もう一度輝くために   作:粗茶Returnees

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お待たせしました〜。
まだ平和な回ですよ。


11話

「沙綾、雄弥くん。結花ちゃんが来たことだし、2人とも朝ご飯食べて学校に行きなさい」

 

「はーい。雄弥さん、行きましょ」

 

「そうだな。剛さん、千紘さん、それでは失礼します」

 

「おう!」

 

 

 俺が朝から"やまぶきベーカリー"でバイトしている時は、山吹家で朝食を食べさせてもらっている。結花が「寂しいから」と言い、千紘さんも「それなら朝ご飯をうちで食べなさい」と言ったことで、結花も一緒に食べるようになった。

 沙綾と一緒にリビングに行くと、結花が純と紗南と一緒にご飯をついでいた。すぐに打ち解けたらしい。特に紗南のなつき具合がすごく、沙綾が嫉妬したほどだ。

 

 

「あ、おねーちゃん、ゆうおにーちゃんおはよー!」

 

「おはよう紗南。結花さんのお手伝いしてたの?偉いね!」

 

「えへへ〜」

 

「純もありがとう」

 

「うん!」

 

「雄弥おっはよー!」

 

「…いきなり抱きつくなって言ってるだろ」

 

「えへへ〜、ゆうや〜♪」

 

「聞いてねぇし…」

 

「あ、あははー。とりあえず、ご飯食べましょっか」

 

 

 沙綾の言葉に頷き、強引に結花を引き剥がして椅子に座る。沙綾の横に座るのが定位置となっていて、向かい側の正面に結花、その横に純と紗南が座る。5人でいただきますを言って食べ始める。

 食べながら純や紗南の話を聞くのが定着し、今日も2人の話を聞かせてもらう。年の離れた兄弟は世話が大変と思っていたが、こうやってると沙綾の気持ちもわかってくる。全然しんどくない、むしろ元気を貰える。

 

 

「ごちそうさま」

 

「にーちゃん食べるの早いよー」

 

「時間が来るまで話は聞くから、純も慌てずにご飯食べろよ」

 

「ぜったい待ってて!」

 

「ああ」  

 

「ふふっ、純は雄弥が好きだねー」

 

「うん!」

 

「けど、私のほうが雄弥のこと好きだからね?」

 

「うん…?」

 

「何張り合ってんだ…」

 

 

 10歳近く離れてるのになんで張り合うんだ…。半分は冗談のつもりだろうが、半分はガチで言ってるからな〜。

 沙綾も結花も食べ終わり、純と紗南が食べ終わるのを待つ。俺はその間に食器を洗う。沙綾も学校の準備は終わってるようで、話の輪に加わっている。しばらくしたら純と紗南も食べ終わり、食器を洗う。その後はまた5人で会話を楽しみ、時間が来たので家を出た。

 

 

「年が離れてる姉弟もいーねー!」

 

「あはは、あげませんよ?」

 

「ちぇー。…ま、私には雄弥がいるから十分…ううん、十二分だよ!」

 

「純と紗南だって負けてません!」

 

「…なにを言い合ってるんだ?」

 

「「雄弥(さん)は黙ってて(ください)!」

 

「…わけわからんな」

 

 

 軽く止めに行ったら逆効果だった。こんなことあるか?………あるか。まぁ、止めると言っても、2人はこの会話自体楽しんでるようだし、本気で止めるってわけじゃないんだけどな。

 

 

「2人が大きくなれば、一緒に沙綾のライブ見にいけるのにね〜」

 

「私も来てほしいって気持ちはありますけど、ちょっと恥ずかしいなぁー…なんて」

 

「身内がいるってなると、緊張の仕方変わるよね〜。その気持ち分かんないけど」

 

「わからないのかよ」

 

「だって身内が見に来たことなくない?強いて言うなら紗夜と日菜ぐらいじゃん」

 

「たしかにそうだな。…結花って緊張することあるのか?」

 

「あるよ!雄弥は私をなんだと思ってるの!」

 

 

 そう言われてもな、俺が知る限り結花は緊張することないし。…あ、俺にこうやって思われること自体がプレッシャーになるのか。気をつけないとな。

 俺と結花がじゃれていると、沙綾が目を丸くして固まっていた。そんなに驚くようなこと、今の会話であったか?俺がバンドを組んでたことは前に言ったはずだし。

 

 

「沙綾〜、どうしたの?」

 

「へっ、や…あの、結花さんってバンド組んでたんですか?」

 

「あれ?前に言わなかったか?」

 

「雄弥さんがバンドを組んでたことは聞きましたけど、結花さんのことは聞いてないですよ!」

 

「そう………だったな。たしかに言ってなかったな」

 

「私達はね、同じバンドだったんだよ?Augenblickっていう5人組のバンドで、私がボーカル、雄弥はベースだったの」

 

「そうだったんですね。…聞いてみたいです」

 

「…映像化ってしてたっけ?」

 

「いや、あの時はまだ中学だから、映像とかはないな。CDなら探せばあるんじゃないか?」

 

「やっぱそんなとこだよね〜」

 

「え、雄弥さん達って自分では持ってないんですか?」

 

「ないな」

 

 

 …沙綾が驚いてるが、持ってるもんなのか?いや、待てよ、たしか原曲というか、1番最初に焼きこむやつは持ってたはず…。とりあえず、今度それを貸してみるか。

 

 

「私は持ってるけどね!」

 

「持ってんのかよ!」

 

「当然でしょ?というか、雄弥が持ってないのも私が買うからっていう理由じゃん」

 

「…そうだったか?」

 

「そうですー」

 

「えと、今度お借りしてもいいですか?」

 

「いーよー。明日には渡すね!」

 

「ありがとうございます♪」

 

 

 とりあえず、CDは結花が渡すってことで解決だな。…懐かしいな。5人で練習して、本番じゃあ止められることがないからって好き勝手にやってた。その度にスタッフにも会社にもライブの後に言われるけど、それをマネージャーが豪快に笑い飛ばして黙らせた。

 

 

(あいつには助けられてばっかだったな。今はどこで何してるんだろうか…)

 

「雄弥?」

 

「ん?」

 

「どうかしたの?なんか考え事?」

 

「いや、懐かしいなって思ってただけだ」

 

「…そうだね。私が雄弥を引っ張り回して、芸能界にも同じバンドにも入ってもらったんだもんね」

 

「そういう経緯なんですね。他の方とは後から知り合ったんですか?」

 

「うん。芸能界入ってすぐにギターの子と知り合って、私と気が合ったから誘ったんだよ。それで、その子がドラムとキーボードの子を連れてきて、結成されたんだ」

 

「へ〜」

 

 

 あのマネージャーの手のひらの上で転がされてる気しかしてなかったがな。それで、嫌がらせでもしてみるかってなってライブで好き放題したら「最高だな!もっとやれ!」って言われて、その時に敵わないと判断したんだったな。

 

 

「話し込んでるとこ悪いが、俺はこっちだから」

 

「あ、もうここまで来たんだ。雄弥、行ってらっしゃい☆」

 

「ああ。結花も沙綾も行ってらっしゃい」

 

「はい!行ってきます!」

 

「…あ、そうだ。結花」

 

「なになにー?寂しいって?」

 

「言ってないだろ…。……今度のRoseliaのライブ、行くよ」

 

「………え……?」

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

「結花ちゃんおはよう」

 

「おはよー、花音」

 

「…?何かあったの?」

 

「へ?なんで?」

 

「え、ううん。なんか結花ちゃんが悩んでそうだったから…。何かあったのかなって、勘違いだったらごめんね!」

 

「…ううん。合ってるよ。ちょっと弟の発言にびっくりしちゃって」

 

「弟くんの?……もしかして、好きな人ができた…とか?」

 

「ううん、全然違う…はず……あれ?…まさか、え?…いや、でも……え?」

 

「ゆ、結花ちゃん?…お、おーい」

 

 

 雄弥に好きな人が?…いや、だってあの2人が………紗夜と会うのを気まずく思ってるはずなのに見に行くってことは、Roseliaのメンバー?……でも…

 

 

「おはよう花音。…結花は何してるのかしら?」

 

「それがね?ーー」

 

「ーーなるほど、結花!」

 

「んー?あ、千聖じゃん。おはよー」

 

「ええ、おはよう。何をそんなにブツブツ呟いてるのよ」

 

「だって〜」

 

「この年頃ならおかしなことじゃないじゃない」

 

「それはそうなんだけどさ〜」

 

「その真偽は本人に聞くしかないんじゃないかしら?」

 

「…それもそうだね〜。帰ったら聞いてみるよ」

 

 

 Roseliaのメンバーで雄弥と知り合いなのって…、いやでも、紗夜が言うにはボーカルの子も同じ学校だし…。いやいや、雄弥は自分から輪をグイグイ広げるタイプじゃないし…。

 あーもう!考えるのヤメヤメ!帰ってから聞けば分かることなんだから!…それよりも、このことを紗夜に伝えるかが問題だよね。言ってライブに影響出ちゃうのは避けたいし、かといって何も知らないで、ライブ中に知ってもそれはそれで…。…難しいなぁ。

 

 別のことを考えようとして、結局別のことでも悩んじゃってたらいつの間にか授業が始まってた。内心慌ててたけど、いかにも「ボーッとしてませんよ」という風に教科書とノートを机に広げた。…千聖はなんか言いたそうな目で見てくるし、花音にはなぜか心配そうな顔された。失礼だなぁ、もう。

 

 

「結花ちゃん、今日はお昼どうするの?」

 

「あ〜、今日は紗夜と食べるって約束してるから、また2人で屋上かな〜。話したいこともあるし」

 

「そうなんだ。うん、わかったよ。それじゃあまた後でね」

 

「うん。明日は一緒に食べようね!」

 

「ふふっ、もちろんいいよ♪」

 

 

 紗夜がいる隣のクラスに行って、一緒に屋上へと向かう。そういえば燐子もRoseliaのメンバーなんだし、今度は燐子とも一緒に食べようかな、なんて考えながら。

 

 

「いっただっきまーす☆」

 

「いただきます」

 

「ん〜♪やっぱり雄弥の料理は美味しいなぁ〜♪」

 

「結花も美味しそうに食べるわね。あなたがそうやって食べてると、雄弥くんも作り甲斐があるんじゃないかしら?」

 

「そうなのかなー?」

 

「きっとそうよ。結花も雄弥くんが美味しいって言ってくれるともっと頑張ろうってなるでしょ?」

 

「たしかに!…あ、でも今日は私の分しかなかったなぁー」

 

「え?そうなの?」

 

「うん。今日は作ってきてくれる人がいるから〜って言っててさ」

 

「……そう」

 

「なになにー?焼きもち?」

 

「なっ!…ち…違うわよ!!」

 

 

 そんな反応されたら全然信用できないよ〜。羽丘の方で、雄弥とそんなやり取りする人物の心当たりが1人しかいないけど、…紗夜はそこまで頭が回ってないし、黙っとこ。

 

 

「……信じてないわね?」

 

「そりゃあそんなに顔を赤くされたらね?」

 

「うっ、…違うのよ」

 

「はいはい。そういうことにしときます〜」

 

「もう…」

 

 

 昼休みの時間を使って、紗夜を色々とイジってみたけど、…これはライブのことは黙っておこうかな。この判断が正しいとも思えないけど、言うのもベストって思えない。……雄弥に押し付けるってことにだけはならないようにしよう。私は雄弥のお姉ちゃんなんだし、なによりも…。

 

 もう二度と雄弥が1人で抱えこまないようにしなくちゃ。

 

 

 

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