もう一度輝くために   作:粗茶Returnees

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15話

「やっと戻ってきたー!遅いよー!」

 

「ごめん。ちょっと紗夜と話しててな」

 

「そっか〜。それなら仕方な……んん!?」

 

「どうかしたか?」

 

「どうかしたかって…!…え!?紗夜に会ったの!?」

 

 

 目を丸くした結花に肩を掴まれ前後に揺らされる。ただ紗夜と会って話しただけなんだが、一大事件らしい。…まぁ…そりゃそうか。あとで会うって言って避けてたのに、ちゃっかり会って話してきたんだからな。俺も驚いたことだし、偶然だったということを話すと、結花も納得してくれて手を離してくれた。

 

 

「そうなんだ…。でもよかった〜。イイ感じに話せたんだよね?」

 

「そうだな。…あんなに普通に話せるとは思ってなかった。日菜みたいに紗夜も俺を嫌ってると思ってたからな」

 

「だろうね〜。ま、私は学校で一緒にご飯食べたりしてたから、紗夜の気持ちをある程度は分かってたけど」

 

「そうだったのか…」

 

「うん。あえて雄弥には話してなかったの。……ごめんね」

 

「謝らないでくれ。むしろそうしてくれててよかったよ。結花に甘えてばっかでもいられないしな」

 

「お姉ちゃんとしては複雑かな〜。雄弥には甘えてほしいけど、成長もしてほしいし」

 

「保護者かよ」

 

「お姉ちゃんです☆」

 

 

 あ〜、結花はこういう子だったな。昔っから変わらない。…いや、変わらないでいてくれている(・・・・・・・・・・・・・)。これも俺のせいなんだろうな。気を使わせて、側にいてもらって、ずっと支えてくれて…。

 

 

「ゆうーや!」

 

「むぐっ。なんらよ」

 

「あはは!話せてないよー?」

 

「られのせいらとおもっれる」

 

「私のせいかな〜?あ、雄弥のほっぺ一番好きかも♪」

 

「……」

 

「…私はね、好きでこうしてるんだよ?」

 

「!!」

 

「1人で背負い込もうとしないで。お姉ちゃんが好きでやってることもあるし、過去のことも私に(・・)責任があるんだから。…それでも背負い込もうって言うんなら、それはお姉ちゃんにも背負わせて?家族なんだからさ」

 

 

 頬をつまむのをやめたと思ったら引き寄せられ、左の頬に口づけされる。少し顔を赤くしながらも破顔させている姉を見て、俺も表情が緩くなった。いつだってそうだ。何でも見抜かれて、本心を伝えてきて助けてくれる。掛け替えのない大切な家族。そんな結花だから、俺も負担をかけさせたくないと思うし、助けたいと思う。

 

 

「ありがとう結花。気持ちが楽になった」

 

「えへへ、どういたしまして♪お姉ちゃんのファーストキスの効果は絶大かな?」

 

「…それは嘘だろ」

 

「あはは!まぁね〜。ファーストキスは中学の時だもんね♪」

 

「身内をカウントするなよ…」

 

「雄弥だからカウントするんだけどね?」

 

「……」

 

「あれ〜?照れちゃってる〜?」

 

「ライブ始まるぞ」

 

「露骨にそらすね…」

 

 

 俺の話題の反らし方に呆れた結花だったが、次のバンドの演奏が始まるのも事実だったためステージへと目を向けた。登場したのは、今日のもう一つの目的であるRoseliaだ。

 リサから聞いた話によると、リサの幼馴染である湊友希那が紗夜に声をかけ、一緒に作ったバンドなのだそうだ。リーダーでボーカルである湊友希那の歌は、圧巻の一言に尽きた。そのレベルの高さなら紗夜が協力する気になったのも納得だ。

 

 

「むむっ!見た目だけで言ったら私より雄弥のお姉さんっぽい!」

 

「何言ってんだ……。俺の姉は結花だけだ」

 

「ありがと♪…真面目な話、あの歌声は凄いね。嫉妬しそう」

 

「他所はよそ、うちはうちだ。俺達のボーカルは結花だけだからな?」

 

「…今日はやけに恥ずかしいこと言ってくるね?」

 

「本心を言ってるだけだ」

 

 

 さて、ステージに意識を戻すとするか、キーボードの子は白金燐子だったか。あの衣装も彼女の自作らしい。デザイナーにでもなったらいいんじゃないだろうか…。それはともかく、(いやそっちも凄いんだが)キーボードのレベルも高いな。Roseliaの曲は激しいものが多いらしいが、それについていくどころかしっかりと全体を調和している。…大輝なら違うとこに目を向けて「レベルたけぇー」とか言いそうだな。

 

 

「…胸か、やはり胸なのか!」

 

「結花?頭大丈夫か?」

 

「雄弥はどうなの!」

 

「俺か?俺は見た目で判断する人間じゃないぞ。それは結花が一番分かってくれてるんじゃないのか?」

 

「……それもそうだね。いやー、学校ではツッコまなかったからさ〜」

 

「クラス一緒なのか?」

 

「ううん。別だよ。紗夜と燐子は同じクラスだけど」

 

「へ〜」

 

 

 それで、ドラムの子が宇田川あこだったな。1人だけ中学生で今3年生だったかな。普通なら受験のことを心配するが、内部進学があるからバンドする余裕があるんだろうな。…それに紗夜がいるから勉強面のことを言ってるだろうし。

 小さい身体からは、想像もつかないほど力強くドラムを叩けているな。ツーバスなんて物珍しいが、宝の持ち腐れ…なんてことにはなってない。全てを全力で叩き、リサのベースと一緒にしっかりとリズムを作れている。素直に賞賛するしかないな。

 

 

「…妹属性か」

 

「いちいち反応するなよ…」

 

「雄弥も妹ほしい?」

 

「沙綾が妹みたいな感じって言ったの結花なんだが…、それに純と沙南がいるだろ」

 

「あ、ほんとだ。じゃあ安心だね」

 

「なんの心配だよ…」

 

 

 それで、同じクラスのリサ。一度ベースを辞め、ブランクがあり初心者と変わらないと言っていたが、とてもそうとは思えないな。…ま、他の子たちについていくのがやっとっていうのは、たしかなようだが。…あ、ウィンクしてきた。実力以上のものが出ているのか。……ふむ。

 

 

「…そんな時間作れるの?」

 

「何も言ってないだろ」

 

「分かるんだってば☆」

 

「はぁ。…どうなるかは分からないな」

 

「ま、私は止めないけどね〜。…心配な点(不安要素)はあるけど」

 

「ありがとう」

 

 

 そして、俺達の幼馴染である紗夜。リサの赤いベースとはある意味対となるような、青いギターを弾いている。紗夜らしい正確な弾き方で、どれだけ練習に取り組んでいるのかが伝わってくる。その反動っぽいものもあるようだが、今日はどうやらそれも小さいようだな。紗夜のギターの音色に感情が乗ってる。…それがいつものRoseliaと違う点のようだな。それがあるからこそ他のメンバーも実力以上のものが出ているようだ。

 

 

「…紗夜頑張ったんだね」

 

「みたいだな。あのレベルになるためにどれだけ練習したことか…」

 

「紗夜のことだから『これぐらい当然よ』とか言いそうだけどね☆」

 

「そうだな。……」

 

「気がかりでも?……あー、日菜…か」

 

「まぁ、な。日菜も紗夜を見てギターを始めたらしいからな」

 

「雄弥の気持ちも分からなくはないけど、今はそれどころじゃないんじゃない?雄弥は雄弥でやる事があるんだから」

 

「…だが…」

 

「紗夜を…そして日菜を信じなよ。あの2人が嫌い合うなんてことは絶対にないんだからさ。…だから、2人の"強さ"を"絆"を信じようよ」

 

「!!……ああ。結花の言うとおりだな」

 

 

 俺が首を突っ込めることじゃないし、こっちから強引に行ってもそれは紗夜と日菜を信じていないって言えるからな。俺は俺で日菜と向き合わないといけないんだ。過去の精算は一切終わってないし、始まってすらいない。それは紗夜に対しても同じで、贖罪しないといけないんだ。

 

 思考を切り替えてライブに集中する。ポピパのような溢れんばかりの笑顔、というわけではないが、(リサと宇田川は超笑顔)RoseliaもRoseliaで楽しそうにライブをしている。紗夜と方針が合うということは、ボーカルの湊も音楽に対しては人一倍厳しいんだろうが、その湊も紗夜も白金も笑顔だった。

 レベルが高く、それだけでも客を引き寄せ魅了するのに十分なのだが、演奏を楽しそうにしている。今日一番の集客となるのも納得だな。

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 Roseliaのライブが終わり、私は沙綾にCDを渡してからある場所に雄弥と向かってた。ちゃんと合ってるか確認してからドアをノックする。中から返事が来たけど、ドアを開ける前に確認しないとね。

 

 

「やっほー紗夜。私だよ〜☆」

 

『その声…結花なの!?』

 

「うん♪差し入れ持ってきたから受け取って欲しいんだけど、中入っていい?」

 

『…ええ。構わないわ』

 

「お邪魔しま〜す♪」

 

 

 そう言ってドアを開けると、紗夜が出迎えてくれて、テーブルを囲うように残りのメンバーが椅子に座ってた。リサと燐子のことも知ってるし、初めまして…になるのは、リーダーの友希那ちゃんとドラムのあこちゃんだね。

 

 

「来るなら事前に行ってほしかったわ…」

 

「えへへ〜、サプラーイズ☆」

 

「…まったく、あなたは……」

 

「紗夜、立ち話もなんだし、座ってもらったら?そこにいる彼も」

 

「そうですね……え?」

 

「よ、紗夜。さっきぶりだな」

 

「ゆ、雄弥くんも来てたのですか!?」

 

「そりゃあ私たちはセットで動くからね〜」

 

「そういえばそうだったわね」

 

 

 学校では私一人だし、さっきも雄弥と一対一で会ったから忘れてたのかな?ま、なんでもいいや。私と雄弥の分の椅子も用意してもらって席についた。紗夜が自然に雄弥の隣に座って、私も反対側に座ろうとしたけど…。

 

 

なになにー?リサは雄弥の隣がいいのかなー?

 

「なっ!そ、そんなことないから!」

 

「リサ?どうかしたの?」

 

「なんでもない!なんでもないから!」

 

「…そう?」

 

 

 からかうだけじゃ止まらないよ?もちろんリサを雄弥の隣にして、私はリサの隣に座ることにした。なんかリサが恥ずかしがりながら睨んできてるけど、そんなの可愛いだけだからね?

 

 

「それじゃ自己紹介させてもらおっかな。藤森結花です☆ そっちは弟の雄弥で、私たちは紗夜と幼馴染なんだぁ〜」

 

「結花は花咲川に、俺は羽丘に通ってる」

 

「…そう。あなたが最近噂の人物ということね」

 

「不本意ながらそうなるな」

 

「あこ、一度お会いしたいなーって思ってたんですよ!」

 

「あこちゃん…自己紹介…しなきゃ」

 

「あ、そっか!羽丘の中等部に通ってる宇田川あこです!我が闇の力の前に、ひ…ひ…あれ?」

 

「…ひれ伏すがいい」

 

「ひれ伏すがいい!」

 

「宇田川さん?」

 

「ひぃっ!ご、ごめんなさい!」

 

「「ははー」」

 

「2人は合わせなくていいのよ!」

 

 

 えー、こういうのはノリに合わせてあげるもんじゃないのー?雄弥もやったってことは、そういうことでしょ?

 

 

「紗夜のいつもと違う面が見れたね〜」

 

「そう…ですね」

 

「いや、あの…今のは」

 

「あはは☆まぁまぁ、それはともかくさ、友希那と燐子も自己紹介しなよ。あたしはもう面識あるけど、2人はそうでもないんじゃない?」

 

「そうですね…私は、藤森さ……結花さんとは…会ったこと…ありますけど」

 

「ボーカルの湊友希那よ。私も羽丘に通っているわ。あなたの隣のクラスだけど」

 

「キーボードの…白金燐子…です。よろしく…お願い…します」

 

「こちらこそ〜♪それで、これが差し入れのマフィンだよ☆」

 

「やったー!マフィンだー!」

 

「これ、2人で作ったの?」

 

「リサ大正解!私と雄弥の合作だから、味の保証はするよ!リサは雄弥と合作したことないでしょ〜

 

 

 私が小声で煽ったら、リサが分かりやすいぐらい拗ねた。その様子を見てた紗夜には、冷めた視線を送られたけどね。ま、爆弾を放り込むのは私だけじゃなかったんだけど…。

 

 

「美味しいわね…。リサのクッキーに張り合うんじゃないかしら」

 

「……ふーん?」

 

「ゆ、友希那さん…。リサ姉が不機嫌になったんですけど…」

 

「?リサもクッキーを2人にあげてみたらいいんじゃないかしら?雄弥にはお弁当を作ってあげてるのだし」

 

「なにそれ!?」

「ちょっ!友希那!?」

「今井さん!どういうことですか!」

 

「わわ!皆さん落ち着いてください!りんりん助けてー!」

 

「あこちゃん…こういう時の…最善は…一つだけ、なんだよ」

 

「教えてー!」

 

「知らぬが仏」

 

「なるほど!」

 

「…おい」

 

 

 

 

 




※注意※結花はヒロインじゃありません
 NFOのノリノリなりんりんを思い出すと、こういうノリの燐子も書けるもんですね。
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