いや、最初の三、四話くらいは連日だったかも。
カシャカシャ!
フラッシュがたかれ、カメラの音が辺りに鳴り響く。カメラを持った多数の男共が、廊下の一角で何かを撮影していた。
あれ? グレモリー眷属も憐とゼノヴィア以外が来てるな。
「おい、イッセー。これ何を撮影してんだ?」
「あ、シン。いや、『魔女っ娘』がいるらしいんだけど……」
イッセーに声をかけて聞いてみるが、明確な答えは返って来ない。どうやらあっちもまだ人垣を越えられてないみたいだな。
……つか、あれ? 人垣の中心部から感じる力ヤバくね?
そんなことを思い、俺を先頭に三人で慌てて人垣をくぐり抜けると、そこにはかなりの美少女がいた。黒髪のツインテールに何かのアニメキャラのコスプレをしていて、周りの男共に向かって可愛らしくポージングしている。
…………あぁ、彼女の正体なんてものが分からなければ、好みの美少女のコスプレを素直に喜べるのに……。
と今度はそんなことを思いながらもコスプレ少女をジッと見ていたら、
「……むぅ、シンさん」
「いひゃいいひゃい。いひゃいよあーひあ」
アーシアがむくれて俺の頬をつねる。
「…………」
「なんだよ?」
「……ふんっ!」
イリナもジト目でこっちを睨んでくる。……なんでお前まで不機嫌になるんだよ?
そこでイッセー達が人垣をくぐり抜けて来た。
「なっ!」
部長は美少女を見て慌てふためいている。そのあまりの狼狽振りに、隣のイッセーも驚いているな。
「オラオラ! 天下の往来で撮影会たぁいいご身分だぜ!」
そんなことを言いながら、生徒会役員である匙が人だかりに飛び込んでいく。他の生徒会役員であろう女子も匙に続いて中心の撮影現場へ。
「ほらほら、解散解散! 今日は公開授業の日なんだぜ! こんなところで騒ぎを作るな!」
匙が一喝すると、あれほどの人だかりが蜘蛛の子を散らすようになくなっていく。残ったのは俺とグレモリー眷属と匙達、そしてコスプレ少女だけだ。
「あんたもそんな格好をしないでくれ。って、もしかして親御さんですか? そうだとしても場に合う衣装ってものがあるでしょう。困りますよ」
「え~、だって、これが私の正装だもん☆」
匙が注意を促すが、コスプレ少女はポージングして聞く耳を持たない。
「これはリアス先輩。ちょうど良かった。今魔王様と先輩のお父さんをご案内していたところなんですよ」
部長を確認した匙は頭を下げてそう言うと、廊下の後方へ顔を向ける。そちらから会長先導のもと、紅髪の男性二人がこちらへ近づいていた。
「何事ですか? 匙、問題は簡潔に解決しなさいといつも言って……」
会長がそこまで言いかけて、コスプレ少女の姿を見るなり言葉を止めた。と、そこでコスプレ少女が会長を見つけて、
「ソーナちゃん! 見つけた☆」
そう言いながら嬉しそうに抱きついていく。流石の匙も対応に困りだしている様子だ。
「ああ、セラフォルーか。君もここへ来ていたんだな」
と紅髪の男性の一人――先日会った魔王サーゼクス・ルシファーがコスプレ少女に声をかける。
「レヴィアタン様よ」
部長が言う。が、イッセーは理解できなかったのか呆然としている。
「あの方は現四大魔王のお一人、『セラフォルー・レヴィアタン』様。そしてソーナのお姉様よ」
「えぇぇぇぇぇ~~~~~~~~~ッ!?」
イッセーの絶叫が廊下にこだまする。
あれか? 妖艶なお姉様系を想像してたのに、実際はコスプレをした可愛らしい女の子だったから驚いたのか? それとも単に魔王がコスプレしてることにかな?
「セラフォルー様、お久しぶりです」
「あら、リアスちゃん☆ おひさ~☆ 元気にしてましたか?」
部長もちょっと対応に困った様子だな。
う~~む、ますます惜しい。すごく可愛いし。これで魔王じゃなければなぁ……。
「は、はい。おかげさまで。今日はソーナの授業参観に?」
「うん☆ ソーナちゃんったら、酷いのよ。今日のこと、黙ってたんだから! もう! お姉ちゃん、ショックで天界に攻め込もうとしちゃったんだから☆」
……そんなことで戦争を起こそうとするなよ、シスコン魔王。
「イッセー。ご挨拶なさい」
部長がそう言うと、イッセーは言う通り頭を下げて挨拶する。
「は、はじめまして、兵藤一誠。リアス・グレモリー様の下僕『
「はじめまして☆ 私、魔王セラフォルー・レヴィアタンです☆ 『レヴィアたん』って呼んでね☆」
横チェキしながら言うコスプレ少女――魔王レヴィアタン。これが魔王でいいのか、悪魔社会。
「ねぇ、サーゼクスちゃん。この子が噂のドライグ君?」
「そう、彼が『
魔王ルシファーのファーストネームをちゃん付けで呼び、本人もそれに突っ込まないとは。公の場ではともかく、日常ではこれが標準なんだな。
「あらあら、グレモリーのおじ様」
「ふむ。セラフォルー殿。これはまた奇抜な衣装ですな。いささか魔王としてはどうかと思いますが……」
「あら、おじ様☆ ご存じないのですか? 今この国ではこれが流行りですのよ?」
「ほう、そうなのですか。これは私が無知だったようだ」
「ハハハハ、父上。信じてはなりませんよ」
などと会話する魔王二人ともう一人の紅髪の男性――部長とサーゼクスの父親のグレモリー卿だろう。
「ぶ、部長、想像を遥かに超えて軽いノリなんですけど、そのレヴィアタン様が……」
「ゴメンなさい。言うのを忘れていた……いえ、言いたくなかったのだけれど、現四大魔王様方は、どなたもこんな感じなのよ。プライベート時、軽いのよ、酷いくらいに」
イッセーの困惑振りに部長は一度謝ると、ため息を吐きながら言う。見れば、固まっていた会長も顔を真っ赤にしていた。多分、心底恥ずかしいんだな。
それに気付いたセラフォルーが会長の顔を心配そうに覗き込む。
「ソーナちゃん、どうしたの? お顔が真っ赤ですよ? せっかくお姉様である私との再会なのだから、もっと喜んでくれてもいいと思うのよ? 『お姉様!』『ソーたん!』って抱き合いながら百合百合な展開でもいいと思うのよ、お姉ちゃんは!」
……むっ、これはちょっと難易度高いな。会長の反応も納得出来る。
その会長は目元を引きつらせながら、
「……お、お姉様。ここは私の学舎であり、私はここの生徒会長を任されているのです……。いくら、身内だとしてもお姉様の行動は、あまりに……。そのような格好は容認出来ません」
と遺憾そうな表情で言う。
「そんなソーナちゃん! ソーナちゃんにそんなことを言われたら、お姉ちゃん悲しい! お姉ちゃんが魔法少女に憧れているって、ソーナちゃんは知っているじゃない! きらめくスティックで天使、堕天使まとめて抹殺なんだから☆」
「いや、あんたがきらめいたら一国消滅レベルの被害が出るわ。つか、俺の前でそんなこと言うなよ」
……って、あ、ヤベ。思わず言っちまった。
「ん~~? サーゼクスちゃん。ひょっとして彼が?」
「あぁ、そうだよ。彼が『異能者』の憐城慎君だ」
俺の言葉を聞いてこちらを見ると、サーゼクスに確認するセラフォルー。
「そっか~、君が『異能者』君なんだ。はじめまして☆ 私、魔王セラフォルー・レヴィアタンです☆ 『レヴィアたん』って呼んでね☆」
それは定型文か何かなのか?
「ああ、はじめまして。『異能者』の憐城慎だ。俺のことは好きに呼んでくれて構わない。後ろの二人は俺の部下だ。これからよろしく、レヴィアたん」
「うん☆ よろしくね、シン君☆」
あれ? 俺はちゃん付けじゃなくて君付けなんだ。何でだろう?
その後、会長とレヴィアたんの追いかけっことかサーゼクスとグレモリー卿による部長弄りとか……まぁいろいろあったらしいけど、俺達は先に教室に戻らせてもらった。
うん、良かった。特に暴走しなかったね。
魔王少女とうちのオリ主が合わさった結果、化学変化を起こしてキャラが勝手にとんでもない暴走をするんじゃないかと心配してたんですよ。
次回はギャー助登場ですね。
会うのは特訓中かな?アザゼルもそこで一度登場しますし。