アーシアを部室に召喚した後、俺達は改めて簡単に自己紹介をした。
その際に、グレモリー先輩を『部長』、兵藤を『イッセー』と呼ぶことになった。
部長はオカ研に所属するのだからと、イッセーは友達だから、との事だ。
アーシアの言語については、昨日渡した巾着の細工で今は問題無くなっている。
ただ、読み書きが出来るようにはならないので、その辺は言葉も含めて少しづつ勉強してもらうつもりだ。
自己紹介も終わり、話し合いも一段落して今は……教会付近で教会内の様子を探っている。
全員で来たワケではなく、同行者は部長、朝倉、イッセーの三人だ。
残りは、部室にいるアーシアの護衛として残ってもらった。
ちなみに、同行者三人は手ぶらだが、俺はいつも学生鞄に入れてある本を持ってきている。
「…………」
「…………」
「…………」
「……中はどんな様子かしら?」
じっと目を閉じて様子を探っている俺に焦れたのか、部長が聞いて来た。
「そうですね……宿舎と聖堂に悪魔祓いの大半が、聖堂の地下に数人の悪魔祓いと堕天使共全員がいる、と言ったとこですね。悪魔祓いは総数が分からないので、アーシアの捜索に出ている奴がいるかもしれませんが。地下にいる悪魔祓いは実力者かリーダー格の奴ですかね?」
「おそらくそうでしょうね。それで、どうするつもり? まさか真正面から攻めるとか言わないわよね?」
…………失敬な、部長は俺をどんな奴だと思ってるんだ。
「この教会って壊しても大丈夫ですよね?」
「……ええ。問題ないわ」
部長は俺の質問にやや怪訝そうな顔をして答える。
それを聞いて、俺は自分でもわかるニヤリとした笑みを浮かべると
「それじゃあ、教会ごと地上にいる悪魔祓いを一掃しちゃいますか。討ち漏らしはお願いしますね?」
と言い、返事を聞かずに空へ跳び上がり、空中に足場となる魔法陣を展開する。
そこに着地して、人払いと認識阻害の結界を教会周辺に張ると、右手に持った本が開いてページがひとりでにめくられていく。
そしてそれと同時に、俺の周囲から横に広がる様に幾つもの魔法陣が展開する。
本が閉じると、魔法陣の展開も止まった。
そして……
「ファイア」
俺の言葉と共に展開された魔法陣から、一斉に魔法が放たれた。
「いや〜……やり過ぎちゃいましたかね?」
完全に瓦礫の山となった教会を見て、苦笑いしながら言うと
「いくらなんでもやり過ぎよ!」
と部長に怒られた。それどころか
「ホントですよ。ここまでやるなら、せめて前持って言っておいてください」
と朝倉にも言われてしまった。
イッセーの奴は、あまりの衝撃に呆然としてしまったようだ。
そうしていると、ドガッという音と共に光の槍が飛んできて瓦礫の一部が吹き飛び、地下にいた堕天使共と悪魔祓い達が地上に出てきた。
「ゲホッゲホッ、あーもう一体何が起きたのよ⁉︎」
一番最後に地下から出てきた、堕天使共の主犯格の…………レナーレ、だっけ? あれ? レイナーレだったか? が叫ぶ。
思ったより地下に影響があったみたいで、他の連中はまだ咳き込んでいる。
当然、俺達を最初に発見したのもそいつだった。
まぁ隠れてたワケじゃない、それどころか見えるところにいるから、他の連中もすぐに気づいた。
「グレモリー、どういうつもり?」
「私の眷属を二度も傷つけられて、主である私が黙っていると思ったの? それに、ここは私の管理する土地よ? あなたの様な堕天使に、好き勝手させる訳にはいかないわ」
部長の言葉の何かが琴線に触れたのか
「私は至高の堕天使になるのよ! 邪魔するな!」
と突然激昂する。
それを見て構える部長にイッセーが割り込む
「部長。こいつは俺にやらせてください」
「イッセー?」
「俺がやらなきゃダメなんです。お願いします」
イッセーの態度で譲らないことが分かったのだろう。
「はぁ、分かったわ。思う存分やりなさい」
部長は溜息混じりに答えた。
まぁプロモーションや神器についても、あくまで触り程度だが教えられているみたいだし、赤龍帝の籠手を目覚めさせれば勝機は十分にあるだろう。
そんな事を考えていたら、適当に分断されてしまったらしい。
部長の方には堕天使が二人、朝倉の方には悪魔祓い達が行って、俺の相手は女の堕天使一人みたいだ。
黒いゴスロリ風のドレスを着た金髪美少女で、正直言って結構好みだったりするからちょっとやりづらい。
まぁ、アーシアを殺そうとしてる奴らだから潰すけど。
「はぁ、なんでウチがこんな人間の相手なのよ。悪魔祓い達に任せればいいのに。まぁいいわ。サッサ死んでちょうだい、人間」
そう言って、光の槍を投げてくる。
が、俺の前に展開された防御の魔法陣が、光の槍を防ぐどころかあっさり破壊する。
「んなっ⁉︎」
相手が驚きの声を上げてる隙にもう一度空へ跳び上がると、先ほどと同じ事をする。
「……え? ちょ、まさか⁉︎」
なんか言ってるようだがもう遅い。
「ファイア」
再び放たれた魔法は、俺と部長の相手の堕天使三人と朝倉の相手の悪魔祓い達に降り注いだ。
部長と朝倉は直前に気づいて慌てて逃げたみたいだ。
俺が地面に降りてくるのと同時に
「ぶっ飛べ! クソ天使‼︎」
と言うイッセーの声が響いた。
どうやらあっちも終わったみたいだな。
「いやぁ、それにしても…………ひでぇ有様」
辺りを見回して思わずボヤくと
「こんな風にした張本人が言うセリフじゃ無いと思いますけど」
いつの間にか隣に来ていた朝倉にジト目で睨まれた。
こいつ黒髪なことと顔立ち以外は白音に似ているから、なんかいつもの感覚だ。
「あ〜〜〜、結構遠慮なくぶっ放したけど、朝倉は大丈夫か? 怪我とかしてないか?」
「……『憐』でいいですよ」
「…………え?」
「呼び方です。名前で呼んでいいですよ」
ちょっと驚いた。
今までの感じから朝倉は人見知りするタイプで、名前で呼ぶとかはしばらくムリだと思ってたんだがな。
現に今まではちょっと距離置かれてたし。
「そうか。なら、憐って呼ばせてもらうよ。俺は好きに呼んでくれ。憐城でもシンでもいいぞ」
「わかりました、シン先輩」
話は終わったのか、部長のところへ行こうとする。
その憐の背中に声をかけた。
「憐」
「なんですか?」
「敵対勢力に所属してるとか、正体を隠してたとか、色々複雑だと思うけど、それでもこれからも白音と仲良くしてくれると助かる」
「……言われるまでもありません。白音ちゃんは友達ですから」
その答えがとても嬉しくて笑みが抑えきれず、あぁシスコンだなぁ俺、なんて思いながら
「……そっか。ありがとうな」
とだけ言って、二人で部長のところへ向かった。
Q.ルガールと聞いて思い浮かぶものは?
D×Dファンの方の場合
A.シトリー眷属の一人
作者の場合
A.ジェノサイ…カタッ!!