いや、マジでありがとうございます!
「おぉ、皆停まってるなぁ~」
違和感を感じて辺りを見渡すと、各陣営トップにヴァーリ、グレイフィア、部長、木場、ゼノヴィアが動けるようだ。
おいおい、赤龍帝のイッセーまで停まってるのかよ。ギャスパーの才能が末恐ろしくなるな。つか聖魔剣の木場は分かるけど、ゼノヴィアは一体……あぁ、デュランダルを発動してそれで防いだのか。
「……あら?」
「おっ、赤龍帝の復活だ」
イッセーが動き出したな。アザゼルが真っ先に気付いた。
「な、何かあったんですか?」
イッセーは事態が飲み込めてないのか、周囲を見渡している。その後イッセーが部長やゼノヴィアと話しているのを聞き流しながら、窓の外を見る。
そこには、いかにも魔術師ですと言った感じの黒いローブを着た人影が多数見えた。やつらはこちらに向かって魔法で攻撃してきているが、アザゼルとサーゼクスとミカエルで強力な防壁結界を展開しているから今は問題ない。つか、こいつら自体は大したことないやつらばかりだ。
「……問題は、細工が全て機能してないことだな」
「あ? 何か言ったか、シン」
イッセーに講義していたアザゼルが、俺のつぶやきに反応する。そちらに目を向けるといつの間にやら俺の隣にアザゼルがいて、さらにその隣にはイッセーと部長がいた。
「いや何、こうなるのは分かってたからな。学園の色んなところに細工をしておいたんだ。なのに、やつらはそれをキレイに避けてやがる。間違いなく俺達に近しい者の中に裏切り者がいるぞ」
……部室に細工出来なかったのはイタかったな。こんなことなら、部長達に遠慮するんじゃなかった。
「さ、さっき、時間が停止したっぽいのは?」
ここで、アザゼルのイッセーへの講義が再開した。それを適当に聞き流していると、アザゼルが無数の光の槍で外の魔術師を一掃する。が、校庭の各所に魔方陣が出現して同じ格好の魔術師達が現れた。
「さっきからこれの繰り返しだ。俺達が倒しても倒しても現れる。シンの言う通り、裏切り者がいるのは間違いなさそうだな」
アザゼルが呆れた様子で息を吐きながら言う。
「ここから逃げられないんですか?」
「逃げられないんじゃなくて逃げないんだよ。学園全体を囲う結界を解けば外へ出られるが、結界を解いたら町に被害が出るかもしれないからな。しばらくここで籠城してれば、敵の親玉が痺れを切らして顔出すだろ」
「それに、下手に外へ出て大暴れすると敵の思う壺かもしれないしな」
イッセーの疑問に俺が答えて、アザゼルがそれに補足する。
「というように、我々首脳陣は下調べ中で動けない。だが、まずはテロリストの活動拠点となっている旧校舎からギャスパー君を奪い返すのが目的となるね」
「お兄様、私が行きますわ。ギャスパーは私の下僕です。私が責任を持って奪い返してきます」
サーゼクスの言葉に部長が答える。サーゼクスはそれを聞いてふっと笑う。
「言うと思っていたよ。妹の性格ぐらい把握している。しかし、旧校舎までどう行く? この新校舎の外は魔術師だらけだ。通常の転移も魔法に阻まれる」
「旧校舎……根城の部室に未使用の駒である『
「なるほど、『キャスリング』か。普通に奪い返しに行くのは彼らも予想しているだろうから、これは相手の虚をつける。何手か先んじえるね」
う~~む……実は俺なら適当に転移出来ちゃうんだけどな。俺がやらなくても奪い返せそうだし、これは言わないでおこう。何より面倒だ。
「よし。だが、一人で行くのは無謀だな。グレイフィア、『キャスリング』を私の魔力方式で複数人転移可能に出来るかな?」
「そうですね、ここでは簡易術式でしか展開出来そうもありませんが、お嬢様ともう一方なら転移可能かと」
「シン、お前実は転移出来たりしないか? もっと言えば、複人数転移させたり出来ないか?」
ここでアザゼルが余計なことを言い出す。
「……いやまぁ、普通に出来るけど。てかぶっちゃけると、ここにいる全員を転移させることも可能だったりするが?」
「本当かい!?」
俺の言葉に部長達だけでなく、サーゼクスやグレイフィアも驚いている。
「いや、そこまでの人数はいい。三、四人転移させたいと思って聞いてみたんだ。どうせお前のことだから、出来ても言わないと思ったんでね」
「……シン君、お願いできないかな?」
「まぁいいっすよ」
そう言って、鞄に常備している魔導書を取り出してくる。
「じゃ、そこに立ってくれ。誰が行くんだ?」
「準備がほとんど必要ないのかい? それはすごいな。それじゃあリアスの他には……」
「サーゼクス様、俺も行きます!」
「僕も行きます」
イッセーと木場が名乗りを上げる。
「ゼノヴィアは行かねぇのか?」
「私の戦い方では部室を破壊してしまう。それに、あまり大人数でも邪魔になってしまいそうだからな」
俺が疑問に思ってゼノヴィアに尋ねるとそう答えが返ってきた。まぁ正論だな。
「んじゃ、やるか」
「あっ、ちょっと待てくれ、シン。おい、赤龍帝」
「お、俺は兵藤一誠だ!」
転移させようとすると、アザゼルが待ったをかけてイッセーを呼ぶ。
「じゃあ兵藤一誠。こいつを持っていけ」
そう言ってイッセーに向けて何かを投げる。あれって……。
「アザゼル、いいのか? あれ、精製にかなり時間かかるんだろ?」
「別に構わねぇよ。そいつは神器をある程度抑える力を持つ腕輪だ。例のハーフヴァンパイアを見つけたらそいつを付けてやれ。多少なりとも力の制御に役立つだろう」
「でも、二つあるけど……」
「もう一個はお前のだ。『
その後もゴチャゴチャと話を続けるアザゼル。挙句の果てにはミカエルまで会話に加わってきた。
……サッサと転移させた方がいいんじゃないのか?
などと思っていたら、今度はヴァーリに話が飛んだ。その時、ヴァーリがアホなことを言う。
「旧校舎のテロリストごと、問題になっているハーフヴァンパイアを吹き飛ばした方が早いんじゃないかな?」
「アホたれ」
なので、言葉とともにヴァーリの頭を小突く。それを見て、普段の俺達を知らない他勢力の人達が目を丸くしている。
「和平を結ぼうって時にそれはねぇよ。あいつは魔王の身内だ。これからの為に助けて恩を売っておこうぜ。吹っ飛ばすのは、最悪の場合だ」
「分かったよ」
不満そうに答えるヴァーリ。しかし文句を言う気はないようで、やつの背中に光の翼が展開する。
「
『Vanishing Dragon Balance Breaker!!!!』
音声の後、光と共にヴァーリの体を真っ白なオーラが覆う。光が止むと、あいつの体は白い輝きを放つ
「いってら~」
声をかけ手を振って見送ると、俺には反応せずにイッセーを一瞥して窓から外へと飛び出していった。そして外で爆風が巻き起こり、魔術師達が蹂躙されていく。すぐに魔方陣が展開して次の魔術師達が現れるが、一騎当千といった感じで全く相手になっていない。
しっかし、本当に次々現れてキリがないな。ちょっと妨害してやろうか?……いや、部長達の転移が先だな。
「んじゃま、転移させますよっと」
そう言って、誰かが何か言う前に三人を転移させた。
うん。今回はシン君いろいろ介入したね。
キャスリング作戦ぶっ潰しちゃったけど。それで転移する面子が変わったし転移のタイミングが早まったし、その上ヴァーリ小突いたりするし……あれ? 介入したってより暴走した感じ?
次回もいろいろぶっちゃける予定です。次こそはカテレアさん登場かな? いや、カテレアさんはもう出なくていいんじゃねぇかな……。