「ーーすまねえな、負けちまった」
珍しくバツの悪そうな、申し訳なさそうな表情で日和は頭を掻いた。目線は居所が悪いのか適当な夜空へ向いている。
「ああ、お前が負けたせいで私は紫様にこっ酷く叱られるだろう」
「儂らの力を借りておきながら負けるとはなぁ」
「そうだそうだ、どうしてくれるんだ」
「あんたら素直じゃないねぇ……」
藍、マミゾウ、萃香の様子に勇儀は腰に手を当てながら笑った。杯を回しながら酒を撫でているのか、くいっと一杯煽った。喉仏が上下すると、唇を細めて日和の顔に酒気が吹かれた。
「あんたが負けたんじゃないよ、私たちが負けたのさ。私らは嫌で日和についてきたんじゃない、ついて行きたくてあんたの後ろを歩いてる。萃香たちは素直じゃないけど、別に攻めてないさ」
「おい、言うなよぉ」
詰まらなそうに萃香が口を窄めた。藍も目尻が下がって笑い、マミゾウは日和の煙管を蒸している。勇儀の言葉を聞いた日和は少し呆然とするが、後ろから押されたような感覚に蹌踉めくと振り向いた。
竜宮童子、天魔ーー他、百鬼夜行の面々がこちらを見ている。
『初めから、勝ち負けなどは気にしていません。
ここに集うはあなたの名に誘われた飲めや歌えやの無法です。妖のために異変を起こそうと、人のために異変を起こそうと、そんなことはどうでも良いのです。いつの日からか祭囃子が聞こえなくなったあなたが楽しそうに杯を揺らしている。それだけで、十分なのです。我らがーー百鬼夜行の主よ』
どこまでも蒼い瞳を持つ竜宮童子は、日和が知らなかった自分たちの真意を明かした。
彼女の瞼の裏に焼き付いているのは、今は昔の好い状景。庭の桜は花を咲かせ、そこには自らが寄った男と烏帽子を被る陰陽師の女が楽しげに話している。信じられぬは、その女に小妖怪が群がっていることだろう。肩には鼬、烏帽子の中に入ったのか隙間からは狐の妖獣が覗いている。男が鼻先をつつくと驚いて隠れてしまう。その様子を見た女は驚かすなと人差し指で男の額を叩いた。
『まぁ、旦那が負けるなんて別に珍しいことじゃないからな』
顔が三味になった付喪神が頷きながら言った。
『ぬははっ、鬼ほど力は強くないし』
『天狗ほど飛べるわけでもなし!』
『河童みたいに手先は器用じゃない。むしろ、不器用……?』
『呑み比べでも大蛇の女傑に負けてたぞ!』
『馬鹿野郎、あの人は名の通り蟒蛇じゃ』
『それもそうかっ』
弾けたように笑い声が響いた。小さきものから大きなものまで、口を大きく広げている。その様子を見ていた日和は思はず声を漏らしてしまう。気ままに、柳のように生きるなどと言いながらもどこか胸には穴が空いていた。藍には消えるのかと言われ、それを否定することもできなかった。
「……人間が言っていたことはこういうことか」
ーーいつかお前にも、誰かといる暖かさがわかる。でも、もしかするとその暖かさは誰かが消えて冷たさに変わるかもしれない。お前たちならずっと一緒にいられるだろう? 人間の私と違って、長い長い生なんだ。共に歩む者がいても罪とはならん
一〇〇〇年越えても色褪せない、正しく自分が生きていた時代。妖は人に恐れられ、人は妖を退治すべく奔走していた。いつの日かまたそんな騒がしい
「ーー幻想郷は、そこまで狭い世界ではありませんわ」
いつのまにか隣に立っていた紫が相変わらずの胡散臭そうな笑みを浮かべながら言った。
「人と妖が共に在る世界。優劣はともかく、あなたがそう悲観なさらずとも時代は移り行くのです。
藍もマミゾウも萃香も勇儀も天狗も河童も幼獣も、付喪神さえ含めてかつて気付かせてくれたあなたに気付いて欲しかったのではなくてーー日和」
「八雲の……」
「お久しぶりですわね、ぬらりひょん。ここ最近顔が見えなくて寂しかったですわ」
「また適当なことを言いおって。どうせお前さんのことだ、どこからか見ていたんだろう?」
「あら、それはどうかしら」
くすくすと紫は声を出した。
「ま、なにはともあれ異変はこれで終わり。あとの処遇はーー博麗の巫女次第」
首だけを後ろにやって、扇を指した向こうにはいつものように無愛想な顔をして腕を組んでいる霊夢がいた。
「博麗の巫女は調停者。ここの法でもあります。如何せん我が強すぎるきらいはありますが、それでもしっかり処罰を受けるように」
「かかかっ、わかっている。煮るなり焼くなり好きにすればいいさ。まったく、あれだけ霊力を巻いて立っているなんて、何者なんだ」
日和は、石畳みを草履編んだ草鞋を鳴らしながら歩いていく。どこか満足気な後ろ姿に紫は投げかけた。
「最初に言ってなかったかしら。彼女はどこまでも、''楽園の素敵な巫女''様よ」
「ああ、違いない」
物語は終わりを迎えた。
多くの者に知られず異変を起こした一匹の大妖怪は、百の妖とともに一人の人間に挑んだが阻まれたかのように叶うことはなかった。嘆くことなくからからと笑った男はいつものように懐に手を伸ばし煙管を取ろうとした。空を切ったことに、そういえば貸していたことを思い出し、やっとそこでため息を吐いたのであった。
一、
空は青く、ウロコ状に並んだ雲が地上に影を出す。少し冷えた風が境内を通る中、博麗神社はいつもより慌ただしく動いていた。
「まったく、なんで異変解決の宴会をいつもここでやるのよ、別にあんたの屋敷でも良いじゃない!」
「そう言うな霊夢。俺の屋敷じゃこの辺に住んでる奴が来にくいだろう。それにいつも宴会はここで開いていると聞いた、今日日も倣ってここにした」
「倣わなくていいのよ……もう」
料理に酒、果実汁まで。誰が来ても良いように博麗神社の境内に盛り付けていく。準備をしているのは数人、台所には藍と紅魔館から来た咲夜などが立っている。
「ほら、これは俺の持つ最上の酒どもだ。あとでお前さんにやるから許してくれ」
庭から見える和室に一本、二本、三本……と並べると外で料理を運んでいた霊夢の動きが止まった。釘付けになり、逡巡したかと思うと「あとでよこしなさい」と言って早足に消えた。
「やはり世の中酒だな」
「ーーそれを寄越せ日和ぃぃぃ!」
「っと、そうはいかんぞ萃香。今約束したのに反故にすれば本当に滅せられる」
妖術か、並べた酒は身を飛ばして来た萃香に合わせて消えた。
「ぐべ」
飛び付く気だったのか、床に落ちた萃香はそのまま和室に転がっていき先の廊下の壁に頭を打ってようやく止まった。
「お前にはまた別のを出してやるから、今は準備を手伝ってくれ」
「約束だからなぁ」
「鬼に嘘は吐かんさ」
両手を後ろにやりなが去った萃香を見送って、日和は布製の敷物を桜の木下に敷いた。どうやら博麗神社は春になると幻想郷でも一二を争うほどの見所らしく、昼は花見、夜は夜桜と飽きないことはないという。日和は来年にでも寄ろうと考えていると、鳥居の方から話し声のすることに気付いた。
「ねぇ、妖夢。お料理はもうできてるかしら」
「どうでしょう。早く来すぎたこともありますのでまだ準備途中では」
「ええ、せっかくつまみ食いしようと思ったのに」
「幽々様の場合はつまみ食いの段階で食べ尽くすので今日は絶対にやめて下さい」
石段を上がって来たのはふわふわと浮いた桃色の女性と、白髪の腰に二刀を下げ傍に半霊が浮いている。
「む、あなたは?」
先に日和と目のあった少女が、指を口に当てる女を庇うように立った。
「おお、お前さんらとは初見だな。今回異変を起こし、退治された日和だ。ちなみにわかると思うが、当然妖怪だ」
「これはご丁寧に。私は冥界、白玉楼の庭試兼剣術指南役、そしてこちらにおわせられます西行寺幽々子様に仕えている魂魄妖夢と言います」
「若いのに立派だな。宴会に来てくれたのだろう? そちらのお前さんは腹が減ったのならこれを食べるといい」
「わぁ、ありがとう」
またもやどこからともなく、木籠に入った菓子の詰め合わせを出した日和は幽々子へと渡した。受け取った幽々子は嬉しそうに細い指で漁っている。
「幽々子様、私はいつものように手伝ってきますのでくれぐれも何かご迷惑を掛けないように」
「わかってるわ。そこまで子供じゃないのに」
もう一度口酸っぱく告げた妖夢に、幽々子は少し拗ねたように返した。慣れたように社に入っていく妖夢に手を振って、やがて姿が見えなくなると日和を見やった。
「あなたが紫が言っていた妖怪さんね」
「八雲のがなにか言っていたか。不躾なものじゃなきゃ良いが」
「紫はあなたの話をするとき、いつも『羨ましい』って漏らしていたわ」
「かかっ、あの八雲が俺を羨ましいと。まさかまさか、信じられん」
「そう言ってあげないで。彼女は自身の力が強大なのを理解してるから、どこか責任感があって独りになりがちなの。いつも大勢で過ごしていたあなたを羨ましがっても仕方ないわ」
「来れば良いものを。無駄に意地っ張りなところがあるからな」
「んふふ、でしょ。そこが可愛いの」
何度か、日和の元に紫は訪れることがあった。
特に用もなく、どちらかが呼んだわけでもないが互いの近況を屋敷の縁側で、暖かい茶を飲みなが話すのがいつもであった。幻想郷が生まれる前から紫とは出会っており、いつかこの世界ができたら見て欲しいと言われた。それは幻想郷ができてからだいぶ遅くなったが、ここに入ったのも直接紫から誘われたのが始まりである。
「日和、と言ったかしら。あなたもしかして、白玉楼に来たことがない?」
「んん? 白玉楼、か……。耳に覚えはないな」
「そう……。じゃあ、一度どこかで笠を失くしたことはない?」
「笠?」
と、眉を顰める日和の首にはいつも被っていた立山笠の姿はない。先の戦いで霊夢に対する牽制として投げ、見事に撃ち落とされてぼろぼろとなった。見かけた藍が時間はかかるかもしれないが補修をしてくれるとのことで預けているのだ。
「そんなこともあったかも知れんな。確か、西に見事な花を咲かせるという桜を見に行ったときか。そこの庵に、大層な歌を書く男がいてな。別れ際に一つ、歌ってもらった記憶もあるが……おそらくそこで失くしたのだろ」
「あらあら、やっぱり。去年の年末ね、妖夢と一緒に庵を掃除してたの。そうしたら大きな桐箱があったからなにが入ってるんだろうなぁって期待して開けたら、絹で丁寧に包まれた笠が出てきたの」
「む、まさかお前さんはそこの……」
「ええ。西行庵は今、白玉楼と名を変えて彷徨える魂の管理をしているの。もしお暇があれば是非いらっしゃって。お祖父様のお話も聞きたいし、妖夢に頼んでお茶請けも用意しておくわ」
「おう、そうか。それは行こう。楽しみにしている」
「待っているわ。じゃあ、また後であなたのお話も聞かせてね」
籠に入っていた最中をもそもそと食べながら、幽々子は社の裏へと回って言った。縁側がある方だ、そこで時間が来るまで待つのだろう。
「ほら、霊夢に会うんだろ。宴会が始まったら挨拶なんかできないぞ」
「まあ待て妹紅。まだ昼も過ぎたばかりだ、そんな急がなくとも大丈夫だろう」
戻ろうとするとまたもや声が聞こえた。せっかち者が多いと覗くと見知った二人組がいた。
「おう、慧音と妹紅じゃないか。残念ながらまだ宴会はやってないぞ」
「あっ、お前はいつかの男妖怪!」
「こら妹紅。日和殿に失礼だぞ。こんにちは、なぜここに?」
人里の守護者である上白沢慧音と、竹林の不死鳥である藤原妹紅であった。
「今回の異変で退治されたから宴会の準備をな。悪いが二人とも、手が空いたら霊夢の手伝いを頼む」
「それは、構いませんが……。え、ん? 異変、退治? 日和殿が?」
「そうだ」
「異変……最近妖怪を見なくなった……。失礼ですが、その、日和殿はそこまで妖力を……」
「騙されるな慧音。こいつは昔から自分の力を能力でごまかしてるんだ。こいつの正体は八雲紫や風見幽香と並ぶ大妖怪だぞ」
「かかか、言うな妹紅。慧音が驚くだろう」
「黙れ。京であったことを忘れたとは言わせないからな」
「あれはお前が勘違いしてかかってきたのが悪いんだろ。俺に言わせりゃ自業自得だ」
「くっ、覚えとけよ」
二人の記憶は平安の終わり、京付近の山麓に至る。蓬莱の薬を飲み不死となった妹紅は、生きる術として妖術を習得していた。里、村にかけ妖怪退治を生業にしておりたまたま歩く妖怪に目を付けたのだ。人型ではあるが妖力は少ない、ならば最近開発した妖術の実験台をしようとしたところ妹紅は化かされていたことに気付かず地面を舐めることになった。時たま会い、からかってくるため少し苦手意識を覚えている。
「二人とも来るなんて珍しいじゃない」
正面から現れた霊夢が声をかけた。
「おー、霊夢。慧音がな、今回の異変について聞きたいからって付き添ってきたんだ」
「それならそこの男に聞いた方がいいわよ、元凶だし」
「別に良いんだが、慧音がこいつを大妖怪だって信じられないらしくてな。直接聞いてもごちゃごちゃになるだろうし、編纂もあるから」
「そういうこと。上がりなさい。妖夢が来て手が空いたし、暇をしてたから話してあげるわ」
「ありがと。行くぞ、慧音」
「あ、ああ……。私はなんてことを。半妖の私が八雲紫に並ぶ妖怪に頭突きを……どうすれば、謝れば良いのか……人里が……」
「ほら、もう良いから。あいつはしょうもないことを気にするやつじゃないからさ。危なかったら私が燃やすから」
妹紅に肩を抱かれながら、霊夢を含め三人は社に入っていった。
久しぶりに妹紅に会った日和は相変わらず変わっていないと、精神的に幼かった彼女はいなくなったのだと懐かしんだ。
「あいも変わらず硬い半妖よな」
ふと、耳に羽の羽ばたく音がした。天狗が来たかと空を見ると人一人たやすく覆えるほどの鳥が飛んでいた。珍しい鳥獣だと見ていると、先ほど見たような桃色が降りて来た。
「……っと、少しぶりですね、日和」
「華扇もな」
音を立てず着地したのは茨木華扇であった。胸元には彼女の髪と同じ色の薔薇の飾りが揺れている。
「どうでした、霊夢は?」
「ああ。なかなかに強かな
「ふふ、でしょう? たまに私も面倒を見ているのですよ」
「ほぅ、あの茨木が目をかけるとは……やはり只者ではないな」
「わかっているくせに。ーー日和」
男の名前を呼んで、華扇は手を取った。
「寂しさは、紛れましたか?」
「む……」
目を白黒としながら日和は華扇に取られた手を見た。
「お前さんも、
「と言っても、私は仙人になってからですが……。あの陰陽師には敵いませんね。あの人は、あなたの唯一の理解者だったのでしょう」
「さあ、な。理解者……ただ自分の都合が良いことを言っていただけな気もするがな。かかか、ほら。もうそろそろみんなが来る。お前さんも挨拶をして来ると良い」
「ええ……ええ。あとで、私にお酒を注いでくださいよ」
「幾らでもやろう」
「では、またあとで」
華扇を見送り、誰もいなくなった鳥居を残し日和は空に浮かんだ。およそ準備は終わり、残るは料理だけだろう。このかた火元と無関係の自分では力になれることはない。
博麗神社から、自身が住んでいる西ノ森へと向かう。魔法の森、人里、沢、妖怪の山、そして樹木に囲まれた日本家屋にたどり着くと門前に降り立った。
「……」
未だ戦いの名残が残ったそこは石畳に穴が空き、先日の光景を如実に思い出させる。
久しぶりに人間に負けたのだ、口角を上げた。
閂を抜き、門を開いた。軋む音を立て一人分の間ができると体を入れる。手を離すと勝手に閉まり、一際大きな音を鳴らし閉まった。屋敷の中は異変の最中と違い、閑散としていた。日和の耳には静けさが響いているにもかかわらず、かつての祭囃子が聞こえていた。
ーーどうだ。お前用の羽織を作ってみた。似合うと良いんだが、着てみてくれ
ーー最近は自分が少し、歳を取ってきたような気がする……む、誰が婆だ
ーーすまんな、妖怪。お前を残してしまうことを許してくれ
ーー私はお前と、ずっと一緒にいたかった。ありがとう、こんな私といてくれて。こんな私に、愛しい人との最期をくれて
枯れた桜の枝が揺れた。そこにはもう、死んでしまい花弁を実らせぬ老木だけがある。思えばこいつとも長い付き合いだ、としみじみとする。噂に聞いた妖怪桜ならいざ知らず、こいつはただの木だ。なんの力も篭っていない、妖たちを見守ってきた木である。
微かに砂のかかった縁側へと座り、藍と語った夜より置き放しになっていた肘掛けへとかけた。
懐から、マミゾウより返してもらった煙管を取り出した。鉄製の火口に爪を擦ると煙が立った。
「…………そういやぁ、名前、聞き忘れたな」
伸ばした足の先に酒瓶が転がるのを感じた。萃香か勇儀辺りがそのままにしていたのだろう。
いつものように笑い声をあげると、どこかで鳶の鳴く声があった。
「まったく。いつの時代も、人間は面白い」
目を瞑れば桜の木に座った自分に、どこからともなく妖怪と呼ぶ声が聞こえる。また来たかと煩わしく思うと同時に、いつか心が満たされていたのを遠くの日に反芻した。
二、
「……様。……和様」
「……那ぁ。起き……」
声がする。暗い世界に落とされるように二人の声がした。
「んぅ……、誰だ」
「お。起きたね旦那」
「日和様、宴会が始まってるっていうのにどうしてここにいるんですか!」
「……っく、あぁ。お、文とにとりか」
「はいそうです、って違いますっ! 霊夢さんが怒ってますよ。今回の異変、なんと日和様が起こしたと言うじゃないですか。その詳細を聞こうと旧地獄から天界まで集まって、同じ話を何度もする羽目になって『あの妖怪はどこだ』と札を持って取材どころじゃありません」
「私は良いんだけど旦那には別の用事があるからね」
「あ、そうです! なんとなんと、やっとこさ私たちは日和様の正体に辿り着いたんですからね。幽香様のお力添えもあって自信満々です!」
「かかかっ、そうか。じゃあ、その答えは神社に向かいながら聞こうか」
身体を伸ばすと目が覚めた。河童のにとりが飛ぶことが苦手なことを知っていたので、腕を取って背に乗せた。
「悪いね」
「構わんよ、にとり」
にとりが首にまで手を回すのを確認するとゆっくりと浮いた。文は日和の正体を書いた手帳を開きペンを持っている。
「それで、俺は何
「それはですね、ずばり
「んー?」
「絶対違うだろう。私は何度も旦那は
陽は傾き始めやがて夜が来る。逢魔時だとは言うが、今夜は魔物は現れないだろう。
寝過ぎだとは思ったが偶には良いかと開き直った。宴会に行くべく向かう空で、日和は二人に出した自らの正体に行き着く経緯を聞いていた。途中風見幽香や名を馳せた妖怪が口に出され二人は一体何をしていたのかと突っ込みを入れること少々。
それにしても、
「俺がぬりかべに提灯小僧かぁ……」
疲れたような嘆き節が、忙しなく隣を飛んでいた烏天狗の羽音に消えていった。
連投でございます。