Fate / battle of Berserker   作:JALBAS

8 / 10

バーサーカー士郎とギルガメッシュの第二ラウンド。
最初は手を抜いていたギルガメッシュも、相性の悪い相手と認め本気を出してきます。
そうなると、やはり分が悪い士郎。
その時、士郎の隠れた力が覚醒します。




《 第八話 》

 

士郎とギルガメッシュは、教会の外で戦闘を開始していた。

ギルガメッシュは時空の歪から、次々と宝具を放ち攻撃して来る。士郎は、それに対応した宝具を投影し、応戦していた。

「ギルガメッシュ、お前は何故イリヤの命を奪おうとする?」

「ふん、そもそも、器に命を持たせる事自体が間違っておるのだ。」

「器なんかじゃ無い!イリヤは人間だ!」

「如何にも卑しい者の理屈よな?見た目だけで物事を捉える……だが、別にあんな人形の命になど興味は無い。我が欲しいのは、あの人形の心臓よ。」

「心臓だと?」

「それこそが、サーヴァントの魂を蓄える器の核となる。それを使って、我専用の器を創るのよ。」

「そ……そんな事は、俺が許さない!」

「ふっ、雑種ごときが王の行いに意見するなど、分を弁えよ!」

ギルガメッシュは次第に宝具のランクを上げていく。それにより、競り合いを制する宝具が多くなっていき、それらが士郎の体を掠め始める。

「うぐっ!」

少しずつ、士郎のダメージが増えていく。

「どうした?そんなものか?我はまだまだ本気では無いぞ。所詮偽物の力など、この程度か?」

そんな士郎を、ギルガメッシュは鼻で笑う。

「だったら見せてやるよ!俺の……いや、アーチャーから受け継いだ“エミヤ”の神髄を!」

士郎の体から、白いオーラが立ち昇り始める。

「I am the bone of my sword.」

「ふん。」

ギルガメッシュは、まだ余裕で笑っている。

「Unkown to Death. Nor known to Life.」

魔力の渦が、士郎を包み込む。

そして士郎は左手を前に翳し、最後の呪文を唱える。

「Unlimited Blade Works.」

突如、周りの景色が一変する。見渡す限りの荒野、そこには無限の剣が、まるで墓標のように刺さっている。

「固有結界だと?」

「ご覧の通り、貴様が挑むのは無限の剣……いくぞ、英雄王!武器の貯蔵は十分か?」

 

 

 

遠坂邸。

イリヤが寝ている客間の中では、呆然とする凛の前で、ランサーとアサシンが対峙していた。

「行くぜ……」

低い声で言うランサーの腕に、赤い槍が現れる。

すかさずランサーは、その槍でアサシンを突いていく。

「くっ……」

アサシンはとっさにこれを躱し、部屋の中を壁越しに飛び回る。そして、窓を破って外に飛び出していく。

「逃がすかっ!」

ランサーもこれを追って外に飛び出す。

「ちょ……ちょっと!」

凛も、慌ててそれを追う。

 

庭に飛び降りたアサシンに、上空から槍で突いて来るランサー。

アサシンは素早くそれを躱すが、アサシンの居た場所には大穴が開く。

アサシンも反撃に出て、背後に回り込んでナイフで切りつける。しかしランサーは即座に反応し、槍でアサシンのナイフを弾く。

アサシンは縦横無尽に飛び回ってかく乱するが、ランサーの俊敏性はそれを物ともしない。

会わせてアサシンは投げナイフでランサーを攻撃するが、ランサーはその全てを難無く躱してしまう。

「残念だが、飛び道具は俺には効かねえよ!」

次第にアサシンは追い詰められていく。ところが……

「ランサー!」

凛が、ランサー達を追って庭に出て来てしまった。アサシンはこれを利用し、凛に向かってナイフを投げ付けた。

「え?!」

「ちいっ!」

ランサーは凛の前に駆け寄って、凛を狙ったナイフを弾いた。

この隙に、アサシンは塀を飛び越えて屋敷の外へ逃げて行った。

「くそっ!……まあ、目的は果たしたからいいか……」

ランサーは、それ以上後を追う事はしなかった。

凛は少し戸惑っていたが、まずはランサーに礼を言う。

「あ……ありがとう……でも、どうして貴方が……」

「勘違いすんなよ。別に、あんたらを助けに来た訳じゃねえ……俺のマスターの指示でな、とにかく奴らの邪魔をしろって言われてるから実行しただけだ。」

「邪魔?……奴らって?」

「深くは言えねえな……まあ、とにかく用心するこった。」

それだけ言って、ランサーは去って行った。

 

 

 

固有結界の中では、戦闘の優劣が逆転していた。

先程とは逆に、士郎の方がギルガメッシュを圧倒している。

「何故だ!何故この我が、フェイカー如きに後れをとる?」

「お前は、宝具を毎回蔵から取り出さなければならない。だが俺は、既にこの場にある対応した宝具を放てばいい。常に、先手を打てる。」

ギルガメッシュの宝具が、時空の歪から顔を出す。それを見て士郎は、即座に対応した宝具をフィールドから時空の歪目掛けて放っていた。そのため、ギルガメッシュの宝具は、場に放たれる前に相殺されてしまう。

更に、士郎は強力な剣を持ってギルガメッシュに切り掛かる。ギルガメッシュも対応した剣で迎え撃つが、彼は宝具の所有者であって担い手では無い。その剣の力を最大限に引き出す事は出来ないし、宝具の真名解放も出来ない。しかし士郎は、そのどちらも模倣する事が可能なのだ。剣戟では、士郎の方が圧倒的に優位であった。

「ぐううううっ!」

士郎の剣が、ギルガメッシュの体に遂に傷を負わせた。

「くっ……成程な……確かにこのままでは分が悪い……」

ギルガメッシュは剣戟を止め、一旦離れて距離を取る。

「褒めてやるぞフェイカー。この我を、本気にさせたのだからな。」

「何だと?」

「お前が全てを模倣するなら、絶対に真似の出来ない真の本物を見せてやる。」

ギルガメッシュの背後に、巨大な時空の歪が現れる。

「何だ?何をする気だ?」

ギルガメッシュはその中から、何とも異様な雰囲気を醸し出す、巨大な剣を引き抜く。その剣は黒く、赤い渦のような螺旋が付いている。そして、ドリルのように回転を始める。

「何だ……あの剣は?」

「名前は無い。我は“エア”と呼んでいるがな。如何にお前でも、この剣を複製する事はできまい。」

確かに、士郎にはその剣をトレースする事が出来なかった。

「喰らえ!エヌマ……エリイイイイイイイッシュ!!」

ギルガメッシュは士郎に向けて剣を振るう。凄まじい剣撃が地面を砕き、固有結界自体を切り裂いていく。

「うわああああああああああああああっ!」

その剣撃に、士郎は呑み込まれてしまう。

凄まじい閃光が去った後、固有結界は完全に消え去り、二人は元の教会の前に戻っていた。

士郎は、消滅こそしていないが、相当なダメージを受け蹲っている。折角着替えた服は殆ど弾け飛んでおり、着替える前と大差無い半裸の状態になっていた。

「ふん、どうやらここまでのようだな。」

ギルガメッシュは、もう使うまでも無いとエアを仕舞う。

すると、俯いている士郎が唸り声を上げ始める。

「う……うううう……うううううう……UGAAAAAAAAAAAAAAAA!!」

突如、士郎は発狂したような叫び声を上げて立ち上がった。その叫び声は、もはや士郎の声では無かった。その目は赤く輝き、体からはオーラのように魔力が発せられ、体の血管が浮き出たかのように全身が赤く光り出した。

「な……何だと?!」

これには、ギルガメッシュも驚愕する。

「GUAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」

その凄まじい叫びに呼応して、士郎の周りに無数の剣が投影される。それらは、一斉にギルガメッシュに向けて放たれた。

「悪あがきを!」

ギルガメッシュは再び時空の歪を発生させ、投影された剣の原型の宝具を放つ。

「何っ?!」

しかし、ギルガメッシュの宝具は士郎の剣を相殺できない。競り合いに敗れ、撃ち漏らした剣がギルガメッシュの手足を掠める。

「ば……馬鹿な!何故本物が偽物に力で後れをとる?」

続けざまに士郎は攻撃を放つ。ギルガメッシュも対応する宝具を放ち続けるが、どうしても競り負けてしまう。

窮地に追い込まれた事で、バーサーカー本来のスキルが発動したのだ。既に士郎は正気では無くなっている。ただ、目の前の敵に襲い掛かるだけの野獣と化していた。この状態になっては、もう固有結界の発動もできないし、宝具の真名解放も担い手の技能を使役する事も出来ない。但し、投影した宝具の攻撃力だけは異常な程跳ね上がっていた。そのため、ギルガメッシュの宝具がいくら士郎の宝具よりランクが高くても、直接の攻撃力では士郎の宝具が遥かに上回っていた。

ギルガメッシュは一気に劣勢になってしまう。

「ぐっ……ぐうっ!」

競り合いを制した剣が、次々とギルガメッシュに襲い掛かる。少しずつではあるが、確実にギルガメッシュは傷付けられていく。

「おのれ……おのれ、おのれ、おのれええええええっ!」

追い詰められたギルガメッシュは、再び時空の歪から乖離剣エアを取り出す。

「貴様が如何に強くなろうとも、この剣の前では全てが無に還る!」

確かに、如何に士郎の攻撃力が高まろうと、直接の破壊力ではエヌマ・エリシュを上回れない。

「今度こそ、塵になるが良い!」

ギルガメッシュは、再びエヌマ・エリシュを放とうとする。が……

「うぐうっ!」

エアを振るう前に、黒い聖剣が真後ろから彼の心臓を貫いた。

「ぐうううっ……せ……セイバー……きさま……」

ギルガメッシュの直ぐ後ろには、セイバーの姿があった。

突如出現したセイバーは、士郎に対抗するあまり隙だらけとなった背後から、容赦無くギルガメッシュを刺していたのだ。

更に、ギルガメッシュの足元から、黒い影が彼の体に這い上がって来る。

「ぐううう……ぐぅおおおおおおおっ……」

ギルガメッシュは、そのまま影に呑み込まれ、地面の中に消えていってしまった。

「GUAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!」

黒い影は、士郎の足元からも這い上がって来た。そのまま士郎まで呑み込もうとするが……

「GAAAAAA……ぐぅ……うおおおおおおおおおおっ!」

正気を取り戻した士郎は、全身から魔力を放出して黒い影を吹き飛ばした。

正規のサーヴァントでは無く、長い間体の中に聖剣の鞘を宿していた士郎の魂には、多少なりとも黒い影への耐性が備わっていた。簡単には、黒い影には取り込まれなかった。

「うう……せ……セイバー……」

士郎は、警戒しながらセイバーを見詰める。ぬいぐるみの身ではあったが、豹変したセイバーを一度見ているからだ。

セイバーの方は特に何の反応もせず、ただ剣を構えて立っている。おそらく、次の指示を待っているのだろう。今のセイバーは、感情を持たぬ戦闘マシーンのようだった。

士郎は、セイバーの後ろ、教会の入り口に目を向ける。

そこには、綺礼が立っていた。だが、何故か彼の目は焦点が合っていなっかた。すると、綺礼は急に口から血を流し出し、その場に倒れてしまう。綺礼は、既に息絶えていた。

「?!」

綺礼が倒れた後ろには、黒い影が立っていた。それは、少しずつ人の形に変わっていき、白い長髪に黒に赤い縦縞の影を衣服のように纏った、ひとりの少女の姿となった。

「さ……桜……」

「先輩……」

桜は、前回とは打って変わった優しい目付きで言う。

「桜、何故言峰を……」

「この人、何かにつけて私達の邪魔をしていたんです……だから……」

「邪魔を?……」

「先輩……良かった。生きていらしたんですね……でも……」

桜は俯き、声のトーンが低くなっていく。

「何故?……何故ですか?何であんな小娘のサーヴァントに?先輩に、あんな酷い事をした女の……」

「待ってくれ桜、イリヤは……血は繋がっていないが、俺の妹なんだ。」

「だから何ですか?妹なら……兄妹なら何をしてもいいんですか?耐え難い苦痛を与えたり、物言わぬ人形にしてしまったり……」

「いや……それにはいろいろと行き違いがあって……」

「ゆるせない!絶対にゆるせない!」

「桜、お前は聖杯の呪いに取り憑かれて、気が動転しているんだ。その影との繋がりを断つんだ!そうすれば……」

「いいえ!取り憑かれているのは先輩の方です!」

「な……何を言ってるんだ?」

「先輩は自分で判っていないんです!あの小娘に操られているんです!」

「馬鹿を言うな!俺は操られてなんかいない!心の底からイリヤを護りたいと……」

すると、桜の目には今度は涙が浮かぶ。

「桜?!」

「だめなんですね……やっぱり、あの小娘を殺さなければ先輩は気が付かない……」

「止めるんだ桜!そんな事をするなら……俺は……」

「私は……必ず、先輩を元に戻して見せます……そのために……必ず、あの小娘を殺す!」

「桜!」

最後は狂気に満ちた目に変貌し、再び影となって、桜はセイバーと共に消え去ってしまった。

「くっ……」

士郎は、やり切れない気持ちで、唇を噛みしめるだけだった。

 






黒化したセイバーには騎士道精神などありません。
相手の隙を突いて背後から敵を討つ事に、何の躊躇いもありません。
哀れギルガメッシュ。今回は慢心してはいなかったんですが、結局最後は黒い影に呑まれる運命をたどります。既に瀕死なんで、簡単に呑み込まれてしまいました。

凛のピンチに、颯爽と現れ続けるランサー。
ところが、マスターの綺礼が死んでしまったんで、寄り代が無くなってしまいました。
折角今回はいい役やってたんですが、ランサーもここまでか?
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