もう一度輝くために   作:粗茶Returnees

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リアルが忙しいです。執筆したいのに、時間がなかなか…。


17話

 リサと屋上で弁当を食べるのは、もはや当たり前とも言えるような出来事となってきた。しかし、今日はそこに少しだけ変化があった。今日は2人で食べてるわけじゃないということだ。

 

 

「雄弥の料理って本当に美味しいのね。リサに聞いたときは半信半疑だったのだけど」

 

「えー?友希那は信じてくれてなかったの〜?」

 

「リサを疑ったわけじゃないわ。予想してたより美味しかったということよ」

 

「ま、聞くだけじゃ分かんないもんだしな。何はともあれ湊の口にあってなによりだ」

 

「友希那でいいわよ。私も雄弥と呼ばせてもらってるのだし」

 

「いやそれは名字呼びだと結花と被るからだろ」

 

「あら、リサのことを名前で呼んで、私のことは名前で呼べない理由があるのかしら?」

 

「強引だな…。わかった、俺も友希那って呼ばせてもらう。それでいいだろ?」

 

「ええ」

 

 

 名字呼びから名前呼びに変わったことで、どことなくお互いの距離も縮まった気がするな。それに…なぜだろうか、湊と呼ぶより友希那と呼んだほうが、俺としてもしっくりくる。妙な感覚だ。

 

 

「…むー

 

「リサ?」

 

「……嫉妬かしら?」

 

「なっ!?ちがっ!……くない

 

「嫉妬?俺はリサって呼んでるし、嫉妬することなんてなくないか?」

 

「………アタシの時のほうが時間かかった」

 

「…そうだっけ?」

 

 

 リサの時もわりとすぐに名前呼びになったような…。それにもう名前呼びになってるわけだし、そこで嫉妬されてもどうしようもないんだが。

 

 

「リサ」

 

「なに?友希那」

 

「リサも雄弥のこと呼び捨てにしたらどうかしら?」

 

「ふぇ!?」

 

「私より付き合いが長いのに未だに君付けだし、それにリサらしくない気がするわ」

 

「そ、そんなこと…ないよ?」

 

「………」

 

「いや…だって、い、今更って感じあるし」

 

 

 友希那の無言による圧力に耐えられないのか、リサはしどろもどろになりながらなんとか言葉を紡いでいた。リサからの呼ばれ方の話だから、俺だって無関係じゃない。リサに助け船を出すとしよう。

 

 

「俺はそんなこと気にしないから、リサが呼びたいなら呼び捨てでいいぞ」

 

「…ぇ……」

 

「…あれ?」

 

 

 今更遅いとか、そんなこと気にしてるなら気にしなくていい。そういう考えで言ったんだが、逆効果だったのか?リサの顔が赤くなってるし…。でも友希那は満足気な感じなんだよな…。

 

 

「よかったじゃない、リサ。あなたが気にしてることを雄弥は気にしてないそうよ」

 

「で…でも…」

 

このままでいいのなら(・・・・・・・・・・)今まで通りでいいんじゃないかしら?」

 

「…友希那…まさか、気づいて……」

 

「なんのことかしら?私はリサの助けになればと思ってるだけよ」

 

「…ううん。なんでもない。…ありがとう友希那。……えと、ゆ…ゆうや」

 

「うん。改めてよろしくな、リサ」

 

「……っ!うん!!」

 

 

 まだ少し頬を赤くしてるが、リサは見ている人まで笑顔にするような、そんな弾けんばかりの笑顔を浮かべた。リサの心中を察してあげることはできないが、友希那にはある程度お見通しなようだ。

 

 

「さてと、雄弥に聞きたいのだけど、週末の予定は空いてるかしら?」

 

「土曜日は空いてないな。日曜日なら昼間は空いてる。夕方からはバイトがあるが、……練習か?」

 

「そうよ。日曜日は13時30分からスタジオで練習してるから、もしよければ来てくれないかしら?」

 

「いいぞ」

 

「ありがとう。たしかリサも夕方からバイトがあるらしいから、それに間に合うように終わらせるわ。だから練習を最後まで見てほしいのだけど…」

 

「そういうことなら最後まで見れると思うぞ。…期待してるぞ」

 

「ええ。練習を見て失望するなんてことにはさせないわ」

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 う〜ん…、来るの早すぎたかな。集合時間までまだまだあるし……、でも家にいても落ち着かなくて、純と沙南に「へんなのー」って言われちゃったし。少し寄り道してから来たらよかったのかな。…でもそこまで心の余裕があるわけじゃないし。気を紛らわせようと思って忘れ物がないかとか、服装が乱れてないか確認を始めたんだけど…、

 

 

「…服、変じゃないかな。似合ってなかったりとか……」

 

「変じゃないだろ。俺はよく似合ってると思うぞ」

 

「へ?……ぁ……ゆ、ゆうやさん…」

 

「おはよう沙綾。待たせちゃったか?」

 

「い、いえそんなことないです!私が早く家を出ちゃっただけですし、それに全然待ってないですよ!」

 

「それならよかった」

 

 

 ホッと息を吐いた雄弥さんの表情は穏やかだった。結構な頻度で雄弥さんとは顔を合わせているのに、今日は雄弥さんにドキッとさせられる。…これって、昨日香澄に言われたことが尾をひいてるってことだよね。

 

 

ーーーーーー

 

 

「やっぱり明日も練習しようよ!」

 

「だーかーら!りみも沙綾も予定があるんだって!2人の予定崩させんなよな」

 

「ごめんね香澄ちゃん。絶対に予定空けといてってお姉ちゃんに言われてて…」

 

「そうだよね〜。わたしこそごめんね〜。…沙綾の明日の予定って何なの?」

 

「へ?」

 

「りみりんはゆり先輩とお出かけでしょ。沙綾は?」

 

「家の手伝いとかだろ?」

 

「え?雄弥先輩とお出かけでしょ?」

 

「「「え?」」」

 

「なっ!?なんでしって……ぁ」

 

 

 し、しまった〜。これって「そうだよ」って言ってるのも同然な反応じゃん。いや、でも、だっておたえが言い当ててきたわけだし、こうなるのも仕方ないよ。それより、おたえ以外の3人の目が輝いてるんだけど…。

 

 

「そうなの?沙綾ちゃん」

 

「あ、あはは〜。うん、実はそうなんだ。この前のライブのチケットを用意したお礼ってことでさ〜」

 

「なるほどな〜。あの人そういうとこしっかりしてそうだもんな」

 

「うん。私もお礼なんていいですって言ったんだけど、それは悪いからって言われちゃって」

 

「雄弥さんそういうとこ譲らないもんね」

 

「そうなんだよねー。……ん?」

 

「りみりん、雄弥先輩と知り合いだったの?」

 

「え!?そうだったのりみりん!」

 

「か、顔見知りぐらいやで?お姉ちゃん繋がりで知り合っただけやし……ぁ」

 

 

 りみりんの口から関西弁がでた…、ということは本当にそれぐらいなんだろうね。そっかぁ、ゆり先輩とりみりんは前々から雄弥さんと知り合いだったんだ。言われてみたらたしかに、ライブの日にりみりんは雄弥さん達と話す時、緊張してなかったもんね。

 

 

「いやぁー、意外な発見だね〜。ね、有咲」

 

「そうだな。あー、驚いた」

 

「それにしても…、そっかそっかぁ〜」

 

「…香澄お前、なに1人納得してんだよ」

 

「え〜?沙綾が明日デート行くのか〜って思っただけだよ?」

 

「で、デート!?いやいや、私たちは別にデートに行くわけじゃ!」

 

「え?だって雄弥さんと沙綾の2人きりで出かけるんでしょ?もしかして結花さんもいるの?」

 

「う、ううん。雄弥さんと2人だけど…」

 

「じゃあデートだよ!大ちゃんも男女2人で出かけるならデートだって言ってたもん!」

 

 

 大ちゃん……たしか香澄の従兄弟だっけ。そういえばその人もドラマーなんだっけ。それよりも……、え?明日のやつって、デートってことになるの?

 

 

ーーーーーー

 

 

 なんてことがあって、服をどうするかとか、アクセ類をどうするかとかを夜にすっごい悩んだ。朝も朝で鏡の前で何回もチェックしたし…。

 そうやって悩み抜いて決めたものを、雄弥さんに『似合ってる』って言われてすごく嬉しかったし、気恥ずかしさもあった。雄弥さんの私服って実はそんなに見たことなくて、新鮮な感じがするんだけどそれ以上に…。

 

 

(カッコいい…)

 

「沙綾?どうかしたか?」

 

「い、いえ…その、雄弥さんも服似合ってますよ。カッコいいです」

 

「そっか。それならよかった。ありがとう沙綾。それじゃあ行こっか」

 

「はい」

 

 

 今日出かけるのは、この辺で1番大きいショッピングモール。電車に乗って他のとこに行ってもよかったんだけど、雄弥さんはまだショッピングモールに行ってないみたいだから、ショッピングモールにした。雄弥さんは来たことがないから、当然何があるか知らない。だから私が行きたいところに行く、ということになってる。

 

 

「ヘアアクセ…、そういや沙綾こういうの好きって言ってたな」

 

「はい!こういうの見てると……あ、これ可愛い!」

 

「へ〜、今の沙綾の服装にも似合いそうだな」

 

「そうですか?…どうしよー」

 

「他も見てみるか。時間はあるんだし」

 

「いいんですか?やった♪」

 

 

 雄弥さんの好意に甘えて、いろんなのを見ていった。他にも可愛いヘアアクセがいろいろあったんだけど、その中でも1番気に入ったのがあった。…でも……、

 

 

「これに合う服持ってないんですよね……」

 

「ん?あー、蛍光色系の服か」

 

「はい…。ライブの時なら着たりするんですけど、普段は全然で…。なんか似合う気がしなくて」

 

「そんなことないだろ」

 

「え?」

 

「沙綾に合う服選ぶから、そのヘアアクセも買おう」

 

「ええ!?だ、大丈夫ですから、私ほんとにそういうのは…」

 

「ライブの時には着てるわけだし、実際似合ってる。なら普段蛍光色の服を着てても似合う」

 

「なんか無茶苦茶なような…」

 

 

 渋ってはいるけど、そういう服を着たくないわけじゃない。それに、雄弥さんって服のセンスありそうだし、なによりも雄弥さんに服を選んでもらえるのが嬉しい。だから、断りきることなんてできなくて、ヘアアクセを買って、今度は服屋さんに来た。雄弥さんは来たことないはずなのに、迷いなく店の中を進んでいって、服を選び始めた。

 

 

「これ…いや…それだと……こっちか?…あっちのも…」

 

「選んでもらってるのってなんか緊張しちゃうなぁ」

 

「あちらは彼氏さんですか?」

 

「ひゃっ!?」

 

「あ、失礼しました」

 

「い、いえ。……っ!彼氏じゃないです!」

 

「え?違うのですか?あそこまで真剣に考えてくれてるのに……あ」

 

「へ?」

 

「少々お待ちください」

 

 

 店員さんが雄弥さんに声をかけに行って、2人でなにやら話し始めた。しばらくその様子を見守ってると店員さんがまた戻ってきた。

 

 

「お客様、こちらへどうぞ」

 

「え?どういうことですか?」

 

「ご試着してください」

 

「え、でも」

 

「沙綾、俺からもお願いする。さっきのヘアアクセもつけてみてほしいし」

 

「雄弥さん…、わかりました」

 

 

 試着室に案内されて、雄弥さんに選んでもらった服を試着する。今つけてるヘアアクセから、さっき買ったヘアアクセに変えて……わ、こうなるんだ…。

 

 

「あ、開けますね」

 

「お客様!大変よくお似合いでございます!」

 

「沙綾、すごい似合ってるよ。かわいい」

 

「ぁぅ」

 

 

 雄弥さんにかわいいって言われちゃった。私でもこういう服着れるんだね。その2つの思いが同時にこみ上げてきて、私は恥ずかしさを誤魔化すためにカーテンを閉めた。

 この服は雄弥さんからのプレゼントということで買ってもらっちゃって、その後お昼ご飯を食べてから、カラオケに行って、帰る前にプリクラも撮っちゃった。家に帰って自分の部屋で1日を振り返ってみたけど、カラオケに行ってからずっとグイグイいってたような…。そこを少し反省しつつ、プリクラを眺めて口元がニヤけまくった。

 

 

(そういえば雄弥さん、歌もすごかったなぁ。CDだと結花さんがボーカルだからデュエットだったけど、今回はソロなわけだったし。…調べたらライブの映像じゃなくても画像とかは出るのかな?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へ〜、ユウくん、結局他の子とデートしてんじゃん。やっぱり信用できない人だなぁ〜」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




さてと、たぶん次回の後半あたりからシリアスに突入しますよ〜。
そして突入したら最後までほぼシリアスが駆け抜けます。
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