レポートを早く終わらせれたらいいんですけど、そうしたらゼミ合宿でメンタル折られるので、真面目に作らないといけないのです。
そうそう、紗夜は色々と感情が入り乱れていて雄弥と会うのに大きな抵抗がある。
雄弥は紗夜に合わせる顔がないと思っている。てな感じです。
パン屋の朝は早い。そしてその時間にその場にいるためには、さらに早く起床しないといけない。朝起きたらなぜか結花が布団の中に潜り込んできていたが、気にせずに起こさないようにベッドから出た。制服に着替え、学校の用意も済ませたらすぐに家を出た。もちろん鍵は閉めた。
まだ日が登り始めてるぐらいに外を出歩くのは、なかなか無いことだ。新聞を配り終えたであろう人とすれ違いながら、一味違った雰囲気を出す街を歩いていく。商店街の一角にある山吹家のパン屋こと"やまぶきベーカリー"に到着し、店の中に入る。
「雄弥さんおはようございます」
「おはよう沙綾、こんな早い時間なのによく起きれてるな。慣れか?」
「そうですね。さすがにこの時間から手伝うのはあまり無いんですけど、起きれちゃいました」
「すごいな…」
「そんなことないですよ。雄弥さんもよく起きれましたね?」
「眠りは浅い方でな」
「それでも限度があるような…」
沙綾が用意してくれたエプロンを着る。「腰を痛めたが教えるぐらいはできる」と言った剛さんに仕事を教えてもらいながら開店準備をする。沙綾はお母さんこと千紘さんと一緒にパンを作っている。…ところであの人本当にお母さん?お姉さんじゃなくて?
「…昨日沙綾も言ってたんだが、本当に仕事を覚えるの早いし要領もいいんだな」
「ははは…まぁ、そうなれるように努力しましたからね」
「ふーん?…ま、そのへんは聞かないでやるよ」
「すみません」
「謝るなってーの!話したくないことの1つや2つあるだろ。俺だって千紘には言えないようなことがあるわけだしな!」
「あら?そうなの?」
「まぁな……………ん?」
「お互い隠し事はなしにしようって約束は?」
「あ、あの…千紘さん?」
「なぁに?剛さん?」
(…あーあ、やらかしてるなー。…よし、見ないようにしよ。なんか聞こえてくるがBGMってことにして、掃除を始めよかな)
ダスターでレジ周りやパンを並べる台などを拭いていく。それが終わったら別のを用意して窓も拭き、最後に箒で店内を掃き、店の周りも掃除する。それが終わる頃には沙綾もパンをこね終わったようで、沙綾と一緒にパンを焼く。
「パン作りって難しいか?」
「うーん、初めは難しいかもですね。シンプルなパンなら全然簡単なんですけど、慣れていけばどれも楽しいですよ」
「そうなのか」
「はい!…そういえば朝ご飯はどうされるんですか?」
「あ……、まぁ、食べなくても死にはしないだろ」
「駄目ですよ。…うちで食べていってください。昨日言ってたお礼もありますし、朝早くから来てもらってるのでこれくらいはさせてください」
「けどそこまで厄介になるわけには…」
「…ダメですか?」
「…わかったよ。朝ご飯も食べさせてもらうよ」
「やった♪お父さんとお母さんに言ってきますね!タイマーがなったらパンはオーブンから出してください!」
「了解」
嬉しそうに小走りしながら指示を飛ばす沙綾を見送り、焼けていくパンを眺める。タイマーがなったら言われたとおりパンをオーブンから出し、美味しそうな匂いに軽く感動した。
俺や沙綾は学校に行かないといけないから、パンを陳列させたらすぐに朝ご飯をいただくことになった。沙綾が朝ご飯を作るらしく、手伝おうとしたら「お客さんだから待っててください」と断られた。
「「いただきます」」
「沙綾は大変だな。家の仕事の手伝いだけじゃなくて、家事も下の子の世話もしてるんだろ?」
「うーん、よくそう言われるんですけどね。私は別に大変とは思ってなくて、やりがいもありますし、何より楽しいんです!」
「そうか。…沙綾は将来いいお嫁さんになるな」
「ふぇっ!?お、およ…およめしゃん…」
「…そんな動揺するのか。ごめんな、変なこと言っちゃって」
「いや、あの、謝らないでください!その…嬉しい、です」
「あらあら沙綾顔が真っ赤よ?雄弥くん、沙綾を貰ってくれてもいいのよ?」
「俺も雄弥くんなら意義ないぞ!いい男だからな!」
「会って2日目の男に大事な娘さんを勧めないでくださいよ」
「そういうところが評価上がるのよ〜♪」
「もう!2人ともお店の方に行きなよ!」
沙綾に言われても両親は笑みを崩さずに楽しそうに戻っていった。少し変な空気になってしまったな。…俺の発言のせいなんだが。
朝食を取り終えたら食器を洗い、登校する時間まで2人で店番し、時間が来たら途中までだが、2人揃って登校した。家を出る前に、弟の純と妹の沙南に会い、挨拶を交わした。2人とも沙綾と同じでいい子だった。朝のバイトに入る時はこれが当たり前になるんだな。
「それじゃあ雄弥さん、私はここで」
「ああ。行ってらっしゃ「ゆーうーやーー!!」ごふっ!」
「ゆ、雄弥さん大丈夫ですか!?」
「…久々にタックルなんてくらったな」
「ひどいよ雄弥!パン屋さんでバイトなら朝いないのも納得だけど、書き置きするなり携帯に連絡入れるなりしてよ!」
「はぁ?なにを…」
(目が赤くなってる。…泣いたのか)
「ごめん結花。考えなしだった」
他に人がいるからなのか、腰に手を当てて怒っているという風に見せているが、今も目には涙が溜まっている。俺は結花の頭を撫でて落ち着かせることしかできなかった。
「えと、雄弥さん。この方は?花女の人みたいですけど」
「ああ、俺の姉で藤森結花って言うんだ。一応沙綾の先輩ってことになるな」
「あ、この方が」
「ん。ありがとう雄弥。もう大丈夫だよ」
「わかった」
「ご紹介にあずかりました!藤森結花です!趣味は旅行とかピクニックとか、とりあえずお出かけすること!よろしくね!」
「あ、山吹沙綾って言います。趣味はカラオケとか野球観戦とか、あとヘアアクセ集めですね。こちらこそよろしくお願いします!」
「んじゃ、そろそろ行くか。せっかくだから2人で登校したら?」
「そうだね。そうしよっか!えと、名前呼びでいい?」
「いいですよ。私も結花さんって呼ばせてもらいますね!」
どっちも人当たりがいいからすぐに仲良くなったな。さっそく女子トークが始まり、俺は道が違うから2人と別れて学校に向かった。
学校の下駄箱に行くとちょうど愁も登校してきたようで、2人で教室に向かうことにした。昨日までは席が前後なのにあまり喋れなかったな。
「雄弥は人気ものだね?」
「転校生だからだろ。高校で転校生ってあまりいないだろうしな」
「それもあるのかな」
「もってなんだもって」
「雄弥は実際に人気者だよ?クラスの男子が羨むぐらいには」
「妬む、の間違いじゃないか?」
「あはは!違いないね!気をつけなよ?そのうち追い掛け回されたりしそうだしさ」
「めんどくさいな。…いや、それはそれで面白いか?」
「…僕は関与しないからね」
「だろうな」
愁と他愛もない話をしながら教室に入り、自分の席に座る。そんな遅くに来たわけでもないのだが、ほとんどのクラスメイトは登校していた。…小テストってわけでもないが、これが普通なのかな。
自分の机に教科書やノートをしまっていくと、1人の女子が話しかけてきた。知り合いというか、昨日仲良くなったリサなのだが。
「おはよう☆
『『っ!?』』
「おはよう
『『!!??』』
(さっきからなんだ?あの反応は)
「あれー?リサちーと藤森くんいつの間にそんな仲良くなったのー?」
「いつの間にって、昨日ヒナには言ったじゃん?普通に話してて友達になったって」
「本当にそれだけー?」
「それだけだってば」
「…そういえば藤森くん。今朝から
「…へ?」
『今朝からお楽しみ』?…別に何もしてないような。まぁたしかに山吹家でのバイトは楽しくさせてもらってるが、その時間のことは日菜は知らいはずだし…。沙綾と歩いてるとこでも見てたのか?それと、どこかリサの表情が暗くなったような…。
「花女の女の子と2人で途中まで登校してたの見たよ?すっごい仲良くしてたね」
「…それって…どういう…」
「あー、やっぱり
「この朴念仁。それは失言になってるよ」
「(ズキッ)…さあや?雄弥くんはその子とどういう関係なの?」
「どうって言われてもな『藤森死すべし!』あぶねっ!」
シャーペンが真っ直ぐ飛んで来たんだが!?こいつら無駄に身体能力高いんだな。近くにいたリサと日菜には当たらないようにコースも配慮されてたし、シャーペンが壁に刺さってるし。
「今井さんと名前で呼び合う仲のくせして」
「花女の子とも関係築いてるってかぁ?」
「別にそういうわけじゃ…」
「じゃあ遊びだと!?」
「この女の敵め!」
「と、いうことにして俺たちの鬱憤をはらさせてもらう!」
「ぶっちゃけ妬みをぶつけさせてもらう!」
「君たち馬鹿でしょ。…ま、雄弥頑張ってね〜」
「出口は…両方のドアを塞がれてるか」
「雄弥くん。あたしもちょっと話を聞きたいかな」
「リサ…」
逃げようと立ち上がっていた俺にリサが詰め寄る。他の男子たちも流石に予想外みたいで、動きが止まっていた。壁に追い詰められた俺は、とりあえず男子たちからの追撃も避けないといけないため、この場は逃げの一手を取ることにした。
そうは言ってもリサ相手に力技に出るわけにもいかない。だから、俺はリサの頬に手を添えて、話を聞いてもらうことにした。リサはビクッと体を震わせて動きが止まった。俺はそのまま顔を近づけ、耳元で囁く。
「リサ、昼休みに話をしよう。だから今は待ってくれないか?」
「……ふぁい」
「…氷川、リサを頼む」
「…女誑しだね」
「そんな気はないんだがな。んじゃ、また後で!」
「こいつ窓から逃げやがった!」
「逃がすな!」
「追え追え!」
「包囲して捕まえるぞ!」
クラスの男子たちからの追跡をまいて、俺はちゃっかりHRのときには席についてた。他の男子たちは騒ぎ立てた上に戻ってこなかったために全員反省文を書かされていた。
あれぇ?前半部分、沙綾がヒロインみたくなっちゃった。
((((;´・ω・`)))いつの間にかバーに色が…。
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