今まで投稿した分は五巻か六巻が終了したら全面修正する予定なので、それまでは今のままです。
レンを連れてきたのは俺の部屋。どうせなので作業ついでに見ようと思ったのだ。俺が何かをする必要がある訳でもないしな。
「適当に座ってくれ」
「あの、どうしてここなんですか?……というか、この部屋は何ですか?」
言われた通りに椅子に座りながら、俺の部屋の状態を見て怪訝そうな顔で尋ねるレン。
「俺の借りた部屋だぞ? まぁ……ちょっと魔改造されてるけど、帰る時に元に戻っていればいいだろ。ここを選んだのは単に俺の作業の為だ。どうせ俺がやることはほとんど無いしな」
「やることが無い?」
「ああ。レンにとっても単純な作業だ。っと、その前に”あれ”の説明をしなきゃな」
そう言って俺も席に着くと、キチンとレンに向き直る。俺の雰囲気が変わったのを感じたのか、レンの方も姿勢を正した。
「さっき見せたボックス――俺は『マテリアル・ハイ』って呼んでるが……まぁ、あれ自体は重要じゃない。へぇ、そうなんだ程度に思ってくれればいいよ。分かりやすい選別方法だっただけだし。大事なのは、見えたって事実だからな」
「私とイッセー先輩だけだったのは?」
「見えたやつには、力の素質があるってことだ。”PSI”の素質がな」
「サイ……?」
「あ~~、”PSI”ってのは……ものすごく簡単に言うと、『超能力』だ」
「えぇ~~……」
ずっと不思議そうながらも真剣だったが、最後の言葉で一気にやる気を削がれた様子だ。
まぁ、普通に考えて超能力はありえないよな。神器やら魔力やら不思議パワーがたくさんあっても、超能力は確認されてないし。
「信じられんのは分かるが事実だよ。まぁ見てな」
そう言って右手を伸ばすと、適当に目に入った本を手元に引き寄せる。といっても、手では触れずに。
「……な?」
「……え!? え、ええっ!?」
レンが驚くのもムリはない。彼女から見ると、魔力などを使わないで本が勝手に動いたのだから。
「いわゆる”念動力”――『テレキネシス』ってやつだな。訓練次第でレンも使えるハズだよ。個人によって向き不向きがあるから、自由自在にとは言い切れないけどな」
「本当ですか!?」
意外と喜んでる様子だ。なぜかな?
「ということで、まずは説明だ。”PSI”ってのは基礎となる三つの力から構成されている。俺はその三つをそれぞれ”裂破のバースト”、”心破のトランス”、”強化のライズ”と呼んでいる。
「…………」
レンの頭から煙が……一気に言い過ぎたかな。
「大丈夫か? ついてこれてるか?」
「はい、大丈夫です。続けてください」
相変わらずやる気満々だな。なんか思うところでもあったのかな。
「まぁこの先は簡単だよ。PSIの概要が理解できたのなら、まずは『バースト』を試そう。とはいえ、さっきも言った通りやることはすごい単純。イメージしろ。PSIはイメージを現実に変える力だ。己の発想と想像力でどこまでも伸びる。この辺は使う力が違うだけで、悪魔の魔力に酷似しているな」
「私はどうすればいいんですか?」
「ちょい待ち」
席を立ってメイドさんを呼ぶと、コーヒーとクリームを複数用意してもらった。ついでに俺の作業道具も用意した。といっても、特殊な紙とペンだけだが。
「よし、まず俺が実践して見せよう」
そう言うと、コーヒーにクリームを入れて念動力で操る。コーヒーの表面にクリームで模様を描いてみた。
「これは……!」
期待通りの驚いた顔をしてくれる。
「クリームを念動力で操ったんだよ。これは比較的簡単に出来る。使う力も小さいしな。んじゃ、実践してみろ」
「え、ええっと……」
流石にいきなりは困惑するか。といっても、もう説明することほとんどないんだけどなぁ。
「さっきも言ったが、イメージだ。目を閉じて意識を集中させて、頭の中にカップを思い浮かべろ。んで、イメージを創り上げたら、目を開いて投影するんだ。……あ、魔力なんかは使うなよ?」
「そ、それくらい分かってますよ!」
一度怒った風に言うと、俺に言われた通り実践するレン。
少しすると――。
「……ん?……おお!」
小さなバースト波動を感じた後、コーヒーの表面を見るとそこには俺のものと似た模様が描かれていた。まぁ流石に俺のものよりはつたないが、初心者としては十二分に満足していい出来だろう。
「出来たじゃないか。いい感じだ。……それじゃ、レベル2だ」
前半の言葉に嬉しそうな顔をしたが、後半を聞いてげんなりする。
だが、あきらめろ。どうせ最初のに使う力は小さなものだから、ここはさっさと進める予定だったしな。ここからは少し時間がかかる可能性があるし。
「え、えぇ~~。もうですかぁ~……」
「そう言うな。これとあと一つが終われば、残りの期間はアザゼルの指示通りにすればいい」
「はぁ……分かりました。今度は何をすればいいんですか?」
あきれたようにため息をつかれた。ちょっと悲しい。
「そこから一歩も動かずに、そうだなぁ……俺でいいや。俺の体にタッチしてみろ。今度は、イメージで存在しない手でも創り出せ」
「分かりました」
その言葉の後、目を閉じてイメージを始める。なので俺も作業を開始した。どうせ紙に延々と書き続けるだけだが。
次の日。
「…………んぉ?」
俺の体に触れられた感覚。そっちを見ると、レンが座った状態でドヤ顔していた。
「ドヤ顔やめい。だが、思った以上に早いな。いい感じだ。んじゃ、早速ラストステージだ……と、行きたいが今日はここで終わりにしよう」
「次は何をするんですか?」
やる気があるのはいいが……ちょっとは気を休ませろよ。オーバーワークはいかんよ?
「次は体を使うよ。『ライズ』の訓練だ。あれも基本は一緒。イメージだ」
「はい。……あれ?『トランス』はいいんですか?」
不思議そうな顔をする。確かにもっともな疑問だ。
「ワリ。俺『トランス』全く使えないんだわ。教えることも出来ないし。あぁ、『バースト』は今回の訓練を続ければいい。そのうち自分に合った形に定まるだろうさ」
「分かりました。では、失礼します」
レンは一度礼をすると、この部屋から出て行った。
俺は休めって言ったが……きっと部屋でも訓練を続けるんだろうなぁ~。後で一度様子を見に行くか。
コンコンコン。
「レン、いるか~?」
「はい、今開けます」
少し経ってレンの部屋を訪ねると、やはりすぐに反応があった。休んでなかったんだろうな。
「どうしたんですか?」
ドアを少し開けて顔だけ出した状態のレンが聞いてくる。
「いや何、ちゃんと休んでるか心配になってな。ちょっと様子を見に来たんだ」
「……うぐっ!」
図星を突かれたのか妙な声を上げたな、おい。
「入ってもいいか?」
「あ、はい。どうぞ」
俺が聞くと、快く迎え入れてくれた。そのまま中に入り、向き合って椅子に座る。
「何でキチンと休まないんだ? 休むのも訓練の内だぞ? オーバーワークになったら訓練も逆効果だしな」
「…………」
あまり言いたくなさそうな感じだ。やはり何か焦りでもあったのか?
「……強く、なりたいんです。私は、グレモリー眷属の中で一番弱いから……」
暗い表情でポツポツと言う。
ん~~、確かに現状では最弱だよなぁ。デュランダルとか
「PSIがある程度使えれば最弱からは抜け出せるさ。それに、仮にも俺が鍛えてやるんだ。弱いままは許さん」
「……え? あ、あの……」
困惑した表情に変わった。慰めるとでも思っていたのか?
「安心しろ。明日は一日中徹底的にしごいてやる。少なくとも、近接戦闘技術は跳ね上がるさ」
「…………」
今度は一瞬で顔が青ざめやがった。そんなに俺のしごきは怖いかよ、おい。
あかん。レン魔改造計画が思い付いてしまった。……やってみるか?
……いや、やめておこう。
「んじゃ、また明日な。きっちり休めよ」
「……分かってますよ」
やや不満そうな顔だが、納得はしたようだな。それを見た後、部屋に戻った。
ほぼ説明のみ。
今回出てきた「PSI」は、「PSYЯEN -サイレン-」という漫画に登場する能力です。結構説明を省いているので、詳しいことはそちらをご覧ください。
次回からは、修行ではないオリジナル話の予定です。
おそらくこれから三、四つやると思います。一つ一つが短くて一、二話で終わる可能性もありますが。