で、会談の日から数日。
「てな訳で、今日からこのオカルト研究部の顧問になることになった。アザゼル先生と呼べ。もしくは総督でもいいぜ?」
着崩したスーツ姿のアザゼルがオカルト研究部の部室にいた。
「……どうして、あなたがここに?」
額に手を当て、困惑した様子の部長。
「ハッ! セラフォルーの妹に頼んだら、この役職だ! まぁ、俺は知的でチョ~イケメンだからな。女生徒でも食いまくってやるさ!」
「それはダメよ! って、なぜソーナがそんなことを」
「堅いな、リアス・グレモリー。いや、何。サーゼクスに頼んだら、セラフォルーの妹に言えと言うんだ。だから頼んだ」
まぁ確かに、部長はちょっとお堅いよな。
「俺がこの学園に滞在できる条件は、グレモリー眷属の悪魔が持つ未成熟な神器を正しく成長させること。まぁ、神器マニア知識が役に立つ訳だ。お前らも聞いただろうが、『
「ヴァーリ達はまたここを攻めてくるんスか?」
イッセーの問いかけにアザゼルは首を横に振る。
「もう攻めてこないだろうさ。一応のチャンスだった三大勢力のトップ会談での暗殺だが、それも失敗した。やつらの当面の目標は天界、冥界だ。冥界は俺のトップ命令で全堕天使が悪魔と共闘する。そう簡単に冥界を落とすことは出来ない。天界もセラフの連中が黙っていないだろう。それに天界には居候の強い聖獣、魔獣もいるしな」
「……戦争か」
「いや、まだ小競り合いレベルだな。やつらも俺らも準備期間と言える。安心しろ、お前らがこの学園の高等部どころか、大学部を卒業するまで戦なんて起きやしない。学園生活を満喫しておけ。……ただ、せっかくの準備期間だ。いろいろと備えようじゃねぇか」
「う~ん……」
イッセーがない頭絞って何かを言おうとするが、
「イッセー、やめとけやめとけ。どうせバカなんだ。お前の敵が白龍皇ヴァーリだってことさえ理解していれば、今はそれでいいよ」
と言ってやる。初対面のカテレアにすら会ってすぐ残念と言われたんだし、バカなのは仕方ないね。
「そうだな。今はそれでいい。お前がヴァーリを退けたのは、ミカエルからもらった
「龍殺し様々だな」
「確かに。それで、白龍皇の力はあれから使えるのか?」
とアザゼルがイッセーに聞く。のを聞いて口を挟む。
「え? 何それ? あの戦いで何があったの?」
知らなかった、と言うかその時は眠っていて知り得なかった情報だったので、思わず聞いてしまった。
話を聞いてみると、イッセーは寿命を犠牲に白龍皇の力を取り込んだらしい。
相反する力の融合、それもドラゴンのものとか死ぬ方が自然だぞ、おい。それが寿命を犠牲にしただけで済んだとかすごいな。
「俺、強くなれますか?」
イッセーがアザゼルに問いかける。この真っ直ぐなところはイッセーの美点だよな。
「強くさせてやるよ。俺はヒマな堕天使様だからな」
「つか、イッセーは強くなれると思うぜ? ヴァーリなんかとは違う方向性の才能を感じるし」
「え、マジか!?」
イッセーが驚いた様子で俺の言葉に反応する。
「おう。予想だにしない面白い成長をしてくれそうだ」
「そ、それは喜んでいいのか……?」
ニヤリとした笑みを浮かべて言うと、イッセーは複雑そうな顔をしてしまった。
その後、アザゼルがグレモリー眷属の現状の戦力調査と簡単なアドバイスをしていく。
そして、アザゼルの視線が姫島先輩の方へ向いた。
「まだ俺らが……いや、バラキエルが憎いか?」
姫島先輩が厳しい表情で返す。
「許すつもりはありません。母はあの人のせいで死んだのですから」
「朱乃、お前が悪魔に降った時、アイツは何も言わなかったよ」
「当然でしょうね。あの人が私に何かを言える立場であるハズがありません」
ッ!! これは流石にカチンとくるな……!
「そういう意味じゃねぇさ。いや、まぁ俺がお前ら親子の間に入るのも野暮か」
「あれを父だとは思いません!」
姫島先輩はハッキリと言い切る。
「そうか。でもな、俺はお前がグレモリー眷属になったのは悪かないと思うぜ。それ以外だったら、バラキエルもどうだったかな」
「…………」
姫島先輩は何も返さず、複雑そうな表情をしている。
「……チッ!」
「おい、シン!」
思わず舌打ちしてしまうと、アザゼルに咎められる。
「……悪い、席外すわ」
そう言って、部室から出て行った。
「……兄様、大丈夫ですか?」
部室を出た俺についてきた白音が聞いてくる。
「ああ、問題ねぇ。……まぁ実際アザゼルの言う通りで、あれはあの親子の問題だからな。余計な口は挟まねぇよ」
「……兄様はそれでいいんですか?」
「いいんだよ。どうせ俺のは、個人的な感情の問題だ。俺が自分で解決するさ」
「…………」
白音はそれ以上何も言うことはなかった。何も言わずにただずっとそばにいてくれた。
しかし結局、その日はずっと気まずいままだった。
そんなこんなで夏休みの前日、つまり終業式の日。
「おう、シン。帰ってきたな」
我が家の前でアザゼルが待機していた。
「ここで何してんだ? つか、仕事はいいのかよ、先生?」
「あぁ、ちょっと伝えておきたいことがあってな。すぐに戻るよ」
「……伝えておきたいこと……?」
アザゼルの言葉に、思わず怪訝そうな顔をしてしまった。他の皆も似たような表情をしている。
「何、大したことじゃないさ。この家、人数増えて手狭になってきただろ? だから夏休み中に改築するぞ! って話だ。すでにサーゼクスには話をつけてある」
アザゼルは我が家を指差してそう宣言した。
「そりゃ、ありがたいけどよ。住んでる俺らに相談くらいしろよな、まったく。……んで、どんな風にするんだ?」
俺の問いかけに、
「そりゃ、出来てからのお楽しみだ」
アザゼルはニヤリと笑いながら言い放った。
よっし、四巻終了!
次の更新は少し遅くなると思います。