あれから皆一度それぞれの部屋でしばらく休んだ後、部長の両親との会食があった。
その時部長の両親の関心はイッセーやその両親にあり、イッセーや部長といろいろな話をしていた。それらを適当に聞き流していて分かったのだが、イッセーは相変わらず部長の気持ちに気付いていないようだ。それに、自分の行動の意味も分かっていないらしい。部長の父親からお義父さんと呼んでくれ、とか母親からマナーの勉強をしてもらう、とか言われても理由が分かってない様子だったし。
いや、ひょっとしてあれかも。レ、レ……何とかって女の堕天使に裏切られて殺されたのが
「シン、今ちょっといいか?」
「ん? なんだ?」
会食が終わって一人部屋でゆっくりしていると、突如アザゼルがやってきた。
とりあえず返事をして部屋へ招き入れたけど、アザゼルはつい先ほどここについたばかりのハズで……何の用だろう?
ちなみに、皆もそれぞれの部屋でゆっくりしてると思いきや仲間内で女子会をしているらしくて、俺は締め出されてしまった。なので一人寂しく過ごしていたのだ。
「いや何、今日の会談の結果だけ伝えにな。……一応、許可は出たぞ。ただし条件がある。行く時は一人で行くことと、明日の若手悪魔の会合にも一人で参加してくれ、とのことだ。どうやらサーゼクスのやつはお前のことが大層気に入ったらしい。以前の会談の際の接し方が逆に新鮮だったんだろうさ。それに、あの時お前の言葉にウソは無かったから余計にな」
「え~~っと、つまり……明日の会合でも素直な感想を言えばいいのか? いや、多分俺から見た若手悪魔の感想を求めているんだろうし逆に言わないとダメなのか」
「そういうことだ」
……まぁ立場とかいろいろ考えなくていいならまだ楽かな? というか、そう考えなきゃやってられん。
「分かったよ。参加すりゃいいんだろ?」
ヤケクソ気味に言った。本当なら明日は、丸一日趣味と実益を兼ねたあることに費やすつもりだったんだがなぁ……。
ということで、絶対面倒事が起きるであろう若手悪魔の会合に参加することが決まった。
…………ちくしょう、ちょ〜サボりてぇ……。
次の日、つまりグレモリー本邸に到着して二日目。
現在部長達はグレモリー城観光ツアーに行っている。グレモリー領内にある、部長専用の城とかサーゼクスが帰郷した時に使う城などを見て回るらしい。俺の仲間達もそれについて行ってる。
イッセーだけは残って、ミリキャスと共に勉強をしている。昨日の会食で言っていた通り、貴族だの上流階級だの上級悪魔だのについて……のハズだ。普通の悪魔としても勉強すべきことがたくさんあるからその辺は微妙だが。
その上貴族社会についても学ぶ必要があるとか、次期当主の入り婿候補 (というかもう確定か?) は大変だねぇ。本人にその自覚は無いけど。
俺はちょっとやりたいことがあったから、部屋に一人で篭っている。かなり時間がかかると思われる作業なので今の内から始めておきたかったのだ。正直、今から夏休みを目一杯使っても終わるか分からないし。
ただ、そのせいで借りてる部屋が少々魔改造されちゃってるんだよなぁ。……いや、うん、仕方ないね。帰る時に元通りになっていれば問題無いでしょ、多分。もし咎められたら元に戻すけど。
そのまま一人で数時間過ごした。
どうやら部長達は、観光ツアーから帰ってきてすぐに例の列車で魔王達がいる領土へ移動したみたいだ。
なぜ曖昧な言い方なのかと言うと、俺は一人で一足先にそこ――魔王領の都市ルシファードへ向かっていたからだ。当然部長達より先に会場へ到着しているので、彼らが駅に着いたのが気配でしか分からなかったのだ。で、そこから移動時間等を逆算すると、すぐにここに来たとしか思えない、ということだ。
ちなみに今、俺は術を使って穏形しているので誰も俺に気付いていない。まぁ穏形と言っても使っているのは呪術じゃないから、厳密に言えば隠形とは違うけど。あと、隠形は会場に入ってから使ったのでさほど問題にはならないハズだ。人が一人見当たらない、くらいの話だし。それに部長達が来たら解くつもりだしね。
ついでに、隠形は趣味が多分に含まれてはいるが全く無意味ではない。俺という存在を隠すことで、悪魔以外からの目を気にしない状態の様子を観察しているのだ。
ひょっとしたら、俺の顔を見ただけで正体に気付くやつがいるかもしれないからな。
会場には現在部長と会長の他に四人の若手悪魔がいるが、今まで見た限り面白そうなのは一人だけだ。残りは良くも悪くも上級悪魔って感じで面白くないな。
さて、部長達もやってきたことだしそろそろ穏形解いて接触してみようかな。
「サイラオーグ!」
部長が一人の男性に話しかける。短い黒髪で野性的なイケメン――俺が面白いと思ったやつだ。活動的な格好で体格のいい筋肉質な身体をしている。瞳の色は珍しい紫色。面影がどことなくサーゼクスに似ている。
男性の方も部長のことを知っているらしく、姿を確認すると近付いていく。どうせなので、俺も男性と一緒に近付いていく……ただし穏形したまま。で、部長と男性が挨拶しているのを横目に男性の後ろに陣取ると、穏形を解いて二人に軽く殺気を放つ。
「「ッ!?」」
突然感じた殺気に驚いた様子の二人だが、とっさに取った行動は結構違った。部長は眷属達の方へ下り、男性は振り向きざまに拳を振るってきた。
「えっ!? シン!? 何でここに!?」
俺だと気付いた部長が驚きの声を上げる。男性の拳は軽く避けたが、それが逆に火をつけてしまったようで闘志満々の顔をしている。彼の眷属達には思いっきり殺気を向けられているが。いい感じに愛されてるな。
「いやぁ、ちょっと事情があって若手悪魔の会合に参加することになりまして。ま、今のは軽いサプライズですよ。趣味が悪いのは自覚してますけど、やめるつもりはありません」
「本当にやめてちょうだい……。心臓に悪すぎるわ」
ため息混じりに言う部長。男性の方は困惑している様子だ。
いや、この程度でへばってたらこの先大変ですよ? 俺、こういうの大好きですから。
「はぁ……。初めての者もいるわね。彼はサイラオーグ。私の母方の従兄弟でもあるの」
「俺は『サイラオーグ・バアル』。バアル家の次期当主だ」
もう一度ため息を吐いてから、俺や眷属に男性を紹介する部長。男性はそれを受けて堂々とした態度で自己紹介した。
「俺も自己紹介しようか。俺の名前は憐城慎。『異能者』と言ったら分かるかな」
俺の言葉に、サイラオーグの眷属はひどく驚いた様子を見せた。
「君が『異能者』なのか。ぜひ一度会ってみたいと思っていたんだ」
サイラオーグは嬉しそうに言う。
「へぇ、なぜだ?」
「人間でありながら『
「ふぅん、そんなもんかね。人間だからってナメられることは多かったが、そんな風に言われたのは初めてだ。ま、だからこそ面白いやつなのかもしれんが」
俺の言葉を聞いて不思議そうな顔をする。
「面白いとは?」
「俺から見て非常に興味深いということだ。正直、他のやつらは見ててつまらん。俺はお前の先が一番見てみたいね。それに、許されるなら一度戦ってみたいな」
「…………」
呆然としてしまった。俺の言ったことはそんなに意外なことかな? かなりの上から目線で不愉快な物言いだと思うんだが。
最近筆のノリが妙に悪い。スランプってやつか?
一応出来たので投稿しましたが……ただでさえ低いクオリティがさらに低くなってるかも。
かなり中途半端なところで切っちゃいましたね。でも、この先まで入れると切る場所に困るので。
……今回のところがキリがいいかと言われると微妙ですが。
次回で、今度こそ修行になるハズです。
実は修行にはほとんど参加せず、ここでオリジナルの話の予定なんですが。修行に付き合うのは一人だけ。しかもそれも短時間で、自分の用事を優先することに。
まぁ今のグレモリー眷属の修行で、シン君的に面白みがあるのってイッセーとギャスパーの二人だけですからね。彼らに付き合わないのに、他のやつに付き合うハズがありません。ある一人を除いて。