いや、元々はこんなもんでしたし一月に入ってからが異常だっただけですね。
くにへ かえるんだな おまえにも かぞくがいるだろう…
夏休みに入って数日後。
いつの間にか――具体的には寝ている間に、我が家が普通の一軒家から地上五階地下二階の大豪邸に変わっていた。後、イッセーの家も。つかあっちはうちよりもさらに上下一階分規模がでかい。しかもお隣さんになってるし。間違いなくアザゼルとサーゼクスの共謀だな。
で、現在無駄に広くなったイッセーの部屋にアザゼルと二人で侵入もとい、勝手にお邪魔している。しかも二人共無駄に気配を消して、だ。ただ流石に、イッセーの両親は来客を承知しているが。
ちなみに、家に住んでる俺以外のやつらは先にここに来ている。夏休みの予定について話す為、とのことで部長に呼ばれていたのだ。あと、俺が遅れたのは寝坊したからだが、アザゼルは知らん。イッセーの家の前で偶然鉢合わせただけだし。
「俺も冥界に行くぜ」
「「「「「「ッ!?」」」」」」
夏休み中のことを話すハズが、なぜかイッセーの取り合いで部長と姫島先輩が火花を散らしていたところにアザゼルが口を挟んだ。グレモリー眷属は誰も俺ら二人に気付いてなかったようで、全員が面食らっている。うちのやつらだと、白音とミッテが気付いたみたいだ。
……おい、せめて木場辺りは気付いとけよ。うちのミッテが気付いてんだぜ?
「ど、どこから、入ってきたの?」
部長が目を丸くしてアザゼルに聞く。
「うん? 普通に玄関からだぜ?」
それに平然と答えるアザゼル。
「……気配すら感じませんでした」
と今度は同じように目を丸くした木場。
「おいおい、それは修行不足だろ。俺らは普通に来ただけだぜ? 現にうちのミッテは気付いてたし」
まぁこれは少しウソ混じりだけどな。軽く気配を消していたのは事実だし。ただ、普段からこんな感じなのもそうなんだがね。
「これはシンの言う通りだな。それよりも冥界に帰るんだろう? なら、俺も行くぜ。俺はお前らの『先生』だからな」
う~~ん、いまだにアザゼルを”先生”と呼ぶのに慣れないんだよな。癖でつい”アザゼル”と呼びそうになる。
アザゼルは懐からメモ帳を取り出すと、開いて読み上げる。
「冥界でのスケジュールは……リアスの里帰りと、現当主に眷属悪魔の紹介。後、例の新鋭若手悪魔達の会合。それとあっちでお前らの修行だ。俺は主に修行に付き合う訳だがな。お前らがグレモリー家にいる間、俺はサーゼクス達と会合か。ったく、面倒くさいもんだ」
俺らの予定も自分達で組んだのをアザゼルに事前に渡してあるが、俺のに一部あれな予定があるのであえて言わなかったのだと思われる。
ちなみに、一組織の総督の癖にトップの会合を面倒くさいとか言ってる
「ではアザゼル――先生はあちらまでは同行するのね? シン達は?」
「俺らも同行するよ。出来ればグレモリーの本邸に泊まらせてくれると、こちらとしてはありがたいんだが」
部長の質問にそう答える。
「ええ、いいわよ。シン達には結構お世話になったことだし、お父様とお母様もきっと歓迎してくださるわ。では、行きの予約をこちらでしておいていいのかしら?」
部長の問いにうなずくアザゼル。
「ああ、よろしく頼む。悪魔のルートで冥界入りするのは初めてだ。楽しみだぜ。いつものは堕天使側のルートだからな」
……ほんとに楽しそうに言うな、こいつ。
で、冥界入りの日。
俺らがまず向かったのは、最寄りの駅だった。服装はアザゼル以外全員制服だ。まぁ学生の正装と言えばこれだよな。
で、部長さんが向かった先にはエレベーターが。
「じゃあ、まずはイッセーとゼノヴィアと憐来てちょうだい。先に降りるわ」
……あぁ、この地下の不自然な空間はやっぱそれなんだ。
「お、降りる?」
部長の言葉に怪訝そうなイッセー。まぁあれが自然な反応だよな。
「ほら、目をパチクリしてないで入りなさい」
苦笑しながらイッセーに手招きする部長。
「慣れてる祐斗達は後からアザゼル達と一緒に来てちょうだいね」
「はい、部長」
木場が部長の言葉に返事をすると、ちょうどその直後にエレベーターの扉が閉じた。
その後二回に分かれて、エレベーターで表示には無い地下へ行く。最初にカードらしきものを電子パネルにかざしていたので、それがキーなのだろう。
そこに広がっていたのはだだっ広い人工的な空間。駅のホームのような造りだが、人間界のものとは多少差異があるな。ただ線路が見えるから、駅なのは間違いなさそうだ。
「全員そろったところで、三番ホームまで歩くわよ」
部長と姫島先輩先導の下歩き出した。が、姫島先輩はすぐにイッセーの隣に行って手を握る。イッセーはそれに驚いた様子を見せるが、気を取り直すと手を握り返した。
「……おっ!?」
人気が無いのでそんな風に様子を見ながら歩いていたら、不意に両手を握られる感触が。左右を見ると、そこにはミッテと白音の姿。当然、手は二人に握られている。俺も握り返してから後ろを伺うと、アーシアが涙目でこっちを見ていた。だが、俺の手は二つしかないので流石にどうしようもない。スマン、アーシア。……あとイリナ、お前もさりげなくこっちを睨むな。
そんなこんなで若干の罪悪感を感じながらも二人と手をつないだまま、部長達の後に続いて通路を右に行ったり左に行ったりしてると再び開けた空間に出た。そこで目に飛び込んできたのは、やっぱり人間界のものとは多少差異のあるフォルムの列車。よく見ると、グレモリーやサーゼクスの紋様なんかも刻まれている。
「グレモリー家所有の列車よ」
驚いた顔のイッセーに向かって堂々と言う部長。
分かってたことだけど、やっぱりグレモリー家ってのはすごい金持ちなんだなぁ~。
そんなことを考えながら辺りを見回していると、プシューという音と共に列車のドアが自動で開く。そして部長先導の下、俺達は列車の中へと足を踏み入れたのだった。
列車に乗り込んだ俺達は、中央の車両に座ることになった。
部長は列車の先頭車両に、それ以外は中央から後ろの車両となるらしい。そういうしきたりなんだとか。古い家柄ってのは面倒なもんだ。
俺らは対面する席で俺とアーシアが一緒に座り、対面席には白音とミッテが、通路を挟んだ隣の席にイリナが座っている。あっちではイッセーと憐が一緒に座り、対面席にはゼノヴィアと姫島先輩が座っている。その隣ではギャスパーと木場が、さらに端っこにアザゼルが座っている。
というか、アザゼルは完全に寝る体勢になってるな。おし、俺もそうしよっと。
「アーシア、いいかな?」
「あ、はい。どうぞ」
俺が尋ねると、アーシアは嬉しそうな顔で答える。ということで、会談の時にしてもらってからちょっとハマっている膝枕をしてもらう。あの時や今回だけ限らず、してもらうのはもっぱらアーシアだ。
よく頼むのがアーシアだっていうのもあるけど、個人的に他の娘には頼みづらいのだ。白音とミッテはどっちかって言うとヒザに乗っけたいって感じだし、イリナはそういう関係じゃないから単純に頼みづらいし。
…………地味に突き刺さるような視線を”四つ”ほど感じるが、きっと気のせいだと言い聞かせてそのまま眠った。
とりあえず五巻開始ですね。
五巻は悪魔業界の話が中心ですので、結構オリジナルの話が入る予定です。
いやだって、うちのオリ主じゃ若手悪魔の会合とか参加出来ませんよね。リアスとソーナのゲームは言わずもがな。修行手伝う以外に一体何をしろと? ならせっかくなので、いくつかオリジナルをやっちゃおう! という考えに。
あと黒歌登場の場面がありますけど、あそこも原作とは完全に別物になる予定です。
次回はグレモリー家の本邸到着から……どうしよう? 面倒だし一気に修行まで飛ばしちゃおうかな? いやでも、サイラオーグには会わせたいんだよなぁ……。