

いや、当然といえば当然であったかもしれない。

こんな面白そうなイベントを、彼女が見逃すはずがないのだから。

まして、精霊同士の勝負ならば、なおさらである。

 

「きひひっ。何やら面白そうなことをしようとしてるんですのね。よかったら、私も混ぜてくださいませんこと?」

 

そう、突然現れた黒い影の中から現れたのは、最悪にして最狂の精霊、時崎狂三その人だったのである。

 

これにてそろいし11名!

組み合わせも全く決まっておらず、勝負内容も未知数!

どう転ぶかは筆者のこの先の気分次第!

こうご期待!

 




19巻を読み終え、唐突に書きたくなりました。
書いていて思ったのは、精霊たちが多すぎて、会話を描写するのが大変です。
この状況下であれだけのストーリーを繰り出せる原作者さんには、ただただ尊敬の念を抱くばかりです。

ちなみに、できるだけキャラごとの登場頻度に差がつかないようにしたいのですが、私は折紙が一番好きなので、自然と折紙のシーンが多くなってしまうかもですが、ご了承ください。
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