あれから数日が経った。
現在イッセー、木場、憐、匙、白音の五人は部長達に内緒で行動している。
なんでも、奴らは教会の追っ手である神父を狩っていたようなので、神父の格好をして町中を歩き回っているらしい。
しかもあれから毎日全員参加とか……熱心なもんだ。
あの後、事情を知らない俺達と匙に木場は過去を話してくれた。
それは『聖剣計画』の概要と、その被験者達の末路についてだった。
匙はその話に涙して、あっさり協力してくれることになった。
匙も大概いい奴だよな。イッセーと似たような夢を持っている変態だけど……シトリー眷属のイッセーと言ったところか?
そういえば変態で思い出したけど、今日変態三人組と木場、憐、白音、ミッテルト、アーシア、俺にクラスの女子の桐生の十人という大人数で休日に丸一日遊び倒す計画を立てたんだが……変態三人組が女子がたくさん来るのにやたら歓喜していたな。あいつらそんなに女子に飢えてんのか?
俺としては、アーシアや憐なんかはあいつらとあまり接触させたくないんだよなぁ……マジで変態だし。それと、木場が来るかは現状ではかなり怪しいね。
そんなことを考えていると、五人の気配に変化があった。
…………おっ!? これはビンゴか?
あの五人、いや木場が戦い始めたな。他の四人はサポートだけで、木場がピンチになるまでは手を出す気はないみたいだ。それに、あの二人も向かっているな。
そんじゃ、俺も現場に向かいますかね。敵を尾ければコカビエルにも会えるだろ。
あれ? ってことは今敵を倒してもらっちゃ困るかも?
……ま、いっか。その辺は着いてから考えよう。
「逃がさん!」
「やっほ。イッセー君」
「イリナ!」
俺が現場に着くと、ちょうど教会側の二人も着いたところのようだ。
ゼノヴィアが切り込み、おそらく話にあったフリードであろう少年神父と互いの聖剣で切り合っている。すると突然、フリードが懐に手を突っ込んで何かを取り出した。
あれはなんだ?……光の玉?
「バルパーのじいさん! 撤退だ! コカビエルの旦那に報告しに行くぜ!」
「致し方あるまい」
…………あっ! あそこにあんな奴もいたんだ、気がつかなかったよ。
「あばよ、教会と悪魔の連合共が!」
フリードは言葉と共に球体を地面に投げつけると、カッ! と目を覆う眩い閃光が辺りを包んで俺達の視力を奪う。
「眩しっ! 迷惑な奴だな、おい」
思わずつぶやいてしまった。
視力が戻った時には、奴らの姿はどこにもなかった。
「追うぞ、イリナ」
「うん!」
ゼノヴィアとイリナが頷きあうと、その場を駆け出す。
「僕も追わせてもらおう! 逃がすか、バルパー・ガリレイ!」
木場も二人の後を追って駆け出す。
…………って、やべ……部長達が近づいてきてる、というかすぐそこまで迫ってるし。
「お、おい! 木場! ったく! 何なんだよ!」
「木場先輩!」
毒ずくイッセーに、木場に向かって叫ぶ憐。
そんな悠長なことをしてると……いや、もう遅いか。
「力の流れが不規則になっていると思ったら……」
「これは、困ったものね」
皆が戦闘態勢を解いて息を整えていると、険しい表情の部長と会長が現れた。
「イッセー、どういうこと? 説明してもらうわよ」
「匙、これはどういうことですか?」
……あ、イッセーと匙が一気に青ざめたな。
イッセーと匙が事情を説明している間に、こっちは行動を起こしちゃいますかね。
「白音、ケガとかしてないか?」
「はい。私は特に何かした訳では無いので」
「オッケー。なら、白音はこの後は部長と行動を共にしてくれ。コカビエルが接触してくるとしたら多分そっちだ。アーシアとミッテルトには自宅で待機しろと伝えておけ。俺は三人を追いかける」
「わかりました。…………兄様」
「なんだ?」
言いたいことを言った俺が、三人を追おうと駆け出す直前に白音が声をかける。
「大丈夫だとは思いますが……なんだか嫌な予感がします。気をつけてください」
どこか不安そうな表情で言う白音。
「……ああ、分かったよ」
いや、まったく……ホントいい娘だよ、白音も。
しばらくして、三人がいるであろう場所の近くまでくると…
「ッ!」
マズい、コカビエルが動いた。
てことは、あの三人はやられたか?……いや、木場とゼノヴィアの二人は無事だな。
「あれは……イリナかな」
遠目にコカビエルを視認すると、腕に誰かを抱えているのが確認できる。
状況と服装から誰かを判断したが、グッタリしてて顔は見えない。
どうやら二人は逃げ出せたけど、イリナだけは逃げられなかったらしいな。
見た感じ傷だらけっぽかったし、あのままだと死ぬ可能性もあるな……グレモリー眷属にもシトリー眷属にも回復の力を持ってる奴なんていないし。
知らない奴でなおかつ野郎なら知ったこっちゃ無かったが、知り合いの美少女とか助けない理由が無いな。
…………あれ? 知り合いでも野郎なら助けないかも……ま、いっか。
「……ふっ!」
気配を消してある程度の距離まで近づくと、コカビエルの腕に向けて魔力弾を撃つ。
……相変わらず紅黒いな、俺の魔力弾。
「むっ!?」
ギリギリまで気配を隠したのが功を奏したのか、上手いこと腕に当たってコカビエルがイリナを落とす。
魔力弾自体は当たったのに全くダメージになってないな……ま、威力よりステルス性を優先したし当然の結果か。
コカビエルの様子を横目に確認してそう考えながら、
「こいつはいただいて行くぜ!」
こんなことを叫んで地面に落ちる前にイリナをキャッチすると、全速力でその場を離脱した。
「ふぅ……さて、とりあえず家に帰るか」
コカビエルが去ったのを感じて、息をつく。
正直、傷ついたイリナを抱えている状態で戦うとかありえないからな。
家にアーシアがいるハズだし、急いで帰って治療してもらおう。結構ヤバい。
イリナの状態を見てそう思い、すぐに家に転移した。
「アーシア! すぐ来てくれ!……ん?」
自宅のリビングに転移してきた俺は、即座にアーシアを呼ぶ。
と、ほぼ同時に携帯に電話がかかってきた。
「白音か。……もしもし」
『……もしもし、兄様? 先ほどコカビエルが部長に接触しました。その後駒王学園に向かい、グレモリー眷属もそれを追って学園に向かうようです。どうしますか?』
「…………」
白音の話を聞いて、少し考える。
コカビエルの目的や性格上、グレモリー眷属を瞬殺ってことは無い。
力の差を見せつけて絶望させてから、惨たらしく殺して魔王の怒りを買うつもりのハズだ。つまり奴の足止めは必要無い。
むしろ俺が行くまでの周りの被害を考えるべきか。
「……よし。白音は学園に結界を張ってくれ。周りの被害を抑えるついでに、奴を絶対に逃がすな。俺も少ししたらそっちに行く」
『……わかりました』
電話を切ると、アーシアは既にイリナの治療を始めていた。
ミッテルトもいるが、やることが無くて手持ち無沙汰に見えるな。
「アーシア、どうだ?」
「大丈夫です。もう少し遅かったら治療に時間がかかりましたが、これならもうすぐ治ります」
修行でこういう事が分かるようになったのは、喜ばしいことなのかな…?
「…………んっ……」
「……目を覚ましたか」
治療が終わっても、イリナが目覚めるまでは行動を起こさなかった。
エクスカリバーは学園にいる奴の配下の者が持ってるハズなので、動けるようなら連れて行こうと思ったのだ。
「……ここは…?」
「俺の家だ。傷だらけだったお前を治療するために連れてきただけで、それ以外のことはしてないからな」
「そう。ありがとね」
「動けそうか?」
俺が聞くと、イリナは立ち上がって体を動かしはじめる。
「……うん。問題無さそうよ」
改めてアーシアの神器は凄ぇな。あの状態からすぐに動けるまで回復できるなんて。
「んじゃ行くぞ。コカビエルもエクスカリバーも駒王学園だ」
「……状況が分からないから、道中で教えてよね」
「分かってるよ。アーシアとミッテルトも行くぞ。アーシアはケガ人の治療、ミッテルトはその護衛に必要だからな」
「わかりました!」
「りょーかい」
さぁて、ようやくコカビエルと対面だな。
お気に入り300件突破にUA30000オーバー……とても嬉しいのですが、最近逆にプレッシャーになってきました…
いや、ホントに嬉しいことですけどね。
プレッシャーに負けず今後も頑張ります!
次回はいよいよコカビエルと戦います! が、ちょっと悩みどころが。。。
いつも通りのオリ主視点と、後のフラグのためのイッセー視点のどちらも書きたいんですよね〜。
あえて一つに絞るか、二話に別けて両方書くか、一話に両方まとめて書くか……どうしようかな?
もし一つに絞ったら、コカビエル戦はイッセー視点だけの可能性もありますね。
まだ悩んでるので、ひょっとしたら次回の投稿はかなり遅れるかも…
※12月22日追加
活動報告を投稿しました。ちょっとしたアンケートがありますので、よければ見ていってください。