「おっねぇちゃーーん♪」
「きゃっ!?…もう日菜、飛びつかないでちょうだい」
「えへへ〜、だってーお姉ちゃんとライブ見に行けるなんて思ってなかったも〜ん♪」
「あなたも呼ばれてるとは思ったけど…、私たちだけじゃないのよ?」
「関係ないよ〜♪」
「あはは!ヒナは相変わらずだな〜」
「あ、リサちーやっほー!」
「やっほ〜☆」
今日のライブは私は結花から日菜は雄弥くんから誘われて、チケットを5枚ずつ渡された。今日はAugenblickが活動休止の間、ギターの秋宮疾斗くん、ドラムの梶大輝くん、キーボードの毛利愁くんの三人で活動している"
私は当然Roseliaのみんなを誘って(結花にそうしろと言われたのもある)、日菜はパスパレのみんなを誘った。だから、今この場ではRoseliaとパスパレのメンバーが集まっている。
「あれ〜?リサさんだ〜」
「へ?あ、モカじゃん!ってAfterglow全員いるし」
「美竹さん達も来てたのね」
「まぁ、つぐみがチケットを貰ってきたので。そういう湊さん達も全員なんですね」
「ええ。紗夜が結花からチケットを渡されたみたいで。その結花は雄弥と二人で先に会場に入ってるみたいだけど」
総じて15人になると大所帯ね。この人数でこの場にいても邪魔になるだろうと判断し、私達も会場の中に入ることにした。さすがに3バンドが固まって見るということにはならなくて、それぞれ少し離れた席となった。自然と雄弥くんと結花の姿を探してしまったけど、二人はまだこっちには来ていないようだった。さすがにメンバーとの話となると話すことが多いんでしょうね。
「あ!友希那さんだ!」
「何言ってんだ香澄……ってRoseliaの皆さん!?」
「戸山さん?それに市ヶ谷さん達も」
「もしかしてみんなも見に来たの?」
「そうなんですよ!沙綾が雄弥さんにチケット貰ったみたいで!」
「あははー、ビックリしましたけどね。貰っちゃってもいいのかなーって。でも他にも呼ぶから気にするなって言われて、それならいいかなって」
「ポピパもなんだー!あこたちも貰ったんだよー!紗夜さんが結花さんから貰って言ってたもん!」
「…チケットって……そんないっぱい…用意できるもの…でしたっけ?」
「普通はムリじゃないっすかね」
「じゃあ雄弥さん達は普通じゃない」
「おたえそれ失礼だからな!……気持ちは分からなくもねぇが」
「あ、あはは。でもお姉ちゃんが言ってたよ?Augenblickはよく知人をいっぱい招待してたって。だから、その名残りみたいなもんじゃないかな?」
「…たしかにそうでしたね」
私たち家族もよくチケットを貰ってた。…彼らのお母様が生きてた頃はご両親も呼んでたみたいだけど、それでもたしか1回だけだったはず。彼らのデビューライブの時だけ呼んで、お母様がいなくなったら呼ばなくなっていた。
「紗夜?大丈夫?」
「え?」
「ちょっと顔色が悪いような気がして」
「…いえ。なんでもありません。彼らがステージに立っていた頃を思い出しただけです」
「あ……。うん、そっか…」
「?紗夜さん達、どうしたんだろ?」
「…いろいろ事情があるんだろ。首突っ込むなよ」
「それぐらいわたしでも分かるよ!」
「Augenblick…だったかな。雄弥さんたちがいたバンドって」
「おたえは知ってんのかよ!」
「ちょっとだけ。好きだったから」
…そうね。花園さんはいろんなバンドのことを知っていたわね。話を聞いた山吹さんも知っているのだろうし、彼らが関西に行った時に出会ったという牛込さんも事情は知っているはず。様子を見る限り話してるわけでもなさそうだけど、そもそもおいそれと話せる内容でもないものね。
「あら!そこにいるのは香澄たちと紗夜たちね!」
「こころちゃん!」
「弦巻さん!?」
「こころー。あんまり大声で話さないでよ。他の人に迷惑だから」
「それは気をつけないといけないわね!」
「やっぱ理解してないかー…」
「あ、あはは…美咲ちゃん、こころちゃんも楽しみなんだよ。疾斗くんたちのライブが」
「そう…みたいですね。改めて花音さん、チケットありがとうございます」
「ううん。私も疾斗くんから貰っただけだから」
「薫くん!ここすごいよ!はぐみ達もこういうとこでやりたいね!いつもより楽しいライブができそう!」
「そうだねはぐみ。舞台を彩る光、場を輝かせる子猫ちゃんたちの光、双方を繋げるこの空気!あぁ!なんて儚いんだ!」
「だから騒がないでくださいって…」
弦巻さんたちの所は相変わらず元気そうね。そして、あの人が瀬田さんね。日菜がるんっ♪てすると言っていた方。……こうしてみると、日菜が好きと言うのも納得が行くわね。それにしても、以前松原さんから「男の匂いが!」と結花が言っていたけど、まさか秋宮くんがそうなのかしら?
「そろそろ時間ね」
「えぇ。……それにしても雄弥くん達はどこの席かしら」
「…そういえば」
『皆さんお待たせしましたー!これからTemporärのライブを始めまーす!』
「ま、あの二人だし、ちゃんと席に戻ってるでしょ!」
「そうですね」
彼らのやり方もAugenblickの時から変わっていない。最初は必ず歌詞のない、楽器隊だけの短い演奏。それが挨拶代わり。この後MCでメンバー紹介をして、一気に駆け抜けていく。それが彼らのライブのやり方。だから、今日ももちろんすぐにメンバー紹介に入った。
「改めてみんな来てくれてありがとー!!秘密にしてたけど、実は俺達"Temporär"のライブは今日で最後なんだよね〜」
「ノリが軽すぎね!?もっとこう…ぁーもう!とりあえず台本無視すんな!」
「僕も流石にそれはドン引きかなー」
「いやぁ、だって俺シンミリすんの嫌いだし〜?それに、初めに言ってたじゃん。俺達が
「…まぁそうなんだけどな。ぶっちゃけ俺も寂しさが微塵もねぇし」
「むしろ嬉しさしかないよね」
彼らが言っていることが分からなかった。活動を終えると言っておいてなぜそんなに前向きなのか、明るくいられるのか。でも、彼らが活動を三人で始めた時に言っていたことを知ってるお客さんは、歓喜の声をあげていた。
「ま、とりあえずメンバー紹介!ドラム担当、梶大輝!」
「みんなよろしk「次が─」待てまて!!挨拶に被せるな!」
「いいじゃねぇか別に。よろしくしか言わないんだし」
「扱い酷いな!?」
「僕がキーボード担当の毛利愁だよ〜。今日は絶対に最高の1日なるから最後までついてきてね?」
「「勝手に一人でやるな!」」
「二人の茶番って長いじゃん」
「茶番じゃねぇ!」
「うっ!」
「なんで疾斗はダメージ受けてんだよ!」
「そこでうなだれてるのが僕らのリーダー、秋宮疾斗!」
「おっしゃぁぁ!今日は盛り上がっていこうぜー!」
「お前めんどくさいな!」
相変わらずアドリブが酷いMCね。でも、普段の様子を隠すことなく前面に出すのは、ファンの間でも好まれているのも事実なのよね。
──そのすぐ後だった。私たちを驚かすことが起きたのは
「じゃあ
「ぇ……」
「紗夜…まさか…」
「我らが
「みんな久しぶりー!それと、ただいまー!!」
「Augenblickの活動再開、それが今日の本当のライブだから。ついてきてくれるよな?」
──もう立つことができないはずの私の恋人がそこに立っていた
〜〜〜〜〜
「日菜ちゃん……これって……」
「あ、あはは……いっつも驚かしてくるんだから…」
「ヒナさん…」
「あれ…?おかしい、な。嬉しいのに…涙が止まんないや…。こ、こんなのおかしいよね?」
「いいえ。そんなことないわ」
「そうですよ。何もおかしなことなんてありません」
「…日菜ちゃん。見届けよう。一緒に!」
「あや、ちゃん…。……うん!」
演奏なんてできはずの右手。だけどユウくんが今使ってるのは左利き用のベース。弦を抑えるのは結局右手になるし、激しい動きなんてできないはず。それなのに、ユウくんの演奏は凄かった。曲を支えるギリギリの音しか出せていないのに、それでもユウくんのベースはバシッと決まってた。
結花ちゃんも中学の時と変わらない…ううん、あの頃以上の歌唱力だった。ビシッとした歌も、ギュイーンってなる歌も、キュンってする歌もどれもるるるんっ♪てなったもん!
ライブが終わったらユウくんから連絡が来てて、待っててほしいって言われちゃった。お姉ちゃんも同じだったみたいで、二人でライブのことを話しながらユウくんを待ってた。
「ライブ凄かったよね!もうズガガガーンって感じ!」
「どんな感じよ…。でも、凄かったのは間違いないわね。雄弥くんができることは最低限のことのはずなのに、周りは気を使わずに自分の最大限を出していたのに、あれだけのライブになるなんて」
「ユウくんだからだよ!」
「ふふっ、それもそうね」
お姉ちゃんとライブの感想を言うのもそうだけど、こうやって話せるの自体久しぶり。今日はもうるんるん♪しまくりだよ〜!
「ごめん、待たせた」
「あ!ユウくん!」
「…だから急に飛びつくなって」
「ユウくんの匂い〜♪」
「聞いてないし…」
「お疲れ様、雄弥くん。それとそんなに待ってないわ」
「ありがとう紗夜」
「結花は一緒じゃないの?」
「結花には
「準備?」
「るんっ♪てするやつだね!」
ユウくんが結花ちゃんに頼んで何かを準備してもらうってことは、間違いなく私たちをるんっ♪てさせてくれる。私たちは、ユウくんにある場所に連れて行ってもらった。そこには結花ちゃんが
「ユウくん…」
「これって…」
「2年前にできなかったことだな。けど、今ならできる。やろうぜ?天体観測をさ」
「ユウくん!」
「だからいきなり……、もういいや」
「ほんとに…ほんとにありがとう!!」
「日菜…、喜んでくれて嬉しんんっ!?」
「ちょっと日菜!?」
「あはは!日菜ってば大胆だね〜!紗夜もいっとく?」
「なっ…!わ、私はそんなこと…!」
場所も2年前と同じで、ユウくんと付き合えることになったこの場所。本当にやり直しってことなんだね。そういうとこも好き!!
─4人で、またあの頃と同じように。
「雄弥って今二股なわけじゃん?」
「いきなり雰囲気壊してきたな」
「紗夜と日菜的にはどうなの?」
「私は雄弥くんといれるならそれで。…それに…その日菜も一緒にいれるわけだし」
「おねぇちゃん…。だぁい好き!!」
「だってさ?紗夜は?」
「うっ……その……私も…同じよ」
「直接言ってくれないの?」
「……好きよ」
あぁーもう……るんるんっ♪てし過ぎてぽわわーんってなるよ〜。ユウくんは結花ちゃんに絡まれたくないのか、望遠鏡を覗き込んで星を見てる。あたしはユウくんの後ろから抱きついて、肩に顎を乗せた。そうしたらユウくんも星じゃなくてあたしを見てくれる。
「日菜?」
「ねぇ、ユウくんはもう一個の約束を守ってくれる?ハチャメチャな約束だけど」
「当たり前だろ?約束だからってだけじゃない。俺が二人のことを好きだから」
「うん♪」
「その約束ってなぁにー?」
「私も知らないことよね?」
「えへへ♪ユウくんとね〜、ちっちゃい時にした約束なんだ〜。あたしとおねぇちゃん、どっちもユウくんのお嫁さんにしてもらうって約束だよ!」
「わーお…、本気?」
「まぁな。紗夜も日菜も愛してるから。…まぁ最低な選択だけどな」
「そんなのいいのよ…。周りになんて言われようと、あなたと一緒なら」
「あたしもそうだよ〜♪」
「はぁ、ならそれでいいや。姉として許しちゃいます☆」
「ありがとう結花」
「「ユウくん(雄弥くん)」」
「ん?」
あたしとお姉ちゃんはユウくんの両頬にそれぞれキスした。
「これからよろしくね♪」
「雄弥くんとならどんな未来も歩んでいけるから」
「…あぁ!こちらこそ!」
──あたし達は一度バラバラになった。理不尽なことがあって、あたしが勝手に決めつけて…。
──でも、また一緒になれた。雄弥くんと結花はまたステージに立てるようになった。
──あたし(私)達は、もう一度輝ける。
テンプレな終わり方になったような…。