アザゼルの悪戯が発覚したり魔王が来日した日から、何事も無く数日が経った休日。
俺達オカルト研究部は生徒会からの命令でプールの掃除を任せられていた。プールを一番最初に使っていいことを条件に部長は掃除を快諾しており、俺達部員は懸命に水が抜かれた後の苔を落とした。
その後プールで遊ぶために着替えるが、当然ながら男子の方が早いのでプールサイドで待っている。
そして…
「ほら、イッセー。私の水着、どうかしら?」
一番に現れたのは部長。
布面積が少ない赤いビキニタイプの水着を着た部長を見て、イッセーが鼻血を吹き出す。
「あらあら。部長ったら、張り切ってますわ。うふふ、よほどイッセー君に見せたかったんですわね。ところでイッセー君、私の方はどうかしら?」
と次に姫島先輩が登場。
こっちも布面積の少ない白いビキニタイプの水着を着ている。
「……いやらしい目で見過ぎです、イッセー先輩」
次は憐。
スクール水着で胸には「れん」と書かれている。うん、マスコットって感じで愛くるしいな。
「シンさん、私達も着替えてきました」
「シン、お待たせ」
俺の仲間達もやってきた。声をかけてきたのはアーシアとミッテだ。
「ど、どうですか?」
「……似合ってますか?」
アーシアと白音は憐と同じスク水だ。やっぱり胸に「あーしあ」、「しろね」と書かれている。
「うん、よく似合ってる。二人とも可愛いぞ」
「ねぇねぇ、ウチは?」
二人を褒めていると、ミッテが割り込む。彼女はワンピースタイプの、紺色に縦に一本白いラインが入った水着だ。
……なんかミッテって、前にも似たような感じで割り込んだことなかったか?
「おぉ、悪い。ミッテもよく似合ってるよ」
三人とも簡単にだが褒めると、笑って喜んでくれた。
「あ、あの~、私は?」
イリナが俺に聞いてくる。どことなく非難するような表情だ。
イリナの水着は部長達のようなものではなく、普通のビキニタイプのものだ。色は白。
「ん? 俺に聞くのか? まぁよく似合ってると思うよ」
「うん、ありがと」
同じような言葉で褒めると嬉しそうに笑う。ん~~? あれぇ?……ま、いっか。
「あっ、そうだ。アーシアとミッテは泳げなかったよな? 教えてあげるからおいで」
そんなことを言っているとあちらでも、
「それでね、イッセー。悪いのだけれど」
「はい?」
部長が憐の肩に手を置いてニッコリ微笑みながら、イッセーに向かって言っている。
……あぁ、憐も泳げないのか。
「……きゅぅぅぅ、疲れましたぁ」
「た、確かに……。水泳って想像以上にハードじゃん……」
プールサイドに敷いたビニールシートの上で、アーシアとミッテの二人がダウンしていた。
まぁ水中での運動は陸上より体力を使うからな。さらに慣れてないとなれば、ヘトヘトになるのも無理は無い。それに一対一で教えたから二人共やたらと張り切ってたし、それも疲労に拍車をかけたんだろう。
イリナも適当に泳いで満足したのか、今はプールサイドの日陰で休んでいる。
俺も二人の横に座って休んでいると、さっきまで泳いでいた白音がこっちに来て俺の膝の上に座る。
まぁしばらく二人にかかりっきりだったし、少し甘えさせてやるか。
などと考えて、白音の頭を撫でながらゆっくりしていた。
そんな風に休んでいると突然、部長と姫島先輩の言い合うような声が聞こえてきた。
「こりゃ、二人のイッセーの取り合いか。あいつもだんだん、俺や木場のことを言えなくなってきたよな」
「……確かにその通りですが、イッセー先輩も兄様にだけは言われたくないと思いますよ」
「まぁ、確かにな。俺は三人の女性と付き合っているわけだし」
「……にゃあ」
白音とそんな会話をしていると、言い合いが聞こえなくなった後ボンッ! という破砕音が聞こえた。
音がした方を見ると、プールの飛び込み台が一つ消失していた。思わず白音と見つめ合う。
「……一応、結界を張っておきましょうか」
「……そうだな。イリナ、憐、来い!」
「う、うん!」
「はい!」
イリナと憐がこっちに来たところで、白音が六人を覆うように結界を張る。
するとその直後に破壊音が巻き起こり、下の水着のみを身に着けた二人が空中を飛び交い魔力弾を放ち合う。……イッセーにお構いなしに。
「おいおい。ケンカの原因だってのに、イッセーにお構いなしかい」
「あ、あれはちょっとひどいわよね……」
「……ふんっ! 自業自得です」
イリナは顔が引きつっているが、憐は不機嫌そうだ。
そういえばアーシアとミッテの二人は、かすかに言い合いが聞こえてきた時くらいから眠っている。この騒音の中でも目を覚まさないあたり、かなり疲れてたんだな。
「……む。イッセーがプール用具室の中に逃げ込んだな」
「……でも、お二人共気づいてませんね」
ここでふと、あることに気付く。
「あれ? そういや、ゼノヴィアは?」
「ゼノヴィアなら……あっ…」
イリナが何かに気付いたように言う。
「どうした?」
「……ゼノヴィアなら、”あの中”よ」
イリナの答えに、全員顔が引きつるのを止められなかった。
「今、プール用具室にいるのか?」
「そうよ」
「……まだもう一悶着ありそうだな」
思わずそう口にすると、
「……そうですね」
「ええ、そうね」
「はい」
三人共同意した。
あの後、予想通りに一悶着あった。が、まさかゼノヴィアがイッセーに子作りを迫るとは思わなかったよ。
……おっ? この感じは…
ある気配を感じたので、仲間達と共に校門のところへ向かう。そこには銀髪の美少年が立っていて、ゼノヴィアと木場の二人が彼に剣を突きつけていた。
他にも、彼に向き合う形でイッセーがいてその後ろには部長と残りのグレモリー眷属がいる。皆臨戦態勢だな。全員でかかってもあいつに勝てる訳無いが。
「おいおい、何やってんだよ、ヴァーリ」
部長達のさらに後方から、銀髪美少年−−ヴァーリに声をかける。
「ん? あぁ、シンか。いや何、アザゼルの付き添いで来日していてね、退屈しのぎに先日訪れた学舎を見に来ただけさ。ここで『
ヴァーリはそう言うと踵を返して、この場を後にした。
「んじゃ、俺らも帰るか。部長、先に帰りますね」
ヴァーリが去っても皆の緊張の糸が取れてないので、声をかけて先にその場を後にした。
そんなこんなで授業参観の日。
ゼノヴィアがイッセーに向かってトンでもないことを言ってくれたおかげで、朝から一騒動あった。が、まぁそれはいい。
その後の英語の授業で先生が授業参観にテンションが上がっていたのか、紙粘土で好きなものを作るとかいう英語とは全く無関係な授業をする羽目に。しかもイッセーが作った部長の像の出来が良かった為か、オークションまで始まる始末。……常識って、何だったんだろうな。
そんな英語の授業が終わって、今は昼休み。
「……もう訳が分からん」
「私もよ……。常識って一体何だったのかしら……」
「あ、あはははは……」
俺とイリナが思わずつぶやくと、それを聞いたアーシアが苦笑いする。
と、どこかからか騒ぎのようなものが聞こえてきた。
「……さっきからなんか騒がしいな」
「ホントね。何かしら?」
気配を探る限り、校舎の一角が妙に騒がしいっぽいな。やたらと人が集まってるし。……行ってみるかな。
「ちょっと騒ぎの原因を見に行ってみるよ。一緒に行くか?」
「私は行くわ。あぁ、飲み物が欲しいから、先に自販機に寄りたいわね」
「あ、私も一緒に行きます」
「そうか。んじゃ、行こうぜ」
立ち上がりながらそう声をかけると、二人も席を立った。
中途半端なところで終わっちゃいました。
次回は魔王少女の登場ですね。
どうしよう……魔王少女がうちのオリ主にどんな反応するかが読めん。